2020-01-10

1905 高井弘之 : 「徴用工問題は解決済み」は本当か

1905 高井弘之 : 強制「徴用」被害者遺族「記者会見」報告

投稿者 : 高井弘之
【強制「徴用」被害者遺族「記者会見」報告】

◆私たち「平澤―愛媛市民交流会」は、韓国・平澤市から、強制「徴用」被害者遺族の方お二人を招いて、「記者会見」(5月30日)と「証言会」(6月1日)を行った。

とりわけ、「記者会見」の方の設定には、私の中に、小さくはない不安もあった。それは、設定して、仮に、ニュース性はあるからと報道各社―記者が来ても、この問題に対するいまの日本の報道状況を考えると、そこで、遺族の方々に失礼な、あるいは、傷つけるような質問が発せられる可能性もあるのではないかということだった。


◆しかし、これは杞憂だった。「会見」には、NHK松山放送局や、毎日新聞・愛媛新聞の記者らが参加したが、みんな、遺族の方らの話に熱心に耳を傾けてくれた。

その後の「質疑応答」では、とりわけ、NHKの二人の記者は、遺族の方らが、慣れないそのような場所では語れていなかった大事な内容・問題を、「申し訳ないのですが」という姿勢を維持したまま、質問して聞き出そうとした。

◆お二人は、それに応じる形で、強制徴用された父親への思いや、解放―帰国後の父親の状況などについて語り続けた。広島三菱重工に強制動員され、強制労働を強いられ、さらに被曝したお二人の父親は、帰国後も後遺症にさいなまれ、なかなか、普通に働くことができなかった。

二人のうちのお一人であるパク サンボクさんの父親は30代のころにすでに杖をついていたといい、イ キュメさんの父親は、自分が働けなくて子どもをきちんと育てられなかったと自分を責め、子どもであるキュメさんに、何度も謝り続けていたという。

◆1時間弱を予定していた会見は、2時間を超えたが、誰も帰らなかった。30年余り、愛媛の地で、さまざまな運動に携わり、数え切れない「記者会見」を設定し、参加してきたが、このような「会見」は初めてだった。私は、この三十年余で初めて、記者らに感謝の言葉を述べた。記者らの年齢は、みな、20代後半くらいに見えた。

日本の植民地支配による被害への賠償は「日韓請求権協定で解決済み」という政府やマスコミの主張が全く虚偽であることについての簡単な説明に対しても、彼・彼女らは反発することなく耳を傾けてくれた。

劣化し続け、ヒドクなり続けるばかりのいまのマスコミ全体の状況を考えると、正直、信じられない場が、ここ愛媛で、突然、実現したという思いであった。

◆このような場でとても大切な位置にあり、困難な仕事である通訳は、私たちが交流を続けている四国朝鮮初中級学校の(元)先生らが担ってくれ、その重責を果たしてくれた。とても頼もしく、ありがたかった。

そして、「徴用」された遺族の方々に来てもらうことができ、このような場を設定することができたのは、やはり、私たちが十数年にわたって交流を続けている平澤の市民団体の仲間たちのおかげである。

私たちは、ほんとうの友好・交流関係を築くには歴史認識の一致・共有が大切であり必要であるとの考えから、毎年、「日韓市民共同歴史シンポジウム」を、それぞれの地で交互に行ってきた。

昨秋の「韓国大法院判決」後の、日本の政府・マスコミ・社会の、「この問題を解決する責任は韓国の側にあり、間違っているのも韓国だ」というような、加害国側としてあり得ない、まさに転倒した、「逆切れ」的な状況を受け、今回は、その「シンポ」を、「証言会」の形で設定した。

私たちは、この「証言会」の最後に、平澤の市民団体と共に、【「徴用工問題」に対する日韓市民共同声明―日本の政府・メディア・社会に向けて―】を共同発表した。この内容については、次の投稿に記載したい。
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TitleTypeDate
[News Item]ブックレット『日本問題としての「北朝鮮問題」』を発行News Item2013-10-03 00:00:00
 投稿者 : 高井弘之

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高井弘之 : 強制「徴用」被害者遺族「記者会見」報告
2019-06-03
http://www.labornetjp.org/news/2019/1559550854926staff01/view
「徴用工問題」に対する日韓市民共同声明
2019-06-06
http://www.labornetjp.org/news/2019/1559800343320staff01/view

高井弘之「徴用工問題は解決済み」ではないこと、再び」
2019-07-22
http://www.labornetjp.org/news/2019/1563786579855staff01/view

高井弘之 : 「強制徴用工判決」と『請求権協定』(その1)
2019-08-04
http://www.labornetjp.org/news/2019/1564895840120staff01/view

高井弘之 : 「強制徴用工判決」と『請求権協定』(その2)
2019-08-05
http://www.labornetjp.org/news/2019/1564981250579staff01/view

ブックレット発行 : 「徴用工問題は解決済み」は本当か
2019-10-07
http://www.labornetjp.org/news/2019/1564981250579staff01/view


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高井弘之 : 強制「徴用」被害者遺族「記者会見」報告
2019-06-03
http://www.labornetjp.org/news/2019/1559550854926staff01/view

