2025-11-13

丸山眞男セレクション

Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: 丸山眞男セレクション

ペーパーバック
¥2,310 (23pt)
発売日 ‏ : ‎ 2020/6/1
言語 ‏ : ‎ 日本語
ペーパーバック ‏ : ‎ 481ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4256983155
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4256983157
寸法 ‏ : ‎ 11.4 x 3.07 x 16.5 cm
Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 412,266位 (本の売れ筋ランキングを見る)
政治家 - 203位
カスタマーレビュー: 4.4 5つ星のうち4.4   (73)
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丸山眞男セレクション ペーパーバック – 2020/6/1
丸山眞男 (著), 杉田敦 (編集)
4.4 5つ星のうち4.4 (73)





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その思考の特徴を示す代表的な諸論考を収録



カスタマーレビュー
5つ星のうち4.4
4.4/5
73 件のグローバル評価
星5つ






丸山眞男セレクション
丸山眞男


===
18件のカスタマーレビュー

日本から太平洋戦争の前中後において著者がどのように生きたのかそれを日本の歴史と併せて解説するテレビ放送を見たことがありますそしてその歴史体験が強い探究心を著者に与えたことは容易に推測することができました
"先ず岩波新書の「日本の思想」を読めそれを読みこなしてその議論をしよう"と著者は話をされていたそうでその話が耳に残っています
歴史過程は社会構造体として保存されますが著者が見ていた歴史過程はどのように私たちに保存されているのでしょうか
あたかも時間ドメインにおいて成長する結晶が例えば多彩な雪の結晶が備える固有の形態および構造を観察し分析するかのように著者は本題を展開しています
 本題には記述記号「=」を多く使用していますこの記述記号「=」はマルクスも使用しており例えば「・・・国家による中央集権は、現代社会が必要とするものだが、それは、封建制に対抗して鍛えられた軍事的=官僚的統治装置の廃墟でしか成立しない。」(※1)のようにマルクスは使用しています
 他方で著者は例えば「日本における統一国家の形成と資本の本源的蓄積の強行が、国際的圧力に急速に対処・・・ために驚くべき超速度で行われ、それがそのまま息つく暇もない近代化-・・・官僚制支配の貫徹と、軽工業及び巨大軍需工業を機軸とする産業革命の遂行-にひきつがれていった・・・、その社会的秘密の1つは、自主的特権に依拠する封建的=身分的中間勢力の抵抗の脆さであった」(※2)のように著者は使用しています
 記述記号「=」には幾つかの使用規則がありますが、マルクスおよび著者は異なる範疇の内に在る各概念相互間の結合記号として使用しているように読み取れます
 例えば範疇Aにおける概念αと範疇Bにおける概念βとがその相関において結合関係を備えている場合にα=βのように記述しているのではないかと考えられますまたこれは範疇Aと範疇Bとをレイヤとして把握する強力なシステム把握であるとも感じられます
著者が「日本の思想」と記述する理由はそこに固有の特徴が在ると理解しているからでそのことはご存じの通りですしたがいましてその対極には他国の思想や標準になる思想そして一般性を備える思想が設定されていてそれらの思想は何れも民主主義の思想であることは明確です
一般性を備えている筈の民主主義は資本制経済システムがグローバルに広まる程度に応じて各国の歴史過程が保存された社会構造体においてそれぞれ固有の特徴を有して保存されて行くことは広く知られている通りです
このことは資本制経済システムにおける民主主義は一般性を備えているが歴史過程を貫通する普遍性を備えていると迄は言えないことを示していると考えられます
そしてその事は著者が「制度の物神化」(※3)を把握する記述からも窺うことができます
 「超(スーパー)近代と前近代とが独特に結合している」(※4)ことから結晶化した私たちの自由そして民主主義は
 現在のグローバルな対向関係そして緊張関係を豊かな普遍化へと換えて導くモード転換を必要にしていると考えられ
 その為には新しい経済システムを稼働させるための新しい政治が必要になると言えるでしょう
 1つの国だけでは解決できない課題を私たちは既に理解しています

