2019-06-10

猫楠 南方熊楠の生涯


猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア) 文庫– 1996/10/22
水木 しげる (著)

5つ星のうち 4.4 44件のカスタマーレビュー
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商品の説明

内容紹介

博物学・民俗学・語学・性愛学・粘菌学・エコロジー……広範囲な才能で世界を驚愕させた南方熊楠。そんな日本史上最もバイタリティーに富んだ大怪人の生きざまを天才・水木しげるが描く。


登録情報

文庫: 427ページ
出版社: 角川書店 (1996/10/22)
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44件のカスタマーレビュー

5つ星のうち4.4
5つ星のうち4.4
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44件中1 - 8件目のレビューを表示
トップレビュー

jinen

5つ星のうち4.0粘菌で有名な巨人、変人、賢人2017年11月30日
形式: 文庫Amazonで購入
昭和天皇に粘菌標本の入ったキャラメル箱を渡したのは有名。変人、賢人であったが、神社や神社の森を守ったという行動力はすごい。
水木の漫画では、酒飲み、淫乱、嘔吐癖が前面に出ているが、書かれている内容は非常に意義深いものである。
水木の自然、妖怪、得体のしれないものへの考え方、哲学が伝わってくる。
ただし、文庫版なので非常に字が小さく 老眼の身には非常に厳しい

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Amazon Customer

5つ星のうち5.0強烈な個性を描く2018年1月27日
形式: Kindle版Amazonで購入
水木しげるにこのような作品があるとは知りませんでした。

南方熊楠と言えば博覧強記な博物学者として知られていますが、
このような強烈な個性の持ち主であったことは初めて知りました。
逆に言えば、このような強烈な個性なくしてはあの生き方を貫くことはできないのではないかとも思います。

生誕150周年ということで、国立科学博物館でも企画展示がされていましたが、
この本も読むと、研究の業績だけでなく、どんな人物であったのかも分かっていいと思います。

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紫陽花

5つ星のうち5.02人の巨人の生命観と人生観とが共鳴して産まれた傑作 !2011年3月11日
形式: 文庫Amazonで購入
水木先生が「猫楠」という猫を語り部として、知の巨人「南方熊楠」の後半生を描いた作品。博覧強記の大天才で粘菌の研究者として著名な熊楠だが、書簡を除くと熊楠自身が残した書物は少なく、その思惟の全貌は詳らかにされていない。その意味で、史実に基づいた内容を含む本作は、単に大奇人が大怪人を描いたという興味本位を越え、熊楠の"人となり"を知る上での貴重な資料にもなっていると言える。それにしても、「熊」を「猫」に語らせるという着想は如何にも水木先生らしいと思った。

水木先生が独特のタッチでユーモアとペーソスに包んで熊楠の数々のエピソードを描いた抱腹絶倒の物語だが、作中で2人が共鳴し合っているように映った。2人には共通点が多いのだ。童心のままで邪念がない、霊的世界への好奇心と自然な受容、物欲や出世欲の無さ、常識に捉われない自由な発想・行動、開けっ広げな性礼賛。それだけに、水木先生は熊楠の本質を感じ取っていた様に思われる。熊野の森林を中心にして描画が繊細を極めているのも常の通りで、作品に奥行きを与えている。「鬼太郎」に登場する"牛鬼"が言及されるのも可笑しい。「ネズミ男」を思わせる「ねずみ猫」が出て来るのは更に可笑しい。孫文や柳田国男も登場する辺り、熊楠のスケールの大きさの証か。また、「タクト」の比喩は深いと思った。

生命の起源は未だに謎で、更に動物が植物からどうやって枝分かれしたかも分かっていない。「粘菌」は動物と植物の両方の性質を持つ不思議な生き物で、憶測だが、熊楠はそこに"生命の神秘と根源的な力"を観ていたのだと思う。また、そうした熊楠の姿を本能的に嗅ぎ取って水木先生が漫画化したのだと推測される。本作はそんな2人の巨人の生命観と人生観とが共鳴して産まれた傑作だと思う。