強制「徴用」被害者遺族「記者会見」報告】

◆私たち「平澤―愛媛市民交流会」は、韓国・平澤市から、強制「徴用」被害者遺族の方お二人を招いて、「記者会見」(5月30日)と「証言会」(6月1日)を行った。
とりわけ、「記者会見」の方の設定には、私の中に、小さくはない不安もあった。それは、設定して、仮に、ニュース性はあるからと報道各社―記者が来ても、この問題に対するいまの日本の報道状況を考えると、そこで、遺族の方々に失礼な、あるいは、傷つけるような質問が発せられる可能性もあるのではないかということだった。
◆しかし、これは杞憂だった。「会見」には、NHK松山放送局や、毎日新聞・愛媛新聞の記者らが参加したが、みんな、遺族の方らの話に熱心に耳を傾けてくれた。
その後の「質疑応答」では、とりわけ、NHKの二人の記者は、遺族の方らが、慣れないそのような場所では語れていなかった大事な内容・問題を、「申し訳ないのですが」という姿勢を維持したまま、質問して聞き出そうとした。
◆お二人は、それに応じる形で、強制徴用された父親への思いや、解放―帰国後の父親の状況などについて語り続けた。広島三菱重工に強制動員され、強制労働を強いられ、さらに被曝したお二人の父親は、帰国後も後遺症にさいなまれ、なかなか、普通に働くことができなかった。
二人のうちのお一人であるパク サンボクさんの父親は30代のころにすでに杖をついていたといい、イ キュメさんの父親は、自分が働けなくて子どもをきちんと育てられなかったと自分を責め、子どもであるキュメさんに、何度も謝り続けていたという。
◆1時間弱を予定していた会見は、2時間を超えたが、誰も帰らなかった。30年余り、愛媛の地で、さまざまな運動に携わり、数え切れない「記者会見」を設定し、参加してきたが、このような「会見」は初めてだった。私は、この三十年余で初めて、記者らに感謝の言葉を述べた。記者らの年齢は、みな、20代後半くらいに見えた。
日本の植民地支配による被害への賠償は「日韓請求権協定で解決済み」という政府やマスコミの主張が全く虚偽であることについての簡単な説明に対しても、彼・彼女らは反発することなく耳を傾けてくれた。
劣化し続け、ヒドクなり続けるばかりのいまのマスコミ全体の状況を考えると、正直、信じられない場が、ここ愛媛で、突然、実現したという思いであった。
◆このような場でとても大切な位置にあり、困難な仕事である通訳は、私たちが交流を続けている四国朝鮮初中級学校の(元)先生らが担ってくれ、その重責を果たしてくれた。とても頼もしく、ありがたかった。
そして、「徴用」された遺族の方々に来てもらうことができ、このような場を設定することができたのは、やはり、私たちが十数年にわたって交流を続けている平澤の市民団体の仲間たちのおかげである。
私たちは、ほんとうの友好・交流関係を築くには歴史認識の一致・共有が大切であり必要であるとの考えから、毎年、「日韓市民共同歴史シンポジウム」を、それぞれの地で交互に行ってきた。
昨秋の「韓国大法院判決」後の、日本の政府・マスコミ・社会の、「この問題を解決する責任は韓国の側にあり、間違っているのも韓国だ」というような、加害国側としてあり得ない、まさに転倒した、「逆切れ」的な状況を受け、今回は、その「シンポ」を、「証言会」の形で設定した。
私たちは、この「証言会」の最後に、平澤の市民団体と共に、【「徴用工問題」に対する日韓市民共同声明―日本の政府・メディア・社会に向けて―】を共同発表した。この内容については、次の投稿に記載したい。
「徴用工問題」に対する日韓市民共同声明
2019-06-06
http://www.labornetjp.org/news/2019/1559800343320staff01/view
【「徴用工問題」に対する日韓市民共同声明】
先日、強制「徴用」被害者遺族の方々の「記者会見」の様子と、それを放送したNHK松山放送局の映像などを投稿しました。その後、6月1日に愛媛で行った「証言会」の最後に、私たちは、『共同声明』を共同発表しました。
長いものですが、それを、以下に貼り付けます。
昨秋の「韓国大法院判決」後の、日本の政府・マスコミ・社会の、「この問題を解決する責任は韓国の側にあり、間違っているのも韓国だ」というような、加害国側としてあり得ない、まさに転倒した、「逆切れ」的な状況は、何としても変える必要があります。
この、「日本は正しくて、間違っているのは韓国・朝鮮」という植民地主義的認識・感情は、いまや、一部の右翼・保守勢力だけでなく、「反安倍政権」の人びとや野党も含めた挙国一致的なものにまで、ほぼ到っているように見えます。
それだからこそ、この状況を克服し変えることは、焦眉かつ必須の課題だと思います。
そのためには、まずは、
【「徴用工問題」を含む日本の植民地支配による被害への賠償は「日韓請求権協定で解決済み」】という政府やマスコミの主張が全く虚偽であることを、その根拠・証拠と共に多くの人たちに伝え、その〈事実〉を広く知ってもらう必要があります。
そのためにも、この『声明』を、シェア・転送・転載などで広めていただければと思います。
『声明』における私たちの主張の裏付けー根拠・証拠についても、『添付資料』としてまとめ、作成しています。こちらは、さらに長いので貼り付けできませんが、言っていただければ、メッセージやメールへの添付の形でお送りすることができます。活用していただければと思います。
それではよろしくお願いします。
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「徴用工問題」に対する日韓市民共同声明 ―日本の政府・メディア・社会に向けて―
【はじめに―「愛媛・日本」と「平澤・韓国」の市民交流―】
 私たち「愛媛―日本」と「平澤―韓国」の市民は、相互理解と友好の関係をめざして十数年間にわたる交流を続け、さまざまな共同の取り組みを行って来ている。
 私たちは、その交流活動の中心に、「日韓市民共同歴史シンポジウム」の定期的開催を据えている。日韓の市民がほんとうの友好関係を結び、友情を育んでいくためには、「歴史認識の共有」が必要であるとの考えからである。私たちがそのようにした背景には、近代日本の侵略・植民地支配を正当化する「歴史歪曲教科書」の登場を中心とする日本における排他的・自国中心的ナショナリズムの高まりがあった。