※1 ルイ・ボナパルトのブリュメール18日 講談社学術文庫 第168頁
※2 本書の第320頁
※3 本書の例えば第319頁
※4 本書の第280頁


green


5つ星のうち4.0 まずはこの本から。2025年10月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本の思想、も含まれているので丸山眞男を読むならまずは、この本で良いのでは。



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Fooky


5つ星のうち5.0 コレクションに2024年5月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
オススメです。

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狭間


5つ星のうち3.0 目録2024年7月21日に日本でレビュー済み

丸山眞男の著作で、入手しやすい文庫版のものを、目次つきで列挙しておく。

①『 超国家主義の論理と心理 』 
超国家主義の論理と心理
日本ファシズムの思想と運動
軍国支配者の精神形態
ファシズムの現代的状況
ノーマンを悼む
スターリン批判における政治の論理
反動の概念:ひとつの思想史的接近
ナショナリズム・軍国主義・ファシズム
現代文明と政治の動向。

②『 政治の世界 』 
科学としての政治学
◆人間と政治
政治の世界
権力と道徳
支配と服従
政治権力の諸問題
政治学入門(第一版)
政治学
政治的無関心
政治的判断
◆現代における態度決定。

③『 忠誠と反逆 』 
忠誠と反逆
幕末における視座の変革
開国
近代日本思想史における国家理性の問題
日本思想史における問答体の系譜
福沢・岡倉・内村:西欧化と知識人
歴史意識の古層
◆思想史の考え方について:類型・範囲・対象

④『 福沢諭吉の哲学 』 
福沢諭吉の儒教批判
福沢に於ける実学の転回 : 福沢諭吉の哲学研究序説
福沢諭吉の哲学
福沢諭吉選集(第四巻)解題
福沢諭吉の人と思想
福沢における惑溺
福沢諭吉と日本の近代化 序

⑤『丸山眞男セレクション』(本書)
国民主義の前期的形成
超国家主義の論理と心理(①と重複)
福沢諭吉の哲学 (④と重複)
軍国支配者の精神形態(①と重複)
肉体文学から肉体政治まで
三たび平和について
現実主義の陥穽
戦争責任論の盲点
ある感想
日本の思想
政治的判断(②と重複)
拳銃を…
現代における人間と政治
20世紀最大のパラドックス。

⑥『 丸山眞男座談セレクション(上) 』・『 同(下) 』 
◆教育の反省(宮原誠一)
◆現代社会における大衆(田中耕太郎ほか)
現代革命の展望(竹内好、埴谷雄高ほか)
思想の冒険(大塚久雄、久野収ほか)
芸術と政治
現代における革命の論理
非西欧世界の近代化(開高健)
戦後日本の精神革命(南原繁)
日本神話をめぐって
民主主義の原理を貫くために
現代における平和の論理

日本の言論

普遍的原理の立場(鶴見俊輔)

近代日本と陸羯南

クリオの愛でし人のこと
歴史のディレンマ:マルクス、ウェーバー、ポパー
岡義武 人と学問。

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田中眞佐志


5つ星のうち5.0 これで丸山眞男の著作は揃った!2024年4月9日に日本でレビュー済み
フォーマット: ペーパーバックAmazonで購入
もっと早く文庫版が出て欲しかった



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わんこにいさん


5つ星のうち4.0 未だに変わらぬ政治課題2023年12月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
1950年代に書かれた日本の政治構造、企業も含めた意思決定プロセス、これらを含めた社会システム上の欠陥が未だに解消されないどころか、更に深刻化している現状に慄然とせざるを得ない。
丸山政治学を学んだ人間は社会の中枢にも多いだろうが、まさに丸山が指摘する受け身の無責任体制に絡め取られ改革もできず今に至っているのだろう。

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八王子狭間タウンズシニア


5つ星のうち5.0 コンパクトな文庫版でとても読みやすい2014年1月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の本は、講義録のハードカバー本が多く、内容
は容易に読めるものが多いのに、なかなか取り付き
にくかった。
本書は、文庫版で、タテ列の文字数が少なく、よっ
ぽど読みやすくなった。年寄りには)