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タカシ1号

5つ星のうち5.0面白かった2017年12月14日
形式: 文庫Amazonで購入
水木しげる先生のファンです。
南方熊楠先生のことは倫理教科書で知りました。
教科書で出てくる偉人の方々は伝記などでその方のエピソードや生い立ちを知ることで興味がましより頭に入りやすいと思います。
迷っている方はぜひ買ってみてください。

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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真栄田章

5つ星のうち5.0山歩きが好きな人山歩きが楽しくなるでしょう2015年11月3日
形式: 文庫Amazonで購入
人の着目点は、いろいろな角度がありますが、山歩きをするというのは、トレッキングだけでなく感性を磨ける楽しみがあることをこの本で知りました。山や森など木々と共生する見えない何かに感じることができる本です。微生物は見えないけれど見ようと思えば見えるようになります。人も微生物です。そういうことが何回か熟読することで解るかもしれません。南方熊楠の研究と波乱万丈な人生がユーモラスに描かれていてとても、私自身惹きつけられました。見えない世界が見える世界に与えている大きな役割を感じました。本を読み終えた後には、感性が一段と研ぎ澄まされたような気もします。それは、気のせいではなく、本の中から木の精がワープして付いたからかもしれません。(笑)

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Amazon カスタマー

5つ星のうち4.0最近とみに評判の高い明治の知の巨人をユーモラスに語る2017年3月25日
形式: 文庫Amazonで購入
妖怪水木しげるが、怪人熊楠を彼の日々の生活とおして親しみやすく描いたもの。熊楠好きにはちょっとユニークな評伝になります。

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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なおかむ

5つ星のうち5.0漫画での紹介にうっとり2017年6月15日
形式: 文庫Amazonで購入
大変分かりやすい漫画での表現に心からの内容が染み出て、我が心への栄養源となりました。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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Amazon カスタマー

5つ星のうち5.0熊楠入門書です。2018年12月31日
形式: 文庫Amazonで購入
熊楠を知りたいなら、まずこれを読むべし。
全体像を掴むのには中々と難しい熊楠ですが、これを読めば一目瞭然、熊楠の人間像と功績、時代背景、生き様が簡単にわかります。

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5つ星のうち4.0粘菌で有名な巨人、変人、賢人2017年11月30日
形式: 文庫Amazonで購入
昭和天皇に粘菌標本の入ったキャラメル箱を渡したのは有名。変人、賢人であったが、神社や神社の森を守ったという行動力はすごい。
水木の漫画では、酒飲み、淫乱、嘔吐癖が前面に出ているが、書かれている内容は非常に意義深いものである。
水木の自然、妖怪、得体のしれないものへの考え方、哲学が伝わってくる。
ただし、文庫版なので非常に字が小さく 老眼の身には非常に厳しい

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Amazon Customer

5つ星のうち5.0強烈な個性を描く2018年1月27日
形式: Kindle版Amazonで購入
水木しげるにこのような作品があるとは知りませんでした。

南方熊楠と言えば博覧強記な博物学者として知られていますが、
このような強烈な個性の持ち主であったことは初めて知りました。
逆に言えば、このような強烈な個性なくしてはあの生き方を貫くことはできないのではないかとも思います。

生誕150周年ということで、国立科学博物館でも企画展示がされていましたが、
この本も読むと、研究の業績だけでなく、どんな人物であったのかも分かっていいと思います。

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紫陽花

5つ星のうち5.02人の巨人の生命観と人生観とが共鳴して産まれた傑作 !2011年3月11日
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水木先生が「猫楠」という猫を語り部として、知の巨人「南方熊楠」の後半生を描いた作品。博覧強記の大天才で粘菌の研究者として著名な熊楠だが、書簡を除くと熊楠自身が残した書物は少なく、その思惟の全貌は詳らかにされていない。その意味で、史実に基づいた内容を含む本作は、単に大奇人が大怪人を描いたという興味本位を越え、熊楠の"人となり"を知る上での貴重な資料にもなっていると言える。それにしても、「熊」を「猫」に語らせるという着想は如何にも水木先生らしいと思った。

