2019-06-10

独学のすすめ (ちくま文庫)加藤 秀俊



 独学のすすめ (ちくま文庫)
加藤 秀俊

カスタマーレビュー
5つ星のうち4.7
16
5つ星のうち4.7

星5つ 81%
星4つ 19%




独学のすすめ (ちくま文庫)
加藤 秀俊

すべてのレビュアーすべての星すべての形式テキスト、画像、ビデオ
16件中1 - 10件目のレビューを表示

団塊シニア

ベスト1000レビュアー
5つ星のうち4.0学ぶこととは何かを考えさせる内容2017年8月21日
形式: 文庫Amazonで購入
学校に行けないから独学で勉強するのでなく、独学できっちりと
勉強できない人間がやむを得ず学校に行って教育を受けているの
だという作者の言葉は極論のような気がするが一理ある、そして
作者は意欲と継続性が大事だということを本書で伝えたいことだ
と思う。

4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

Amazon カスタマー

5つ星のうち5.0良書中の良書。2018年10月10日
形式: 文庫Amazonで購入
独学とは、単純に一人で勉強する事ではなく、いかに自発的に、そして探究心を持って学習することが重要である、という事が分かりやすく書かれています。

そういう意味での独学がまさに最強の武器であることをこの本を通じて実感できました。

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

蕗の薹

5つ星のうち5.0面白かった!2013年3月17日
形式: 文庫Amazonで購入
この本はタイトルで選びました。最初は効率のいい独学方法を見出したいがために買ったつもりでした。たが違った。方法とかそんな小さな物事でしか独学を捉えられなかった。自分の思考の稚拙さを恥じました。。この本は独学する事の意義を伝える本だったのだ。参考書感覚で買ってしまった私はかなり意表を突かれた。しかし与えてくれたメッセージは求めていた以上のものを与えてくれた。

12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

one child,teacher,book,pen

5つ星のうち4.0従来の学歴神話と、それへの依存を打ち砕く。本当の「学び」を語る本2014年4月5日
形式: 文庫Amazonで購入
教育や学びに対する、社会学の泰斗且つ現場の教育者としての鋭い批判が連続。
文章は雑誌「ミセス」に連載したエッセイをまとめたものであり、読みやすい。
現状のひずみや矛盾、固定観念や世間の通念に対し、至極まっとうな見識と根拠で斬り込む。
出だしの「掴みの話」で引き込まれる。少しべらんめえ口調で、いくらか講談調、時に漫談調の語りも面白い。

タイトルと星の数を見て選らんだが、狭い意味での独学についての記載は初めの15頁程で、
私の場合は・・残念ながら、期待した独学の参考には成らなかった。

しかしこれはこれで多くの学びがあった。
昨今の教育システムや大学の課題については 共感するところが多かった。
タイトルが「学びと教育について」や「学びとは」等々、内容をちゃんと表していれば 文句なく★5つ。
また、お勧めの本という意味でも★5つだが、読んで一番目を開かれるのは 世のお母様方かもしれない。

学問し、また現場で学生や後進を指導する者として、誠実に向かい合うほどに突き当たり・目に余る問題点や矛盾に対し、止むに止まれず記した様子が滲み出ている。
著者が1974,75年に指摘した数々の課題は、その殆どが 今なお改善していない。
一部は改善の試みをされていたり、むしろ悪化している物もあると思うが、大半・根本は今もそのままである。
その見識とメッセージが求められて、35年を経て復刻されたのだろう。

冒頭の女性の話は衝撃的である。イギリスの高卒の平凡なOLが、興味に導かれてアフリカに行き、博物館の秘書に成り、
探検にスタッフとして参加し、ついにはチンパンジーの研究で世界の学会に衝撃を与える仕事をした。
その記録を記した著作は、欧米の多くの大学で教科書になっているという。
・・「そもそも、東西の大学者や思想家の少なからぬ人々は、学校教育を受けることなく独学で勉強したのだ」と。

また著者は、「如何に生きるか」という人生の根本的な事について、学んでも教えられてもいない昨今に警鐘を鳴らす。
「入試だけを目標として、どう問題を解き、どう暗記するかを「勉強」だと錯覚する教師や親たちは、
それぞれの子供がそれぞれに生きるかけがえのない人生をどう生きたらいいか、
という根本問題をいつのまにかすっかり忘れてしまった。
人生の意味を学ばなかった子供は、たとえ一流大学に入り一流企業に入っても、不幸な人生しか送れないだろう」と。

これは、上田紀行氏「生きる意味」(岩波新書)の 自らが受験エリートから入学後に目標を失い、うつ病になったという体験談と全く一致する。

だが、現存する学歴社会は「今なお目の前に有る」ので、その中でいかに勝ち抜くか、せめて負けない様に、という方策も立てざるを得ないだろう。
しかし、それだけでは生き抜く力は身に付かない。生き抜く軸も得られない。それを考えなければ・・

