2019-09-07

「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜




「日本スゴイ」のディストピア 戦時下自画自賛の系譜 (朝日文庫) 文庫 – 2019/3/7
早川タダノリ (著)

5つ星のうち4.4 21件のカスタマーレビュー

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商品の説明

内容紹介

1931年の満州事変後に、大洪水を起こした「日本スゴイ本」。
「魚を食うから強い」「腰が世界一強い」「服従は美徳である」「報酬を求めるのは日本固有の精神ではない」「日本は世界の中心である」……。
現代も氾濫する「日本スゴイ」言説。そのご先祖様とも言える、戦前戦中の書物から見えてくる世界とは。
日本って何がそんなに「スゴイ」の?

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目次:
第1章 「日本主義」大ブーム到来
・「日本スゴイ」ネタの原型
・日本主義は全人類の奉ずべき道徳精神である
・日本人の底力・粘り強さは米食からくる
・お墓マニアが語る日本精神
・満洲事変で「日本人」はどう変わったのか
・「天才帝国日本」の栄光と崩壊
など

第2章 「よい日本人」のディストピア
・「日本人に生まれてよかった」?
・学校教師を「ミニ天皇」化する「日本的学級経営」
・学校は児童を日本的に鍛える道場である
・日本の少国民は、世界でいちばん知能がよいのですよ
・修学旅行で「神国日本」を実感
・受験で試される愛国心
・勝つために今日も体力向上の実践をしよう
など

第3章 礼儀正しい日本人――国民礼法の時代
・用便は便所にすべきで、庭や路傍にすべきではない
・祝祭日には赤飯炊いて
・よい子の諸君! カツアゲと痴漢には気をつけよう
・自由主義を撲滅し、交通道徳を守りましょう
・弁当箱は左の手に持つ!
・朝礼は心を込めて
など

第4章 よく働く日本人――勤労哲学の教化と錬成
・「日本的勤労観」の暗黒
・金銭のために働くのは、金銭の奴隷にすぎないいやしい根性
・「お国のため」は「自分のため」
・神国日本の有給休暇
・勤労青少年の「不良」がスゴイ
など

第5章 神がかり日本に敗戦はない
・大東亜皇道楽園の出現
・大東亜戦争の神話的意義
・神の国には敗戦はない
・文部省の公式「日本スゴイ」本がヤバイ会社に酷似の件
など

内容(「BOOK」データベースより)

1931年の満州事変後に、大洪水を起こした「日本スゴイ本」。「魚を食うから強い」「腰が世界一強い」「世界の中心である」…現代も氾濫する「日本スゴイ」言説。そのご先祖様とも言える、戦前戦中の書物から見えてくる世界とは。日本って何がそんなに「スゴイ」の?

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登録情報

文庫: 280ページ
出版社: 朝日新聞出版 (2019/3/7)
言語: 日本語
ISBN-10: 4022619600
ISBN-13: 978-4022619600
発売日: 2019/3/7
商品パッケージの寸法: 14.8 x 10.5 x 2 cm
おすすめ度: 5つ星のうち 4.4 21件のカスタマーレビュー



