2025-11-13

イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 - 鶴見太郎 - ブックライブ

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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国
鶴見太郎
1,980円 (税込)





19pt

3.3


4件



「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』(1993年)を思い出しながら、長らく迫害されてきたユダヤ人がナチスによるホロコーストの末、ついに作り上げた国と考える人もいるかもしれません。
迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。
ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。
その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1863-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。
ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。
『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。

[本書の内容]
序 章 二種類のユダヤ人
第一章 内なる国際関係
第二章 ユダヤ人とロシア帝国
第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡
第四章 ファシズムを支持したユダヤ人
第五章 民族間関係の記憶
第六章 相補関係のユダヤ化
終 章 多面的な個が民族にまとまるとき
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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 (講談社選書メチエ 738) 単行本 – 2020/11/12


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「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』(1993年)を思い出しながら、長らく迫害されてきたユダヤ人がナチスによるホロコーストの末、ついに作り上げた国と考える人もいるかもしれません。
迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。
ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。
その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1862-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。
ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。
『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。

[本書の内容]
序 章 二種類のユダヤ人
第一章 内なる国際関係
第二章 ユダヤ人とロシア帝国
第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡
第四章 ファシズムを支持したユダヤ人
第五章 民族間関係の記憶
第六章 相補関係のユダヤ化
終 章 多面的な個が民族にまとまるとき


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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 のユーザーレビュー

3.3
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Posted by ブクログ








悪文なのか自分の読解力が足りないのか。面白い指摘をしていると思うのだけど、スッと入ってはこなかった。



02024年01月27日


Posted by ブクログ








分かりやすくはあったが、難しい
ロシア・ユダヤ人としての相補的なアイデンティティのバランスが、外部環境の重なりで崩れた

極東のユダヤ人としての面と、パレスチナ建国への繋がり

自己が抱える複数の面の複雑な絡まりが、形は変わったけど結果としてユダヤ人を民族化させたというのは面白かった



02025年08月30日


Posted by ブクログ








イスラエルにもユダヤ人にもロシアナショナリズム等に詳しくない自分には難解な部分も多かったけれど、イスラエルの国民性がどういう流れを辿ってきたのか、うっすらと輪郭を掴むことができた。
ディアスポラ、ポグロム、ホロコースト、シオン主義、福音派、そういった人々が世界に散ったことでむしろ結束が強まる一面があったこと。
ガザの戦争がなかったら一生知る機会のなかったことかもしれない。


⚫︎あらすじ
ハイテク産業で鳴らしているイスラエルは、軍事力が高く、好戦的な国としても知られてきた。なぜか。一般には、あるいは今日のイスラエル人自身にとっても、ホロコーストを二度と繰り返さないためにそうなっているという説明がしっくりくるだろう。しかし、イスラエルをつくったシオニストの自衛への意識は、ホロコーストが始まる前から十分に高くなっていた。ホロコースト以前の世界のユダヤ人口の中心はロシア東欧地域である。シオニスト運動はロシア帝国に始まり、当地出身のユダヤ人が思想的にも人材的にもシオニスト運動やイスラエル建国を引っ張ってきた。では彼らはなぜ自衛の意識を高く持ったのか。



02024年10月16日


Posted by ブクログ








ホロコーストを体験したユダヤ人がなぜ人種主義的で、軍事的な国を作ったのか、あるいはその傾向が強まったのかというのは、謎が多いところ。

そんな関心事で読んでみた。

基本的には、ロシアにおけるユダヤ人という立ち位置が、ヨーロッパにおけるユダヤ人、例えばフランスやドイツとどう違っていて、シオニストの中で、どのような議論のプロセスを得て、軍事的、ファシズム的なものになっていったかということが書いてあって、ほとんど知らなかったことばかりなので、とても勉強になった。

だが、本のタイトルと内容は少しづれている感じもあって、そもそもシオニズムを提唱したヘルツルの思想の解説とか、ロシア以外のシオニストたちの動き、ホロコーストが進展する中での動き、そしてイスラエル建国時の説明などとの関係がもう少し知りたい感じがした。

多分、そうした話しは別途シオニズム関係、イスラエル建国関係の本を読めばわかるのだろうが、やはり大きなところで、そうしたこととロシアのユダヤ人の関係が知りたいと思った。



02024年01月26日
すべてのレビューを見る(4)

イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 の詳細情報
カテゴリ:ビジネス・実用
ジャンル:学術・語学 / 教育
出版社:講談社
掲載誌・レーベル:講談社選書メチエ
ページ数:288ページ
電子版発売日:2020年11月11日
コンテンツ形式:EPUB
サイズ(目安):5MB
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日本から

Mt.Shirane
5つ星のうち5.0 平易で概観が得やすい。国家成立までの過程を追った書。
2021年3月7日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本
基礎知識のない日本人のために書かれたので読みやすく、国家イスラエルの成立を概観するのに良いと思います。
 ドイツ・ポーランドから逃れて東欧・ロシアに定住した頃から記述を始めます。神話的過去から始めると、古代のユダヤ教やディアスポラがあったかどうかなど、宗教的・神話的事項の批判的検討が必要となり、紛糾するのでよいと思います。ただ、第1章の社会心理学的分類などは巻末に補遺として置いたほうが良いと思います。
 大雑把な展開は、次のようです。
特定の産業に限定されていたユダヤ人が、工業化の進展とともに大多数は貧困化がすすみ、周辺住民からの圧迫も大きくなっていった。自由化によって知識階層に進出したユダヤ人は、ユダヤの特質を保持する傾向と、ユダヤ性の一般的解消に向かう2つに分かれていく。ロシア革命やポグロムへの対応に顕著に表面化していき、その動きの中で神話的過去に依拠するシオニズムが現れ、大衆にわかりやすい希望の運動として大きな流れとなる。シオニズムはナチス以前に帰還運動が始まるが、アシュケナージのうちイスラエルに帰還したのは数%にすぎず、大半はアメリカに移住し、ヨーロッパに留まる者もいた。かくしてイスラエルが誕生した。国家誕生で記述が終わります。
イスラエルの持つ、民族と国家・ナショナリティなどのさまざまな論争についてはお読みいただくしかありません。
 ラカーのように大部ではなく、シュロモー・サンドのように論争的でもありません。
日本人の歴史的素養を踏まえた良い入門書だと思います。
ただし、イスラエル建国以降のパレスチナ、アラブなどとの関係や現状分析を求める方には、お勧めしません。帰還なる名目で、他者を排除し接収し占拠する法的根拠・収奪手段の合法性如何などの基本的な現状分析は別の書を求めるべきです。とはいえ、イスラエルの政策が神話の上に成り立っている以上、神話と歴史を峻別する冷静な議論が必要であると思います。ユダヤと認識されている人々は、閉鎖集団に起因する「遺伝子的ボトルネック」に由来し、ユダヤ12支族の末裔でも純血種でもない、などの科学的事実を押さえることは必須だと思います。 

 手っ取り早く著者の主張を知りたい場合は、下記でweb検索すれば無料で読めます。
  「ユダヤ的かつ民主的国家」の 起源についての一考察 - J-Stage
これで十分かもしれません。

 シオニズムからシオニズム修正主義、極右思想までの史的展開については、森まり子『シオニズムとアラブ――ジャボティンスキーとイスラエル右派1880~2005年――』講談社を勧めたい。
類書の中でも明晰さにおいて抜群と感じます。能力に相応しいポストを得られなかったようで、惜しいと思います。紙媒体は絶版のようで、電子書籍でしか読めないのも残念です。
44人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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tree
5つ星のうち4.0 ロシアのユダヤ人
2024年1月14日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本Amazonで購入
ロシア治下に住むユダヤ人のアイデンティティを丹念に論じた一冊。ユダヤ人でありロシア人であるという時、その2つのアイデンティティの比重が各ユダヤ人の中で微妙に相違する。著者は、数人のユダヤ人にスポットをあてて彼らの自己意識を深掘りしていく。

ロシア治下でユダヤ人が被った数々のポグロムについても触れられている。

自分は、ロシア・欧州にいたユダヤ人の一部がどうパレスチナへ行くに至ったかの彼らの思想の流れみたいなものを期待して本書を買ったのだが、それは本書の対象ではなかった。