著者は広く学びに関するいろんなコメントをしている。印象深い記載をいくつか拾ってみると
・「情報の洪水の中から、選び取ること。いい人生を生きるには、いい情報を選ぶこと」
選ぶ目を磨くには、とりあえず批評や、友人知人の意見を聴き、ひいては自分の目を磨く様に と励ましている。
・お稽古事が趣味教育にもなる。

・ポリネシア文化圏のティコピアという民族の集団生活と、それと正反対のアメリカの個人主義を引き比べ、自他の境界や仕事の意味まで考える(p129〜)
・創造的な人間を本気で育てる事を、われわれは怠っている。学校は創造性の芽を摘みとり、受験のための暗記に集中している。
せめて家庭では創造の芽を伸ばす事を考えたい(p170)
・親の補償要求(親が自分自身に「欠けている」と思い込んでいるものを、子供で満たそうとする)と子供の学習要求との落差(p180〜)
はては、成績を苦に自殺する子供まで居る。(ひとつ前の問題と併せて、今なら不登校や引きこもりの大きな原因だろう)

・今の日本は科挙の制度を徹底的に形式化し、これ以上悪く出来ない処まで堕落させた社会(p197〜)
「教育」という言葉を聞くと、すぐに「試験」という言葉を連想し、「試験」という言葉を連想した途端に子供も若者も親も憂鬱な顔つきになるのが日本の現実であるとするなら、その陰にある科挙の亡霊をしっかり見つめるべき。現代は全く新しい選抜の哲学と方法を必要としている。

・昨今の学問は、専門化即ち細分化が甚だしく、メリットもあるし理由もあるが、弊害もある。

・英語教育について・・ 外国語の中で、英語以外の言語を学ぶ人が少な過ぎる。英語を通してのニュースしか入って来ない。他の視点が欠落している。
英語ばかり教えている上に、長年英語教育を受けても使えない。
先生達の権威の為に、英語は難しくなければならず、入試問題の英語は、イギリス人でも分からない。
そして更に、読む・聞くに偏っており、話す・書くが劣る。着信専用で発信が不能。
国際化にためには、まずはちゃんとした人間を作る事、そしてその人が、しっかりした意見を言える事。

・学問の流動性が重要、という項で・・ 学ぶ側が教師を選ぶべきだが、今は大学が学生を選んでいる。そして大学間の流動性が著しく低い。
学生の履歴も殆ど同じで、教員もその大学を卒業し、大学院に行き教員に成りそのままずっと居付いている。多様な経験を持つ人間同士が火花を散らしてディスカッションしてこそ、集う「場」としての意味がある。
現状では他流試合をして種々の意見を聞き、議論して多様な経験を分かち合う事が出来ない。 と語る。

今の学校を全否定するわけでは無いけれど、
不条理だらけで十分ではない教育の現況に、迎合する事も押し潰される事も避けよう。
成績を苦に自殺などしてはいけない。
現状がすぐに変わらないなら、せめて「さめた目」で見て利用しよう、というメッセージも。

20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

コナン.O.

ベスト500レビュアー
5つ星のうち4.0古さを感じさせない「教育考」2015年4月26日
形式: 文庫
社会学者の加藤秀俊が、雑誌『ミセス』に1974年に「教育考」という通しタイトルで連載し、1975年に単行本で発刊、2009年にちくま文庫から復刊されたものである。
連載当時小学生だった私の母がこれを読んでいた可能性があるくらい昔のものであるが、書かれていることは不思議なほど古さを感じさせず、普遍性をもった考えが書き綴られている。
「「独学」とは、主体的に学ぼうとする姿勢のことのほかならない」
「教養だの知識だのを、高い価値をもつものとして尊敬する思想・・・日本という国、あるいは日本文化は「知性主義」によってつらぬかれているのである」
「意欲ある人生を送ることのできる人間〜そういう人間をつくることが教育の使命」
「ひとは、理想をみずからつくり、その理想によって生きるのだ」
「じぶんで「問題」をつくり、かつ解くこと〜それこそが精神の自律性というものである」
「学問といい、教育といい、そこで人間が目標とするのは、多面的な人間像であろう。・・・オーケストラの指揮のできる首相だの、考古学的発掘をみずからこころみる実業家だの、といった、はばの広い大きな人物のいる社会は、ほんとうに学問だの知識だのがたのしく生きている社会なのではないか」等
使われている言葉は比較的平易であるが、書かれてはいることは、P.G.ハマトンが『知的生活』に記した、知的生活を送るための方法と本質的に同じである。
そうした生き方をした先達として、明治時代の博覧強記の博物学者・南方熊楠、チンパンジー研究の第一人者の英国人ジェーン・グドール、トロイの遺跡を発掘したドイツの実業家シュリーマンらについても触れている。
(2012年3月了)

