2019-09-14

生きている兵隊 (中公文庫) 石川 達三



Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: 生きている兵隊 (中公文庫)

生きている兵隊 (中公文庫)


石川 達三


35件中1 - 10件目のレビューを表示





くまねこ

5つ星のうち5.0
読むに値する良書

2018年9月3日


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届いた今日、一気に読んだ。
今、心臓がバクバク鳴っている。
兵士の心の描写がものすごくリアルで、その戦場にいるような感覚に陥った。「流れる星は生きている」を読んだ時もそうだった。
戦争はいけないだとか命を大切にだとか、そんな綺麗事は書かれていない。

中国の田舎で中国人が私が日本人だということを知ると、ミシミシ、バカヤロー、ホアグーニャンと言ってくる人がちらほらいた。
彼らは反日映画からそれらの言葉を模倣していたのだが、ホアグーニャン(花姑娘、映画の中で日本兵が娘を犯す時もしくは娘を漁りに行く時に言う言葉)は中国語だから日本兵が口にする設定は創作だろうと考えていた。

今わたしには中国人の友人が何人かいるが、彼らが私を家族のように接してくれていることに対して、申し訳なく思えた。

メディアも教育も洗脳だらけで何が真実なのかわかりにくいこの世の中において、私はこの本は読むに値する良書だと思った。

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bsファン





5つ星のうち4.0
大好きな作家の作品です・・・。

2019年6月9日

南京大虐殺をすべて描いているわけではありませんが、当時即日に発売禁止になったほどの臨場感があります、
作家としての力量が十分に垣間見えます。

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eion





5つ星のうち5.0
兵隊の真実

2018年8月29日

大戦後の兵隊制度のなくなったこの時代に、過去の歴史の兵隊の戦争の傘下の事実を過去の経記事から読みとれるものですが!

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ぷりん

5つ星のうち5.0
若者の必読書にすべき

2019年7月16日

戦争のむなしさ、バカらしさがひしひしと伝わってくる。伏字にされた箇所もわかるのが良い。かつて情報コントロールがどのようにされたか記録として残すのは大切だ。戦争がいかに憎しみを量産し、それが戦後も長期にわたって続くことがよくわかる。憎いから戦争をするのではない。戦争が憎しみを産むのだ。この本を読めば、領土を取り戻すには戦争しかないなどという言葉は、冗談でも言えなくなる。

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匿名





5つ星のうち5.0歴史書として必読です

2019年1月23日


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脚色なしの臨場感が伝わるすべての日本人が知るべき近世の歴史事実を知ることが出来る名著です。





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Amazon カスタマー





5つ星のうち4.0戦争の本質は何か

2019年1月21日


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戦争を経験していない自分にとっては、軍隊及び戦争体験者のこのような小説により学ぶことは、本当に大切で、価値のあるものです。”悲惨”との言葉で語られることの多い戦争ですが、本質はもっと奥深いものなのだと感じた。





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バッカスの弟





5つ星のうち5.0戦争の実態を教えてくれます

2016年10月2日


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どんなに綺麗な言葉で戦争を言い繕っても、戦争とはいかに非人間的なものか、脚色の無い実体験
が赤裸々に記してあります。





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よしゃあちゃん





5つ星のうち5.0実態がわかった

2014年1月15日


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本、装丁等、良かったです。ちょうどテレビで当時の文化(戦争)政策でたくさんの作家が従軍記者として派遣されていた特集があってましたので、石川達三氏の本を読みたかったのです。ありがとうございました。





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ジャック





5つ星のうち5.0ジャック

2016年11月15日


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包装そもよく、読みやすい。内容は、戦後とはいえ良く書いたと作者に敬意を表します。





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minoharu





5つ星のうち5.0愛国的ないし好戦的な言辞を弄している皆さんは

2013年12月22日


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少なくとも一度、できれば二度三度、読み返していただきたいと思いました。

映画「鬼が来た」を見たときに感じた以上の、いざとなった時の人間の空恐ろしさ、救いのなさが、圧倒的な迫力で迫ってきました。

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35件中11 - 20件目のレビューを表示











フリオ





5つ星のうち5.0人間の悪しき順応性

2013年9月8日


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著者石川達三は日中戦争さなかの昭和13年1月、攻略後の南京にて部隊に従軍し数日の取材後、わずか10日余りで本書を書き上げた。その年の3月、掲載された中央公論は発売を待たず発禁され、著者は執行猶予つきの禁固刑をくらう。

平時は善良な市民であった兵士達が、戦場で自我との葛藤を余儀なくされ、やがては兵器そのものと化していく。その様は文学的描写と相まって、「恐ろしく」リアリティをもって意識に迫るものがある。部隊に随行していた従軍僧は、戦死者を弔うはずがいつしか兵士と同じように殺戮を繰り返す。そこでこう言及する。―「戦場というところはあらゆる戦闘員をいつの間にか同じ性格にしてしまい、同じ程度のことしか考えない、同じ要求しかもたないものにしてしまう不思議に強力な作用をもっている..ただ彼に残っている宗教家の名残りは、経文を知り葬式の形式を知って居るというだけである。」―この一文は戦争の恐ろしさを語ると同時に、本然的に持つ人間の順応性の危うさを訴えてくる。

