2020-12-18

Amazon.co.jp: 朝鮮引揚げと日本人――加害と被害の記憶を超えて: 李 淵植, 舘野 晳: 本

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朝鮮引揚げと日本人――加害と被害の記憶を超えて (Japanese) Tankobon Hardcover – December 16, 2015
by 李 淵植 (著), 舘野 晳 (翻訳)
1.0 out of 5 stars 1 rating


Product description

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
李/淵植
1970年、ソウル生まれ。現在、ソウル特別市人材開発院歴史文化行政課程講師、上智大学日本学術振興財団、外国人共同研究員、文学博士。

舘野/〓
中国大連生まれ。法政大学経済学部卒業、東京都庁勤務(定年退職)、現在は韓国関係の出版物の企画・編集・執筆・翻訳に従事中。出版文化国際交流会理事、日本出版学会・K‐文学を読む会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


Product Details

Publisher : 明石書店 (December 16, 2015)
Publication date : December 16, 2015
Language: : Japanese
Tankobon Hardcover : 304 pages
Customer Reviews:
1.0 out of 5 stars 1 rating




まんぺい

1.0 out of 5 stars 朝鮮人から見た「日本人引揚げ」者について書かれた本Reviewed in Japan on September 10, 2017

 朝鮮人の目に、日本人引揚者がどう映っていたのか、については参考になった。
 植民地支配者であった「日本人」は、いかなることをされても「被害者」とは言えないという立場の本。南北両方で多発した朝鮮人による日本人女性に対するレイプについては全く触れられない。あたかもソ連兵によるものだけであるように書かれている。
 また、日本人引揚者が略奪にあったりする場面の説明も、「はたして彼らは被害者といえるか?」と問うたうえで、略奪を受け報復される日本人の例として朝鮮独立運動家を弾圧していた警察署の幹部などを挙げてくる。引揚者がそんな人ばかりでなかったことは明らかであり、一般の人々も身ぐるみはがれるような略奪を受けており、それがその冬に数万の人々が病気や飢えと寒さで亡くなったこととつながっているにもかかわらず、そのようなことは全く触れられない。
 まあ、日本の歴史修正主義者も、慰安婦問題や南京事件について都合の悪い事実をなかったことにしたり、合理化したりするのだが、この著者が彼らと同じような手法を使っているのは興味深いともいえるだろう。この著者は事実は知っているようだが、あえてなかったように表現しているように見える。韓国ではこの程度でも日本人に共感的すぎるとされて批判されたようなので、事実をすべて書いたら出版できないのかもしれないが・・・。
 この著者のように、「日本人」は加害者であり、引揚げの間に起こったことについても被害者とは言えないというにしても、起きたことは事実として認めたうえで、「日本人は加害者なのだから、被害者とは認められない」というべきだろう。それは歴史家の最低限の良心ではないか。日本の歴史家にも同様の輩がいることはとても残念なのだが。
 また、人間を具体的なその人個人としてではなく、「日本人」といっぱひとからげにラベリングし、イコール加害者だから戦争が終わっていようと、日本に帰ろうとしていたのであろうと、女性であろうと、子どもであろうと、老人であろうと、何をされても仕方がないという論理は、とても危険なのではないかと私は思う。
 人間は、具体的なその人を知っていれば、そんなに残酷なことをすることは難しい。しかし、ある人にその共同体の中で多数派に共有された否定的な属性を付与されたラベル(「日本人」「朝鮮人」「イスラム教徒」「ユダヤ人」など)を貼った途端に、「われわれ」とは違った扱いをしてもいい「やつら」ととらえ、「だからこいつらにはなにをやってもいい」というように正当化されてしまう。それが様々な残虐な行為を生み出してきたし、生み出し続けているのではないかと思う。

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朝鮮引揚げと日本人―加害と被害の記憶を超えて

『日本語で読みたい韓国の本-おすすめ50選』で紹介した作品から、実際に翻訳、刊行に至ったものも多くあります。
昨年12月に刊行された『朝鮮引揚げと日本人―加害と被害の記憶を超えて』(李淵植著、舘野晢訳 明石書店)もそのような本の1冊です。

大陸や朝鮮半島からの引き揚げ時における想像を絶する苦労については、たくさんの手記や小説に書かれていて、『流れる星は生きている』(藤原てい著)、『竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記』(ヨーコ・カワシマ・ワトキンス著 都竹恵子訳)などが有名です。
これらの手記が個々の苦労に焦点を当てているのに比べ、本書は在留日本人の引き揚げ全体について、著者が長年収集してきた資料をもとに、多角的に語っているところに特徴があります。

訳者あとがきの一部をご紹介します。 

訳者あとがきより

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著者、李淵植氏は、戦後の日韓関係史の専攻研究者で、「国際的な人口移動」を主たる研究テーマとしている。本書が取り上げた内容は、李氏がソウル市立大学校に提出した博士論文「解放後における韓半島居住日本人の帰還に関する研究」を基礎にしており、それを一般向けの人文書として再生させたものだ。「人文書の危機」を憂慮する李氏にとっては、申し分のない素材だったのだろう。