さて、有名な「超国家主義の論理と心理」から「二
十世紀最大のパラドックス」まで、14の論考がお
さめられ、杉田敦氏の解説がついている。

日本の政治的な考え方=思惟様式の原形がどこで生
まれ、維新後どのように鍛造され、戦時下の展開を
経て、現在それがどのように変形されたかが論じら
れる。

その原形が、戦後改革されたのか、変形されたが原
形は生きているのか。今朝の新聞を見ると、戦前と
は民主主義の発達が全く違う、とある政治学者は書
いているが、いったいどうなのか・

こうした問題を考察する、政治的な思考の仕方が、
いたるところ書かれているように思われる。

なんといっても、全体に、さまざまの政治的現象が
素材としてとられ、それをさまざまに調理するとい
う形で論理が展開する。方法が検証されるのである。
つまり、ある意味では時事批評のようでもあり、通
俗小説を読むように面白いのである。

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平野敦士カール


5つ星のうち5.0 日本の思想の中核2016年11月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は丸山氏の代表作が収録されており非常に濃いが有益だと思います

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小林 史尚


5つ星のうち4.0 丸山眞男セレクション (平凡社ライブラリー)2021年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ありがとうございました。

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NadegataPapa


5つ星のうち5.0 これから丸山眞男を読みたい方に2014年11月2日に日本でレビュー済み

丸山眞男(まるやままさお)は、1914年(大正3年)生まれの政治学者、思想史家。1996年(平成8年)没。戦後日本の政治思想に大きな影響を与えた。

丸山が残した膨大な論考の中から代表的な者を集めた文庫本。あまりにたくさんありすぎてどれから読んだらいいか分からない読者にとっては、最初に読むのにうってつけの本だ。

収録されているのは次の13編。
①「国民主義の「前期的」形成」1944
②「超国家主義の論理と心理」1946
③「福沢諭吉の哲学」1947
④「軍国支配者の精神形態」1949
⑤「肉体文学から肉体政治まで」1949
⑥「三たび平和について」第1章、第2章1950
⑦「現実主義の陥穿」1952
③「ある感想」1957
⑨「日本の思想」1957
⑩「政治的判断」1958
⑪「拳銃を・・・」1960
⑫「現代における人間と政治」1961
⑬「二十世紀最大のパラドックス」1965

私もこの本で初めて丸山眞男の文章に接したが、とても面白かった。時代のせいか、確かに言い回しが持って回つていて、素直に頭に入ってくると言う訳にはいかないが、その言わんとする所は論理的で、核心を突いている。

最も感銘を受けたのは「軍国支配者の精神形態」。東京裁判で当時の権力者達がなした証言や、ナチスドイツとの比較によって、戦前の日本がいかに官僚制に蝕まれ、政治的統合が成されないまま、戦争に突入していったかが描かれている。

結局日本が勝ち目のない無謀な戦争を始めたのは、責任の所在を明らかにしない制度、文化によるものなのだろう。この未曾有の大戦争を始めたからには、それなりの見通しを持っていたはずだと考えていた連合国は、いくら問いただしても、明確な計画も強力な組織力もなく、ただ流されるように行動し、揃って「自分は戦争には反対だったが、立場上反対する訳にはいかなかった」と述べる支配層に呆れ果てたそうだ。

ここに述べられている責任の所在の曖昧さ、支配層が官僚制にどっぷりつかっていること、自らが作り出したスローガンに引き込まれて現実認識を曇らせてしまう性質、既成事実に屈服してしまう性根は、「戦前の支配層は戦争したがりの軍部に牛耳られていたから戦争が起こった」といったようなことではないことを示している。何故なら、ここに述べられている性質は、現代の日本人の姿そのものだからだ。

その他の論考も面白いものが多いが、概して日本人の特質や政治、社会的姿勢についてのものは現代にも通じるが、外交、平和に関するものは、時代が変わってしまったせいだろうか、書かれた時代特有の考えでしかなかったものもあった。

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日本から
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koreyashiro


