2018-01-11
ハーバードでいちばん人気の国・日本
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ハーバー
ドでいちばん人気の国・日本 (PHP新書) (日本語) Paperback Shinsho – January 16, 2016
by 佐藤 智恵 (著)
3.8 out of 5 stars 55 customer reviews
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Product description
内容紹介
日本の誇りである「新幹線お掃除劇場」からトヨタのすごさ、世界最古の先物市場・堂島米市場、そして福島第二原発を救った「チーム増田」まで、日本人が想像できないほど、ハーバード大学をいま「日本」が席巻している!
世界最高峰の学び舎がハーバード大学であることに、異論のある人はいないだろう。だが、そのハーバードでいちばん人気のある国が日本、といわれて信じられるだろうか? その証拠に、ハーバードの学生が毎年主宰する日本ツアー「ジャパントレック」は、100人の定員が数分で埋まってしまうという!
新興国の成長などに比べて目立たない印象もある日本になぜ、ハーバードは学ぶのか? 本書では、自らもコロンビア大学でMBA(経営学修士)を取得した著者が、ハーバード大学経営大学院の教授20人を直撃取材、その秘密を徹底的に聞き出した。
世界が絶賛した奇跡のマネジメントから「東洋の奇跡」の解明、じつはすごい日本人リーダーまで、彼らの語る「日本の強み」は私たち自身に誇りと自信を与えてくれるだろう。同時にそれはこれから日本が「課題先進国」として、世界でどんな役割を果たしていくべきか、というヒントにもなるはずだ。
〈内容例〉
参加者に強烈な印象を残す広島での経験/数よりも質で勝負する日本の事例/いまや世界標準は日本の「現場型」リーダーシップだ/オペレーションの教科書として君臨するトヨタ/アメリカより120年前に先物市場をつくった日本/18世紀、日本人の知的水準は圧倒的に高かった/岩崎弥太郎は起業家のロールモデル/日本の官僚の高い倫理観が腐敗を防いだ/六本木ヒルズの最上階に美術館がある理由/「日本が特殊だから」は乱暴な言い訳だ/ANAの国際線進出を遅らせた「45・47体制」/「昭和天皇こそがモラルリーダーでした」/危機を救った増田所長の「センスメーキング」/計り知れないほど尊い日本人の「無私の精神」/高齢化社会は千載一遇のチャンスだ/世界はもっと日本のことを知りたがっている ……ほか
内容(「BOOK」データベースより)
世界最高峰の学び舎がハーバード大学であることに、異論のある人はいないはず。しかし、そのハーバードでいちばん人気のある国が日本と聞いて、にわかに信じられるだろうか。本書では自らもMBAホルダーである著者が、ハーバード大学経営大学院の教授陣を直撃取材。その肉声から「ハーバードはなぜ日本に学ぶのか」の核心を描いたものである。企業の卓越した戦略、日本史の教訓、じつはすごい日本人のリーダーシップまで、彼らが語る「日本の強み」は私たち自身に驚きと誇りを与えてくれるだろう。同時にそれは、日本がこれから世界をどうリードするかを考えるヒントにもなるはずだ。See all Product description
Product details
新書: 251 pages
Publisher: PHP研究所 (January 16, 2016)
Language: 日本語
ISBN-10: 4569827276
ISBN-13: 978-4569827278
Release Date: January 16, 2016
: 6.8 x 4.2 x 0.6 inches
Average Customer Review: 3.8 out of 5 stars 55 customer reviews
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3.8 out of 5 stars
55
3.8 out of 5 stars
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4 star 18%
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2 star 7%
1 star 6%
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Zubeneschamali
5.0 out of 5 stars凡庸な日本の知性で「ハーバード本」を論評する その1November 29, 2017