水木先生が独特のタッチでユーモアとペーソスに包んで熊楠の数々のエピソードを描いた抱腹絶倒の物語だが、作中で2人が共鳴し合っているように映った。2人には共通点が多いのだ。童心のままで邪念がない、霊的世界への好奇心と自然な受容、物欲や出世欲の無さ、常識に捉われない自由な発想・行動、開けっ広げな性礼賛。それだけに、水木先生は熊楠の本質を感じ取っていた様に思われる。熊野の森林を中心にして描画が繊細を極めているのも常の通りで、作品に奥行きを与えている。「鬼太郎」に登場する"牛鬼"が言及されるのも可笑しい。「ネズミ男」を思わせる「ねずみ猫」が出て来るのは更に可笑しい。孫文や柳田国男も登場する辺り、熊楠のスケールの大きさの証か。また、「タクト」の比喩は深いと思った。

生命の起源は未だに謎で、更に動物が植物からどうやって枝分かれしたかも分かっていない。「粘菌」は動物と植物の両方の性質を持つ不思議な生き物で、憶測だが、熊楠はそこに"生命の神秘と根源的な力"を観ていたのだと思う。また、そうした熊楠の姿を本能的に嗅ぎ取って水木先生が漫画化したのだと推測される。本作はそんな2人の巨人の生命観と人生観とが共鳴して産まれた傑作だと思う。

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タカシ1号

5つ星のうち5.0面白かった2017年12月14日
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水木しげる先生のファンです。
南方熊楠先生のことは倫理教科書で知りました。
教科書で出てくる偉人の方々は伝記などでその方のエピソードや生い立ちを知ることで興味がましより頭に入りやすいと思います。
迷っている方はぜひ買ってみてください。

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真栄田章

5つ星のうち5.0山歩きが好きな人山歩きが楽しくなるでしょう2015年11月3日
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人の着目点は、いろいろな角度がありますが、山歩きをするというのは、トレッキングだけでなく感性を磨ける楽しみがあることをこの本で知りました。山や森など木々と共生する見えない何かに感じることができる本です。微生物は見えないけれど見ようと思えば見えるようになります。人も微生物です。そういうことが何回か熟読することで解るかもしれません。南方熊楠の研究と波乱万丈な人生がユーモラスに描かれていてとても、私自身惹きつけられました。見えない世界が見える世界に与えている大きな役割を感じました。本を読み終えた後には、感性が一段と研ぎ澄まされたような気もします。それは、気のせいではなく、本の中から木の精がワープして付いたからかもしれません。(笑)

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5つ星のうち4.0最近とみに評判の高い明治の知の巨人をユーモラスに語る2017年3月25日
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妖怪水木しげるが、怪人熊楠を彼の日々の生活とおして親しみやすく描いたもの。熊楠好きにはちょっとユニークな評伝になります。

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なおかむ

5つ星のうち5.0漫画での紹介にうっとり2017年6月15日
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大変分かりやすい漫画での表現に心からの内容が染み出て、我が心への栄養源となりました。

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Amazon カスタマー

5つ星のうち5.0熊楠入門書です。2018年12月31日
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熊楠を知りたいなら、まずこれを読むべし。
全体像を掴むのには中々と難しい熊楠ですが、これを読めば一目瞭然、熊楠の人間像と功績、時代背景、生き様が簡単にわかります。

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グラグラ

5つ星のうち4.0その生涯の悲しい側面2014年9月17日
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南方熊楠がその生涯において、こんなに悲しい思いをしていたとは知らなかった。
鎮守の森を守る運動と粘菌のことくらいしか知らなかった自分にとって、衝撃でした。

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やす

5つ星のうち5.0意外で面白かった!!2013年12月2日
形式: 文庫Amazonで購入
熊楠を夏休みの自由研究の題材に取り上げ
記念館を訪れて仕上げたのが1年前
この本を読んでそのときと全く違う
印象を受けました。熊楠をもっと身近に
人間らしいところが知れて
とても楽しく読むことが出来ました

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naoussa

5つ星のうち5.0水木漫画の最高傑作では?2018年4月12日
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のんのんばぁと河童の三平と並ぶ水木漫画の傑作。
読み返すたびに発見があります。

