2021-03-29

佐藤優氏「戦争を阻止する役割」を創価学会に期待 作家・澤田瞳子氏との対談で語る (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

佐藤優氏「戦争を阻止する役割」を創価学会に期待 作家・澤田瞳子氏との対談で語る (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)



佐藤優氏「戦争を阻止する役割」を創価学会に期待 作家・澤田瞳子氏との対談で語る






木村恵子2020.11.13 08:02AERA







対談を行った佐藤優氏と澤田瞳子氏。佐藤氏は連載を終え、文学を専門とする澤田氏と語り合いたかったと話す(撮影/楠本涼)







池田大作研究 世界宗教への道を追う

佐藤 優

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 作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が、AERAでの連載をまとめた書籍「池田大作研究 世界宗教への道を追う」を上梓した。連載の中で宗教としての創価学会を見つめ続けた佐藤氏は、創価学会はまだ変化の途中にあると指摘する。AERA 2020年11月16日号で、佐藤氏と作家の澤田瞳子氏が語り合った。

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澤田:今の創価学会は、キリスト教の長い歴史で見ると、だいたいいつごろに当たりますか。

佐藤:ミラノ勅令(313年)ぐらいですね。

澤田:なるほど。じゃあまだまだこれから先があるわけですね。

佐藤:ミラノ勅令で、公認されたということによって徐々にシステムの側になっていくというところだけれども、まだ帝国の中で完全な認知は得られてないっていう、こういうところじゃないかと思うんです。

澤田:今からがさらに面白いですね。

佐藤:いろんな変化があると思いますよ。特に現実政治のことを考えた場合に、影響は大きい。例えば安倍政権のスタートのときと終わりの時で、実は変わってるところがあるんですよね。核廃絶に対する姿勢です。安倍さんは、ローマ教皇が来たときに、核廃絶を強調する演説をした。核廃絶に対する情熱がこの7年8カ月で変わりましたね。明らかに、公明党の影響があると思います。ナショナリズムが強まり、戦争の危機が強まってくる中において、戦争を阻止するという役割を、私は、創価学会に非常に期待しているんですよ。

 裏返していうと、キリスト教は現実の中に自分たちの信仰を生かしていくというところが弱いんですよね。だから、私なんかも微力なところで、教育とか私の評論、あるいは創価学会を扱うということの背景の意図も含め、平和を維持したい、戦争を避けたいと、こういう思いがあるわけですよね。

 他方、ロシアみたいな国をソ連時代から担当して、核抑止の論理は論理で、外交官としてわかるから、常に私の中に引き裂かれるような感じがあるんです。自分の理念と現実の間で。

 それと同じで、池田大作氏のテキストにも、理念と現実の間で、引き裂かれるような状況をやっぱり感じるわけですね。その中で自分の言葉を紡いでいって、自分の宗教団体を主導していく。やっぱり、宗教って面白いなと思うわけですよね。





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澤田:なるほど。




佐藤:それともう一つ。例えば『人間革命』や『新・人間革命』は創価学会の人たちは一生懸命読むんですけど、外部の人はほとんど読まないでしょう。




澤田:はい。読んだことないです。




佐藤:創価学会の人が読んでも違和感が無く、外部の人にもリーダブルな作品がない。だったら、自分で書くしかないなと思いました。




澤田:確かに、興味を持ったときにどこに行けばいいのかわからないというのはあります。ほかの宗教でもそうなんですけれど。私はキリスト教主義の学校で育ってきたから、キリスト教に関心を持ったときにどうすればいいかわかりますが、そうでなければどこから勉強すればいいかわかりづらいですよね。ただそもそも、なぜAERAでこれをやろうと思われたんですか。




佐藤:最初から書き下ろしたっていいのですけれども、週刊誌であるAERAでやると、当然反発もあります。そういう声を聞きたかったんです。結果的に、公式文献だけでやってるんだったら内在的な論理はわからないんじゃないかとか、学会を礼賛するためにやっているんじゃないかという批判はありましたけれど、テキストの中に入っての批判というのはなかったですね。




■徹底的にテキストで池田氏の人生を読み解く




澤田:やっぱり、イメージ先行っていうのはあるんでしょうね。




佐藤:でも、創価学会について伝える本を中の人間は書きにくいでしょう。キリスト教のことを私が書くときに、非常に難しくなっちゃうのは、私が当たり前と思っていることが外の人にとっては当たり前じゃないから。こういうことがたくさん出てきちゃうんです。例えば、この本で扱った炭労事件を丁寧に書くっていうのは、学会員はあまり関心を持たなかったと思うんですね。




澤田:日本人は人間関係を円滑にするために、宗教や政治についてはあまり語らないという意識がありますよね。ですので、創価学会も存在は知っているけれど触らないほうがいい、みたいな印象論だけでずっときました。




佐藤優氏「戦争を阻止する役割」を創価学会に期待 作家・澤田瞳子氏との対談で語る

木村恵子2020.11.13 08:02AERA



対談を行った佐藤優氏と澤田瞳子氏。佐藤氏は連載を終え、文学を専門とする澤田氏と語り合いたかったと話す(撮影/楠本涼)

対談を行った佐藤優氏と澤田瞳子氏。佐藤氏は連載を終え、文学を専門とする澤田氏と語り合いたかったと話す(撮影/楠本涼)












池田大作研究 世界宗教への道を追う




佐藤 優




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佐藤:でも信仰は、即行為になる。




澤田:はい。生活に結び付いている。




佐藤:宗教というのはこの世の現実の問題を解決するもので、それを解決できない宗教はあの世の問題も解決できないんだっていう。これは本当にプロテスタンティズムに似てるんですよね。




澤田:でもこの本は、信仰的なことより、それこそ徹底的にテキストで、池田大作氏という個人の人生から読み解いていらっしゃる。日本人は、宗教というと、まずその信仰の内容だったり教義だったりに触れねばいけないっていう、何か一種の思い込みのようなことがあるのかなと感じました。




佐藤:教義はあとからついてくるものですからね。




澤田:キリスト教に関しても、キリスト教史が今のヨーロッパの世界史やアメリカの成立といったことと深く関わるわけで、それをしっかりと見ることと同義だと思うんですけど、なぜか我々は、宗教を見ようとするといきなり教義に飛ぶんですよね。




佐藤:アメリカのトランプ大統領を支持している宗教右派の言ってるところのキリスト教と、例えばドイツのメルケル首相の出してきているドイツ福音主義教会連盟のキリスト教と、あるいは南米のほうの解放の神学のキリスト教と、これらを同じキリスト教というアンブレラでくくれるわけじゃない。歴史の現実の流れの中で生まれてくる、それが宗教の力であり、良い面も悪い面もあるということなんです。




澤田:そういう意味では、この本は宗教のお話ではあるんですけど、日本の近代史でもあると思うんです。




佐藤:確かにその面はありますよね。だからこの本も、池田大作氏という人を通じた、戦後から令和に至るまでの「時代」を描いていると言えるでしょう。




(構成/編集部・木村恵子)




佐藤優(さとう・まさる)/作家・元外務省主任分析官。『創価学会と平和主義』『危機の正体』『ウイルスと内向の時代』『世界宗教の条件とは何か』など著書多数。2020年の菊池寛賞を受賞。




澤田瞳子(さわだ・とうこ)/作家。2010年、『孤鷹の天』でデビュー。『満つる月の如し 仏師・定朝』で新田次郎文学賞受賞。『若冲』『火定』『落花』『能楽ものがたり 稚児桜』で4度の直木賞候補に。




※AERA 2020年11月16日号より抜粋




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