2017-02-18
「閔妃(ミンピ)暗殺」を読んで - 四丁目でCan蛙
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「閔妃(ミンピ)暗殺」を読んで
本 | 16:06 |
「日本の忠臣蔵みたいに韓国人なら中学生でも知っているという話をどうして日本人の私が知らないのか」が角田房子氏がこの本「閔妃(ミンピ)暗殺 朝鮮王朝末期の国母」を書く動機だったと前書きで書いておられました。1988年に、第一回新潮学芸賞を受賞しています。
文庫本のカバーから紹介文を:
「時は19世紀末、権謀術数渦巻く李氏朝鮮王朝宮廷に、類まれなる才智を以って君臨した美貌の王妃・閔妃がいた。
この閔妃を、日本の公使が首謀者となり、日本の軍隊、警察らを王宮に乱入させて公然と殺害する事件が起こった。
本書は、国際関係史上、例を見ない暴挙であり、日韓関係に今なお暗い影を落とすこの「根源的事件」の真相を掘り起こした問題作である。」
閔妃(ミンビ)暗殺―朝鮮王朝末期の国母 (新潮文庫)
作者: 角田房子
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 1993/07/29
メディア: 文庫
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角田房子(つのだ ふさこ・1914年12月5日 - 2010年1月1日)は、ウィキペディアによりますと、「日本の作家、日本ペンクラブ名誉会員。東京府生まれ。福岡女学校(現 福岡女学院中学校・高等学校)専攻科卒業後、ソルボンヌ大学へ留学。第二次世界大戦勃発により帰国し、戦後に夫の転勤に伴って再度渡仏。1960年代より執筆活動を開始。精力的な取材と綿密な検証に基づく歴史小説を数多く手掛ける。2010年1月1日に死去していたことが同年3月12日に公表された。95歳没。」とあり、昨年、死去の報道があり、つい最近まで生きておられたことを知って驚いたのを覚えています。
あとがきの中で書かれていますが、「私は『出来るだけ間違いの無い事実』を書こうと努力したが、それは至難のわざであった。まず私は『日本への身びいきから、自国に都合のよい一人よがりの歴史を書いてはならない』と、強く自分を戒めた。そのためには歴史上の一つ一つの事実について、日韓両国の資料をつき合わせて見なければならない・・・」
「両国関係の歴史を学ぶ間に私は何度か、『日本はこんなひどいことをしていたのか』という驚きにうたれた。この驚きと、そこから引き出される"申しわけなさ”に押されて、自分の筆が自虐的になってはいけないと、これもまた私が強く自戒したことの一つであった。」というわけで、このノンフィクションは出来るだけ冷静に、有った事をありのままに伝えて、読者の判断を待とうという努力の姿勢が見られます。そのため、資料で確かめられない場合は不明とされ、控えめに著者の推測が語られます。もどかしさもありますが、自制が利いています。閔妃と夫である高宗との関係については、「愛情があったのではないか」と女性ならではの見方も示され、同性として納得できます。
丁度、本書を書き上げるのに著者二度目の訪韓の1985年5月に、西ドイツ大統領ヴァイッツゼッカーがあの有名な「荒れ野の40年」の演説をし、その報道に接した角田氏は次の件(くだり)を繰り返し読んで勇気付けられたそうです。その一節とは:「われわれドイツ人全員が過去に対する責任を負わされている…後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはいかない…過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となる」。
また、(当時の肩書きによると)茨城大学名誉教授の大江志乃夫という方の「解説」(1993年6月)では:
本書が取り上げた閔妃暗殺事件は、日本の国家を代表する朝鮮駐在公使の三浦梧楼が首謀者となり、日本の軍隊・警察、暴徒としか言いようが無い民間人たちを朝鮮の王宮に乱入させ、公然とその国の王妃を殺害したという、およそ近代世界外交史上に例を見ない暴虐をはたらいた事件である。この事件はいまだに韓国人の胸にふかい傷跡をのこしているが、日本国民の大部分はこの事件についてさえまったく知識をもたなかった。
略・・・このように見てくると、教科書の執筆者だけでなく、日朝関係史に大きな関心を持つ人たちにとっても、ふつう、この事件は高校の歴史教育の対象となるとは考えていず、むしろ高校の歴史教育で要求される水準より高度の政治的事件ないしは政治的エピソードであると認識されていた。・・・
略・・・私はこのような反省にたち、この解説を執筆する前に文部省に検定を申請した1994年度から実施の新学習指導要領にもとずく教科書では、この事件についてくわしく書き「韓国の国民は現在でもこの事件を忘れていない」という説明をくわえた。まさに角田ショック、角田効果というべきか。
94年以前に教科書に書かれていなかったのは、これで当然とわかりますが、それでも日本人が知らなかった大きな理由は、日本政府がこの事件の犯人を処罰しなかったこと、「この歴然とした国際的犯罪の犯人たちの罪を問わなかったこと」と、当時の朝鮮当局が閔妃暗殺の下手人として三人の自国人を処刑したことで、”無かったこと?”に出来たからではないかと想像します。
角田氏は「もともと日本の裁判の目的は罪状の糾明ではなく、諸外国の非難攻撃をかわして、国際的大事件への発展を食い止めることであった。」と書いています。しかし、その後、「閔妃暗殺は日露戦争の引き鉄(がね)となり、張作霖爆殺事件は直接には満州事変、従って後の日中戦争からアジア・太平洋戦争へと拡大する戦争の起点となった。」(解説より)
朝鮮民族の自立はその太平洋戦争が終わった時点でかなえられますが、5年後米ソの代理戦争といわれる朝鮮戦争で南北朝鮮に引き裂かれ今に繋がっています。巨大な大陸から大洋に突き出す半島の国というだけで過酷な運命を担い続けているようにも見えます。そして、日本はといえば、明治から追いつけ追い越せのあげくに戦争に次ぐ戦争、果ては2度の原爆を受けて敗戦。沖縄や千島を失い、やっと沖縄は日本に返還されるも基地だらけ・・・いまだに政治的には自立とは言いがたい状況。
平和を大切にしながら直面する国難に立ち向かう国同士、仲良くありたいものです。
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雷電 2011/01/30 16:57乙未事変の首謀者は大院君でしょう?
