2025-09-20

Amazon.co.jp: 軍国主義という病がひそむ国 保阪正康講演録 : 保阪正康: Japanese Books

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軍国主義という病がひそむ国 保阪正康講演録 Tankobon Hardcover – June 24, 2025


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2025年で戦後80 年。 長い時間の経過で戦時期の日本に生きた人びとは姿を消しつつあり、 昭和の戦争が「同時代史」から「歴史」に変わろうとしています。 世界各地で戦乱が絶えず、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを 増して「新しい戦前」という言葉もささやかれる今、日本が同じ過 ちを繰り返さないために私たちが考えるべきことは何でしょうか。 4千人以上の戦争体験者に取材を重ねた日本近現代史研究の第一人 者である著者が、2021年~24年の毎年8月に東京新聞主催の 講演会で語った内容を再録しました。



From Japan

アキレスの踵
3.0 out of 5 stars 著者の業績は立派だが、日本語の史料のみに依拠しているためどうしても限界がある
Reviewed in Japan on August 15, 2025
著者の著作は多いので、その講演をまとめた本書は、著者の考え方の全体像を知るためにふさわしい本だ。著者は4千人以上の戦争体験者に取材を重ねた「日本近現代史研究の第一人者」ということだが、旧日本軍体験者、特に軍隊内での地位が低く消耗品扱いされた元兵士の声を聞けば、その評価がネガティブになっていくことは避けられない。さらに致命的なのは、日本語の史料のみに依拠している点である。これがある種の偏向をもたらしていると推測する。なぜなら、国際政治とは、日本と相手国との関係、当時の世界情勢などすべての総合的結果として決まるものであり、日本の一存で決まるわけではないからだ。したがって日本語の史料を読み込み、開戦の決断が無謀だとか、降伏の決断が遅れたとか断定するのはナンセンスだ。

アメリカは19世紀後半より太平洋に進出を開始。ハワイ王国をつぶして併合し、フィリピンをスペインから奪い取って総督府を置いた。その上、ヨーロッパ諸国がまだ十分手をつけていない中国大陸にも進出して拠点を築こうとした。そこで邪魔になったのが、日露戦争に勝利して満州国を建国した日本である。アメリカはやがて日本と対立し、日本のやることなすこと反対し妨害するようになっていく。日本側もそれに反発したので、坂道を転がり落ちるようにまっすぐ太平洋戦争に向けて突っ込んでいった。これが歴史の大きな流れである。

現代でも欧米に人種偏見があることは、滞在経験のある人なら誰でも知っている。当時はさらに強烈な時代であった。それは西海岸から始まり全米に波及した。1907年に最初の反日暴動が起きる。1908年、日米紳士協定が成立。日本が移民を自粛する代わりに、排日移民法をアメリカは作らないことを約束。この時点ではまだ、日本側は理性で解決できると考えていた。1919年、日本はパリ講和会議で、国際連盟の規約に「人種差別撤廃条項」を入れるように提案。しかし反対多数で否決される。アメリカやオーストラリアは、「白人中心の世界秩序を破壊する有色人種の陰謀」という受け止め方であったという。

これがアメリカの排日運動をさらに勢いづかせる結果となった。1920年、カリフォルニアで悪質な「排日土地法」が成立。アメリカで生まれ育った日系人さえも、土地所有を認めないというものだ。日系人は白人が見放した劣悪な土地を開拓する場合が多かった。しかしこの法律によって、その開拓した土地を白人に奪われて帰国する人が続出した。さらに1922年、追い打ちをかけるように、アメリカ最高裁は「黄色人種にアメリカ市民権を取る権利はない」という判決を出す。その結果、第一次大戦にアメリカ兵として従軍した日系人さえも、アメリカ市民権を取ることができなくなったのである。これほどの仕打ちを受けてアメリカとの友好関係を保つのは、誰がどう見ても不可能だろう。

また太平洋戦争に向けて、ソ連で成立したコミンテルンが資本主義国同士を戦わせて自滅に追い込もうと画策していたことが知られるようになった。アメリカ国内にも多くのコミンテルン工作員が入り込んでいた。例えば、日米開戦前にハルノートの草案を作成したのは財務次官補のハリー・ホワイトだった。彼は戦後、スパイ容疑で下院非米活動委員会に召喚され、その3日後に自殺している。彼はコミンテルン工作員だった。著者の本はこうした国外の史実をほぼ無視して、日本国内の意思決定のみに原因を求めているために、どうしても視野が狭くなることは避けられない。

さらに戦後間もなく、GATT(関税と貿易に関する一般協定)が創設されている。これは連合国側も、ブロック経済化が戦争の原因になったと認識していたことの証拠となる。著者はこういう点を考慮せず、日本側の問題点ばかり追求している。もちろん戦前の日本政府・軍部が多くの問題を抱え込んでいたのは事実だが、それだけを教え込むのは片手落ちだろう。太平洋戦争への道筋を示すのであれば、国内外の史実を総合的に教えなければならない。本書と次の本を読み比べて、どちらの歴史観に賛成するのかご自身で判断してほしい。参考文献:渡部昇一「かくて昭和史は甦る」、西尾幹二「自ら歴史を貶める日本人」、江崎道朗「日本は誰と戦ったのか」
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Amazon カスタマー
5.0 out of 5 stars 戦後80年の今こそ読みたい一冊
Reviewed in Japan on September 5, 2025
Verified Purchase
著書に掲載された講演会(2024年8月7日於日比谷)に参加したので、reviewとして最適だと思い購入した。
読み易く、日本が歩んできた近現代を分り易い年表や数々の写真で解説している。紙質も装訂も気に入っている。
戦後80年を振り返る参考書として、若い世代にも勧めたい一冊だと思います。
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mrs_mccormick
5.0 out of 5 stars 軍国主義者が大声で叫んでる今こそ「歴史」としてこの100年を俯瞰する時期
Reviewed in Japan on July 5, 2025
Verified Purchase
戦争賠償金に依存する大戦前の経済。
敗戦後の旧軍人の階級による恩給格差。
ひそんでいた軍国主義者たちが大声で瑣末なことを叫んでいる。
本書は理性的に英雄なき戦争の世紀を俯瞰する。
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