「民族の融和・統一」は「政治利用」か
2018年02月27日 | 朝鮮と日本
25日閉幕した平昌五輪に対し、NHK、民放、新聞各紙は、「競技が人々を魅了した一方で、北朝鮮が大会直前に参加表明し、南北融和が演出されるなど政治利用が色濃い大会となった」(26日付毎日新聞社説)、「今大会は開幕前から政治色が強かった。直前の北朝鮮参加、女子アイスホッケーの南北合同チーム結成…」(26日付東京新聞社説)など、韓国と朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の接近・融和を「演出」「政治色」「政治利用」とする論調があふれています。この評価は妥当でしょうか。
「南北融和」とは言うまでもなく、分断された1つの民族である朝鮮民族同士が融和、和解、平和的統一を目指そうとしていることです。それははたして「五輪の政治利用」でしょうか。
「オリンピック憲章」は「オリンピズムの根本原則」をこう明記しています。
「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」
分断された民族が融和し平和的統一を目指すことは、「政治利用」どころか、まさにこの「オリンピズムの目的」に合致したものではないでしょうか。
「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」
分断された民族が融和し平和的統一を目指すことは、「政治利用」どころか、まさにこの「オリンピズムの目的」に合致したものではないでしょうか。
一方、そうした韓国、朝鮮の動きに「危機感」を持ち、開会式のどさくさに韓国・文大統領と会談して朝鮮への「圧力強化」を強調し、「日本軍性奴隷(「慰安婦」)」問題でもクギを刺し、晩さん会には着席もせず(ペンス米副大統領)、閉会式には出席しない(日本政府)。そんなアメリカ(トランプ政権)、日本(安倍政権)両政府こそ「五輪の政治利用」の極致ではないでしょうか。
私たち「日本人」が忘れてならないのは、朝鮮民族分断の根源は明治(さかのぼれば豊臣秀吉の朝鮮出兵)以来の日本の朝鮮侵略・植民地支配にあるということです。さらに、今日の「南北分断」をもたらした朝鮮戦争はアメリカの覇権主義が元凶であり、日本はそのアメリカに従属して直接間接に朝鮮戦争に深くかかわったし、今もかかわっている、という冷厳な事実です。
日本・日本人は朝鮮民族分断の加害者です。被害者(朝鮮、韓国)が懸命に「被害」の修復を図ろうとしているのに対し、加害者がそれを中傷・攻撃し妨害する。こんな理不尽なことが許されるでしょうか。
韓国の世論調査では、「統一旗による合同入場」への「賛成」が53%(反対は39%。韓国ギャラップ調査)。「平昌五輪が南北関係改善に寄与するか」との問いには、65・1%が「寄与する」と答えています(「寄与しない」は33・0%。韓国社会世論研究所調べ=27日付共同配信)。これが韓国市民の受け止めです。
過去の侵略・植民地支配の罪を自覚するなら、朝鮮民族の融和・平和的統一を応援する、そのためにそれを妨害する安倍政権の「朝鮮敵視」政策を止めさせ、元凶である日米軍事同盟(安保条約)の廃棄へ向かう。それが私たち「日本人」の責任ではないでしょうか。
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