本書の執筆意図は、このたび新たに書かれた長文の「日本の読者へ」に尽きている。敢えて重要な部分を抽出しておくと、「個々人の経験は絶対的かつ貴重なもので、それ自体として尊重しなければならない(略)しかし、同時にそうした経験が“個人”の領域を越えて“集団の記憶”“権力が介在した公的記憶”に転化されることもある。それだけに,歴史的構造と背景を無視し、自己満足的に合理化する根拠になりもするし、歴史的事実すらも歪曲され、他人や多国を攻撃する武器にもなる。だから厳密な学問的検証を通じて、そうした記憶と認識が形成される過程と特徴を、徹底的に明らかにする必要がある」ということになる。

著者は一面的に事物を観察し、自己の限られた認識を一般化することの危うさを戒める。敗戦直後、朝鮮人が日本人に加えた「暴行」「強奪」などについても、植民地時代の日本人が、朝鮮人にいかに対したかを抜きにしては、論じられないという。植民地で支配する側に属した日本人が、敗戦後は一朝にして「被害者」に変わったことなどは、信じられないというのだ。「被害」と「加害」についても、冷静な判断を求めている。

本書の各章では、敗戦後の抑留過程での様々な事件や葛藤の様相を、客観的資料に基づいて解明している。それらの、いまではブラック・ユーモアと感じられるかもしれない個々の事象・事件にも、植民地支配の痕跡が深く刻み込まれているのだ。植民地支配権力の内部葛藤が、敗戦後の在朝日本人社会に、大きな影響を与えたことも忘れてはならない。それらを踏まえて、日本(人)と朝鮮(人)の関係に何を読み取るのか、どうすべきなのか、いま読み手側の歴史認識が厳しく問われている。

(中略)

思い起こせば、中国河北省北戴河海濱(中国の党と政府が重要会議を開催する避暑地)で敗戦を知り、3か月あまりの集団抑留生活を体験した後に、天津港からアメリカ軍の上陸用舟艇に乗り、佐世保港にわが家族がたどり着いたのは、1945年12月初旬のことだった。
私たちの場合、中国東北部や北朝鮮に居住された方々に比べれば、苦難の度合いは少なかった。しかし、私たちも本書のあちこちに描かれているように、不安、葛藤、食糧難、共同生活のトラブルなどをたっぷり味わった。それだけに翻訳作業をしながら、本書に記録されていることの数々が、ひとごととは思えなかった。手記や体験記の一場面が、私の体験と重なり合う部分もかなりあり、ついPC操作の指が止まってしまうこともしばしばだった。本書・・頁のイラスト(原文42頁)に至っては、引揚げの際のわが母の姿そのもので、そこからしばし目を逸らすことはできなかった。




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Gyusoo Yi
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一橋大学大学院言語社会研究科韓国学研究センター
第23回 韓国学フォーラムのお知らせ
朝鮮引揚げと日韓国交正常化交渉への道
講師:朴敬珉・高麗大学校亜細亜問題研究院
日時:2021年 1月 22日(金) 15時~17時
場所:ZOOM Meetings(ID: 979 281 8534, パスコード: K1284j)
主催: 一橋大学大学院言語社会研究科韓国学研究センター
   高麗大学校亜細亜問題研究院日本研究センター

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12You, 崔明淑, 이형식 and 9 others
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A5判/上製/256頁
初版年月日:2018/05/30


ISBN:
978-4-7664-2520-8


(4-7664-2520-0)
Cコード:C3031
税込価格:5,500円
朝鮮引揚げと日韓国交正常化交渉への道

序 章 「在韓日本財産の数字」から請求権問題への連続性 
 一 歴史学と政治学の接点にある「空白」
 二 朝鮮縁故者(個人/法人)と「在韓日本財産の数字」
 三 本書の構成と史資料について

第一章 一九四五年の敗戦――朝鮮縁故者の定着志向から引揚げへ
 一 日本政府・京城日本人世話会の定着促進と財産保護
 二 米軍政の中の京城日本人世話会、そして総引揚げ

第二章 引揚げ後の朝鮮縁故者(個人)――朝鮮引揚同胞世話会と鈴木武雄の没収財産への対応 
 一 朝鮮引揚同胞世話会の植民地認識と個人財産の調査
 二 外務省の経済再建構想と鈴木武雄の交錯

第三章 引揚げ後の朝鮮縁故者(法人)――朝鮮事業者会の没収財産への対応
 一 朝鮮事業者会の在外財産の補償要求と植民地認識との連動
 二 在外財産調査会と『日本人の海外活動に関する歴史的調査』

第四章 日韓交渉における請求権問題の顕在化
――予備会談・第一次会談(一九五一~一九五二年) 
 一 交渉以前の両国の相互認識と請求権問題
 二 予備会談・第一次会談における日韓請求権問題

第五章 日韓交渉における請求権問題の深刻化
――第二次会談・第三次会談(一九五二~一九五三年) 
 一 外務省と大蔵省による請求権問題の再検討――会談中断期
 二 第二次・第三次会談と「久保田発言」――植民地認識の帰結

終 章 朝鮮縁故者から岸信介・親韓派へ――対韓請求権の取り下げと国交正常化交渉の再開


参考文献一覧
あとがき
索 引
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