21件中1 - 8件目のレビューを表示
トップレビュー

ミスター・ディグ

5つ星のうち5.0日本人は昔から何も変わっていない2019年3月8日
形式: 文庫Amazonで購入
2016年に出版された同名の単行本に加筆修正を加えた文庫版。実際読んだ限りでは、内容はほぼ変わっていないようだ。
著者はこの種の本は何冊も出しているが、こういったものをテーマに選ぶと、精神的に疲れるだろうな、と思う。このレビューを書いている筆者も、あまりの日本の異様ぶりに、うんざりさせられた程だから。
本のタイトルには「戦時下」とあるが、本書で取り上げている文献の中で一番古いのは1928年の物であり、満州事変前も対象にはなっている。
「日本精神、日本主義は、全人類が奉じるべき」「日本人は米を食べているから、底力があって粘り強い」「魚を食べているから、日本の兵隊は強い」「日本の少国民は、世界で一番知能が良い」など、目に留まった「日本スゴイ」の主張の一部を挙げてみたが、こういったものは、全て強いコンプレックスの裏返しに過ぎない。本当に凄い物ならば、周りが勝手に誉めてくれるだろうし、自分で自画自賛する必要などないから。それ以前に論理性皆無の主張ばかりだし。
1938年に来日したヒトラーユーゲント団員の、日本を誉めるリップサービスに、当時の日本人が狂喜乱舞したのも、日本人のコンプレックスの強さ・根深さを証明するものだろう。外国人(主に白人だが)に日本を誉めさせる手法は、現在でも当たり前のように行われている。
ただの自画自賛で止まっている内は良いのだが、こういった思想が他国・他民族への蔑視意識を育て、日本人を差別的・排他的な民族にしていったのだから、現代の日本人も警戒しなければいけない。
他にも、「報酬を求めるのは日本固有の精神ではありません」など、現代のブラック企業にも通じるような主張があったり、戦前の日本でも女子の性的被害が多かった(特に電車内での痴漢、イタズラ行為)など、現在の日本と何も変わっていないと思える事実に、目から鱗が落ちる。
本書で描かれる日本はまさに異様で、狂信的にしか見えない。その時代に生まれなくて良かったと、また、戦争に負けて良かったとつくづく思う。しかし、現在の日本は、その暗い時代にまた回帰しようとしているようだ。
面白い本だった。文庫版あとがきでは、次回作の予定も出ているので、そちらにも期待してみたい。

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ベスト1000レビュアー
5つ星のうち5.0いつの時代も日本人がやっていることは変わらないよな2018年9月7日
形式: 単行本Amazonで購入
現在のTV業界や出版界を席巻する「日本スゴイ」論のルーツをたどる!?
戦前戦中の刊行物に見る、「日本精神」をアピールし「愛国心」を強調する自画自賛プロパガンダの数々。
「歴史のゴミ箱に捨て置かれたようなクダラナイ本、知っていても役に立たない本、人類の運命にとってはどうでもいい本を厳選して収集した」
と著書は「はじめに」で謙遜気味に述べていらっしゃいますが、さにあらず、当時の雑誌記事などもふんだんに紹介されており、戦前戦中の日本人の国民性と社会の実態を知る上でのまことに貴重な資料集といってもよろしいのでは。

国民を挙げて自画自賛に走るのは世情の不安の裏返しなのか。論理性そっちのけで威勢のいい放言の事例を見るにつれ、いつの時代も日本人がやっていることは変わらないよな、というのが偽らない印象。歴史の帰結を念頭において眺めると愚かしい言動ばかりで、とても笑えません。
意外に思えたのは太平洋戦争中の早い時期から、
「戦争の勝敗は武器や物資の多少によって決せられるものでは無い。国民の精神力如何による事が頗る大である」
といった調子ですでに精神主義が強調されていたこと。逆説になるんですが、武器や物資の多少では戦争に勝てないということが最初から分かっていたのですね。

現代の「日本スゴイ」コンテンツとの大きな違いは「外国人の賞賛」が希薄な点。「外国人の賞賛」によって客観性と信頼性を担保にするという傾向は現代の日本人が戦前戦中に比較して自信を失っていることを反映しているのでしょうか。そんな中、巻末でわずかに紹介された「ヒトラーユーゲント」の来日が興味深く、「外国人の賞賛」による「日本スゴイ」の御先祖さまということでもっと大きく採り上げてもよかったような。

実体を伴わないから、どんどん壮大になってしまう「日本スゴイ」のアピール。
「日本人はお互になんとか、もう少し立派にならないでせうか」
という昭和十五年の少年団員の証言が当時も現在も変わらぬ日本の実情をこの上なく痛烈にえぐり出しているのであります。

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Amazon Customer

5つ星のうち5.0公平な歴史認識が重要だと教えてくれる良書2019年8月16日
形式: 文庫Amazonで購入
 一見ふざけているようなタイトルと表紙イラストと文体ですが,内容は極めてまじめなものです。
 最近の右寄り政治家,ネトウヨ,政権提灯持ちマスコミの共通点である「日本のみが正しく,他の国はすべてオカシイ」という脊髄反射的な歴史認識のよってきたるところを,大正から太平洋戦争までの出版資料の具体的な分析で追求していきます。資料からの引用が豊富で,感情的な押しつけではないところが好感を持てます。
 現在は有名高名と言われる論客たちが韓国・中国をはじめとして外国と日本との間の史実をあからさまに曲げることで人気を博しており,その未熟な垂れ流しの意見をモロに信じ込んで周りに得意げに再発信する人々が目立ちます。
 しばらく反射的思考はやめて,いろいろな情報を自身の中に取り入れ,どの国にもそれぞれに落ち度があるのだという当然のことを思考の基盤に置きたいと思わせる良書です。
 決して日本をけなすことが目的の書ではありません。
 

