http://yonta64.hatenablog.com/entry/NHKSPECIAL/2017-1217-COP23
2017年12月17日(日)放送された『NHKスペシャル 脱炭素革命の衝撃』。内容を3行でまとめると??
1] 世界の有力投資家が巨額のマネーを脱炭素化企業へ集中し始めた?あの中国も…
2] 「温暖化を引き起こし、しかも有限の化石燃料には未来は無い」と多くの声
3] エネルギー効率が飛躍的にアップ!脱炭素の取り組みは金を生み出す
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【ナレーション】 窪田等
超低価格の電気を生み出す中国の太陽光発電システム
中国企業がアラブ首長国連邦・アブダビで建設しているのは世界最大の太陽光発電システムです。
合計300万枚の太陽光パネルを使い原発1基分に相当する電力を発電するといいます。
驚くべきは、その電気の安さ。なんと1キロワットアワーあたり2.6円…。
日本の石炭火力発電のコストのおよそ5分の1とのことです。今支払っている電気代が単純計算で5分の1になる…としたらどうでしょうか?しかも環境に優しく…。
世界一の二酸化炭素排出国…あの「中国」も今、脱炭素エネルギー政策を推進し始めました…。
老朽化した石炭火力発電所を停止し100基の建設計画もすべて停止したといいます。
同時に太陽光発電システムを新たに完成させ二酸化炭素を出すエネルギーからの脱却を図っています。
なぜ中国が脱炭素化へ舵を切ったのか?それは自国の大気汚染問題の解消も大きな理由ですが、その裏には世界中の巨大マネーが脱炭素化企業へ流れ始めたというもう一つの理由があるといいます…。
すべては「パリ協定」から始まった…
巨大マネーが流れ始めるきっかけを作ったのは2015年12月に世界各国が合意した「パリ協定」です。その取り決めは…
地球の平均気温の上昇を産業革命前から2℃未満に押さえる(=今世紀後半までに二酸化炭素を実質ゼロにする脱炭素社会への転換)
これ以上地球温暖化が進めば異常気象は増え続け人類はかつて無い自然災害の危機に陥ると予想されるからです。
アメリカはパリ協定から脱退を表明しましたが、「有限の化石燃料には未来は無い」と考えた世界の有力者達は脱炭素化へ向けて行動を始め、ここに巨額の利益を見込んだ投資家たち(JPモルガンチェース、シティグループなど)は脱炭素を掲げる企業に超巨額の資金を注ぎ込み始めました。
そして同時に、脱炭素化しない企業からの投資撤退を始めています…。
”パリ協定脱退”のアメリカ企業…なぜか脱炭素化の流れはますます加速へ?
2017年11月6日ドイツ・ボンで開かれた温暖化対策の国際会議「COP23(=コップ23・世界197の国と地域が参加)」。
いつもとは違い今年のCOP23は政府関係者以外に、各国の投資家たちも大勢集まりました。彼ら投資家たちは新しい投資先を求めていたのです。
また、なぜかパリ協定から脱退を表明しているはずのアメリカの大企業にも注目が…。
アメリカの巨大な特設会場には政財界の大物も集結、カリフォルニア州・ブラウン知事やコカコーラ社やマイクロソフト、アップル、DHLなど2500を超える企業や自治体が参加しています。
その数アメリカ国内の全企業の35%――。
脱炭素化へ舵を切ったアメリカの大企業は「トランプ大統領が何を発言しても日々忍耐強く脱炭素化した未来を目指して突き進んでゆく」…という姿勢です。
ウォルマートの脱炭素化への対応
例えば、世界最大のスーパーマーケット「ウォルマート」の例。
ウォルマートは今年、急増した巨大ハリケーンの被害によって年間22億円の損害が出ました。顧客や店舗、社員10万人が壊滅的なダメージを与えられたのです。
そこで企業として率先して脱炭素化に取り組み始めたとのこと。
店で使う電力をすべて太陽光発電システムでまかなうなど積極的に取り組み、65万トンの二酸化炭素を削減、その結果エネルギーコストが激減し1000億円以上の節約が出来たと言います――。
脱炭素の取り組みは金を生み出す。ここに注目したアメリカの大企業(アップル、グーグル、ヒューレットパッカード、ナイキ、GM、など)は次々と脱炭素化へ舵を切り始めています。
世界各国ではすでに自社の電力をすべて再生可能エネルギーだけで賄うような取り組みも始まっているといいます。
脱化石燃料へ~変わるマネーの流れ
今、投資家の意識が大きく変わっています。
パリ協定では、世界で採掘される石炭や石油に今後事実上の上限を設けました。
試算では現在のペースで化石燃料を使い続ければあと25年で上限に達してしまう…。
つまり、上限を過ぎた化石燃料は掘り出しても使えないため全くの無価値となるのです。
あと数十年で使えなくなってしまうエネルギーに価値はなく、ノルウェー政府年金基金(運用額100兆円)や700にのぼる世界の機関投資家たちはこぞって投資先を再生可能エネルギーや脱炭素を表明した企業へ転換したのでした。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチはインドで太陽光発電システムの新しいファンドを立ち上げ、JPモルガンチェースは2025年までに22兆円を投資、シティグループは、すでに16兆円を投資中です。
このマーケットは予想以上スピードで規模を拡大し続けていると各投資会社のキーマンたちが口をそろえて宣言しています。
中でも象徴的だったのは、19世紀後半より化石燃料で財を成したロックフェラー一族の兄弟ファンドも化石燃料からの投資撤退を発表したことでした――。
動き出す世界最大の二酸化炭素排出国「中国」
2017年10月の中国共産党大会で習近平国家主席が打ち出した「エコ文明」。
自国の深刻な大気汚染のため、二酸化炭素削減に消極的だった中国が重い腰を上げました。
その内容は、およそ100基ある石炭火力発電所の建設計画を停止。ガソリン車の禁止を視野に入れた電気自動車の普及推進、太陽光発電システムと風力発電システムの増設などこの5年で4倍に上りその成長率は世界最大です。
超大国の中国が大胆な脱炭素化への転換を行ったことも投資家たちの動きを強力に加速させました。
中東で勧められている世界最大の太陽光発電システム「スワイハン太陽光発電プロジェクト(パネルを供給するのは中国企業の”Jinko(ジンコソーラー社)”)」も始動、2年後に完成すれば1キロワットアワーあたりたったの2.6円になるそうです。
中国の周辺でも大きなビジネスが渦巻いています。
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かつて省エネ先進国だった「日本」の現状は?