5つ星のうち5.0 理想的な 一巻版「丸山眞男集」2010年12月25日に日本でレビュー済み

「編者あとがき」によれば、編集にだいぶ苦労されたとのことですが、
そのご苦労の甲斐あって、丸山氏の著作の、よい鳥瞰図ができている
ように思います。

「福沢諭吉の哲学」は、岩波文庫でも独立した一書になっていますが、
読み返してみて、改めて 福沢が丸山氏の思想の中核に位置することを
実感しました。思えば丸山氏の著作を読み始めてから、35年以上経っています。
愚鈍なる身、人の思想を読み解くことは難しいものです。

「解説」にもあるように、丸山氏の主張は、一歩間違えば危ういものへ
転化しかねない要素をはらんでいますが、それは福沢の思想、および
丸山氏の門下生である庄司薫氏の「薫君シリーズ」で描かれた、一見明るい、
しかし常に現実との緊張関係が意識されている世界と軌を一にする
ところがあるように思われました。

この本は、丸山氏の他の著作を読む際にも参照すると便利な見取り図に
なっているのではないでしょうか。
丸山氏を論じた本を数冊読むより、この本一冊を読む方が
氏をよりよく理解できるのではないかと思います。

追記:

以上のように書きましたが、附言が必要です。

福沢諭吉による 言わば自画像が提示されている、
『福翁百話』を読んでみましたら、そこで描かれている像と、
丸山氏の描く福沢像には ずれがあることに気づきました。

丸山氏は、自らが生涯の目的にしたであろうと思われる、
「近代的自我が確立された個人の創出」を意図した
福沢像を提示しているのですが、『福翁百話』によれば、
福沢にとっては それは手段であり、目的ではありません。

丸山氏の思想の中核にあったのは、自らの似姿としての
福沢であった、と言えるかも知れません。

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cobo


5つ星のうち4.0 あくまで個人的感想ですが。2011年8月16日に日本でレビュー済み

この本はセレクションということで、様々なものが集められていますし、講演を文字おこししたものもあって、比較的読み易いものもあったのですが、内容をおおよそ把握できているか?も微妙です。幕末期の著作、明治黎明期の著作、昭和戦前期の著作からいろいろ引用があるのですが、そのどれもが凄く読みにくいし意味が分からないもの多数!正直飛ばし読みや内容を理解出来ないまま通り過ぎた箇所多数!なので分かってないところも(誤読、誤解あると思います)沢山あります。

「超国家主義の論理と心理」に於いて開戦への決断という重い意思決定が、ドイツではなされているのに対して、日本ではその意思決定すら無かったのではないか?という指摘は驚かされました、寡頭勢力によって国政が左右されていることに寡頭勢力ご気がつけていなかった為ではないか?という指摘です。例を挙げて東条首相の独裁政に対する国会答弁がひかれているのですが、陛下の御光を受けてはじめて光る、という答弁がまた凄いです。個人的にはこの問題提起は無責任であることの普遍性に繋がっていく問題(多分今も続いています)なのではないか?と思いました。

この問題を受けて、「軍国支配者の精神形態」がさらに突っ込んだ話しをされています。

国際政治学者が日米開戦前の状況を考えて、日本が開戦に踏み切る根拠がないことは明白であるにも関わらず、開戦に到ったのはどうしてか?という問いに答えるべく、様々な証言を集めたものなのですが、これが驚愕の、しかしどこか日本人であるなら腑に落ちる、そして今も続いている山本 七平さんの『空気の支配』があったことを示唆しています。

要するに、確固たる根拠も無ければ、もっと酷いことに負けると理解していたが職務上反対意見が出せなかった、という主旨の答弁をほぼ全ての責任ある大臣や閣僚が証言しているということです。このようなことを特にドイツの場合と比較して明らかにしてくれます。

その理由をさらに詳しく明らかにしてくれます。それが「既成事実への屈服」と「権限への逃避」であり、つまり『空気の支配』をより強固にすることへの理由です。東京裁判におけるフィクセル検察官と小磯被告の供述は、恐ろしいほどにまで日本的、としか言いようのない認識論ではないかと思います。