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佐々木知子

5つ星のうち5.0とどいつを歌うシーンが多い2018年1月10日
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読みやすかったし、妖怪や幽霊につながるところが水木しげるとぴったりあってました。
熊楠は偉人でありながら子供っぽさやしょうもなさもかかれてて、ますます面白い人物だと思いました。

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アマゾンらぶ

5つ星のうち4.0本当にこんな人だったの?2017年9月19日
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多少の誇張があるかもしれないが、熊楠のイキイキとした性格が伝ってくる。個人的にはもう少し彼の研究内容にも踏み込んで欲しかったので、星4つ。

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老爺

5つ星のうち5.0ありがとう水木しげる2016年7月18日
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南方熊楠の人となりを再現してくれているとわたしは思う。
水木しげるの傑作の一つだ。

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小春のパパ

5つ星のうち5.0導入本2017年8月22日
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南方本を読む前に読んでみると良いです。理解しやすいです。この本を契機に南方本に嵌るかも知れません。

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米倉光正

5つ星のうち3.0日本が誇る、知られざる学者。2017年10月3日
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なかなか一般の人には理解し難い、学者。粘菌学者では、世界的に有名な学者だとか…

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Amazon カスタマー

5つ星のうち4.0活字の大きさ2019年5月25日
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コンパクトでよいのですが、その分、少し活字が小さかった

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竹内 博

5つ星のうち4.0熊楠2017年8月2日
形式: Kindle版Amazonで購入
水木しげるらしさが伺えました。
熊楠を知りたく田辺、白浜資料館に行きます。

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Amazon カスタマー

5つ星のうち5.0熊楠の人物像2016年6月20日
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熊楠の非凡な人間力を明快な水木しげるの漫画で楽しめました。想像力が豊かになる作品です。

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アマゾンの国からこんにちわ

5つ星のうち4.0時を超えて通じ合う怪人ふたり?2011年10月3日
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南方熊楠は大昔に何かで読んだ事があるような、でも覚えていなくて
殆ど前提知識なく本書を読み始めました。

読み始めると、とにかく卑猥な表現が出まくります。
「チ○ポいじりながら顕微鏡」なんて程度で驚いていてはいけません。
「陰毛を捨てるな」と妻をどやし、お○ん○と寝言で呟き、
ここに書けない極めて下品な猥談で大臣から寄付を募ります。
とにかく活動的ですぐに酒を呑んで喧嘩して、滅茶苦茶です。

南方熊楠の人生を、性を感情を奔放に交えて表現しています。
これらはどこまで水木さんの解釈かはわかりませんが、末尾の対談などをみるにつけ
南方熊楠とは半理半妖というか、アカデミックな学問だけでなく生命の神秘を探る目的で
目に見えるものと見えないものどちらも探求しようとした人のようです。
結果、水木さんの言う「妖力」が高まり副作用としてスケベなことばかり口にするように
なったのではないか、実は自分もそうなんだ、なんてことも語られています。

単に「色ボケ爺の妄想」ととるか「業深い人間エネルギー」などととるか、、
私は南方熊楠をもっと知りたくなりました。

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けいちゃん☆

ベスト1000レビュアーVINEメンバー
5つ星のうち5.0日本の学界史上に残る大妖怪2012年11月21日
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博物学、菌類学、民俗学で多大な功績を遺した南方熊楠の半生を、猫楠の視点から綴った物語。

大英博物館時代の思い出話しから始まり、初恋、結婚、神社合祀反対運動、女房の家出、蟻の研究(陰茎が2倍)、柳田国男との親交、パルモグレアの繁殖、野中権蔵との紛争、南方研究所の設立、弟・常楠との確執、息子・熊弥の発病、天皇陛下への御進講、そして転生という、熊楠の半生を余すところなく面白く分かりやすく描いている。

熊楠が粘菌を研究していたのは、粘菌が「生死の現象」、「一生の一つのつながりを見せてくれる」からだという。

熊楠は、近年の単純な「科学」では割り切れない、真の学問を追求した天才であり、下ネタを愛した奇人でもあり、まさに「大妖怪」であったことがよく分かる。

今の日本には、熊楠のようにワイルドでパワフルで、なおかつ知的好奇心を持って何に対しても真剣に考えるという人がほとんどいないように思う。

今の日本人には、「脳力」が足りない。

「脳力」とは、「純粋な心、即ち名誉とか欲といったもののない一点の曇りのなき状態、大自然の心になりきったときあらわれる力である」。

ひとつひとつのエピソードが面白く、伝記物語としてはもちろん、人生について、人間について深く考えさせられる一冊。

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塾・ひのくるま

5つ星のうち5.0「追悼 水木しげるさん」2015年12月6日
形式: 文庫Amazonで購入
 水木しげるさんが、2015/11/30 にお亡くなりになられたことを、今夕のNHKのニュースで知りました。訃報に接しご冥福をお祈りいたします。
 水木しげるさんの出身地の鳥取県境港市では、今日「“ようかい大行進”」が催され、水木しげるさんをしのんだとのことでした。

2006年の春、K大のP教授と訪ねた和歌山県白浜町の南方熊楠記念館で求めた、
水木しげる『猫楠―南方熊楠の生涯』角川文庫ソフィア
が、一番の思い出の作品です。
南方熊楠という博覧強記の異人を描いた作品には、
水木しげる『奇人怪人大図鑑』ちくま文庫―妖怪ワンダーランド
もあります。

大切な方たちが一人また一人と亡くなられていきます。
大切な方たちとのお別れが続きます。

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にゃんこ博士

VINEメンバー
5つ星のうち5.0わかりやすく面白い2010年6月1日
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南方熊楠といえば…粘菌の研究者?民俗学者?日本で始めてネイチャーに論文を乗せた人?どこでも反吐を吐く人?等など常人の思考範囲では捕らえられないところがある人です。
そういう沢山の顔を持った人物ですが、そこは流石の水木先生。熊楠像をとても鮮やかに描き出しています。

何より面白い。熊楠に個人的興味がない人でも爆笑必至は間違いなし。

水木先生の作品なので「猫が言葉をしゃべりだす」や「幽霊とオナラで演奏会をする」などハチャメチャな記述がありますが、熊楠の場合、案外本当にやっていたのかもしれません。

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biotite

5つ星のうち5.0興味深い。2015年8月30日
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南方熊楠のことは知らなかったのでわかってよかった。

天才水木しげるが描く天才南方熊楠。

はて、天才とは何だろう。

とても魅力的な人、ダメダメだけど可愛い人、どこか人とは違う宇宙と繋がっている人のことなのかな。

漫画はとても面白かった。

終わりの方の水木しげる×中沢新一の対談も良かった。

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mikeneko86

VINEメンバー
5つ星のうち5.0幸福であったかどうかは、棺桶に足を突っ込むまでわからない2005年9月25日
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~奇才、大巨人などと呼ばれる在野の大学者、熊楠。
しかし、彼のなんと破天荒であったことか。
中央のアカデミズムから自由であり、闊達な研究を進め、奔放に暮らす。
「粘菌の中に輪廻転生を見る」という日常が、熊楠の根幹を形成しているのでしょう。
熊楠の人間的な魅力が、水木の愛情溢れる精細なタッチによって、
数々のエピソードとともに浮き彫り~~にされていきます。
昼寝をしたりあぐらをかいたりする、妙に哲学的な猫楠。
ときに熊楠の客観性であったり、水木の解題者として登場する。
なお、部分的に生き生きとし過ぎているので"PG-15指定"といったところでしょうかね~

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Naoyo Rowe

5つ星のうち5.0文句なしに五つ星!2014年2月1日
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猫楠(ネコグス)と名前をつけられた のら猫 が南方熊楠の生涯をのぞき、観察し語る。まれにみる哲学書。
ホントの猫好きの人には、必見のマンガです。出だしのイントロがなんともいい。
熊楠の英国時代のエピソードが載る第一話では、イギリスの建物がしっかりと描写されて、水木しげるの絵のうまさに脱帽。
それにしてもこんな天才が日本にいたことを、知ってほしい。
表紙の絵もいいね。   (英国在住 ロウ尚代)

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heiseiサンカ

5つ星のうち5.0和歌山の・・2013年11月19日
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和歌山の人の中で最も世界的に有名な人って熊楠でしょぅ・・
 熊楠先生大好きです!!