内容は専門的でありながら、教科書的な丁寧な解説で読み易い。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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5つ星のうち5.0 「イスラエル」とは、何か。
2022年5月7日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本
イスラエルは、ロスチャイルド家が建国の父である。
中共(中国)の核開発には、アメリカは裏に隠れイスラエルの支援があった。
当時の国際情勢(米ソ冷戦)による。
イスラエルは、ユダヤ人以外の移民は一切受け入れていない。
日本のマスメディアは、これらに一切触れない。と云うより関心の外にある。
なので、真の情報はマスでなくパーソナル間にしかない。
サラリーマンならとっくに経験済みの事である。
そして、ユダヤ人は世界に散っていて協力なネットワークを築き、それ故強力なパワーを保持しているのである。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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明治神宮の鴉
5つ星のうち4.0 消化不良だったことが良く分かった
2024年1月26日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本Amazonで購入
学術書としては正確でしょうが、途中から些かマニアックな流れになって、前の説明を見直す必要ありました、いずれにせよこのあたりのロシアとユダヤの歴史の事実を知るには貴重な書物です
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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Amazon カスタマー
5つ星のうち4.0 日本人には理解不能なお話です、
2025年2月12日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本
「イスラエルの起源」鶴見太郎著
 イスラエルの起源と聞くと、旧約聖書の世界が思い浮かびます。アブラハムとイサクとか、モーゼ、ソロモンとシェバの女王とか、サムソンという名前も、そんな映画がいくつかあったような気がします。そういう紀元前何世紀かも分からない天地創造の時代からの話ではなく、第一次世界大戦後に造られたイギリスやフランス、ロシアといった帝国主義諸国の利害から生まれてきた先進国の侵略戦争の中から生まれた不思議な国がイスラエルだと思います。どうして不思議だなぁと思いますか。?。だってねぇ、旧約聖書の物語の世界でダビデの都があった土地をユダヤ人の国として記してあるので、だから、そこが故郷だと。日本に住んでいると、そのような神話を盾にして、みんなでユダヤ人は神が約束して与えて下さった土地に帰ろうなどと勝手に言い出して、訳も分からないまま、ここが僕たちのすみかなので引っ越してきました。と言ったら、ちょ、ちょっとあんた頭は正気かいと返事に詰まってしまい、どもってしまうような難問です。あり得ない話だと思うのですが。
 しかも、今やそうして神の約束の地に、勝手に帰って来たと称して、周辺のアラブ諸国と戦争をはじめて行く。どっちが正しいのか、考えるまでもなく、先住民は迷惑でとんでもない民族の移動で、そんなことを勝手にされたらたまったものではありません。訳が分からないので「イスラエルの起源」を読んでみようと思いました。
 読んでも、結局分かりませんでした。ともかくシオニストというダビデのシオンに帰ろうという思想があり、1921年にアメリカがイスラエル人の移民を制限した時から、白人世界の持て余し物であったユダヤ人をどこかにまとめて移住させてしまおうと、旧約聖書や新約聖書を宗教的な信条とする白人国家が、自分たちの国から追い出すために、パレスチナの地を選んだ。大体、キリスト教圏にすまない東洋人には理解困難な聖書の世界で、理解不能な理屈で歴史が動いてきてしまっている。
 ロシア、東欧、今話題のウクライナ、ユダヤ人の人口の大半はこの地域に生活をしていて、シオニストとはさらにその他の地域も含む、世界中のユダヤ人を集めた各地の離散した人々の団結した連合体を指すらしい。だから、その世界中のユダヤ人が力を合わせて、ユダヤの民族国家を目指して、さしあたりはイスラエルと言う1948年に帝国主義列強国家の提案で建国されたユダヤ人の移住地を経済的にも軍事的にも援助をして行こうということになったらしい。その最たる、というか最終目標は今アメリカの大統領が言い出している住民交換という政策だという。つまり、先住民族のパレスチナ人をどこかに移住させて、代わりにユダヤ人が永住するという。アメリカインディアンの居住地を決めるような西部劇の世界の話が起きている。考えたら、アメリカ人は先住民族のインディオを追い出して建国をして来た。今度はこれを古代文明発祥の地で行うことになるらしい。
 今回の戦争についてだけ言えば、ハマスと言う組織は自分が守るべきパレスチナ人の命を何とも思っていないとしか見えません。先制攻撃をハマスが仕掛け、ユダヤ人に限らずそこで働いていたアジア人も含めて人質として連れ去り、人質を盾にして、取り返そうとして軍隊をおくったイスラエルの戦争責任を追及するのはあり得ない、自国民の生活と命をほとんど無視しているようで、ハマスと言う組織の自己保身のために戦争を仕掛けてパレスチナ人に犠牲を強いているように見えてしまいます。
 昔、日本が帝国主義侵略戦争に明け暮れ、満州の地の日本人入植者の安全を守らず、住民に何も知らせず本土防衛と称して先に軍隊だけを本土に回したために、大陸に残された入植者が逃避行の最中に大量虐殺をされてしまった事件を思い出させる。そのような、自国民の命を無視したひどい仕打ちだと思います。
 パレスチナ問題は、日本人には理解不能な戦争である、というのが読後の感想で、とりわけ最後に出てくる住民交換が、住民立ち退きとして、アメリカ大統領がパレスチナ人の移住先を探していますというのはびっくりの、解決案です。頭が悪いせいか、読んでも分かりませんでした。大体、聖書を盾に引っ越してくる人がいたら、気が変なのではないかと思います。
 ぺギン、リクードがポグロムという映画「屋根の上のバイオリン弾き」で見たロシア人やコサックによるユダヤ人の大弾圧を、パレスチナでアラブ人に襲われた時に、思いだし、反撃闘争に走った。ロシアユダヤ人が、負けず嫌いだったから、パレスチナ戦争が続くのは分かりましたが、これも引っ越した先でいじめや弾圧があれば必然の防衛反応と言う気がします。だから、分からない。多民族共生があれば一番です。
映画「屋根の上のヴァィオリン弾き」では、長女は、幼馴染の洋服の仕立てやと結婚します。親は仲人人の紹介で大金持ちの年寄りに嫁がせようとしますが、逆らって幼馴染みの仕立てやと結婚します。映画では、長女夫婦は健康で元気子供と一緒に荷車でウクライナのどこかに移動していくようですが、小説では幼馴染みの夫は病死して父のテビエとともに長女もアメリカに渡ります。父があてがおうとした元婚約者のお爺さんもアメリカに渡ります。高齢ですが元気です。アメリカではお互いにまた近所同士だから落ち着いたら会おうと、民族離散の憂き目の中で約束をします。次女は、地方に情宣活動で入っていたキエフ大学の学生と気が合い、大学生が革命運動で逮捕され、シベリア送りになると、活動家を追いかけてシベリア行きの汽車の乗って家族と別れて別の人生を送ります。三女は、ロシア人と結婚をしていましたが、ロシアに残る選択肢を捨ててどこかへ去って行きます。四女は、金持ちの男と相思相愛の関係になったように見えますが、差別の中身分違いか、異教徒のためか分かりませんが、追いかけまわしていた肝心の男が姿を消して、孤立無援の中自殺をしてしまいます。五女は、仲人婆さんの見立てた旧来の慣行に従って親の言う通りの大金持ちの貿易商人と結婚し、この民族離散の憂き目をアメリカに渡ることで生計を立てています。テビエも長女も結果としてこの末娘を頼りにアメリカに渡って行きます。
 逃避行の先はアメリカとシベリアとウクライナかロシアかヨーロッパかいろいろ選択肢がありますが、この一家の場合は、パレスチナという選択肢はありません。キエフ大学の学生を追いかけた事情は恐らく極東地域に住むことになっているのでしょうが、その消息は不明です。
 ユダヤ人がシオンを目指すと言っても、住めば都で今いる土地をシオンに変えていくという時代もあったのかと知りました。結局、パレスチナ問題は、イギリス、フランス、ロシアと言った帝国主義先進国が作ったもので、それをベトナム戦争の時のように、今やまたもや懲りずにアメリカが介入したということなのでしょうか。「地獄の黙示録」を思い出すような展開にならないことを切に望みます。
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どこまでもムタ
5つ星のうち4.0 イスラエル建国の萌芽はロシア・シオニストにあり!
2021年1月16日に日本でレビュー済み
「2種類のユダヤ人」とのことで、最初はユダヤ人の起源に関するタブーと言われるアシュケナジジーとセファルディーについての歴史的検証かと思った。しかし、実際のところ、本書は、ロシアユダヤ人、特にロシア革命期以降のイスラエル建国の萌芽について、主にロシア・シオニストの視点で描いている。

佐藤優氏の著者で、ロシア・ユダヤ人とイスラエルの繋がりの深さは知っていたが、このような深い歴史的経緯があるとは思わなかった。ロシア・ユダヤ人と言っても、シオニストと協調的なリベラリスト、更にシオニストも左右に分かれていて一様ではないようだ。確かに、ユダヤ人と言うと、本書にも出てくるように放浪とポグロムの悲劇という"羊"のイメージがある反面、周囲を敵に囲まれた好戦的、かつ、妥協なきイスラエルの存在は対極的だ。

複雑な経緯を経て、西欧の辺境、極寒の地に集まることになった信心深き民族、それがこのような歴史的経緯を有していたとは興味深かった。
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