Format: 新書|Verified Purchase
詳しい目次、その末尾に記載された特記事項によって著者の思いや誠実さが伝わってきた。
よく考慮された構成で色々と考えさせられる力作である。
以下のような視点で本書を読んだ。
①私の中の本書の位置づけ。
②ハーバードは日本の何を学び日本はハーバードから何を学ぶか。
③なぜ今日本か。
④日本の教材として他にどんなものが考えられるか。
①親が戦中派であったためか、二十代の前半までは、日本の駄目さ加減の本を多く読んだ気がする。リーダーシップの欠如、リーダーの登用方法、硬直化した組織、官僚制の弊害、情報の軽視、等々である。
もちろん『ジャパンアズナンバーワン』やソニー、松下、本田の成功物語は知っている。著作も何冊かは読んでいる。
しかし、敗戦の影を多少は知っていたので、心の中では敗戦の教訓、なぜあのような戦い方をし、あのように負けたのかということの方が大きな比重を占めていた。
その意味で本書のような登場は、バランスをとるためによいことだと思う。ただし本書から日本評価を理解し始めた若者には、前記の「太平洋戦争における日本の敗因」を扱ったような本も合わせて読まれることをお勧めする。
②本書の第1章(オペレーション)で扱われている日本の事例は、そう珍しいことではない。テッセイやトヨタの取り組みを知っていたこともあるので、「この位のことで感心するハーバードの知性もたいしたことはないな」と突っ込みを入れたくなった。日本の現場力は充実している。様々な分野のリーダーたちは今もどこかの現場で知恵を出し合って頑張っているに違いない。
著者は「階級社会が色濃く残る欧米」とさらっと書いている。私は「職業に貴賎はない」と育ったので清掃業務の経験がある。便器に手を突っ込むなど日常茶飯であった。今も忘れられない感動的な場面がある。ある日小便器の汚れについての議論が白熱した。同僚がポックリ(小便器の下にある丸いもの)を手にとり目線にかざして、この部分に汚れが付きやすいから、この用具でこういうふうにこの順番でやるのがよいと力説する。私も同僚数人も真剣だから汚いという意識はほとんどない。みんなでポックリを見つめ熟考していた。
知的な関心も高かった(学歴とはかぎらない)。控え室で馬鹿話もするが「現代宇宙論」が話題になったときがある。職場の休憩時間に「ひも理論」の話をしたのは初めてである。
第2章は(歴史)である。日本のどのような題材を取り上げているかという関心から、どのような切口で事例を扱い、講義の視点はどこにあるのかということに関心が移っていった。本章では、世界初の先物市場として堂島米会所が取り上げられている。この仕組み自体、頭を使わないと理解できないのだが、さらに興味深いのは、徳川吉宗の視点から議論されるという。さすがは世界のリーダーを養成するハーバードと言いたい所だが、本書を理解できるごく普通の日本人でも、もし仮に日本語で講義を受けることができたとしたら充分に参加できるのではないかと感じた。慎み深い日本人が単位を取れるかは別として。
第3章は(政治・経済)で、第4章は(戦略・マーケティング)である。
事例の中で最も興味深かったのは、第5章(リーダーシップ)の「福島第二原発」の事例である。リーダーもさることながら、チームの行動に関心があった。日本人としての特性が表れているからである。あのときは臆病な私も覚悟を決めた。万が一原発が大爆発して死の灰が降ってこようがしかたがないと。肝が据わるとパニックにはならない。だから真実を知りたいと思ったものだ。
授業の視点で目を引いたのは、同じく第5章の「トルーマンの決断」を扱ったものである。以下に三項目を引用する。
1、ジョン・スチュアート・ミルとイマヌエル・カントは道徳的な視点からトルーマンの行為についてどのように評価するか。
2、両者の主張の類似点と相違点は何か。
3、トルーマンは原爆投下を決断するまでの過程で、人道的なリーダーシップを発揮したか。(p.196)
ハーバードでは、こうした20ページ程度にまとまられた事例を年間250本学ぶ(序章)。2年間で500本、休みを考慮すれば約1日1本の割合である。授業は討論形式で、上の事例からもかなり濃密なものであることがわかる。事例は教員がまとめ、事例が今使われているか否かが気になる所であるらしい。
年間250本もの事例を学び、しかもリーダーとしての視点から討論するのだから、相当数の「判断を迫られる場面」や「判断のための材料」が頭に蓄積される。しかも蓄積された材料は、決断の際有効に働くよう頭の回路が強化されているものと想像される。
こうしたことを想像して「さすがハーバード」ということが納得できた。ハーバードの教育方法は教員にとっても学生にとってもとてもシステマチック(組織的体系的で系統立っている)であると感じた。