石川は、本書を著した意図として「あるがままの戦争の姿を知らせることによって、勝利に傲(おご)った銃後の人々に大きな反省を求めようとするつもりであった(初版自序より)」と述べている。これは終戦後の弁であり、著者に真に反戦の意図があったかは評者の解するところではないが、時代背景からしてこの行為が勇気を伴ったことは想像に難くない。少なくとも、これだけ生々しく軍人と戦場を描いた作品が存在することは、歴史的価値を有するといえよう。





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ちくてつ

5つ星のうち5.0
半藤一利さんの「解説に代えて」は必読です

2014年6月19日

<われわれがこの小説を読むことができたのは戦後である。戦争が終わるのを待っていたかのように発刊された。昭和20年の押し詰まった年の瀬に世に出たようであるが、わたくしはそれより3、4年後に、旧制高等学校の寮でそれを読んだように記憶している。粗末なザラ紙の本で、誰の所有ともわからぬままに寮の一室にころがっていた。話には聞いていたが、読みながらしばしば息を呑んだ。冒頭、民間人かスパイかわからない青年を、日本軍の伍長が無造作に捕らえて土手に座らせ、首を斬って河に蹴こむ、というショッキングな場面からはじまる。部隊は上海から転戦し、南京攻略戦に加わるが、その戦闘続行の間に、現地徴発という名の略奪、若い中国女性を裸にして刺し殺す兵士、逃げる中国人の頭をシャベルで割って武勲を誇る従軍僧、と残忍さが日常と化した「皇軍」の実態が点綴して描かれる。それ以前の昭和23年11月に判決の下った東京裁判で、南京虐殺という思いもよらない残忍な事実を知らされていたから、この小説に描かれたむごい光景の一つ一つが胸にしみ、背筋に冷たいものを走らせた。そして、あの戦時下という冷酷無残な時代に、よくぞまた勇を鼓して書いたものよ、と作者の精神の強靭さに心からの敬意をいだいたことであった。
 その後、雑誌の編集者となってからわたくしは、しばしば石川達三氏(いや、石川さんと呼んだ方がぴったりする)に会い、人生百般いろいろな話を聞く機会をもった。談論風発のうちにも、大抵のことには真っ向から直言する石川さんが、「生きている兵隊」をこっちがやたらと褒めまくったときだけは違った。大照れに照れて「いやぁ、あれには若気の至りだったところもある」と、珍しく韜晦の面持ちを見せたのを覚えている>
 半藤さんは、日本軍が相当残忍なことを行っていた証拠を挙げている。
<昭和14年2月に作成された陸軍省秘密文書第404号「事変地ヨリ帰還ノ軍隊、軍人ノ状況」の一部をここに引用したい(原文は片かな)。
 「戦闘間一番嬉しいものは掠奪で、上官も第一線では見ても知らぬ振りをするから、思う存分掠奪するものもあった」
 「ある中隊長は『余り問題が起こらぬように金をやるか、又は用をすましたら後は分からぬように殺しておくようにしろ』と暗に強姦を教えていた」
 「戦争に参加した軍人をいちいち調べたら、皆殺人強盗強姦の犯罪者ばかりだろう」
 中国戦線にある日本軍の軍紀のゆるみは、個人のレベルではなく、すでに集団になっていることを、これらの言葉は示している。
 石川さんのリアルな眼はすでにしてこの状況を見抜いていたのである。戦闘のなかで人間性を失っていく兵隊の心理と行動とが、次々に抉り出されていく。その回想によれば、「くわしく事実を取材し、それをもとにして、たとえば殺人の場面などには、正当な理由を書きくわえるようにした」というし、また検閲を考慮して「作中の事件や場所は、みな正確である」というのである>





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まさ





5つ星のうち4.0日本人はこの事実を知るべきだと思います。

2015年5月7日


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日中戦争で日本軍がどのようなことを行ったのかが書かれています。平時であれば普通の人たちが、異常な状態に置かれた時にはどんなことを行ってしまうのかが・・・。このことは決して他人ごとでは無いと思います。戦争犯罪は日本軍だけが行ったわけではないと思いますが、あったことを無かったことや過小に評価することは、無知なのか、又はそのこと自体に別の意味があるように思います。





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田中 利彦





5つ星のうち5.0生きている兵隊

2013年9月16日


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昭和10年代の中国戦線の有様が良く描かれていて素晴らしい作品だと感激でした。





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プンプマ





5つ星のうち5.0放送を見て

2013年12月17日


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ある放送で紹介された石川達三氏の作品の中で販売中止されたと聞き、購入しました。