7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

なかたにか

5つ星のうち5.0独学のすすめ2014年8月21日
形式: 文庫
 タイトルが端的に表現されています。
 学ぶことは「独学」というのが著者の主張です。
「(しかし、)教育とは子どもの問題に限られるのでなく、また学校問題につきるものでもない。それは、母親対tじしんの問題でもあり、また独学の問題でもあるのだ。母親たちが、ごじぶんの「教育」はもう終わったのだ、とかんがえているとしたら、それは大きな誤りである。「教育」とは、一生つづくものであり、その大部分は「独学」によるものだ、ということを、このさい、かんがえなおしておきたい」(24p)
「自己教育」と言うことだと思います。
 内容は、結構古典的な教育論または学習論だと思います。お稽古に独学、教養、仕事に専門など、このあたりの問題圏の内容をやさしくとり上げています。
 具体的なことから考えてあるので、読書に慣れていない人でも、読みやすい内容になっています。

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

田辺 智志

5つ星のうち5.0学校というのは勉強のための場のひとつであるにすぎない2014年1月11日
形式: 文庫
学校を卒業してからやりたいことが見つかり、それに向かって努力している人へ応援メッセージがこめられた本。

おとなになるまで知識も経験もなかったことでも、意欲をもって努力すれば成功できることを、チンパンジーの生態研究ですばらしい記録を残した動物学者の例や、博物学者の南方熊楠の例で説明している。

どんなに歳をとっても、新しいことを初めるのに遅すぎることはない、と感じさせてくれる。

10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

フェニックス一輝

5つ星のうち5.0学ぶことの意義を考えるきっかけに2016年12月18日
形式: 文庫
30年以上前に書かれたとは思えないぐらい今に通じる本。私は大学進学を考えた時にこの本に書かれているようなことを父親に言われました。勉強って何のためにするのかわからないと思っている中高生にはぜひ読んでほしい。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

みずのん

5つ星のうち5.0示唆に富む教育学の名著だと思います。2014年12月14日
形式: 文庫
非常に面白い内容で、一気に読了してしまいました。

この本に書かれている主張を一言で要約するならば、
「やる気があり、且つ主体的に学ぶ力がある人は、学歴や環境に関係なくどこでも上手くやっていける」
ということではないでしょうか。

芸能界で活躍されている方で分かりやすく言えば、例えば伊集院光のような人。
彼は大きな学歴こそ持ち合わせていないものの、お茶の間のクイズ番組に登場すれば、
「落語」という独学で築いた雑学力やひらめきを駆使して、高学歴のゲストにも劣らぬ圧倒的な力を発揮しています。

こういうのを見ていると、言わば「インテリ」と言われている学歴の人々が、
必ずしも優れているとは限らないということを我々に教え諭してくれます。
その意味で、彼は独学で成功した顕著な例と言って良いのかもしれません。

上はあくまでもレビュワーの私見ですが、著書の内容も、
そういった主体的に学ぶ人間になることを大いに薦めたものになっております。

日本の旧来の制度に基づく学校教育の問題点を、欧米諸国の大学と比較しながら論じたり、
ちょっとひねくれた問題を出されると、すぐに投げ出してしまう日本人の思考力の低下を指摘したりと、
全体の内容も読んでいて非常に示唆に富むものでした。

現代教育について論じている本は巷に数多くありますが、
これはその中でも第一級に値する名著だと思います。

24人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立ったコメント 違反を報告

なりさん

5つ星のうち5.0現在にも通ずる指摘の多い秀作。2012年5月26日
形式: 文庫
長年の教育者としての国際経験からみた日本の教育の問題について読みやすく書かれております。
30年以上前の本ですが、現在にもつながる指摘が沢山あり非常に役に立ちます。

日本の学校がどう成立したか、日本の試験と科挙制度、お稽古ごとは何のためか、などを歴史を踏まえて説明したうえで著者の主張があるため、とても分かりやすく論理的。

特に本人が気にしているのは、「独学」というのが学習の基本である関わらず、最近の学生は受動的な姿勢に陥っている、という点です。

子供が誰でも持っている学びたい心、それを活かし、生徒が学校・授業を選ぶような能動的、流動的な教育制度を作りたい、そのように著者の考えが伝わって来ました。

エッセイ風ですんなり読める逸品です。多少タイトルと内容がずれている気はするが、年齢を問わずお勧めしたい。

24人のお客様がこれが役に立ったと考えています

No comments: