*「横田めぐみさん拉致40年 早紀江さん『政府は全力の取り組みを』」
… 11月15日付の NHK ニュースより。
中学1年生だった横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されてきょうで40年がたちました。記者会見した母親の早紀江さんは「元気な間に、意識があるうちに、『めぐみちゃん』と声をかけてあげたい」と話し、政府に全力の取り組みを求めました。
横田めぐみさんは、昭和52年11月15日、中学1年の時に、新潟市の学校から帰る途中、北朝鮮に拉致されました。
横田めぐみさんは、昭和52年11月15日、中学1年の時に、新潟市の学校から帰る途中、北朝鮮に拉致されました。
15日で40年がたつのに合わせて母親の早紀江さん(81)が記者会見し、会見には、14日、85歳の誕生日を迎えた父親の滋さんも同席しました。
この中で早紀江さんは、40年がたったことについて「近くの国にいるのに、どうしてこんなに長い間、助けてあげられないのだろうという思いが大きくなっています。『あしたは帰ってくるかもしれない』と思って頑張ってきましたが、姿さえ見えません」と語りました。
そのうえで「政府は一生懸命、知恵を練って頑張って下さっていると思いましたが、40年たっても何も分からない状況で、信じてよかったのかという思いが家族の中にもあります。本気になって被害者を助け出してほしい」と求めました。
そして、「こんなに長くかかれば体も弱ってきますので、元気な間に、意識があるうちに、『めぐみちゃん』と声をかけてあげたい。今、めぐみちゃんには『とにかく病気をしないで元気でいてください。お父さんお母さんは弱ってきていますが最後まで頑張るから』と伝えたい」と話しました。
◆ めぐみさんの両親 老いとの戦い
めぐみさんの救出活動に人生の半分近くをささげてきた両親。この間、2人が全国を回って続けてきた救出を訴える講演は1400回を超えます。帰国を信じて、転居のたびに娘の住民票を移してきた両親のもとには、先月の衆議院選挙でも、めぐみさんの名前が記された投票所の入場券が届きました。
しかし、めぐみさん不在の時間は15日で40年を数えました。父親の滋さんは14日で85歳。母親の早紀江さんも81歳になり、2人そろっての遠方での講演は去年3月を最後にできなくなっています。特に、これまで活動の先頭に立ってきた滋さんは、足腰が衰え、立ったり歩いたりする時に支えが必要になりました。会話にも詰まるようになり、今は週に数回、デイサービスに通っています。
「今が体力的にいちばんしんどいです。拉致という重い問題を背負いながら、お父さんが弱ってくるとその分もやらないといけない。限界があるなと感じています」。気丈に振る舞ってきた早紀江さんの口からも、こうした言葉が出るようになってきました。
国内外の政治情勢のはざまで長い間ほんろうされ続けてきた両親。緊迫化する北朝鮮情勢も気がかりな点です。
「被害者には元気でいてほしいので、安倍総理とトランプ大統領がなんとか戦争が起きないように考えていただき、ぎりぎりのところでよい知恵が与えられて解決に向かってほしい」。こう話した早紀江さん。9日、キリスト教の集まりに参加し娘の帰国を祈る姿がありました。
「もうすぐ解決するんじゃないかと祈りながら待ち望んでいます。もう涙は枯れ果ててしまい、いつも目薬をさしているような状態です。本当に喜びの大泣きをしたい、皆さんに喜んでいただきたいと思っていますので、どうかこれからもお祈りください」。
老いという現実に直面しながら、両親の闘いは41年目に入ります。
◆ 公開写真に込められた父の思い
満開の桜を背に立つ制服姿の少女の写真。風疹にかかり中学校の入学式に出られなかっためぐみさんを、後日、父親の滋さんが連れ出し、学校の校庭でポーズを取らせながら撮影したものです。そのおよそ半年後、警察の公開捜査に使われることになるとは思いもしていませんでした。
「立派に成長してくれたなあと感慨深くシャッターを切りました」。その後、全国で開かれることになっためぐみさんの写真展に滋さんが寄せたコメントです。
めぐみさんの同級生で、同じバドミントン部だった清水雅生さん(53)は、この時の様子を今でも覚えていました。「日曜日なのに校庭に制服を着た横田とお父さんがいて、横田にポーズをどうしろこうしろと言いながら楽しそうに撮っていました。横田は病み上がりで笑顔じゃないんですが、何も知らない異国の地へ連れて行かれたことがわかってから、あの写真を見ると、本当に悲しい気持ちになりました」。
清水さんは、こう振り返りつつ、長年、救出活動の最前線に立ってきためぐみさんの両親の体調を気遣いました。「40年という歳月は精神的にも肉体的にも限界を超えているんじゃないかと思います。あのとき写真を撮っていたお父さんの表情が忘れられないので、早く帰国が実現し、また同じように娘の姿を写真に収める日が来ることを願っています」。
拉致から40年がたち、それぞれの人生を歩んで来た同級生たちからも、めぐみさんの一刻も早い帰国を願う声が上がっています。
◆「ご家族の切迫感 政府も共有」
菅官房長官は、午後の記者会見で、「北朝鮮による拉致が発生してから長い年月が経っており、2002年に帰国した5人を除き、いまだに拉致被害者の皆さんの帰国が実現しないのは痛恨の極みだ。ご家族も高齢化して一刻の猶予もない状況で、解決を強く求めるご家族の切迫感というものを政府としても共有している」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「拉致問題を安倍内閣の最重要課題と位置づけ、安倍内閣で解決するという考え方にいささかも揺るぎはない。政府としては、引き続き北朝鮮に対しストックホルム合意の履行を求めつつ、1日も早いすべての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆる努力を傾注していきたい」と述べました。
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