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KM





5つ星のうち5.0凄い本を読んだ

2019年3月7日


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ここに書かれている日本軍兵にの心理描写以外に、著者の感想などは一切かかれていない。是非も書かれていない。
ただ淡々と、中国大陸で日本軍が行った蛮行が綴られているだけだ。それだけにリアル感がハンパなく、読後に残ったショックは大きかった。
あとがきにもあるが、これを昭和13年に書いて出版するとは大変な勇気がいることだ。
旧い本なので漢字が難しくルビも無いが、是非、学生にも手に取って欲しい本だった。





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自転車大好き





5つ星のうち5.0名著です。

2013年9月22日


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当時検閲を受けた理由が分かります。小説調で書かれてありますが、すべての事象は作者が従軍記者として体験した事実に基づいて書かれてあります。旧日本軍の蛮行が生々しく描かれている。恐ろしい事実ですが、すべての日本人はこの真実を知るべき。





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山口 繁





5つ星のうち5.0よい本だ。

2013年8月15日


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南京攻略戦を書いたルポルタージュ文学の傑作であり、南京事件の真実を知る上で必読の書である。





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VINEメンバー


5つ星のうち5.0南京事件につながる「何か」を描いた作品

2014年6月1日


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最近、南京事件を深く知ろうと、5冊の著書(※)を立て続けに読んだところ、それならこれもオススメと紹介されたのが、本作品です。

私も、上記5冊を読む中で本作品の存在は知っていました。
本作品の著者は、中央公論社の特派員として、1937年12月の南京陥落直後、現地や上海で取材を行い、「あるがままの戦争の姿を知らせる」ことを目的に本作品を執筆しました。
1938年、伏字を用いて「中央公論」に掲載された本作品は、直後、発売禁止となり、著者も新聞法違反の罪に問われ、執行猶予付きながらも、禁固刑を科せられてしまいます。

こうした経緯から、本作品は、南京事件を扱った作品として着目されています。
本書では、当時の伏字部分を復元し、傍線で示しているのが特徴です。

本作品は、小説というフィクションですが、史実と同じく、上海の戦闘から追撃戦を行い、南京を攻略していくという経緯を、西沢大佐率いる一連隊に所属する兵士たちの姿を通して描いていいきます。

全編を読んでみると、私が、他の書物で知った、当時の日本軍の「特性」がよく表現されており、この「特性」が、南京事件につながったのだとよく理解できました。

本作品は、フィクションですが、当時の軍部が発売直後に発禁処分を行っていることから、南京事件につながる日本軍の実態を鋭く突いたものになっていることは間違いないでしょう。
そうでなければ、禁固刑という重い処分にまで行き着くことはなかったはずです。

ちなみに、前記5冊のうち、南京事件での「虐殺否定派」の「1.「南京事件」日本人48人の証言 (小学館文庫)」の著書では、本作品の著者へのインタビューは叶わなかったが、次のような返事をもらったと記載しています。
「私が南京に入ったのは入城式から二週間後です。大殺戮の痕跡は一切見ておりません。何万の死体の処理はとても二、三週間では終わらないと思います。あの話は私は今も信じてはおりません」

読みようによっては、本作品の著者が、南京での虐殺を否定していたようにも読めますが、注意が必要です。
この返事では、「大殺戮の痕跡は一切見ておりません」と言っているだけで、「虐殺の事実」を否定しているわけではありません(「大虐殺」ではなく、「大殺戮」という言葉を選んでいることにも着目してください)。
恐らく、中国の主張する30万規模の虐殺はなかったと言っているに過ぎないと、私には読み取れます。

是非、本作品をこれから読もうと考えておられる方は、先入観は捨てて読んでみてください。
かつての日本軍が行っていたこと。
そこに戦闘行為を逸脱した非人道的・違法的な行為はなかったか、自分の眼で確かめながら、通読してみることをオススメします。

(※)で示す5冊については、コメント欄に記載しました。


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物好キッチン





5つ星のうち5.0一つの目線として読むのもいいかな

2013年7月3日


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過去の大戦では侵略なのか否か、意見は別れるだろうが侵略かどうかは戦場となった支那の国民にはどっちでも良い悲劇なのだと思う。
戦争の原因が何か?ではなく支那を戦場としてたくさんの一般人が尊い命を落とした事が今日の対日感情につながっているのだな。

それを知っておくのも悪くないと思う。

過去に色々あったからそりゃ反日感情ある人はあるよなー。くらいで一々感情が動かなくなる。

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35件中21 - 30件目のレビューを表示
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アホ ロートル





5つ星のうち5.0本書出版にいたる著者自身による肉声

2016年8月23日


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日中戦争に、出征して、生き延び、帰還した人たちがどんどん亡くなっている。昨今、自分の経験を語り遺そうという動きもあるが、多くは戦場で見・聞き・行ったことの多くを「秘密」として抱えたまま、家族にも話すことなく、死んでいった。良心的におぞましく、とても話せるようなシロモノではない「秘密」を、戦時下の言論統制の厳しい時代に、明らかにしようとした本書は、際だって価値がある。

最近ふたたびソノ傾向にあるようだが、当時、マスコミは本来の機能を失っていた。政府の宣伝媒体となり、「大本営発表」というのろしをあげては、「勝った、勝った」と、政府の発表する情報をのみ流していた。そんな中、「そんなバカな話があるものか」おかしいではないかと著者:石川達三は従軍し、戦地に赴く。そして、見・聞きしたことを明らかにする。そのへんのことを、『我が文学我が回想・社会派作家50年(NHK1985年11月9日放送)』で、聞いた。書き留めた著者自身の肉声(インタビュー)の一部を以下に引用してみる。

《わたしは自分で、本当の戦争を見て、本当の戦争というものを書こうと、そう思って従軍を願い出て、出かけていったんですよ。それで、帰ってきて書いたのが「生きている兵隊」という作品で、そうして、発売と同時に発売禁止をくって、わたしは捕まえられて、取り調べを受けた。// だけども、わたしはなぜ処罰を受けるようなことになったかというと、本当の戦争を書いたからイケナイということなんです。その時、わたしが処罰された罪名は「新聞紙法違反」。「安寧秩序を乱した」ということなんですナ。// つまり、それまでは、日本の新聞やなんかがイイことばかり書いてて、悪いことはなんにも言わなかった。ところが、わたしは本当の戦争らしきものを書いた。それで、みんながビックリするじゃないかと。これが「安寧秩序を乱した」ということなんですナ。// それで、わたしは禁固4ヶ月なんていう刑を受けたんですけども、しかし、わたしは裁判の最後まで、判決を受けてその後に至るまで、「悔悛の情」などというものは一切ないですナ。悪いことをした気がないんです。ですから処分をされても、なんともないです。自分自身はちっとも辛くない。拘留されればからだは辛いかもしれないけど、精神はなんともないですね。// (中略) わたしは、あいつはバカだと言われた。しかし、わたしは書かずにはいられなかった》。





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ハーベスト・ムーン





5つ星のうち5.0生々しい戦場の実態が迫る

2019年3月14日


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戦場の悲劇はどうやったら伝わるのか。兵士一人一人の「戦場」を克明に描くことでしかないと気づかされた。








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みのねこ





5つ星のうち3.0
作品自体はよいものですが・・・

2014年4月2日


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読み進めてゆくうち違和感を持ったので、著者によって復元出版された昭和20年12月発行の河出書房版を取り寄せ読んでみた。
河出書房版の最後には、次の「附記」が掲載されていた。
『本稿は実戦の忠実な記録ではなく、作者はかなり自由な創作を試みたものであり、従って部隊名、将兵の姓名なども多く仮想のものと承知されたい。』
この文章は、本書には掲載されていない。
また、河出書房版で著者は、
『これは私一個の主観にすぎないかも知れないが、戦場に於ける人間の在り方、兵隊の人間として生きて在る姿に対し、この作品を透して一層の理解と愛情とを感じて貰ふことが出来れば幸いである。』
と書いている。
あくまで本作品は、小説であってルポルタージュ作品ではないし、著者も告発の意図を記していない。
作品自体はさすがと唸ってしまうものですが、某作家の解説で、文学とは異なる別のものが張り付いてしまっている印象を持ったため、星3つとする。

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モチヅキ





VINEメンバー


5つ星のうち5.0
南京攻略戦における戦場心理の描写

2011年10月9日


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 本書は十二烈士の甥に当たる芥川賞作家(1905〜85年)が画一的な戦争報道に反発し、1938年1月5日から8日間の南京での取材と4日間の上海取材の後、2月上旬のうちに書きあげ、「あるがままの戦争の姿を知らせることによって、勝利に傲った銃後の人々に大きな反省を求めようと」、一部伏字で(本書の傍線部)『中央公論』3月号に発表した、南京攻略戦を描いたルポルタージュ文学の傑作である(翌日同誌は「反軍的内容」ゆえに発売禁止となり、作者は起訴され禁固刑を宣告された)。本書の前記には、検閲ゆえに「未だ発表を許されないものが多くある」ため、「実戦の忠実な記録ではな」いと断り書きがあるが、「作中の事件や場所は、みな正確である」と本人が回想しているという(半藤一利解説)。本書は、太沽から寧晋、大連、そして揚子江を遡上して支塘鎮、古里村、常熟、無錫、常州、丹陽、湯水鎮を経て南京に進軍した高島本部隊に焦点を当て、彼等による食糧の現地徴発=掠奪や、民間人への暴行・虐殺を表向き「正当な理由を書きくわえ」て叙述すると共に、兵士たちの戦場生活における「人間として」の心の葛藤を細やかに描く。たとえば、筆まめな倉田少尉は真剣な苦悶の末、「敵の命を軽視することからいつの間にか自分の命をも軽視するに至」り、堂々たる軍人となってゆく。笠原伍長は戦友への愛情のほかは、淡々と自分の業務をこなしたが、それは乱暴と紙一重であった。他方、医学士の近藤一等兵は安易に悪く戦場馴れした結果、怠惰な兵となる一方、発作的に残虐行為に走る傾向を持った。平尾一等兵もそのロマンティシズムの崩壊に際しての狂暴な悲鳴として、やや自棄的・嗜虐的な勇敢さと大言壮語癖を身に付けた。このように本書は、「普通の人間」が戦場において残虐行為に走ってしまう心理状態について、的確に描写をしており、その意味で一読に値する本である。