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尿泉さん

5つ星のうち3.0思ったよりも2016年7月3日
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面白くはなかった。事前にかなりポジティブな情報ばかり入っていたからだと思う。
どことなく哀愁漂う内容だった。

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千手成庵

ベスト500レビュアー
5つ星のうち5.0南方熊楠の生涯理解に最適2018年1月31日
形式: 文庫
水木しげる「猫楠」を読みました。。
水木しげる漫画全集収録でA5版で500ページのボリュームです。
明治大正昭和に活躍jした粘菌・菌類の研究者として世界的に著名な南方熊楠の一代記です。
「我輩は猫である」と同じ手法で猫から見た南方熊楠の生涯です。

幼い頃から読書に淫する天才児ですが、自分の好きな科目しか勉強せず東大卒業も覚束なくアメリカ、中米に渡り、ここでも天才ぶりを発揮し数カ国語をマスターします。
イギリスへ渡り、懸賞論文が認められ大英博物館研究員として雇われます。
数々の学問的業績をあげますが、世渡りが下手な変人奇人で、周囲と軋轢が多く日本へ帰国します。

故郷の和歌山で研究を続け学問的な功績は認められますが破天荒な言動が奇人そのもので騒動が絶えません。
家では素っ裸で過ごし、大酒飲みで、喧嘩が多く、敵も多かったのです。

晩年になり熊楠に悲劇が訪れます。
学業優秀な最愛の息子が若くして多分、統合失調症を患いました。
息子の看病介護に南方夫妻は振り回され、疲労困憊で病を得、体の自由が効かず死期を迎えます。

学問的な実力はあるものの世間に理解、評価されない変人奇人でした。
いかにも水木さん好みのキャラクターです。

晩年の出来事で特筆すべきは昭和4年に和歌山県・神島に来られた昭和天皇に粘菌のご進講をしたことです。
生物学者でもあった昭和天皇は熱心に熊楠の話を熱心に聞き採集した標本も居見深く眺められ予定時間を遥かにオーバーしました。

終戦後の昭和37年、昭和天皇は南紀行幸啓の際に30余年前に訪れた神島を眺めて
「雨にけふる神島を見て 紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」
と詠まれ、この歌の碑は、神島を望む、南方記念館の前に建立されています。

昭和天皇にとって熊楠のご進講はよほど印象深かったのでしょう。
お歌に「南方熊楠」と氏名を使われているのには驚きです。

水木しげる先生は平成15年に旭日小綬章を受章しました。
この時、水木先生は黒のフロックコートに黒のシルクハットという今時、場違いな服装でした。

これは、南方熊楠が昭和天皇にご進行したときと同じ服装だったと、この本で知りました。
水木先生の南方熊楠へのオマージュだったのです。
感慨深いものがあります。

平成天皇は園遊会で水木先生夫妻をご自分のお茶席に招かれ朝ドラの「ゲゲゲの女房」を見ていること、妖怪の話をされたとのことです。

また水木先生のお別れ会には、天皇陛下より御香典が送られました。

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zuka

5つ星のうち4.0南方を知るはじめの一歩にふさわしいです。2016年7月8日
形式: 文庫Amazonで購入
尊敬する日本人を挙げのなら、「南方熊楠」ははずせません。いつか記念館に行きたいと思っているので、その前に予習をしようと何冊か南方に関する本を購入しました。他の方のレビューからこれから始めるといいとあったとおりだと思います。星5つでもよかったのですが、一つ減らしたのは、南方の海外での活動があっさりだなと思ったからです。詳細が知られていないので仕方がありませんが、水木ワールドであれば描けるのではないかと期待していたのでちょっと残念です。