一方、日本でも徐々に脱炭素を目指す企業が現れ始めています。
今回「COP23」に参加したメンバーは――。
- エコワークス
- LIXIL(出席:LIXIL部長 川上敏弘さん)
- 積水ハウス(出席:積水ハウス常務執行役員 石田健一さん)
- リコー(出席:リコー執行役員 加藤茂夫さん)
- イオン
- 前川製作所
- 三菱UFJモルガンスタンレー証券
- 日本板硝子
- 戸田建設(出席:戸田建設部長 佐藤郁さん)
- 富士通
- 自然電力
- 大和ハウス工業
中でも大手コピー機メーカーの「リコー」は日本の環境対策企業のトップランナーです。
依然、化石燃料から脱却しない「日本」の現状…
リコーの執行役員、加藤茂夫さんはドイツ・ボンで開かれた「COP23」での日本の貢献を発表しようと意気揚々と望みましたがその勢いは見事に砕かれました…。
日本が環境先進国どころか、アジアへの高効率石炭火力発電所の輸出など「未来の無い」化石燃料をいまだに投資、推進することへ厳しい非難を受けたのです。
クライメート・リーダーシップ・カウンシル会長のテッド・ハルステッドさんは「日本が火力発電所に融資していることに失望している。21世紀に向かうのに20世紀のテクノロジーに戻るのはどういうことなのか…中国でさえグリーンテクノロジー革命に大きく舵を切ったのに…」と批判。
日本の姿勢は脱炭素を表明した世界の企業の流れから大きく取り残されようとしています。
50兆円を運用するイギリスの投資保険会社「アビバ・インベスターズ最高投資責任者」スティーブ・ウエイグッドさんは、二酸化炭素を大量に出す日本企業(電源開発社=国内外で20基の石炭火力発電所を運営中)からの投資撤退をすでに決めていました。
理由は気候変動が頻発して世界の自然災害が増えれば、保険会社にとっては事業が立ちゆかなくなる重大なリスクがあるからです。
日本で再生可能エネルギーが増えない理由とは?
日本で再生可能エネルギーが普及しない理由は様々あります。
風力発電システムや太陽光パネルを設置する広い場所が少ない
作った電気を既存の電力会社が制限していて自由に売れない
太陽光や風力発電の電力は気象に影響されやすく不安定。
これを理由に安定供給の妨げや空き容量が不足しているなどとして、既存の電力会社は消費地への送電網への接続を制限しています。
しかしドイツでは、再生可能エネルギーで作られた電力を優先的に送電網に接続する政策を実行していて脱炭素化を大きく推進しています。
さらに北海の洋上では3000基を超える洋上風力発電システムを展開し今後ますます再生可能エネルギーの割合(現在27.7%)は増えてゆくでしょう。
生き残りをかけて”日本企業の模索”
日本が将来に渡って石炭火力発電所を使い続ければ、ますます世界の潮流から取り残されるといいます…。
国際会議では「もはや日本はグリーンテクノロジー革命の先頭にはいない…。」と厳しい批判も…。
富士通社長の田中達也氏も「やった方が良いというレベルではすでに無く、これをやらなけば企業として生き残れない」と危機感を募らせています。
想像を遙かに超えるスピードで進む「脱炭素社会」への転換のうねり…。
各国が巨額のマネーを脱炭素化のために投資しすでに現実的なステップに入っているのに対し、日本へ投資が”待ったなし”の状況でどんどん引き上げられている現状をようやく知りはじめた日本の企業…。
日本企業のトップは優れた技術力を未来へ生かし脱炭素化への世界の準備に急いで取り組む必要があるようです。
海外と取引のある日本企業は、取引先が脱炭素化を宣言すれば自社も脱炭素化への対応をしなければ、取引が停止されるリスクは大きいでしょう。
世界のビジネスのルールが今、大きく変わろうとしています…。
(※2017年12月17日(日NHKスペシャル「激変する世界ビジネス 脱炭素革命の衝撃」)放送より)
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