 周知のように、愛媛―日本の市民は、朝鮮への植民地支配―加害を行った国の国民であり、いまなお、その被害に対する責任を政府にとらせることができていない日本国民である。一方、平澤―韓国の市民は、日本による植民地支配の被害国の国民であり、いまなお、植民地支配の非を認めぬ言動を続ける日本政府によって、「二次的被害」とでも呼ぶべき被害と苦痛を受け続けている韓国国民である。
 このように、私たちは、日本の植民地支配―「強制徴用工問題」に対して、その責任の有無や自らが立っている位置は、それぞれ明確に異なる。しかし私たちは、この問題に対する認識―「歴史認識」を共有している。以下、私たちの共有する「認識」を発表したい。
【私たち日韓市民が共有する「徴用工問題」に対する認識】
一 日本政府及びほとんどのマスメディアによる、「『徴用工問題』は『日韓請求権協定』で解決済み」という主張は完全な虚偽である。その理由並びに根拠は以下のとおりである。
①「植民地支配は合法・正当だった」が日本政府の立場である
 日本による朝鮮の植民地化(「併合」)は、強く反対・抵抗する大韓帝国国王・政府及び民衆に対して武力でもって暴力的に「既成事実化」したもので、当時の国際法によっても違法なものであった。 
 しかし日本政府は、朝鮮に対する植民地支配は違法・不当ではなく合法・正当なものであり、自らの非はなかったという立場で『日韓基本条約・請求権協定』(1965年)を結んだ。このことからの必然として、日本の植民地支配による被害への賠償などいっさい行っていない。
 「日本による朝鮮統治」は合法で正しかったというのが政府の認識―立場だったのだから、その非と責任を認めることを意味する補償・賠償など、立場上・論理上、在り得なかったのである。〔資料―注①〕
②「請求権協定」によって行われたことは賠償ではなく「経済協力」である
 日本政府が、韓国への賠償は「日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決済み」と主張するところの当『協定』で行ったことは、賠償ではなく「経済協力」であった。当時の外相・椎名悦三郎は当『条約・協定』調印後の批准に向けた国会で次のように答弁している。
「経済協力というのは純然たる経済協力ではなくて、これは賠償の意味を持っておるものだというように解釈する人があるのでありますが、法律上は、何らこの間に関係はございません。あくまで有償・無償5億ドルのこの経済協力は、経済協力でありまして〔以下略〕」(参議院本会議/1965年11月19日)
 上に明らかなように、日本政府が行ったことは、賠償とはいっさい関係ないところの「経済協力」だったのである。〔資料―注②〕
③ その「経済協力」金は日本企業に渡された
 この「経済協力」は、お金(無償3億ドル、有償〔利子付の貸し付け〕2億ドル)を直接、韓国政府に渡す形ではなく、「日本国の生産物及び日本人の役務」で代替する形だった。したがって、そのお金はその「生産物・役務」(商品や労働・サービスなど)を提供した日本の企業や商社に渡された。「経済協力金」を何に使うかについては、韓国政府がその「実施計画」を作成し、日本政府と「協議」し「決定」された。  
 つまり、それは、韓国政府が自由に使えたわけではなく、日本政府の承認が必要であり、かつ、その「使い先」は日本企業であった。「経済協力方式」は、日本―日本企業に利益を与え、かつ、それを土台―踏み台にして韓国での企業活動―利益追求活動を始められるようになることを意図して行われたものだったのである。〔資料―注③〕
 以上、日本政府は、日本の植民地支配の不当・不法を認めず、かつ、その違法な植民地支配で受けた韓国の人びとの被害等に対する賠償はいっさい行っていない。本来すべきこれらのことをせず、ただ、上のような、日本企業に利益をもたらす内容・性格の「経済協力」を行っただけだったのである。
二 韓国大法院「徴用工判決」とは何か
 上記のように、日本政府は、『日韓基本条約―請求権協定』を、日本による植民地支配は合法で正当なものだったという立場から締結している。一方、韓国大法院における同『判決』は、「日本政府の朝鮮半島に対する不法な植民地支配および侵略戦争の遂行に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員被害者の日本企業に対する慰謝料請求権」は、『請求権協定』の適用対象に含まれていないとする。つまり、日本の違法な植民地支配下での「日本企業の反人道的な不法行為」による被害は賠償されなければならないとしている。
 したがって、日本政府が『韓国大法院判決』を声高に批判・否定し続ける現在の状況の核心に存在しているものは、日本の植民地支配に対する両者の正反対の認識である。つまり日本政府は、いま、自らの植民地支配の不当・不法を認めるか否かを問われているのである。
【日本政府に対する私たち日韓市民の要求】
 私たち日韓市民は、「強制徴用工問題」について共有する以上の「認識」に基づき、日本政府及び当該企業に対して、以下のことを要求する。
一 被告・当該日本企業は、『韓国大法院判決』内容を履行し、日本政府はそれを妨害しないこと。
二 日本政府は、「三権分立」制度下の韓国司法機関の判決に対して、行政機関たる韓国政府にその是正を要求し、「問題解決」の責任を押しつける等の、恥ずべき「反民主主義行為」を行わないこと。
三 日本政府は、朝鮮に対する植民地支配が不当・違法であったとする認識に基づいて、その被害者への賠償及び植民地支配「清算」を行うこと。そして、その実行に基づく新たな日韓友好関係の構築に努めること。
―― 韓国「平澤―愛媛市民交流会」・日本「平澤―愛媛市民交流会」一同 ――
高井弘之「徴用工問題は解決済み」ではないこと、再び」
2019-07-22
http://www.labornetjp.org/news/2019/1563786579855staff01/view

