2021-03-11

「慰安婦」問題の言説空間: 日本人「慰安婦」の不可視化と現前: 直子, 木下: 本

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「慰安婦」問題の言説空間: 日本人「慰安婦」の不可視化と現前 Tankobon Hardcover – March 31, 2017
by 木下 直子 (著)
4.0 out of 5 stars 3 ratings

Product description

内容(「BOOK」データベースより)
政治とナショナリズムに現れる権力に迫り痛みの痕跡から歴史を捉え直す―。90年代前後に“従軍慰安婦問題”が日韓の政治的な問題として表面化する一方、日本人「慰安婦」は「加害国の被害者」という立場ゆえこれまで可視化されていなかった。雑誌や新聞記事などのメディア表象や運動資料、城田すず子ら当事者たちの残した手記を手がかりに、「慰安婦」を語る言説が「被害者」「加害者」像を形成していった過程と、当事者たちがどのように戦後を生きたのかを浮かび上がらせる。
著者について
日本学術振興会特別研究員PD(大阪大学)。特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。九州大学大学院比較社会文化学府単位修得退学(2012年)、博士(2013年)。
主な論文に、「聴きとられなかった言葉をめぐって―日本人「慰安婦」に関するフェミニズムの議論の批判的検討」(『理論と動態』社会理論・動態研究所、第7号、2014年)、「フェミニズム運動にとっての日本人「慰安婦」―1970年代ウーマン・リブのテクストを中心に」(チョングンシク・直野章子編『記憶と表象から読む東アジアの20世紀』花書院、2014年)などがある。
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Product Details

Publisher : 勉誠出版 (March 31, 2017)
Publication date : March 31, 2017
Language : Japanese
Tankobon Hardcover : 287 pages
ISBN-10 : 4585230556
ISBN-13 : 978-4585230557


古本虫がさまよう

TOP 500 REVIEWER
3.0 out of 5 stars 慰安婦は「強制売春」を強要され、かつ「無報酬」ともいうべき「性奴隷」だったのか? 意思を無視して「強制連行」されたのか? 現在進行形の中共と金王朝の女性の性奴隷化も「注視」すべきでは。温故知新が大事!Reviewed in Japan on February 13, 2021

木下直子氏の『「慰安婦」問題の言説空間 日本人「慰安婦」の不可視化と現前』 (勉誠出版)を読んだ。

(こんな内容)→政治とナショナリズムに現れる権力に迫り痛みの痕跡から歴史を捉え直す―。90年代前後に“従軍慰安婦問題”が日韓の政治的な問題として表面化する一方、日本人「慰安婦」は「加害国の被害者」という立場ゆえこれまで可視化されていなかった。雑誌や新聞記事などのメディア表象や運動資料、城田すず子ら当事者たちの残した手記を手がかりに、「慰安婦」を語る言説が「被害者」「加害者」像を形成していった過程と、当事者たちがどのように戦後を生きたのかを浮かび上がらせる。
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(こんな内容)にあるように、「雑誌や新聞記事」にあたったり、日本人女性としては、唯一といってもいい、慰安婦としての「告白」を手記(『マリヤの讃歌』日本基督教団出版局)として残している城田すず子に焦点を充てて、慰安婦とはどういう存在だったのかを追究している。註釈の一杯ある学術書(の体裁)。

慰安婦問題、戦後補償問題では一家言を持っている上坂冬子氏には『思い出すだに腹が立つ―日本の偽善を糺す』 (カッパ・ホームス)や『償いは済んでいる―忘れられた戦犯と遺族の五十年』 (講談社)などの著作があるが、木下氏は週刊ポストでの彼女の発言(「戦時中、朝鮮半島出身の女性は日本人であった。日本本土で生まれた人も、朝鮮半島で生まれた人も、当時はともに日本人として日本の国策にそって行動したのである。当然、どちらも従軍慰安婦となって日本軍を慰安し、報酬を得た」)を、 「植民地支配を成り立たせていた権力関係を無視した乱暴なものである」と批判している。

吉田清治の「偽証言」に関しては、「その証言内容には曖昧なところがあった」として秦郁彦氏の批判を紹介しつつも「吉田証言の真偽のほどが定かではないからといって、調査研究の進んできた『慰安婦』制度の事実が覆ることはない」とし、秦さんの「論敵」である吉見義明氏なども吉田証言は「事実として採用するには問題が多すぎる」と認識していたとヨイショして反論している。