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Amazon カスタマー





5つ星のうち5.0戦争の実態

2015年7月7日


形式: 文庫


 大きなお得意さんでもあるが、経済的、軍事的に膨張を続け、覇権主義的姿勢を崩していない、現代「中国」と日本がどう付き合っていくのかは非常に難しい課題である。しかし、それと「日本」自身が過去にどう向き合うのかとは分けて考える必要がある。日本人にとって「被害者」(主にアメリカに対して)としての歴史は多く記憶にとどめられているが、そもそもは主にアジア(特に中国)に対して「加害者」であったのであり、その歴史にきちんと向き合わないと、思わぬところでまた失敗を繰り返すことにもなりかねない。

 この作品は非常に衝撃的だった。昨今「南京大虐殺」はなかったという論調が広がり、何が真実だかわからなくなってきていたが、数多くの資料、書籍、特に実際の兵士たちの証言や現地調査などの実証的試みを行っているものがより実態に近いものだと考える。本作品は1938年3月号の『中央公論』に発表された従軍的小説である。日中戦争に対して各雑誌から現地報告、従軍記、ルポルタージュとして、多くの作家が現地に派遣されていく中、1935年第1回芥川賞を受賞した当時32歳の作家、石川達三が、従軍して1938年1月5日に南京に到着している(南京攻略の約3週間後)。事件は目撃しなかったが後の状況を見聞することは可能で、「南京市民は難民区に隔離され、町のなかにゴロゴロと死体がころがっていて、死の町という言葉がピッタリでした。はじめて目撃した戦場は、ショックでした。」と述べている。
 「生きてゐる兵隊」は伏字つきで2月17日に発表したが直ちに発禁され、その後、編集・発行・印刷人ともども、「虚構の事実をあたかも事実の如くに空想して執筆したのは安寧秩序を紊すもの」との理由で、「新聞法」違反の罪で起訴され禁固4ヶ月(執行猶予付き)の刑となった。公判で石川は次のように述べている。「戦争というものの真実を国民に知らせることが、真に国民をして非常時を認識せしめ、この時局に対して確乎たる態度を採らしむる為に本当に必要だと信じておりました。殊に南京陥落の際は提灯行列をやりお祭り騒ぎをしていたので、憤慨に堪えませんでした。」小説ではあるが、「詳しく事実を取材し、それを基にして、例えば殺人の場面などには、正当な理由を書き加えるようにした」、また検閲を考慮して「作中の事件や場所は、みな正確である」と述べている。当時の軍事体制、言論統制の中、これだけのことを記載し主張することは非常に勇気のいることだったと思う。「戦争が何を引き起こすのか」にふれ、現地徴発という名の略奪、レイプ、殺人、放火という非人間的行為がいくつも描写されており、戦闘の中で人間性を失っていく兵隊の心理と行動とをきちんと記述し、そこに到る過程が丁寧に描かれている。

 南京に南から入った部隊は追撃によって一番乗りをして秩序を保っていた一方で、東から揚子江沿いに行った部隊は激しく追撃を加え、南京城に達するまでに入り乱れた戦闘があり、かなりの中国兵や中国人を殺し、南京に突入してさらに掃討戦を行ったことが指摘されている。また便衣兵(市民に紛れた中国兵)と一般市民の区別がつかないことが理由とも言われている。ドイツシーメンス社のジョン・ラーベの手記、中島師団長の日記などからも日本軍による残虐行為が伺える。一方、1937年11月30日の「東京日日新聞」における「100人斬り競争」の記事については創作のようだそうだが、当時の世相がいかに熱狂していたのかは伝わってくる。1939年2月の陸軍省「秘密文書第404号」では、中国から帰国した軍人からの記録「事変地より帰還の軍隊、軍人の状況」において、
「戦闘間一番うれしいものは掠奪で、上官も第一線では見ても知らぬ振りをするから、思う存分掠奪するものもあった」
「ある中隊長は『余り問題が起こらぬように金をやるか、または用を済ましたら後は分からぬように殺しておくようにしろ』と暗に強姦を教えていた」
などの記述がある。
 中国では虐殺された人数を「30万人」として強調しているが、当時、市民は疎開して30万人もおらず軍隊もそれ程はいなかったためありえないという意見が多い。正確な被害統計を得ることは、理論的にも実際上も不可能に近いが、捕虜、民間人の殺害(「国際法」違反)という意味では、1989年に旧日本陸軍の集まりである偕行社が出版した『南京戦史』では、中国軍捕虜(暴動鎮圧も含む)、便衣兵への撃滅、処断が約1万6千人、一般市民の死者が約1万6千人で、これらすべてが不法行為で殺されたとして3万人強になる。保守派の論客として著名で学術的検証を行っている秦郁彦は(現代史の光と影 ─ 南京事件から嫌煙権論争まで)南京事件について様々な意見を併記して検証を行っているが、自身は4万人と推定している。また、このような軍紀の紊乱を戒めるために1941年に「戦陣訓」が出されている。しかし中国において、日本軍が地元住民と比較的うまく付き合いながら統治していたところもあり、また蒋介石軍によっても略奪が行われたことも指摘されている。
 不名誉だが、世界に先駆けた大規模空襲として、1937年4月のドイツによるスペイン内戦下での「ゲルニカ爆撃」に続いて(死者数は約1700人と言われる。)、日本による中国での「重慶爆撃」は1938年12月から1943年8月まで断続的に200回以上行われ、犠牲者数は中国側の資料を元にすると約1万人と言われている。