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waka

5つ星のうち5.0あの水木しげるが尊敬する世界的博士の生涯2016年8月2日
形式: 文庫
故・水木しげるが文化勲章だったか、紫綬褒章だったか忘れたが、受賞のとき水木氏はシルクハットをわざわざ新調して出向いたとか。
それは、尊敬する南方熊楠にあやかったからだと「ゲゲゲの女房」だったかな。それにのってて
南方熊楠のことはなんとなく知っていたけど、実際にどんな人かは知らないが、あの奇人・水木しげるが尊敬するならよほどぶっとんだ人なんだろうな、という予測はあった。実際この「猫楠」は私の予想を裏切ることなく、実に面白い。
そして熊楠の生命と霊魂と自然界への深い愛情が伝わってきて、それは水木氏の考えを熊楠が代弁しているかのようでもあるし、熊楠の考えを水木しげるが代弁しているかのようにも見える。
タイトルの「猫楠」とは、熊楠が飼っている猫で、彼が名付けた名前である。この猫楠がなんともユーモラスで可愛らしい。

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アホ ロートル

5つ星のうち4.0水木さんの「幸福論」?2004年9月16日
形式: 文庫
幸福とは何か、と大真面目で考えたなら、しかめっ面になりそうな問題を、しかつめらしくない仕方(つまり、漫画)で答えようとした、水木しげるの幸福論として、私は読みました。
水木さんの南方熊楠に対する思い入れはたいへん大きいようです。「猫楠」の前に、たしか「怪傑熊楠」というのを描いていたと思います。また、ちくま文庫版「くまぐす外伝」(平野威馬雄著)では「解説」も記しています。
読んだ印象ですか?
画家志望だった水木さんですから当然と言えば当然ではありますが、ところどころ出てくる細密画の上手いことに先ず驚きました。
内容についていえば、取り上げられている熊楠のエピソード等の出典は主に「くまぐす外伝」ではないかと思いました。
(もっとも「くまぐす外伝」には記述の無い熊野の謎めいた場所のことなど、水木さんのその道の該博な知識が「猫楠」には披瀝されています)
それにしても、つくづく凡人で良かったと思います。
そういえば、読後ふと思い出した言葉がありました。テレビでお話していた、小沢昭一さんのことばです。「幸せは ささやかなるが 最上」

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貧書生

5つ星のうち5.0怪人(南方)×怪人(水木)=本書2005年6月14日
形式: 文庫
本書は中編「怪傑くまくす」に続く、南方熊楠についての筆者による本格的な伝記マンガ
です。物語は遊学先からの帰国から、亡くなるまでの主人公の活躍を、ほぼ史実にそって
描いています。
もっとも、猫楠という飼い猫を狂言回し(水木版「吾輩は猫である」)にするなど、筆者
はかなり脚色をくわえているので、独自の作品に仕上がっています。とはいえ南方が死ぬ
まで自分を飾らない純粋な人だったことが本書からもよく伝わってきます(ただし筆者の
脚色も入っていますので、南方の生涯について知りたい方は、伝記にあたることをおすす
めします)。
本書には猫楠をはじめ、たくさんの猫が登場します。筆者のえがく猫はいつ見ても愛らし
いです。猫好きにはたまらない一冊だと思います。
第1話 「大怪人」との出会い
第2話 那智山中の幽霊村
第3話 わが思いの貴婦人
第4話 山高帽で訪問
第5話 田辺の親分
第6話 神狩り戦争
第7話 人魚の裁判
第8話 蟻の研究
第9話 日高川踊り
第10話 柳田国男
第11話 猫安の招待
第12話 高野山
第13話 権蔵との戦い
第14話 南方研究所
第15話 大いなる哀しみ
第16話 天皇陛下
第17話 転生

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鳥の胸肉28円

5つ星のうち3.0事実と創作の境界がよくわからないが。。。2012年11月3日
形式: 文庫
 南方熊楠の生きざまを水木氏独自のタッチで描いた不思議な作品。英国から帰国してからの生涯について描かれ、英国でのエピソードは回想として盛り込まれている。

 途中幽霊や妖怪がでてきて「???」だったが、解説などを読むと南方は幽霊と妖怪をよく見るひとだったとのことで、納得。

 どこからが水木氏の創作か判然としない面があるのが難点だが、南方のことを知る入口には良いかも知れない。

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なし

5つ星のうち4.0秋篠宮殿下もご愛読。2012年5月25日
形式: 文庫
生誕145周年ということで改めて読み返してみました。初めて読んだときは下ネタ満載で(南方熊楠が本当にそういう人だった)ど肝を抜かれましたが、熊楠の晩年をこれほど生き生きと描いた作品は他にないのではないかと思います。天才であり破天荒な奇人(しかも無職)でもありましたが、これほど郷里の友人達に愛され支えられたということはやはり魅力的な人物だったのでしょう。水木さんは皇居の園遊会に招かれた時、敬愛する熊楠にあやかってフロックコートと山高帽で出席したそうです。