壬午事変の際、閔妃の陰謀で清に連行され軟禁された恨みからです。
それが判った閔妃の夫たる高宗が、大院君が死んだ時にも死体も引き取らなかったことからも判るでしょう。
更に閔妃支配の朝鮮ではその親族が要職を占め、国家歳入を好き放題私物化していたから民衆に恨まれていたこともあります。
とりわけ有名なのが、自分の子の為の祈祷に「国家予算の6年分」を使ったということ。
役人の給与が支払われない為、勝手に国民から金銭を巻き上げ始めたので大混乱、そして大暴動。
鎮圧すべき軍人や警察も給与が支払われないからサボタージュ、その為自ら外国軍を自国に引き入れたわけです。
閔妃の死体(あるいは閔妃の女官か?)が宮外に投げ出された時、死体は辱められたと記録にある。
いかに閔妃が国民から恨まれていたか・・・
実際の閔妃殺害犯について、高宗は「王妃を殺したのは、不貞の私の部下だ」と証言している。
加えて殺害現場にいた閔妃の息子である純宗は「乙未事件ニ際シ、現ニ朕ガ目撃セシ国母ノ仇、禹範善」と証言し、刺客を送っている。
結論としては、閔妃の国家私物化で苦しんでいた民衆を救おうとした義士達の力を大院君が政敵排除に利用した。
そして朝鮮義士の心意気に賛同した日本人も協力したというところでしょう。
小説と現実の区別ぐらいはつけてください。
雷電 2011/01/30 20:19補足
ヴァイツゼッカーの演説についてあなたや角田房子は何か勘違いをしているようだから、記しておきましょう。
彼の演説の趣旨は、「第2次世界大戦でのユダヤ人迫害は、全てナチスがやったことで、ドイツ民族もまた騙された被害者である。」
「ドイツ人はその事について"記憶"はしておくが、各ドイツ人には罪がない。」
ということで、戦争や侵略についての謝罪の言葉は一言も発していないはずですが?
更に彼はユダヤ人の墓地には行きましたが、その前にあった対独戦争で戦死したポーランド人兵士の墓は素通りしています。
また彼の父親は開戦時の外務次官としてA級戦犯として有罪になりましたが、ヴァイツゼッカーはその父親の罪状を「まったく馬鹿げた非難だった。真実をちょうど裏返しにした奇妙な話である」と言っています。
それがドイツ人にとっての「過去との決別」なのですよ。
あなたは、そんな「ドイツ式過去との決別」がいいのですか?
「大東亜戦争は一部の軍国主義者がやったことで、日本人も騙された被害者だ」
「軍国主義者がひどい事をしたのを我々は記憶しておくが、謝罪はしない。」
「占領地における不法行為は個別賠償するが、確認できる証拠を出しなさい。」
「戦争被害については賠償しません。」
「日本が占領地に残してきた財産については、逆に賠償してほしい。」
こう言ったら、あなたは満足なんですね?
haigujin 2011/02/01 15:23おや、期せずして閔妃暗殺を採り上げていますね。
新年に詠んだ句。
閔妃暗殺知らぬふりして若菜摘む 俳愚人
一応三月発表予定稿ですので、著作権適用されますからご注意。笑
さて、閔妃暗殺は、複雑な時勢の坩堝の中にあり、さまざまな言い方が出来ます。しかし独立を志向する党派に手伝うといって裏切るのですから、他国の性にはできにい責任があったはずです。その民族が目指すことを潰すわけですから、細かいいきさつをくどくど言っても免責されるわけではない、ということが大事ですね。
といいながら、昔読んだだけで、最近の研究成果を踏まえたものは読んでいないのですが。笑
雷電 2011/02/01 23:53さて、私には文意がよく理解できないのですが?
独立を志向する党派というのは朝鮮の閔妃暗殺勢力のことですか?
そして日本がその独立を潰したという事でしょうか?
私の解釈が違うなら先に詫びましょう。
しかし、私の解釈が正しければ、貴方の方が勘違いですね。
?日本が日清戦争に勝利したことで、朝鮮はその時点で既に独立していました。
つまりその時点では独立を志向する党派など存在しない。
?朝鮮義士を手伝ったのは日本人義士という個人です。
日本の政府や軍隊が組織的な関与はしていない。
貴方は個人の行為の責任を国家に取らせるのですか?
シーシェパードには日本人クルーもいますが、彼らの主張は日本政府の主張でしょうか?
韓国や中国も武装スリ団の責任を取ってもらわなければなりませんね?笑
?主犯が日本人と言うことに対して何の根拠も示されていない。
それどころか状況から見ても主体となったのは朝鮮側である。
(少数の外国人が防御の深いであろう一国の王宮に入り込み顔も不確かな目標を索敵し、殺害できるわけがない。できるのは内部に精通した人間である。)
罪を免責されないと仮定しても、一番悪いのは本人(朝鮮側)でしょ?笑
?貴方の主張が「裏切ったなら他国のせいにはできない」であるなら、対ロシアの共同戦線を張る為に朝鮮を清から独立させたのに、ロシアについた朝鮮は、先に日本を裏切ったわけです。細かいいきさつをくどくど言っても免責されるわけではない。日本に攻撃されても他国のせいにはできませんね。笑
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