●徴用工問題は解決済み」ではないこと、再び

「強制徴用工問題」への対応として、「日韓の企業で基金を作り被害者への賠償を行う」という韓国側の提案に、河野は、なぜ、あれほど逆切れし、居丈高に大声を張り上げるのだろう。駐日韓国大使を呼び出して、偉そうに抗議をした先日の席でのことである。
「(韓国大法院判決の内容である徴用工への賠償問題は)日韓請求権協定で解決済み」という政府と自らの主張(の正しさ)に、ひょっとして、実は、自信がないのだろうか。あるいは、「正義は我にあり」と本当に信じ切っているのだろうか。
いずれにしろ、下に書く『日韓請求権協定』の内容から言えば、『協定』自体が「極めて無礼」な内容であり、それを「錦の御旗」のごとくして傲岸不遜に怒鳴り散らす自らこそ、韓国大使に対して「極めて無礼」この上ないものである。
何度か投稿してきたが、政府・メディアのこの「解決済み」論が全くの虚偽であることを明らかにし、突き崩していくことが、いま、最も肝要で必須のことだと思う。
決して「解決済み」などではないという事実が社会に浸透していけば、政府の「制裁措置」に賛成で一枚岩となっているような日本政府・メディア・(この列島社会の中の)「日本人社会」の状況も少しは変わるのではないかと思うからである。
これまでも書いてきましたが、以下、『請求権協定』の中身―真相を箇条書き的に。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆「日本による朝鮮統治」は合法で正しかったというのが政府の認識―立場だったので、その非と責任を認めること―その立場に立ったことを意味する「被害賠償」など、立場上・論理上、在り得なかった。
実際、『日韓条約』や『請求権協定』の文書には、植民地支配の非を認める言葉も、それへの反省・謝罪の言葉も全くないばかりか、(違法であれ合法であれ)日本が朝鮮を「統治」していた事実の記載やそれへの言及さえ全くない。さらに、植民地・被害・賠償などという言葉自体がいっさい出て来ず、存在していない。
◆日本政府が行ったことは、賠償とはいっさい関係ないところの「経済協力」(独立祝い金)だった。
◆この「経済協力」は、お金を直接、韓国政府に渡す形ではなく、「日本国の生産物及び日本人の役務」で代替する形だった。したがって、そのお金はその「生産物・役務」(資本財・商品や労働・サービスなど)を提供した日本の企業や商社に渡された。
 そして日本は、これを足掛かりにして韓国への「再進出」―経済侵略を始めた。
◆日本政府が、韓国への賠償はそれで「解決済み」とするところのその『日韓請求権協定』に記されている「請求権」等の言葉は、そもそも、日本の植民地支配―統治による被害の賠償問題に対する「請求権」などを意味するものではない。
◆日本は、上のような意味・位置づけでの「請求権」に基づく「請求」にも結局応じなかった。
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実は、いま、冒頭に記した思いから、急ぎ、この問題でのブックレットを作成しています。その書きかけ原稿のなかに、日本の植民地支配被害に対する賠償が「請求権協定で解決済み」などでは全くないことを意味する国会答弁の記録を記載しています。それを、政府自身が「堂々と」明言―断言していますので、長くなりますが、「先行紹介」したいと思います。
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(7)『請求権協定』が意味するもの
 既述のように、『協定』第一条には、日本が無償3億ドル・有償(利子付の貸し付け)2億ドルを供与・貸し付けすることと、その「供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない」ということが記載されている。つまり、第一条は、この「供与金」等が、韓国が有する日本への請求権等に対して支払われるものではないことを示している。
 そして、次の第二条には、「両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が・・完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」と記されている。
 つまり、請求に応じ、請求権に相当するお金を支払うことによってではなく、「韓国の経済発展」のためという名目の「経済協力金」を「供与」することによって、韓国の日本への請求権問題等は「解決されたこととなる」というのがこれらの条文の内容なのである。
 第一条記載の「供与及び貸付け」金が、第二条記載の「請求権」と関係がないこと、それに応じたものではないことは、『条約・協定』調印後の批准に向けた国会でも、政府は明言している。以下は、(前記と重なるところがあるが)この問題に関する質問と椎名外相の答弁である。
【草葉隆圓議員(自民党)】・・わが国は将来十年にわたって、無償三億ドル、有償二億ドルに相当する生産物及び役務を提供することになっておりまするが、これは賠償の性質を有するものであるかどうか。また、請求権問題の処理と全く無関係であると言い切り得るものであるかどうか。この点、外務大臣の御答弁を伺いたいのであります。
【椎名悦三郎外相】何か、請求権が経済協力という形に変わったというような考え方を持ち、したがって、経済協力というのは純然たる経済協力でなくて、これは賠償の意味を持っておるものだというように解釈する人があるのでありますが、法律上は、何らこの間に関係はございません。あくまで有償・無償五億ドルのこの経済協力は、経済協力でありまして、これに対して日本も、韓国の経済が繁栄するように、そういう気持ちを持って、また、新しい国の出発を祝うという点において、この経済協力を認めたのでございます。合意したのでございます。その間に何ら関係ございません。(参議院本会議/1965年11月19日)
外相はここで、「経済協力金」が請求権とも賠償とも何ら関係なく、法律上も両者の間に何ら関係がないと断言している。そして、(そもそも日韓会談―交渉は、植民地支配の清算とそれによる国交正常化を目指して始められたはずだが)それが、日本の植民地支配(清算)の問題とさえ関係がないことを、以下のように、明言している。
【横路節雄委員(社会党)】三億ドル、二億ドルの性質は何ですか。
【椎名外務大臣】経済協力ということになっております。
【横路節雄委員】椎名さん、これは請求権の処理のためですか。それとも、低開発国援助ですか。それとも、三十六年間韓国を植民地支配をしていたという、そういう意味で払うお金ですか。これは何なんですか。
【椎名外務大臣】それは、読んで字のごとく、経済協力です。
(衆議院・日韓条約及び協定等に関する特別委員会/1965年10月28日)