 「南京事件」で指摘されているような行為は決して正当化されるものではないが、このような惨劇は他の例にもみられる。ベトナム戦争における「ソンミ村虐殺事件」、レバノンでの「パレスチナ難民虐殺事件」、「ボスニア」という映画(1996年)での民族同士の争い、日米の激戦であったペリリュー島の戦いに対するドキュメンタリーでも、「生きてゐる兵隊」で描写されるような非人間的行為が見受けられる。「残虐なバーチャルな現実」はエンターテイメントとなり、「残虐な現実」からは目を背ける。そのような風潮も現代にあるのは人間というものの存在の矛盾を感じる。本当の現実が立ち現われた時、「体も心もその現実を望んでいない」ということに初めて気が付くのだろうか。 

 主に判決において問題となった箇所とは少し異なるが、作品の中で私が戦争というものについて考えさせられたのは以下のような箇所である。
「敵国の馬には彼等はやはり愛情をもてないらしかった。支那馬に対してはいくらでも虐待を加え、倒れるとそのまま棄ててかえりみなかった。」
「われわれが如何に支那全土を占領しようともだ、彼等を日本流に同化さすなんどということは、夢の夢のまた夢だ。支那はかくの如くにして永遠にかくの如く在る。」
「南京に酒保を開くという軍の許可を得て上海の日本商人が次々と入りこんで来た。彼等は中山路の街角のあたりにある支那人の店を使う許可をもらって店を開いた。」
 時代背景も戦争スタイルも変化している現代においても、その中に流れる戦争の本質は変わらないのではないだろうか。





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榎戸 誠





ベスト100レビュアー


5つ星のうち5.0戦争が人間を変えてしまうことを如実に示す従軍ルポルタージュ

2013年8月10日


形式: 文庫


『生きている兵隊』(石川達三著、中公文庫)は、硬骨の作家・石川達三の日中戦争の従軍ルポルタージュである。昭和13(1938)年、『中央公論』に伏せ字・削除が施されて発表されたが、内容が反軍的・反戦的であるとして即日、発売禁止となった。本書は、戦後になって刊行された完全復元版を参照して、伏せ字部分を傍線で明示した伏せ字復元版である。伏せ字・削除されていた部分のあまりの多さに驚いてしまう。

「生肉の徴発という言葉は姑娘(クーニャ。若い中国人女性)を探しに行くという意味に用いられた。彼等(兵隊たち)は若い女を見つけたかった。顔を見るだけでもいい、後姿でもいい、写真でも絵でもいい、ただ若い美しい女を象徴するものでさえあればよかった。女もちのハンカチとか絹に刺繍した女靴でも大事に(所属部隊に)もって帰っては見せびらかした」。

「そのとき女は突然ひと足退って右手に持った拳銃を向け、引き金を引いた。かちッと音がして、不発であった。近藤(一等兵)は背を丸くして彼女の胸元に毬のように飛びかかり、瞬く間に土間に叩き伏せ拳銃を奪い取って立ち上った。・・・他の兵は彼女の下着をも引き裂いた。すると突然彼等の眼の前に白い女のあらわな全身が晒された。それは殆んど正視するに耐えないほど彼等の眼に眩しかった。美事に肉づいた胸の両側に丸い乳房がぴんと張っていた。豊かな腰の線がほの暗い土間の上にしらじらと浮き上って見えた。・・・彼(近藤)は物も言わずに右手の短剣を力限りに女の乳房の下に突きたてた。・・・『たしかにスパイと思われましたから、いま、自分が殺しました』」。

「武井(上等兵)は腰の短剣を引きぬくと一瞬の躊躇もなしに背から彼の胸板を突き貫いた。青年は呻きながら池の中に倒れ、波紋は五間ばかり向うの近藤が米をといでいる岸にばさばさと波をうった。彼はあわてて米をとぐのをやめ、立ち上って叫んだ。『何をやったですか』『ふてえ野郎だ、聯隊長殿にな、やっととってあった砂糖を盗んでなめやがったんだ』『はあ』近藤は飯盒をぶら下げたまま水に浮いている*(ニイ。中国人男性)の背中を眺めていた」。【*は人偏に爾と書く漢字】