こうした訓練は、変化の激しい現代社会において戦略的勝利に導くためにはとても有効であると思われる。米国の土俵に乗ったら、お人好しの日本人リーダーはとても太刀打ちできそうもない。
では、ハーバード式の教育方法の欠点はないだろうか。2年間に500本もの事例を学び休息の間もなく常に脳が活性化しているとしたら、この状態は、ヒトの自然な脳の状態ではないような気がする。依存症のような常に刺激と興奮を求めるような脳に変質してしまう危険性はないだろうか。ハーバードで学ぶも学業半ばで精神を病んでしもう者はいないのだろうかと考えた。もっとも素人の勝手な妄想なので杞憂かもしれない。だとしたら、ハーバード教育の欠点は現時点では見つからないが、。
どんな分野でも経営的な能力を活かせる場はあるだろうし、引き出しを沢山持っているというのは強みである。
③④本書の終章は、(日本人が気づかない「日本の強み」を自覚せよ)として、以下のような項目をその指摘者とともに紹介している。「インフラストラクチャー(都市構造の基盤施設)の技術」「イノベーション(技術革新)」「人的資本①高い教育水準②分析的な特性③美意識・美的センス④人を大切にするマインドと改善の精神⑤環境意識と自然観⑥社会意識」
明治の初期、日本人は欧米国家が旺盛な理由を個々人の精神(心意気、心がけ)に見い出し、その多くは書物を通して知ることになる。その書物とは福沢諭吉の『学問のすすめ』(明治5年)であり、中村正直訳『西国立志編』(明治4年)であった。中村正直は神童と呼ばれた儒者で、蘭学や英学も同時に修め、暗殺の危機にもめげずに英国に留学している。英語を修めた儒者が訳したこの本が出版されたことは、日本にとって幸せなことであった。
この両著は、新時代の若者に「知と徳」の大切さを教え、どの分野であっても努力と克己によって活躍できることを示したからである。
原題は、サミュエル・スマイルズの『SELF HELP』である。この本は今でも欧米で読まれているのだろうか。或いは『フランクリン自伝』はどうであろうか。
日本では、福沢の『福翁自伝』、本書でも紹介されている渋沢栄一の『論語と算盤』、勝海舟の『氷川清話』(野球の大谷選手も読んでいる?とラジオで漏れ聞いた)などが今でも読まれている。
これは素晴らしいことだ。ご先祖様の生き様や価値観と現代人が対話できるのだから。
ハーバード教育のシステムに欠点があるとしたらこれだ。新しさを求めるあまり或いは時代の変化に即応しようとするあまりに過去の偉人とゆっくり対話をする時間がないことだ(私の事実誤認かもしれないが)。
上記の「日本の強み」に私が付け足すとしたら①日本語②漢字の使用③出版文化④好奇心(チバニアンにもう人々が訪れていることをラジオの中継で知った)である。
以下、ハーバードで教材化してみたら面白いと思う(勝手な好みと夢想で実際にその人物が教材化されているどうかは知らない)人物を列記する。
・シャクルトン(英国の探検家だが、とにかくリーダーとしても人間としても興味深い人物である。書籍、映像色々あり)
・白瀬中尉(南極探検家、以前『極』を読んだ。白瀬中尉の偉業を映像でも見た記憶がある)
・大黒屋光太夫(江戸時代の難破船の船長、エカテリーナ2世に謁見して帰国、小説、本人からの聞き取り、映画等、普通の日本人が偶然の危機からその卓越した能力(総合的な人間力)を発揮し歴史に名を残した貴重な例)
・内村鑑三の『代表的日本人(Representative men of Japan)』で取り上げられた人物「西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮聖人」
・田代栄介、井上伝蔵(秩父事件のリーダー格)
・田中正造(足尾銅山鉱毒事件)
・榎本武揚(幕臣、明治政府の高官、リーダーとしても個人としても様々な局面で決断を迫られ自身の能力を発揮した)
・南方熊楠(世界的な粘菌学者、神社合祀反対運動を進めたその理由、先進性に感心していた)
・安藤昌益(江戸時代のエコロジスト?書籍で読んでほとんど忘れてしまったが共感したことを覚えている)
・戦国時代の庶民(山本七平?の諸作品で読んだのか、キリシタンにならなかったその理由がすごい。邪教で地獄に堕ちるなら、ご先祖様に会えなくなるので私も地獄でよい等。)
・妙好人(江戸、明治時代からつづく篤信者、生活者としての庶民の深い知恵、日本的な知恵が凝縮されている)
本書では「日本の弱み」はそれ程紹介されていないので、次の二点を指摘しておく。(確か司馬遼太郎?の言葉であったと思う)
・日本は大戦略にはむいていない。
・欧米に学ぶべきことは記録を大切にするということ。