そういう見解に反対する本もある。例えば、木下さんの本が出たあとも、李栄薫氏編の『反日種族主義』 (文藝春秋)や、有馬哲夫氏の『こうして歴史問題は捏造される』 (新潮新書)などが出ている。

最近になって、1・28付けの産経新聞でも報じられていたが--米ハーバード大のJ・マーク・ラムザイヤー教授が、慰安婦・性奴隷説を否定するような学術論文を発表したことが話題になっている。

ともあれ大事なことは、慰安婦が「強制売春」を強要されるような、かつ「無報酬」ともいうべき「性奴隷」だったのかどうか、完全にその意思を無視して戦地まで「強制連行」されたのかどうかという点だろう。そういう形の「慰安婦制度」はなかったとなぜ認めないのだろう?

木下さんの言う「調査研究の進んできた『慰安婦』制度の事実が覆ることはない」という中に、「強制売春」「強制連行」の要素は入っていないというしかない。上述のハーバード大学のラムザイヤー先生などが言うように、慰安所を設置するにあたって、騙して連れてくるなとか、病気の検診を定期的にせよとか「制度的」な決まりは軍によって作られていたのは「事実」。そういう「事実」を覆して、慰安婦そのものはいなかったなんて言っている右派系の研究者がいるのかな? 

「強制連行されて性奴隷にされたような慰安婦はいなかった」と言っているのに、「強制連行されて性奴隷にされたような」を勝手に取って「慰安婦はいなかった」と言っている手合いがいる…‥みたいな方向違いの批判をしている人がいる。これはフェイクでしょうね。

木下さんの理屈はそこまで酷いものがあるわけでないけど、相変わらずの「論点すり替え」的な筆致の数々にはちょっとついていけない。

日本人慰安婦として手記を残している城田すず子さんの本については第五章などで詳述されており、あいにくとこの本をまだ入手しておらず読んでないので、そのあたりは参考にもなった。

しかし、彼女(城田さん)が「『慰安婦』制度を国家の戦争犯罪としてみる視点を獲得するには至らず、昭和天皇の戦争責任を追及することもなかった」と、ご不満気味。

彼女の相手をした「兵隊たちが天皇制が生んだ皇軍兵士であったことには意識が向かわなかったようである」とも糾弾している。

まぁ、軍人相手の慰安所というか売春宿は古今東西あったわけで、「天皇制」のみと関係あるわけではないと思う。米国も朝鮮戦争やベトナム戦争のときには売春宿があった。ドイツにも強制売春があった ( クリスタ・パウルの『ナチズムと強制売春』明石書店--参照)。

中国にも「天皇制度」はないけど、中共運営のウイグルの強制収容所では「性的暴行」「強制売春」が女囚に対してなされたとBBC放送が報じている(2021・2・9産経)。

記事は以下の通り。
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ウイグル族施設で「性的暴行」の英報道、国際調査求める声強まる
2021.2.8 18:25|
 【ロンドン=板東和正、北京=三塚聖平】中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区の少数民族ウイグル族らの監視・統制を目的とした「再教育」施設で、性的暴行などが組織的に行われていたと報じた英BBC放送の報道が国内外で反響を呼んでいる。報道は施設に収容されたウイグル族らの証言に基づいており、専門家は「(性的暴行などを裏付ける)最も恐ろしい証拠だ」と断言。同自治区への調査団の受け入れを中国に求める声が英米などで高まっている。
 BBCは3日、施設で組織的に性的暴行や拷問を受けたとする女性らの証言を報じた。2018年に約9カ月間収容されたウイグル族のザイウドゥンさん(42)は複数回、2~3人の男に集団でレイプされたと語った。体内に入れた電気棒に通電される拷問も受けたという。
 ザイウドゥンさんによると、施設では毎晩のように、覆面をした中国人の男たちが収容中の女性を別室に連れ出していたという。別の元収容者は「(女性の悲鳴が)施設内に響き渡っていた」と話した。
 約18カ月間収容されたカザフスタン出身の女性は収容中、性的暴行の手助けをさせられたと証言した。ウイグル族の女性らの服を脱がせ、動けないよう両手に手錠をはめることを強いられたという。施設の元警備員は、拷問のほか、収容者に食事を与えない虐待もあったと明らかにした。
 ウイグル自治区の人権侵害を調査するドイツ人の人類学者、ゼンツ氏は証言について「想像していたよりも明らかに深刻な性的虐待と拷問があったことを示している」とし、「私が見た中で最も恐ろしい証拠だ」と述べた。英国のアダムズ外務閣外相は4日、「(BBCの報道は)悪魔の所業を明らかにした」と指摘。「英政府は断固たる対応をとる」とし、国際的調査の必要性を強調した。
英政府はこれまで、ウイグル自治区での強制労働による原材料や商品が英国のサプライチェーン(部品の調達・供給網)に流通することを防ぐ措置をとってきた。ラーブ外相が同自治区での人権侵害を理由に22年の北京冬季五輪をボイコットする可能性を示唆するなど、中国への批判を強めている。
 BBCなどによると、報道を受け、米国務省の報道官も「深く憂慮している」とし、即時に独立した国際的調査を許可するよう要求した。オーストラリアのペイン外相も、国連監視団が直ちにウイグル自治区に入ることが認められるべきだと訴えた。
 一方、中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は4日の記者会見で「女性への組織的な性的暴行や虐待は全く存在しない」とBBCの報道内容を否定。汪氏は5日の会見でも「フェイク(虚偽)ニュースや偏見のある報道にだまされたり、ミスリードされたりすべきでない」と述べた。
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以下一般論だが、半世紀以上昔の「強制売春」等々でなかったことが判明している日本の、いわゆる「慰安婦」問題の「制度」に執拗な関心を持つ「人権意識」の高いジャーナリストや研究者たちは、いまこそウイグルに飛んでその現在進行形の、より悲惨と思われる女性の状況を解明する努力を少しでもしてはいかが?
それこそ「良心」的では?