そしてこの論文の締めくくりの言葉として丸山さんが綴ったのは「これは昔々ある国に起ったお伽話ではない」という一文が重く響きます。

「福沢諭吉の哲学―とくにその時事批判との関連」という論文もかなり興味惹かれる論文でした。

福沢という人が何をどのように考えたのか?ということに対するアプローチです。個人的にも気になっていた方なんですが、その中でも重要と思われる「価値判断の相対性」です。何かを基準に於いて距離を測るのではなく、何かと何かの間でヨリ望ましい事は何か?という判断基準をするやり方です。ですから絶対的価値は存在しないとさえ言えます。何から何まで相対化して徹底的に考えよ、ということです。プラグマティズムという意味では、鶴見 俊輔さんに近い考え方のようにも感じました。価値判断の流動性を認めるということは絶対的価値に縋るということとの決別を意味しますし、その分自身の主体性を強く求められその責任を全て背負う気概を必要とされることを普遍とすることで培われる何かが重要なのではないか?ということです。ヨリ善きもの、ヨリ正しきものを常に判断を迫られることになるわけですし、これは日本的なものと合致しないのではないか?とさえ感じます。もちろんだから必要とされるわけですけれど。

福沢先生の言う進歩(事物の繁雑化に伴う価値の多面的分化)という考えも、また側面からヨリ善き、正しきものを判断することを止めるな、ということを補強すると思います。

また、個人的に強烈な印象を残したのが、福沢先生の言う蛆虫論、そして「恰も戯れのごとく」という思考は面白かったです。

そして1番読み易かったのが1958年の講演「政治的判断」です。

政治的認識が高度であることが道徳的だとか、崇高である、ということは全く無いのですけれど、しかし政治的認識が低い場合は自分の意図や目的と全く違った結果(現実)がもたらされることになる、という説明でグッと引き込まれました。

政治的に言うなら、反対勢力や敵の陰謀の結果によって騙された結果なのであって私の政治信念は間違ってない、というような弁解は政治的には最悪であり、政治とは結果が全てである、ということです。状況認識が甘かったことは、あるいは単純に敵の陰謀に気がつけなかった、ことが甘い判断であってその政治家を支持した私の政治的認識が低かった、ということです。

とかく政治信念という初期動機の純粋性を評価しがちですが、その評価は政治的認識から言えば低い、ということになります。この問題を突き詰めて丸山さんは民主主義という仕組みを運用するにあたっては、政治的認識が高度な政治的結果と選択が出来うる人の割合が増えることが民主主義をより運用できるようになると示唆しています。政治的選択を放棄することで恣意的結果を作りやすくもなりますし、なにより丸山さんが説かれているのは「ヨリ悪い」ことを避けることこそ政治的選択だといっています。この相対的判断は福沢先生の考え方ですよね。そして「ヨリ悪い」ことを避けるためにも全体の政治状況をいかに認識するかが重要だと記しています。

政治的認識に、空気の支配に、福沢諭吉に興味のある方にオススメ致します

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三日月しずく


5つ星のうち5.0 何度も何度も読み返してみたいと思います2015年3月8日に日本でレビュー済み

丸山眞男氏を全く知らなかった30代の女性ですが
職場で定年退職される方から「子どもの将来のために読んでおいた方が良い」と、本書をいただきました。

超国家主義者の性質とはどういったものか、nationalismとはどのように異なるのか
語句の意味も含めて、一つ一つが難しく、正直、まだまだ理解しているとは言えませんが

退職を前にした60代の先輩が私に遺したかったことを理解できるまでは、
何度も何度も読み返してみたいと思います。

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如那傘如臼太


5つ星のうち5.0 2010年4月初版の新しい本です。2010年6月6日に日本でレビュー済み

丸山眞男氏の書物は初めて読んだが、面白かった。
初心者向けに編まれた本であるだけあり、編者の杉田氏の解説も懇切丁寧で詳しい。

稿は発表年順に配列されており、読みづらい稿も読みやすい稿もあるが、
まずは最も読みやすい「政治的判断」から入り、「福沢諭吉の哲学」「軍国支配者の精神形態」に進まれるのをお勧めしたい。
一方で「二十世紀最大のパラドックス」は最後に読んだほうが良いと思う。