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大好英哲ヒューム

5つ星のうち3.0てんぎゃん-南方熊楠伝の方が読みやすい2017年3月4日
形式: Kindle版Amazonで購入
最後は飛ばし読みした。

水木 しげる のつくった熊楠伝

人と人とが世界一、支えあって生きているこの日本で、自律した個人として生きた熊楠と水木 しげる。

共感したのはわかるが、 熊楠伝としては、期待外れ。

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如是我聞

VINEメンバー
5つ星のうち5.0伝記としてもユニーク2010年6月2日
形式: 文庫
 南方熊楠の生涯を、丁度熊楠が紀州に戻った頃から始めます。
ロンドン時代もその後きっちり語られますが、紀州田辺で出会った
猫と会話を交わしながら物語は語られます。幽霊、魔女と、
出会う人々(?)もユニークですが柳田國男や天皇陛下など実際
に出会ったエピソードも描かれています。
とにかく面白い。思想方面に興味のある方にもおすすめですよ。

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wabysaby

5つ星のうち5.0マンガ表現と史実が融合した、すばらしい伝記2004年12月17日
形式: 文庫
熊楠が「猫楠」という化け猫(?)を飼っていた、という設定にして、その猫を狂言回しに熊楠が外国の放浪から帰国して後の半生を描いたマンガの伝記。
熊楠が熊野の山中で妖怪と話をしたり、死んだ両親が幽霊になって忠告に現れるなど、熊楠の妖怪的な側面を強調しているが、基本的には彼の生涯を忠実に描いているらしい。鶴見和子さんの著書『南方熊楠』でも、彼の異能について触れている。自然を感応する力が強く、それを理性の言葉で表現できた希有な人物だったというのだ。それをマンガ的に表現すると『猫楠』になるのだと思うと納得する。
そして、超常的能力を誇張して表現したために、忠実な伝記でありながら、マンガとして十分読める傑作になったのだと思う。
明治政府が推し進めた神社の合併・統廃合に対して、熊楠が渾身の力を込めて抵抗した足跡や理論は、エコロジー思想や持続可能性の問題とも直結する極めて現代的なテーマでもある。熊楠をネタにして、マンガによって表現された現代思想と読むこともできよう。

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sirou55

ベスト1000レビュアー
5つ星のうち5.0奔放に生きる2005年11月22日
形式: 文庫
水木しげるの描く人物伝シリーズの一つで長編に類する。自然科学者でありながら学歴がないばかりに国内では無名、しかし海外では「ネイチャー」誌に論文が載ったりして有名で、戦前、やはり自然科学者であられた昭和天皇のお耳に入り御進講をするというクライマックスが訪れる。

人生の大半を実家からの仕送りで生活し、好きな粘菌研究や神社合祀令に反対する運動などを行ってきた。晩年は弟と不仲になり絶縁状態、長男の発狂など決して明るいことばかりではなかったが、家の中では真っ裸で好きなことに熱中できたのは幸せだったろう。しかし、家族はたまらんかったろうなぁ〜。

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ねじれしっぽ

5つ星のうち5.0傑作!2004年9月1日
形式: 文庫
 水木しげるさんの描く伝記は本当におもしろい。時々唐突な展開や人物同士のやり取りに妙な論理の飛躍があるが、それがまたなんともいえない雰囲気を醸し出していていい。そして何より人物が実に生き生きと描かれている。
 
 本書でもそれらは遺憾なく発揮され、大天才、そして大奇人であった南方熊楠の一生が非常に生き生きと描写されている。特に熊楠のハチャメチャぶりや、人間味あふれる行動などの描写がすばらしい。数々のエピソードには思わず吹き出しそうになるし、息子の熊弥が精神を病んでしまい悲しみに沈む場面にはこちらもホロリとさせられる。人間・南方熊楠を描いた伝記として非常にすばらしい。

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