「彼等(兵隊たち)はその(戦友たちの)遺骨に対して普通の死人や遺骨に感ずるような無気味さも嫌悪の気持もなしに、かえって大変に親しいものを感じていた。この骨そのものがまだ生きている様に思うのである。というよりもむしろ、自分が生きているのは仮の姿であり今日のうちにでもこの骨と同じになるのであることを感じていたのかも知れない。彼等は生きている遺骨であったのかも知れない。かくて、戦死した兵と生き残った兵とは相たずさえて次第に南京に迫りつつあった」。

フィクションやゲームの世界とは異なり、現実には、恰好よく、勇ましい戦争なんてものはない。戦争が人間を変えてしまう、狂わせてしまう。『生きている兵隊』には、そういう戦争下の人間が生々しく描かれている。もし、著者が、戦争放棄を特色とする日本国憲法の昨今の改憲への動きを知ったなら、どう思うだろうか。





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燃えつきた棒





5つ星のうち5.0反軍的内容を持った時局柄不穏当な作品

2015年10月12日


形式: 文庫


NHKスペシャル「従軍作家たちの戦争」を観てこの本のことを知った。
日中戦争当時、火野葦平、菊池寛、林芙美子ら多くの作家が、
動員されて戦地に赴き、戦意高揚に貢献する作品を書いた中で、
石川達三は、
『あるがままの戦争の姿を知らせることによって、
勝利に傲った銃後の人々に大きな反省を求めようとするつもり…』
(初版自序)でこの作品を書いた。
この小説が掲載された中央公論は、昭和13年2月、配本の翌日に
「聖戦にしたがう軍を故意に誹謗したもの」「反軍的内容を持った
時局柄不穏当な作品」として内務省に発売禁止にされた。
翌年、石川は「皇軍兵士の非戦闘員殺戮、掠奪、軍規弛緩の状況を記述したる
安寧秩序を紊乱する事項」を執筆したため、禁固四か月、執行猶予三年の判決を受けた。
32歳の作者の「筆鋒雄健」の心意気が蘇る伏字復元版。





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hijikata





5つ星のうち4.0兵隊にもいろんな人がいる

2010年10月24日


形式: 文庫


藤原ていの「流れる星は生きている」の巻末に出てたので、作者と題名から読んでみた。

兵士というと、愛国心旺盛で勇敢で多少粗雑で多少教養が少なくて等と全体を画一的に

見てしまいがちだが、市井のいろんな境遇の普通の人間が、いかにして「兵士」になるかがよくわかる。

作者の現地取材に基づいているだけに、描写も生々しい。

兵士の回想や会話がすごく印象深かった。

現代から見ると全くの別世界のようだが、長い歴史の中でほんの曾祖父世代くらいの出来事であり、

現世に生きる我々世代は、せめて戦争についていろんな角度から知り、検証し、次の世代に平和な

世の中を残していかねばならないことをあらためて実感させられる。

今後、もし戦争がおこったらと、リアリティーをもって読むべきだと思う





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daepodong





VINEメンバー


5つ星のうち5.0伏せ字の箇所をしっかり読んで欲しい

2005年10月21日


形式: 文庫


 戦前に発禁を食らった大変有名な作品。是非、どこが伏せ字になっていたのかをじっくり読んで検討して頂きたい。ほとんど意味不明の作品になっていたことが改めて納得されるだろう。日中戦争の批判というよりも、戦場に借り出された兵士がいかに残虐な人間に変身してしまうのか、その恐ろしさを描いている作品のように思われる。
 しかし、文学作品の評価をするのに、イデオロギー的な観点から「参考になった」「ならない」とつけるのは、正当な評価ではないのではないか。内容を的確に紹介しているのに、「反日的だから」といって「参考にならない」という評価をつけるのは間違っていると思うのだが、いかがであろうか。





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ちゃうちゃう





5つ星のうち5.0いかにして兵士は狂気に染まるか

2006年3月31日


形式: 文庫


 戦中に書かれた作品であり、おそらく反戦とか反日とかは全く意識していなかったと思われる。人間として兵士をとらえる、その兵士の気持ちになってみる、そういう視点で書かれた作品ではないだろうか。そして真に迫りすぎた上、発禁になった。そういう本だ。

 南京大虐殺関連で「大殺戮の痕跡は一片も見ておりません」という否定派としての言質がとられているが、その人がここまで描いていた、という点に注目すべきであろう。「大」虐殺ではないが、虐殺は描いているのである。よき夫であり父である心優しき人たちが、いとも簡単に非戦闘員の命を奪っていく。それはやはり狂気だ。いかにして兵士は狂気に染まっていったのか。その描写が真に迫る。

 戦時下だなぁ、と思わせたのは、南京を落とした後、転戦していく兵士たちの士気が高いように描いている点。首都・南京を落とせばこの戦争に勝てる、故国に帰れる、だから兵士たちはがんばっていたはずだ。南京を落としても戦争が続くことに兵士たちは落胆していたはずである。士気が高いままであった、というのはウソだろう。著者は戦意の高揚をねらってこの本を書いたのである。

 