日本政府・外相はここで、日本が行った「経済協力」と、請求権等、植民地支配にかかわる問題との間には何の関係もないことを明言している。しかし、当『協定』は、その全く関係のない「経済協力」によって、「財産、権利及び利益、請求権等の問題が解決したこととなる」としているのである。
「請求権等」と「経済協力」との間に何ら因果関係がないのだったら、「経済協力」によって、「請求権等の問題が解決」するはずなどないが、なぜ「そうなる」のか、そう言えるのか、その理由や根拠についても、『協定』には全く記されていない。
以上から明らかなことは、要するに、日本政府は、韓国の有する「財産、権利及び利益、請求権」を、「経済協力」によって封印し、無きものにしたのである。
そして、「経済協力」をすることによって請求権を封印―消滅させようとするこのような方式は、前項で記したように、韓国側の強い抵抗があるなか、日本側が傲慢な強者の手法で、「見切り発車」的に強引に進め、調印へと到らせたものだった。
しかもその『経済協力』は、次項で述べるように、日本・日本企業の利益獲得を意図・目的とするものだったのである。
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 以上のような内容の『協定』で「強制徴用工問題は解決済み」と主張する河野や安部・日本政府こそ、「極めて無礼」の、まさに極みではないか!
高井弘之 : 「強制徴用工判決」と『請求権協定』(その1)
2019-08-04
http://www.labornetjp.org/news/2019/1564895840120staff01/view
【「強制徴用工判決」と『請求権協定』(その1)】 高井弘之
◆日本政府は、先日、韓国大法院判決における「被徴用者賠償問題」が「解決済み」であるという自らの主張の根拠を示し、それを、産経・読売らが、何らの検証もせぬまま、いつものように垂れ流した。
それは、『日韓請求権協定』で「解決されたこととなる」としているものには、韓国が交渉中提示した『対日請求要綱』の範囲に属するものすべてが含まれるとの日韓『合意議事録』があり、その『要綱』には、「被徴用者への補償」という項目があるから、そしてそれは「被徴用者らの精神的、肉体的苦痛に対する補償を意味する」という説明が交渉中にあったから、というものである。
つまり、以上を根拠に、韓国大法院の「強制徴用工判決」は『請求権協定』に反するものだと政府は主張し、韓国は「約束を破った信頼できない国だ」と声高に非難しているのである。
まず初めに指摘しておきたいのは、韓国側が説明したという上の交渉において、実は、日本側は、「補償金を支払うことはできない」とはっきりと拒否しているのである。しかし、いつものごとく、自らに都合の悪いそのような記録は出さぬまま、自らを正当化する論をつくり上げようとするのである。
◆以下、このような「主張」は成立し得ないことを、作成中のブックレット原稿をもとに記していく。
たしかに、『請求権協定』の付属文書に『(協定についての)合意された議事録』というものがある。これは、『協定』締結以降、韓国側が対日請求権についての主張をいっさいできなくするために、日本側が企図して、作成に持ち込んだものである。そこには、以下のような内容の文言がある。
―『協定』第二条1にいう「解決されたこととなる財産、権利、利益、請求権に関する問題」に、『韓国の対日請求要綱』の範囲に属するすべての請求が含まれており、同『請求要綱』に関しては、いかなる主張もなしえないこととなることが確認された。―
そして、『対日請求要綱』(対日請求8項目)全体は、「債権―債務」「返還」に関するものが基本である中で、例外的に、この第5項のなかの一つには、「戦争による被徴用者の被害に対する補償(労務者と軍人、軍属として強制徴用された人々に対する補償)」というものがあった。
しかし、『大法院判決』が認めた、「強制徴用」被害者による加害企業への慰謝料請求―損害賠償請求が『協定』によって「解決されたこととなる」などとは決して言えない。そのような文言があるだけで、そう言い得る根拠が全く存在せず、また、示されてもいないからである。
以下、「解決されたこととなる」という文言が「無効」である理由と根拠を、箇条書きの形で記していきたい。
① まず、「請求権」は、本来、請求された側がその責務を認め、それに相応する支払い等の措置を行うことによって(法的に)消滅し、解決したこととなるはずである。
しかし、日本政府及び当該企業は、自らが行った「強制徴用(動員)―強制労働」を原因とする「被徴用者」(原告)らの受けた被害に対して、その責任を認めて謝罪したことも、その責任に応じた補償・賠償支払いをしたことも、いっさいない。
 実際、「請求権交渉」の果てに、日本が韓国側に供与した、『請求権協定』における「経済協力金」は、政府自ら賠償金ではないと断言しているものである。(国会答弁/前回の投稿に議事録の記載あり)
②「被徴用者」への補償をめぐる日韓交渉においても、次の投稿(「その2」)で見るように、日本側は、「当時韓国人の法的地位が日本人であったということから、日本人に支払われていない補償金を支払うことはできないと考える。・・・従って被徴用者の補償金という独立した項目として応じることは困難である」と明確にその「補償」を拒否している。(交渉中、拒否していた補償に対し、『協定』締結直前に応じたわけでもないのに、「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」などという文言が盛られているのである。)
③ 日本側は、日本の植民地支配はあくまでも合法という立場で交渉にあたり、『日韓条約・請求権協定』を締結したものである。したがって、『協定』における「請求権」は、「合法な植民地支配」を前提として生じた「請求権」を意味している。
『合意議事録』も、「徴用問題」を含む『対日請求要綱』が、(このような性格の)当『協定』によって「解決されたこととなる」としているものである。
実際、日韓交渉における「徴用工問題」についての日本側の立場―対応も、あくまでも、合法な植民地支配と、当時の「日本人」に対する合法な「徴用」を前提としたものであった。
 つまり、日本政府・企業の不法行為によって「被徴用者」が受けた被害に対する損害賠償請求権の問題は『協定』の前提外のものであり、それによって解決されてなどいない。
 一方、『韓国大法院判決』における原告らの訴えは、日本の植民地支配は違法であったとの認識―立場から、その違法・不法な植民地支配下での日本企業の「反人道的な不法行為」による被害を問題にし、それへの損害賠償―慰謝料請求を求めたものである。
当『判決』は、そのような内容・性格の損害賠償請求権は『請求権協定』における「請求権」を意味せず、『協定』の適用対象に含まれていないとして、それへの賠償を認めたものである。
