2017-02-18

閔妃暗殺を読んで⑥ : 陸羯南(くがかつなん)研究 ~司馬遼太郎・青木彰の遺志を継いで~

閔妃暗殺を読んで⑥ : 陸羯南(くがかつなん)研究 ~司馬遼太郎・青木彰の遺志を継いで~



陸羯南(くがかつなん)研究 ~司馬遼太郎・青木彰の遺志を継いで~
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閔妃暗殺を読んで⑥


 角田房子著、「閔妃暗殺-朝鮮王朝末期の国母」等によって、安重根(1879-1910年)についてみてみたい。

 安重根は、朝鮮の独立運動家で、1909年10月、満州ハルビン駅で初代韓国統監の伊藤博文を射殺した暗殺者である(1910年3月処刑)。陸羯南がソウルを訪ねてから8年後のことである。

 角田氏は、韓国の知識層においては、閔妃暗殺が日本の国家権力による犯罪であると理解している一例として、以下の通り伊藤博文暗殺事件を引用している(p.429)。

 「・・・裁判の記録を見ると、「伊藤博文をなぜ殺害したのか」という溝淵検察官の問いに対して、安重根は終始「東洋平和を妨げる人物であるから」と答え、伊藤の罪科15ヵ条を列挙している。その第1条に「今より10年ばかり前、伊藤さんの指揮にて韓国王妃を殺害しました」とある。閔妃暗殺事件当時の総理大臣だから彼が責任者である―というのではなく、伊藤が指揮をとって閔妃を殺させた、すなわち日本政府の犯罪であった、という解釈である。」

 またウイッキペディアによれば、「伊藤の死により韓国併合(1910年8月)の流れは加速され、暗殺は大韓帝国の消失という皮肉な結果をもたらしたという見方もあるが、当時の朝鮮族、ならびに今日の韓国では、後の朝鮮独立運動(1919年3月の「3・1独立運動」)にもつながる抗日義士であったとして、安重根は英雄視されている。一方、北朝鮮においては、神話的に喧伝される金日成の抗日パルチザンに比して、まず安重根には両班(資産家)という出身に矛盾があり、愛国的ではあったものの解決策を持たず、手段も目標も誤った人物であったという評価に留まっている。」という。

 さらに、「地球の歩き方D13 ソウル(2014-15)」ダイヤモンド社によれば、ソウル市内にある「安重根義士記念館」のコメントとして
 「・・・市民の募金によって創建された。独立運動家として韓国人の間で尊敬されているが、当初は併合反対だった伊藤を無計画なテロで殺したため結果的には併合を速めたことなど、マイナス面についての展示は見当たらず、評価は分かれる。」とある。

 なお、日中、日韓関係の悪化からハルビン駅構内にも「安重根義士記念館」が2014年1月に完成・オープンしている。これに対し、菅官房長官は、平和に資するものではなく「極めて残念で遺憾だ」と述べ、「安重根は我が国の初代首相を殺害し、死刑判決を受けたテロリストだと認識している」との政府見解を示したが、その後「死刑判決を受けた人物」にトーンダウンしている。

 このように日韓での安重根の評価は、大きく異なっている。

しぶさわ

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