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Amazon カスタマー

ベスト500レビュアー
5つ星のうち4.0今も昔も変わらぬ日本人の「弱点」を暴露した1冊2017年8月9日
形式: 単行本
非常に貴重な文献が多く、その意味だけでも推薦に値する。
そして何より、今も昔も変わらぬ日本人の「弱点」(あえて「欠点」とは言わない)が、これらのプロパガンダから滲み出てくるのが興味深い。

本書と直接関係の無い話を挿入して恐縮ではあるが、以前ハノイに行った時、現地のガイドさんに聴いた話を思い出す。彼は日本での留学経験があったのだが、私がハノイの交通ルールのあまりのムチャクチャ加減を苦笑交じりに指摘したところ、彼は「日本に初めて行った時、皆がキチンと交通信号を守って整然と通行するのには驚いた」と語る。そして、「でももっと驚いた事があるんですよ。日本人はほとんどの人が、信号が青に変わったら一目散に渡るんですよね。本当に車が来ていないか、自分で確かめもしないで。日本のドライバーのマナーは良いのかもしれませんが、危ないと思わないんですかね~(笑)」。痛いところを突かれたなー、と私も「そうですよね」と苦笑するしか無かった。

整然とルールを遵守して行動はするが、誰かが「青信号です!」と言えば、本当に安全かどうか自分で確かめる事もしないで、その通りにやってしまう。
本書に載っている、最早シュールですらあり、吹き出してしまうような荒唐無稽のプロパガンダを、戦時中は皆が大真面目で「信奉」し「実践」していたのだ、と考えると、ハノイのガイド氏の鋭い指摘は、まさに「熱しやすく冷めやすい」「極端に振れやすい」「皆で渡れば怖くないと考えがち」等々の日本人の弱点を
明らかにしていると言えそうだ。

昨今、巷に溢れる「日本バンザイ」系のテレビ番組や書籍。その多くが「外国人に褒めさせる」とか「外国との比較」という形態をとっているのを見ると、「外国に褒めてもらうというスタイルで箔をつけようなんて、どこまで日本に自信が無いのか」と一種の哀しささえ覚える。はたまた、近隣諸国をこき下ろして悦に入っている本、キチンとした検証も無しに「日本は夢のような楽園」だと強弁する呆れた本(「住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち」あたりが代表格)の山。自分の思想信条に合わない、気に喰わない報道をひたすら「偏向」と決めつけ、その一方で、国家権力がメディアに圧力をかける事は、「偏向」メディアへの「矯正」であるから全く問題ないという困った人たち。自分の主義主張に逆らう人々を「売国」だ「反日」だと決めつけ罵倒する、自称「愛国者」の人たち。「醒めた眼で自分を見つめ」「自分と異なる意見にも耳を傾ける」懐の深さを持たない人が増殖気味なのには、危うさを感じる。

「1つの方向への無批判な熱狂」「その熱狂に従わない者を徹底的に排除しようとする動き」が、日本人の「弱点」であり、それに歯止めが利かなくなる事が70年前の日本にどんな悲劇をもたらしたのか、本書から学べる事は多い筈だ。これは「ウヨク」がどうした「パヨク」がどうしたとか言う事柄に矮小化するような問題では無い。自分たちの「弱点」を自覚し、同じ失敗を繰り返さないための問題提起の書と言える。著者による解説の「お気軽感」が個人的には気になり、★4つに減点したが、内容的には★5つ献上して良い興味深い1冊。

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P- Travelers

5つ星のうち5.0皇国臣民より非国民として生きたい。第二の敗戦は確実に来る2018年7月24日
形式: 単行本Amazonで購入
戦前の日本が、いかに狂気に満ちたカルト大日本病だったかがよくわかるだけでなく、奴隷製造マシンの教書のようなものであり、日本人に生まれたことに嫌気がさし、激しく恨みたくなるような内容だ。