以上から、『大法院判決』が認めた、「強制徴用」被害者による加害企業への慰謝料請求―損害賠償請求が『協定―議事録』によって「解決されたこととなる」などとは決して言えず、また、日本政府やメディアが主張するように、当『判決』が、『請求権協定』に反するものなどとは言えないことは明らかだろう。『判決』は、『協定』に反してではなく、それを踏まえて出されたものなのである。
高井弘之 : 「強制徴用工判決」と『請求権協定』(その2)
2019-08-05
http://www.labornetjp.org/news/2019/1564981250579staff01/view
【「強制徴用工判決」と『請求権協定』(その2)】
以下、「強制徴用問題」についての日韓交渉の具体的やりとりを紹介したい。以下は、第五次日韓会談―第13回請求権小委員会(1961年5月10日)でのやりとりである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日本側/戦争による被徴用者の被害とはどのようなものか。
韓国側/・・生存者、負傷者、死亡者、行方不明者、そして軍人、軍属を含めた被徴用者全般に対して補償を要求するものだ。/・・他国の国民を強制的に動員することによって負わせた被徴用者らの精神的、肉体的苦痛に対する補償を意味する。
日本側/・・日本人として徴用されたので、当時の援護のようなもの、すなわち日本人に支給したものと同じ援護を要求するのか。
韓国側/・・当時日本人として徴用されたというが、我々はそのように考えない。日本人は日本のために働いたのであろうが、我々は強制的に動員された。
       〔略〕
日本側/徴用当時は外国人ではなく、終戦後に外国人となった。
韓国側/当時日本人だったというが、もう少し事実関係をはっきりさせれば理解できるだろう。・・韓国では道行く人を捕まえトラックに載せ炭鉱に送った。〈カイロ〉宣言や〈ポツダム〉宣言にも表明されているように、日本は韓国人を奴隷扱いしたにもかかわらず当時日本人だったというのは事実を隠蔽するものである。
(韓国外務部政務局『第五次韓日会談予備会談会議録』/太田修『日韓交渉―請求権問題の研究―』169~171pより引用)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 続く第六次会談「一般請求権小委員会」(1961年10月~62年3月)でも、この問題についての交渉が続けられた。韓国側(金潤根首席代表)は、この時も、次のように主張した。
―太平洋戦争を前後して多数の韓国人が労務者として、または軍人・軍属として日本に強制徴用された。・・・わが国民は日本人とは異なり、ただ日本の戦争遂行のために犠牲となり強制徴用された点に照らし、死傷者への補償はもちろん、生存者についてもその被害の補償を請求する。―(韓国外務部政務局亜州課『第六次韓日会談委員会会議録』/太田修『日韓交渉―請求権問題の研究―』189pより引用)
しかし、日本側の応答は次のようなものであった。
―韓国側は精神的な苦痛への補償を請求しているが、当時韓国人の法的地位が日本人であったということから、日本人に支払われていない補償金を支払うことはできないと考える。・・・従って被徴用者の補償金という独立した項目として応じることは困難である―(韓国外務部政務局亜州課『第六次韓日会談会議録(Ⅱ)』/太田修『日韓交渉―請求権問題の研究―』189~190pより引用)
 日本側は、この「徴用問題」を、あくまでも、「当時は韓国人も日本人だった」という前提―姿勢で論議・交渉している。そして、補償は日本人にもしていないのでできないという理屈で、これをはっきりと拒否しているのである。
ここにあるのは、仮に、日本側が何らかの対応をするにしても、(合意のうえ、合法的にそうなった)「日本人」として彼らを位置づけ、その前提のうえ、当時の大日本帝国臣民―日本人に対するものとして、日本の制度―法律に根拠を有するものであるなら応じる可能性もあるという姿勢である。
(上の「当時の援護のようなもの」という日本側発言箇所に該当すると思われる「日本外務省作成の会議録」部分に、「例えば国民徴用令には、遺族扶助料とか埋葬料の規定があり」との言葉があるので、ここでの「援護」とは、国民徴用令に基づくものを想定してのものだと思われる)
上のような姿勢の前提には、日本の統治は合法であり、したがって、その統治下で出された国家総動員法や国民徴用令を、「日本人・日本国民」としての朝鮮―韓国の人たちに適用して「徴用」したことも合法であったとする、「徴用問題」に対する日本側の一貫した立場・認識があった。
 したがって、(「未払い賃金(債務)」や国民徴用令に基づく「援護」のような)日本の法律と制度を根拠とするものであるなら、事実関係と法律関係が明確になれば応じることはあり得ても、日本の不法な植民地支配下で不法・不当な強制動員を強いられた朝鮮―韓国人(の被害)という立て方からの補償・賠償請求に対しては、何ら応じるべき義務・責任はないというのが日本側の認識・立場だったのである。
このような「認識・立場」自体が、日本の植民地支配の合法―正当性を当然の前提とした、まさに、植民地主義そのままの、ほんとうにひどい許せないものであるが、では、このような認識を前提とするなら、日本は韓国側の請求に誠実に応じようとしたかというと、そうではなかった。
交渉中、日本側は、上のような意味での「法律的根拠」と、請求案件が事実であることを示す「確実な資料証拠」(人数の算出根拠・負傷の程度・死亡の日付・死亡の原因・埋葬料支払いの基準等々)の提示を、(強制動員した側の日本が示すのではなく、された側の)韓国の側に徹底的に要求し続けた。動員―労働させられた側でその証拠資料などをそろえることは困難なうえに、さらに、もし存在していたとしても、朝鮮戦争によって多くが消失したであろう可能性が極めて高い。
このような状況を周知のうえでこのような要求を一貫してし続けたことには、次のような、邪悪な意図・目的があった。
以下は、上の第五次日韓会談・事務レベル交渉(1960年10月~)に向けた「各省代表打合会議」において外務省アジア局が提示していた内容である。
―最終的には政治的解決をすることになるにしても、初めから請求権の議論を全然しないわけにもいかないから、とにかく一応委員会を開いて議論し、「数字で話をきめるのは不可能だ」ということを先方に納得させる―(「第五次日韓会談に臨む日本側態度決定のための第三回各省代表打合会議概要」1960年10月14日付、北東アジア課/『日本外務省文書』〔注〕) 
日本側は、この「請求権」をめぐる交渉に、基本的に、上記のような姿勢と「戦術」で対処する予定だったのである。
以上からも、『大法院判決』が認めた、不法な「強制徴用」の被害者による加害企業への慰謝料請求―損害賠償請求が『日韓請求権協定』によって「解決されたこととなる」などとは決して言えないことが明らかだろう。