この意味するところを改めて考えさせられた。
本書は、日本の未来を考える上で又日本社会のよさを見直す上でも、様々な角度からのヒントが詰まったお薦めの一冊である。
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Hiroshi
4.0 out of 5 stars「7分間の奇跡」のテッセイの事例が詳しく掲載されているOctober 2, 2016
Format: 新書|Verified Purchase
「7分間の奇跡」「新幹線お掃除劇場」で有名なテッセイの事例を
詳しく知りたいと思い、アマゾンで関連本を検索。
その結果、本著を発見した。
テッセイについての記載内容は16ページほどだったが、
経営学の視点から記載されているため、大変参考になった。
■本文引用
当初、従業員の間では「自分たちはしょせん清掃スタッフ」という
意識が蔓延していた。そこに対して、「皆さんはお掃除のおじちゃん、
おばちゃんじゃない。世界最高の技術を誇るJR東日本の新幹線の
メンテナンスを、清掃という面から支えている技術者なんだ」としつこく伝達した。
その結果、現場が自信と誇りを持ち、自ら考え、
どんどん改善提案が出てくるようになった。
■学び
本節を読み、改めて(1)社員に誇りを持ってもらう事、(2)現場に裁量を与え、
任せる事、の重要性に気づかされた。
本著とは無関係だが、星野リゾートの星野氏は、「任せれば、人は自分で考え、
動き出す」「ホテルの従業員1人1人が主役」の考えのもと、現場の従業員に
多くの裁量を与え、モチベーションの高い社員集団を作る事に成功している。
テッセイの事例は、星野リゾートの経営手法と非常に似通っており、成果を出す
ための原理原則なのだ確信を持った。
一方、私が所属する事業部では、(1)社員に誇りを持ってもらう、(2)現場に裁量を与え、
任せる、という2つは、未だ未だ十分できていない。
今後、(1)は本部からの発信方法の見直しによって改善を進め、(2)はある特定分野から
現場に裁量を与え、実際に成果につながるか、効果を検証していきたい。
以上
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Edgeworth-Kuiper-Belt
4.0 out of 5 stars「いちばん人気」というのは盛りすぎだが、現代の日本人にとっても教訓になることは書かれているFebruary 15, 2016
Format: 新書
ハーバードのMBAで取り上げられている数々のケーススタディの中から日本に関連するものを取り上げて紹介した本。それらの例を扱っているハーバード大学経営大学院の教授たちの声も掲載されている。
わずか7分の間にチームを組んで新幹線のお掃除劇を行う『ティセイ』。マニュアル通りやるだけでは事故は無くならない。リーダーが現場に行って従業員の不満や提案を経営につなげる。このような現場に溶け込む「現場型のリーダーシップ」は、アメリカの『ザッポス・ドットコム』にも見られ、現在注目されているのだという。
『トヨタ』の「5回のなぜ」「カイゼン」「成功よりも失敗を先に報告する」文化。世界に先駆けて江戸時代に実現された堂島の米の先物取引市場は、「あなたが徳川吉宗だったら、堂島米市場を公的に認可しますか?」という論点で取り上げられている。ハーバードは世界の政治リーダーを生む場所でもあるからだ。『ホンダ』のアメリカにおける「スーパーカブ」のヒットは、論理的な戦略がなくヒトもカネも不足する中で生まれたもので、「意図的戦略」ではないボトムアップ型の「創発的戦略」の例とされる。明治の社会制度や政府を利用してビジネスチャンスを広げた岩崎弥太郎の例は、「変化はチャンスだ」「変化を自ら起こすリーダーたれ」という教材になる。一方、渋沢栄一は個人の利益よりも公益性を追求した合本主義の例として、岩崎と対比される。
日本の高度経済成長は、その後、韓国、台湾、中国がこれに続いて「東洋の奇跡」として成功をおさめたことで、研究の価値のある教材になっている。官僚の役割をたたえる教授もいれば、『SONY』や『HONDA』が官僚たちの振り回す規制の前で苦労したことを知っている教授もいる。日本の失われた20年の経済政策、アベノミクス、成熟期に入った日本が少子高齢化で先陣を走っている例も世界にとって学ぶべき例を含んでいる。本当なら一番高い賃料がとれる最上階に美術館を置いている『六本木ヒルズ』は、プラットフォームを貫くビジョンと美に対するこだわりを持っている。