清水ともみ氏の『命がけの証言』 (ワック)、『私の身に起きたこと: とあるウイグル人女性の証言』 (季節社)や、水谷尚子氏の『亡命者が語る政治弾圧 中国を追われたウイグル人』 (文春新書)なども参照されたし。

あと、 北朝鮮もお忘れなく。北朝鮮の人権侵害、レイプなどに関しては、ブレイン・ハーデンの『北朝鮮14号管理所からの脱出』(白水社)や、北朝鮮人権第3の道編の『北朝鮮 全巨里教化所 人道犯罪の現場 全巨里教化元収監者81人の証言を含む8934人による北朝鮮の国内人権状況の証言集』 (連合出版)を参照されるといい。

規模も内実も違う、そして半世紀以上昔のことを批判する良心的な人たちが、より大規模な明々白々な現在進行形の人権侵害を批判しないということがありえるのだろうか? 摩訶不思議? せめて、現在進行形の中共と金王朝の女性の性奴隷化の実情をもっと「注視」したら? 温故知新が大事! 


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amazonカスタマー

5.0 out of 5 stars 目次Reviewed in Japan on June 4, 2017

はじめに
序章 「慰安婦」問題へのアプローチ
1.「慰安婦」問題再考―日本人「慰安婦」に注目して
2.日本人「慰安婦」をめぐる議論
3.「慰安婦」制度をめぐる先行研究
4.本書の構成

第1部 〈従軍慰安婦問題〉の構築
第1章 戦後の「慰安婦」言説―社会問題化以前
1.「慰安婦」の記憶と〈強制連行〉の問題化
2.国会で語られた「慰安婦」
3.ルポルタージュの登場
第2章 言説空間の拡大―社会問題化の諸相
1.韓国フェミニズム運動による告発と社会問題化
2.新聞・雑誌にみる〈従軍慰安婦問題〉
3.政治・外交問題としての〈従軍慰安婦問題〉
4.言説空間の振り返り

第2部 社会運動の「慰安婦」言説
第3章 一九七〇―八〇年代フェミニズム運動の「慰安婦」言説
1.〈加害者〉日本人の主体化
2.ウーマン・リブ運動の「慰安婦」テクスト
3.侵略=差別と闘うアジア婦人会議の「慰安婦」テクスト
4.サバイバー被害者=生存者への想像力
第4章 「慰安婦」問題解決運動の言説空間―一九九〇年代初頭を中心に
1.運動の言説空間と日本人「慰安婦」
2.運動関係者が経験した〈従軍慰安婦問題〉

第3部 日本人「慰安婦」の被害をとらえる
第5章 日本人「慰安婦」被害者の語り
1.日本人「慰安婦」被害者の語り
2.城田すず子のテクスト
第6章  日本人「慰安婦」の被害者性
1.被害を不可視化するメカニズム
2.ナショナリズムと性を再び問う
補 論

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