ブックレット【「徴用工問題は解決済み」は本当か―植民地支配責任に向き合わない日本―】を書きました。
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「徴用工への賠償問題は日韓請求権協定で解決済み」であるにもかかわらず韓国が約束を破った、だから、すべての非と責任は韓国の側にあるとする、まさに、「加害―被害の関係」を転倒させた、ほんとうに恥ずべき主張が、この日本社会を覆っている。
『協定』を少し見れば、そこには、賠償や植民地支配・被害、あるいは反省・謝罪などの文字さえなく、それが賠償のための『協定』などでは全くないことは一目瞭然である。
そうであるにもかかわらず、私の知る限りでは、『請求権協定』の文書さえ紹介されることなく、「請求権協定で解決済み」とする主張―完全なフェイクニュースが日本社会を堂々と独り歩きしているのである。異常というしかない。
その結果、日本政府・企業は、強制「徴用」し、強制労働を強いた朝鮮―韓国の人々にいっさい謝罪も賠償もしていないにもかかわらず、「正しい(立派な)日本」と「間違っている(悪い)韓国」という構図が、日本のメディア・社会の中で自明化されている。
そして、韓国に対しては、「感情的で話の通じない国」「解決したことを何度も持ち出す国」「約束を守らず、それを繰り返し反故にする国」「反日だけやっている危険な国」等々とおびただしい差別的蔑視的レッテルが溢れ、やがて、そのような国とはつき合うな、断交しろという主張までがまかり通っている。
そのような中、在日コリアンの人びとや日本で生きる韓国の人たちは命の危険を感じ、在日韓国大使館には、「ライフルを何丁も持っており、韓国人を狙っている」との趣旨の脅迫文と銃弾が送り付けられる状況にまで到っている。
このような目前の状況を少しでも変えていきたいとの思いから、この小著を急ぎ、書き上げました。役立ててもらえるならば幸いです。
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【目次】
はじめに  
第一章 「徴用工問題は『請求権協定』で解決済み」ではない
(1)「植民地支配は合法・正当だった」が日本政府の立場
(2)『請求権協定』で行ったことは賠償ではなく「経済協力」
(3)その「経済協力」金は日本企業に渡された
(4)『協定』の「請求権」は被害賠償請求権の意味ではない
(5)請求権交渉(「徴用問題」)における日本の宗主国姿勢
(6)日本政府、「経済協力」での「解決」を強要
(7)朝鮮支配「合法」論に基づく『請求権協定』
(8)「徴用工問題」は『請求権協定』で解決していない
(9)「補償は韓国政府が行うと約束した」は本当か?
(10)『協定』締結によって開始された日本の経済侵略
第二章 韓国大法院「強制動員判決」の意味するもの
―『判決』は『請求権協定』に反していない―
(1)『判決』と『日韓請求権協定』の関係
(2)個人請求権の問題
(3)「強制労働(徴用)問題」と国際法
第三章『日韓条約―請求権協定』の歴史的位置、そして現在
(1)謝罪・賠償のない『条約・協定』をなぜ締結し得たのか
(2)『大法院判決』を生み出し、支持する現在の韓国
(3)植民地支配責任を無視、「逆切れ」する日本
資料 【「徴用工問題」に対する日韓市民共同宣言】
      