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5件中31 - 35件目のレビューを表示











Nishim





5つ星のうち3.0国際的に損失を被った本としての価値はある

2014年5月16日


形式: 文庫Amazonで購入


国内にしか目が向いていない、小説家・ジャーナリスト・の駄作でした。このためにどれだけ、国際的に損失を被ったことか!! 「暗黒の大陸:原題 Way that are Dark: The truth about China) と読み比べるとよくわかります。まったくの取材不足の小説といえるでしょう。
「みのねこ」さんのレビューに「河出書房版の最後には『本稿は実戦の忠実な記録ではなく、作者はかなり自由な創作を試みたものであり…』の附記とのこと。





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pocky1123





5つ星のうち5.0日本人はこの記録から目を背け続けている。

2015年12月10日


形式: 文庫


南京の虐殺は事実なのか?という疑問が投げかけられることに戦中に書かれた本書はすでに答えている。日本人は大虐殺という言葉を勘違いしている。大虐殺という言葉から我々はホロコーストの様な組織的虐殺をイメージする。なるほど、確かに組織的殺害はなかったかもしれない。
しかし、組織的ではなく、個人的な虐殺は、まさしく事実である様に「生きてゐる兵隊」を読めば感じる。狂気に支配され人間性を剥奪された兵士たちは簡単に人を殺していく。その愚行の積み重ねが、虐殺なのではないのか。日本人はそれに目を向けるべきであり、現実として、多くの人がその現実から目を背けている。
日本人に欠けているのは罪の意識なのではないか?
我々は軍国主義から被害を受けた「被害者」。
そんな考え方を捨てられないから日本はいつまでも敗戦から抜け出せない。
とにかく、日本国民すべてがこの記録を一刻も早く共有すべきだ。





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トロロ十三





5つ星のうち5.0さすが芥川賞著者

2008年4月27日


形式: 文庫


中国人を虫けらのように殺害する衝撃的なエピソードから物語りは幕を開ける。

いかに日本人がアジアの人々に残虐であったかが分かることもさることながら、芥川賞受賞の著者のたぐいまれな表現力に舌を巻きます。
戦場でありながら、風に揺れる花々、沈む夕陽、満点の星々・・・自然が息づいている表現は素晴らしかったです。
そして心が狂っていく兵士たちの心情の描き方も。

だが日本は戦争被害者であるが加害者であったことを決して忘れてはならないと思わせるような作品です。





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ごらいあす





5つ星のうち1.0創作作品をノンフィクションとして受け止めた評価はまったく意味がない。注意喚起の意味を込めて、最低評価を投じる

2015年1月7日


形式: 文庫


 ここの商品説明自体が誤った紹介「虐殺があったと言われる南京攻略戦を描いたルポルタージュ文学の傑作」とされており、かつまた、実に多くの人がノンフィクションと勘違いして書評しているが、ここで描かれていることは、作家自身が過去の出版(河出書房版)の中で、後書きなどで触れていた(※この文庫版では掲載されていない)ように、ルポルタージュでもなければ、戦記でも記録文学でもない。戦場を舞台とした石川達三の創作小説である。

 「真実を活写したがための発禁処分」であれば、ここで誤解している大多数の読者のように、すぐれたルポルタージュとして再評価されるべき作品だっただろう。

 しかし、作者自身が昭和二十年十二月に発行した河出書房版で記述しているように「本稿は実戦の忠実な記録ではなく、作者はかなり自由な創作を試みたものであり」というように、あくまでも創作小説である。
 
 石川達三が「戦地」に入った期間(1938年1月5日から8日間の南京での取材、4日間の上海取材)を考慮すれば、兵士の内面まで取材できた時間があったかどうか、類推することができる。わずか数日の戦地滞在、しかも、戦闘場面など立ち会った形跡もない。

 従軍作家の中には、石川よりもはるかに長期間、最前線で過ごした作家もいる。その期間に比較すれば、石川の滞在時間は驚くほど少ない。
 同じ従軍作家だった丹羽文雄が、海軍に従軍して第八艦隊の旗艦・重巡洋艦「鳥海」に同乗して、砲弾飛び交う第一次ソロモン海戦を体験した戦記海戦(伏字復元版) (中公文庫)とは、まったく似て非なる創作だということを認識して読む必要がある。

 小説作品としてこの作品を読むとき、「当時の日本軍兵士の心境や行動を抉り出したかのような、現実味あふれる優れた創作」として、評価することができる。その点において、私もまた高い評価をつけるべきなのだろう。

 だが、ここで書かれている多くの書評者のように、創作作品をノンフィクションとして受け止めた場合、その評価はまったく意味がない。注意喚起の意味を込めて、最低評価を投じることとしたい。





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辻元漬美





5つ星のうち5.0大殺戮の痕跡は一片も見ておりません。

2003年10月3日


形式: 文庫


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「私が南京に入ったのは入城式から二週間後です。大殺戮の痕跡は一片も見ておりません。何万の死体の処理はとても二、三週間では終わらないと思います。あの話は私は今も信じてはおりません」
石川達三 ~「『南京事件』日本人48人の証言」より
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