ただ日本は生まれて良かったという部分はある。それは食べ物が美味しいこと、娯楽が多いこと、平和憲法のあることだ。

「八紘一宇」などという言葉は、「日本国民を天皇の名の元に皇国臣民という、使い捨ての奴隷化すること」だが、全世界を日本の元に統一し、全世界の人々を皇国臣民にするという狂気、そんな腐りきった馬鹿げた考えが通用するはずも無く、日本が敗戦し戦前の体制が崩壊するのは必然だったのだ。

この本の内容は、過去の狂気に取り憑かれた時代のことだが、昨今の情勢を見て再びこの本のような時代が来るのでは?と、心配する声もあるようだが、心配無用。この本の内容のようなカルト狂気は、自滅崩壊していくのが必然だからだ。

更に本書を読むにつれ私が強く確信したことは、【第二の敗戦は確実にやってくる!】それも、2020年代前半くらいまでに、ということである。

理由は日本の歴史は70〜80年周期で動いており、約40年で上昇・成長、40年で下降・没落を繰り返し、どん底のカタストロフィの後政権機構がリセットされ、再度上昇、発展していく流れだ。

もう一つは、本書で述べられていたが、昨今の気持ち悪い「日本すごい番組や本、自国賛美」の流れが、2010年代のちょうど80年前の1930年代に起きていたことである。日本人は世界一だの八紘一宇だのが流行ったのは、見事に当時の再現だ。

第二の敗戦といっても戦争で焼け野原になるわけでなく、何らかの政変、デフォルトやハイパーインフレなどの経済敗戦等が考えられ、以後は現在の右翼化の流れが全否定されることが予想される。だから私は日本がどう動こうが、希望を持って生きていきたい。

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abeshine

5つ星のうち5.0こんな時代だからこそ読むべき!2019年3月18日
形式: 文庫
「日本すごい」のプロパガンダが蔓延る現代社会に違和感を感じていましたが、過去にも同じ様な時代があったんですね。
よく歴史は繰り返すと言いますが、この「日本すごい」ファシズムの行く末とは...?著者の続編にも期待

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つくしん坊

ベスト1000レビュアー
5つ星のうち5.0
TVで増えている「日本、スゴイデスネ」式番組の内容は、戦前のプロパガンダと瓜二つである2016年12月27日
形式: 単行本
著者は1974年生まれの編集者で、『神国日本のトンデモ決戦生活-広告チラシや雑誌は戦争にどれだけ奉仕したか』(合同出版)や『「愛国」の技法-神国日本の愛のかたち』(青弓社)など、戦前のプロパガンダ資料を蒐集し、刊行している。本書は、第二次安倍政権以降、TVで増えている「日本、スゴイデスネ」式番組の内容が、戦前の「日本スゴイ」プロパガンダと瓜二つであることを多くの貴重な資料で実証したものである。戦前の「日本スゴイ」プロパガンダは、論理性ゼロで「日本精神」や「日本人」のスゴさを喧伝しているが、現在の視点から見ると愚かさを越えて、惨めさを感じさせるものである。

本書のタイトルになっている「ディストピア」は「ユートピア」の反対語であるが、本書では特に定義は示されていない。評者は、本書の趣旨を踏まえて、「ディストピア」を、「抑圧的・全体主義的な統制社会を強制する(あるいは、自発的に受け入れさせる)、倒錯的・マゾ的社会」と定義したい。このような定義により、「ディストピア」は戦前の日本を特徴付けるだけでなく、昨今の日本にもその兆しを見て取ることが可能になる。

本書によれば、「日本スゴイ」なる「愛国本」が急増したのは、満洲事変(1931年)や国際連盟脱退(1933年)以降だという。日本が国際的に孤立し、しかも侵略戦争を遂行するという状況の中で、官民挙げての「愛国心鼓舞」がこの急増の背景にあることは間違いない。本書で取り上げているのは、「日本主義」宣伝本(第1章)、「よい日本人」を訓導するための説教じみた本(第2章)、「礼儀正しい日本人」を宣伝し、あるいは訓導するための本(第3章)、「よく働く日本人」を賞揚し訓導する本、敗戦間近の「神がかり」日本を絶望的に賞揚する本(第4章)、等々であり、コレクションの多種多様さに脱帽、である。