【強制「徴用」被害者遺族「記者会見」報告】
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当ブックレットは、今月(9月)末、刊行予定です。〔価格700円/A5判 104頁〕
下記コメント欄ないしは、高井宛のフェイスブック「メッセージ」に、住所とお名前(及びご希望の冊数)をお書きになってくだされば、出来上がり次第、送らせていただきます。
※ 送付時に振替用紙を同封致します。 (送料は実費分お願いします) 10冊以上ご注文いただける場合は、1冊分600円とさせていただきます。
 
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【案内文】
いま、「強制徴用被害」に関する韓国大法院判決を契機に、日本の「制裁(報復)措置」を経て、日韓関係がかつてない危機状況にあることはご存知のとおりです。状況をここまで到らしめた大本には、「徴用工への賠償問題は『日韓請求権協定』で解決済み」だから「約束違反」、とする日本政府の強固で頑なな主張・姿勢が存在しています。
マスメディアも政府の主張を繰り返すだけで、その主張が本当かどうか、肝心の『請求権協定』に即した具体的検証を全くしません。現代版「戦争行為」とでも呼び得る「制裁措置」(兵糧攻め)を、日本国民の約70パーセントもの人が支持する恐ろしい状況は、「解決済み―韓国の約束違反」とする政府・マスコミの主張を多くの人々が信じていることから来ているのではないでしょうか。
 以上から、日本全体が一枚岩となって好戦的排外主義に向かう現在の危機的状況を変えていくためには、まずは、この、『請求権協定』の事実―真相を一人でも多くの人々に伝え、知ってもらうことが必要で大事であると考え、急遽、このブックレットを作成することとしました。
 まず、ここで紹介しておきたいことは、日本側は、この『協定』を、「日本による朝鮮統治は合法で正しかった」という一貫した認識―立場で交渉し、締結したということです。したがって、その非と責任を認めること―その立場に立ったことを意味する「被害賠償」など、立場上・論理上、在り得なかったのです。
実際、この『請求権協定』やその基本となった『日韓条約』の文書には、植民地支配の非を認める言葉も、それへの反省・謝罪の言葉も全くないばかりか、(違法であれ合法であれ)日本が朝鮮を「統治」していた事実の記載やそれへの言及さえ全くありません。さらに、植民地・被害・賠償などという言葉自体がいっさい出て来ず、存在していないのです。
 この拙著では、「解決済み」という主張が全くの虚偽であることを、『協定』の内容と、そこに到る日韓交渉の内実から、証拠・記録に基づいて、具体的に明らかにしました。ぜひ、一人でも多くの方々に手に取っていただき、現在の危機状況を少しでも変えていく一助になればと願っています。
【 著者:高井弘之/『誤謬だらけの「坂の上の雲」』『日本問題としての「北朝鮮問題」』『礼賛される「日本150年」とは、実は、何か』『民主主義にとって象徴天皇制とは何か』などを執筆。「四国朝鮮学校市民基金」・えひめ教科書裁判を支える会、スタッフ。】














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Found 17 items matching "高井弘之".

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