「政治的判断」は政治という行為のなんたるかを、この作者にしてはかなり優しい言葉で説いた稿である。
「政治に対して期待し過ぎるな、良いものを選ぶというよりむしろ悪さの少なそうなものを選べ」
という理屈は目から鱗であった。選挙の前に読みたい例示であった。
「福沢諭吉の哲学」は、明治の偉大な思想家の言動を裏打ちしていた原理を探るものである。
どちらの稿も、ひとつの見地にしがみ付かずに現実を多面的に見て行動することの大切さ・困難さを説いているように思う。

「軍国支配者の精神形態」は、不覚ながら笑ってしまった。
太平洋戦争時の日本の戦争責任の所在を探る稿なのだが、
戦争指導者らが一様に己の戦争責任を否定し、「国の趨勢が戦争だから仕方なく従った」という言い訳に逃げる様は、
滑稽ながらも悲しかった。
多くの戦争指導者らは、日本が戦争に突き進もうとしている現実を、変更し難い既成事実として受け入れ、
さらに自分は自分の上の人間の命で動いている、という意識を抱いて戦争遂行に当たったらしい。
その責任転嫁の行き着くところは、当時の日本の政体にして道徳の根源でもあった「国体」らしい。
政治体制の変わった現在であっても通用する、日本人の心理が見える気がする。

最後に収録されている「二十世紀最大のパラドックス」には、ジンと来るモノがあった。

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Amazon カスタマー


5つ星のうち4.0 折に触れて読み返したい2013年8月25日に日本でレビュー済み

「超国家主義の論理と心理」「日本の思想」など他で引用される論文が多く、読んでおくと便利な論文集。難しい微妙な話を明確に語って行く頭の良さや、表現力は言うに及ばないけれど、そういう点が秀でているので、著者の文献渉猟力など本来の力量が問われるところは見えにくい。一読、改めて感心するしかないと思う。一方で、やや日本のメンタリティと欧米のそれを、分かりやすく割り切りすぎているきらいがあって、その辺りが、気骨のある読者には引っかかり反感を覚えるところかとも思う。といって著者の話が、全然作り話かといえばそんなことはなく、核心を衝いていると思える。総じて日本人は自分が何を考え何をしているか、という主体的な(その「主体的」という意味が欧米的な意味合いがやや無意識に前提にされている)意識が希薄で、国民の中で抱え合う「無限抱擁」的なところが、いかにも欧米文化と大きく異にしながら欧米化を進めてしまっていること、しかも受け入れた文化をその都度、深化消化しないで、相応に要領よく消化するから、状況に応じて「思い出」として噴出し、昨日まで「国体の護持」に使われていた伝統文化の材料が今日には「民主主義」の伝統として機能し、わかったようなはなしになってしまう。。。。だけど、そういう事はやっぱり欧米や個人レベルで或る程度どこにでもあるんじゃないだろうか、とも思えるが、著者はその可能性も織り込んだ上で、「だけどこんな国はどこにもないぜ」と言っているようだ。いまでも日本社会には著者の指摘事項(「虎の門事件」に代表される)は当たっているところも微かに残っているけど、どうなんだろう?われわれの子供が成人する10年後には、かなり希薄になって何を指しているか分からなくなっているだろうか。。

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角川


5つ星のうち5.0 読みやすさを評価できる2010年10月23日に日本でレビュー済み

丸山真男を読むのは初めて。難解だという評判と、古いという印象が、手に取るのを遠ざけてきたように思う。本質をとらえた優れた評論に新しいも古いもないと理解していても、ネットや9/11がなかった時代の評論は食指が鈍りがちになる。

今回は気まぐれで読んでみた。無為に難解でもなく普通に理解できるものが多かった。短めの論文も多く、講演記録も収録されていて、初めて読んでも親しみやすい。本書をきっかけに丸山真男の他の著書も読んでみようという気持ちになった。

国際的にも評価が高いという丸山真男を初めて読んだ自分が優劣を星で示しても意義はないが、読みやすいかどうかを示すのであれば意義があるだろう。このような本の目的は、読んだことがない人を誘うことにあるだろうから。この点で、編集が成功している本だと言える。

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楽のパパ


5つ星のうち5.0 きれな本でびっくり、安かったです!2020年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
新品です!きれいでびっくり!



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