本書でも指摘しているように、これらの「日本スゴイ」本の数々は、近年、歴史修正主義者(極右論者)たちが好んで出版している最近の「日本スゴイ・日本人スゴイ」本や、「日本、スゴイデスネ」式テレビ番組の元ネタそのものである。約80年を経て、「歴史は繰り返している」のである。

東京新聞「こちら特報部」(2016年12月23日)が、近年の「日本スゴイ」ブームを、本書の趣旨と関連付けながら分析している。かつての世界第2位の「経済大国」は遠い昔の話となり、いまや1人当りGDPでは日本は20位という惨状である(2015年)。また、報道自由度ランキング、教育費への国家支出ランキングなどいずれも先進国の最下位レベルを低迷し、経済格差の拡大も著しい。上記東京新聞は、「日本スゴイ」ブームは、近年の日本人の自信のなさの裏返しであり、外国人に褒めてもらう(もちろんテレビ局のヤラセ)ことで辛うじて自信のなさを補って(誤魔化して)いる、と分析している。なんとも情けない話である。また、極右派による嫌中嫌韓ブームの煽りも「日本スゴイ」と表裏一体の関係にあるとしている。国力の低下や近隣諸国との関係悪化に対して根本的な政策を打ち出すことなく、弥縫的・思い付き的な政治経済外交政策を続ける現政権に対して、批判するどころか追従記事・番組ばかりのメディアや、古めかしい「日本スゴイ」本で「愛国心」を賞揚している極右論者たちは、再び日本を「ディストピア」化するのに加担している、としか思えない。本書はこのような「ディストピア」化する日本に対して、冷静な評価をするのに有効である。

なお、2020年東京オリンピックこそが、「日本スゴイ」を喧伝する究極の官製一大プロパガンダであることに十分注意が必要である。2020年が近づくにつれて、日本の「ディストピア」化が著しく進む恐れが十分にある。このような事態に対して、本書の視点が役立ちそうである。

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ニャンコロベーの継母

5つ星のうち5.0この視点が面白い!2017年2月15日
形式: 単行本Amazonで購入
戦時下にあった日本人の群像みたいなこのが見えてくる一冊、いつの世もマスメディアは注視してなきゃ!

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おっちゃん

5つ星のうち5.0面白うてやがて恐ろし2016年7月23日
形式: 単行本Amazonで購入
本書は電車の中では絶対読まないことをおすすめする。なぜなら戦時下の「日本スゴイ」本のあまりのトンデモぶりに捧腹絶倒してしまうから。
例えば、中山忠直「日本人の偉さの研究」(昭和8年)では、「日本人ほど腰の強い民族はありえぬ」←「日本人は米を食っている」←「糊になるのは日本米だけ」というナゾの論理展開で日本スゴイ!となるのだ。同様のトンデモ本が戦時下では席巻していたのだ。
これだけの文献をリサーチした著者に脱帽するが、しかし、著者の意図はここにある。現代の日本でも同じようなことが起きていませんか?と。テレビにあふれる「日本スゴイ」番組とどこか似てませんか?と。面白うてやがて恐ろし…。

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清高

5つ星のうち5.0保守の好きな 言論 昔の 焼き直し2018年1月16日
形式: 単行本
1.内容
「はじめに」にも書いてあるが、昨今は「『日本スゴイ』本」(p13)が隆盛を極めている(レビュアーの印象)。加えて「嫌韓・嫌中の罵詈雑言とワンセット」(同)というのもレビュアーの印象の限りでも正しい。しかし、これらの言説は、第2次世界大戦前後の文献にも書かれているものである。本書は5章に分け、第2次世界大戦前後の「『日本スゴイ』」(p13)言説を紹介したものである。

2.評価
まずは章の初めの著者のコメントなど、引用文以外を読むのもアリだろう。引用文も読めば、現在の保守を自称する人たちが好きな言論がたくさん載っていることがわかる(昔の焼き直しだ、ということ)。そして、それが自由を抑圧する方向に使われた歴史も学べて良かった。以上、の通りであるから星5つとする。

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