一方で、他山の石とされている例もある。『グリー』のマルチサイドプラットフォームビジネスは、これが儲かると気づいたグーグルとアップルに阻まれる結果となった。『ワールド』も画期的なサプライチェーンを持ちながら、内向き志向過ぎて、海外進出に慎重になり、結果として店舗閉鎖と人員削減に追い込まれている。『ANA』も世界進出が遅れた。ちなみに、『ANA』の例とともに、『JAL』の例も教えられている。複雑な事情が絡まって無駄の多い公的な色彩の企業は、経営再建時にその無駄をそぎ落とすだけで利益が出るという傾向に当てはまる具体例らしい。
欧米や中国ではビジネスのためと割り切って進められることが多い社内英語公用化だが、その中でも『楽天』のケースは、英語圏と非英語圏の学生同士が互いを理解しあう教材として適したものになっている。日本人は英語化に過剰反応するが、それは実は他の非英語圏においても内在することであり、そこが英語化のメリットとデメリットを論じるモデルとして向いている理由らしい。
トルーマンの原爆投下の是非は、正戦論の教材になっている。ハーバードの卒業生にはその後政治家になる人もいる。日本人の主張も取り上げ、向き合い議論しなければならない教材なのである。
東日本大震災では、福島第一原発だけでなく、福島第二原発も大変な危機に見舞われていた。メルトダウンを救った増田尚宏所長のリーダーシップは、単にたたえるためでなく、「センスメーキング」を教える例として利用されている。「増田さんのように直感的にリーダーとして正しい行動をとれる人はよいですが、普通の人はやはり学ばないと間違った行動をしてしまうものです。混沌とした状況ではとくにそうです。そのために私たちはリーダーシップを教えている、といっても過言ではありません」(グラディ教授)だという。
学生たちの訪問先として日本が人気だというようなことも書かれているし、教授たちが日本や日本人をほめる言葉も紹介されている。ただ、本書を読みながら、遠く離れた東洋の国の例を調べ上げ、教材として徹底的に利用しようとするハーバード大学の研究熱心さに舌を巻いた。ハーバード大学で教えられているのは日本ばかりではない。時代によって教材も入れ替わる。日本人がうれしくなってしまうような少々おおげさなタイトルがついていて、美句麗句も散見されるが、日本の内向き志向や情報発信が足りない点といった問題提起もなされている。一段深く読むと、よいことだけでなく日本人が教訓とすべきことも見えてくる本であるように思う。
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KIsPER
3.0 out of 5 stars数千とあるハーバードのケース教材の中にある一部の日本企業ケースの紹介本みたい。March 7, 2016
Format: 新書
「ハーバードの学生の間では日本が人気で、日本について活発に議論されているのか!!」というイメージを書名からは思い浮かべますが、実際に本書に記載されているのは、ハーバードビジネススクールのケース教材に採用されている一部の日本企業の成功事例です。
現役のハーバード生の意見はほとんどなく、代わりに用いられるのは日本を対象に研究している教授達のインタビューです。無論、日本を研究する教員にインタビューをしているのですから、日本について詳しいのは当たり前なのです。それらを引用して「ハーバードでいちばん人気の国」と言ってしまうのは錯誤ではないでしょうか。
日系企業の経営方式や、日本の慣習・文化がいかにハーバードの学生に影響を与え、いかにアウトプットされているか。こういう事を知ろうと期待して購入すると後悔すると思います。
昨今、「日本は実はスゴイんだぜ、世界の中でもトップなんだぜ」という論調の書籍やテレビ番組が多くなってきていますが、こういうトレンドは日本のガラパゴス化を助長する一因となりそうで危惧しております。
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Bitter and Sweet
TOP 1000 REVIEWER
3.0 out of 5 stars受け売りで物足りないFebruary 3, 2017
Format: 新書
結局、内容はケーススタディの受け売りです。
日本がスゴイという主張や材料を客観的にとらえ、著者が独自に考察した部分が極めて少ないのが残念です。
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Amazon Customer
1.0 out of 5 stars中身が薄いJanuary 24, 2016
Format: 新書
中身がない。そして、無理やりハーバードが日本を好きだというロジックにつなげる。誠実さがない。
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