〈性奴隷問題〉NHKの国策報道に怒り、市民団体が記者会見 | 朝鮮新報
〈性奴隷問題〉NHKの国策報道に怒り、市民団体が記者会見
“権力への自発的服従”
NHKは1月24日放送の「クローズアップ現代+」で、日本軍性奴隷問題に関する「合意」と「平和の碑」(少女像)を取り上げ、「合意」の履行と少女像撤去を南朝鮮に迫る日本政府の意向を忖度し、悪質な偏向報道・御用放送を行った。これに対し、日本軍「慰安婦」全国行動(全国行動)と「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクション・センター(VAWW RAC)が2月2日、衆院第2議員会館で記者会見を行い、怒りの声をあげた。
NHKの偏向報道に抗議した
「韓国 加熱する“少女像”問題 初めて語った元慰安婦」と題した当該番組は、「韓国では『合意』を受け入れた被害者の声が伝えられていない」としながら、「合意」を受け入れ支援金を支給された性奴隷制被害者・家族のインタビューを放送。「合意」に反対する被害者は一人も登場させず、偏った取材に基づいて、「当事者の思いとは異なる形で少女像が設置されている」と事実をねじ曲げて報道した。他方で、「アジア女性基金」の例をあげながら、「合意」を受け入れた被害者らが南社会で激しいバッシングにさらされているようなイメージ操作も行った。
記者会見で発言した、梁澄子・全国行動共同代表は、「番組は当事者の多様な声を置き去りにしないことが求められていると締めくくっているが、番組こそが『合意』に反対する被害者の声を置き去りにしている」としながら、「韓国で運動が現在も続くのは『合意』そのものに問題があるためだ。にもかかわらず、責任は『合意』に反対する韓国市民社会にあると、一貫して誤ったメッセージを発信していた。むしろ、なぜ被害者と韓国市民が怒っているのかを掘り下げて伝えるべき」と非難した。
番組はまた、南社会で「合意」に反対する声が多数であることは、世論調査で明確に示されているにもかかわらず、相反する発言を放送。醍醐聡・東京大学名誉教授は、放送法第4条とNHK放送ガイドラインに照らし、「明らかに事実を曲げた発言」「報道は事実をまげないでするとした放送法第4条3項に反している」と断じた。
金富子・VAWW RAC共同代表は、女性国際戦犯法廷NHK番組改ざん事件(2001年)に言及し、今回の番組との共通点を指摘。共通点は第一に両番組とも性奴隷制問題を取り上げ、第二に時の権力者が安倍晋三であり(01年当時は、官房副長官)、第三に番組に対する政治介入だと説明した。01年の番組については、NHK上層部が政治介入を受け入れた事実が明らかになっているが、今回については「直接的な介入がなくても、政治家や右派論客を忖度する、自発的服従による政治介入、見えない政治介入が行われている」と指摘。「『合意』や少女像撤去を自明の前提にして、日本政府の姿勢や対抗措置を批判的に検証することは一切せず、政府の主張を疑うことなくメディアが政府と一心同体となって報道した。『合意』や少女像に関する報道の問題点は、NHKに限らないが、公共放送であるNHKは、権力を監視し、市民の声を伝えるという言論・報道機関としての役割を果たすべきだ」と主張した。
岡本有佳氏(編集者)は、番組内の南の市民同士が対立する場面に言及。「日本と良好な関係を維持すべきだという男性」(番組ナレーションより)が「もう憎しみ合うのはやめましょう」と言いながら、手には「韓米日の同盟強化」というプラカードを持っているとし、「まさに朴槿恵政権の立場そのものを表しており、政府の立場が『日本と良好な関係=同盟強化』であることがよく示されている」と主張した。また、番組が南の極右ニュースサイトの人物だけを取り上げた点について、「論客は最近、朴槿恵大統領の単独インタビューをインターネットテレビで公開し、多くの批判を浴びた人物。朴槿恵政権と同じ立場の保守論客を取り上げるだけでは、韓国メディアの状況、世論、市民の声を正確に伝えているとは言えない」と話した。
番組はまた、「問題解決には時間がない」と繰り返し強調した。岡本氏は「本当に解決を求めるのであれば、韓国、日本社会の様々な意見、日本政府への批判も含めて、客観的に取材して伝えるべき。安倍政権に自発的に服従するような番組を作るのではなく、ジャーナリズムの基本に立ち返って報道することを強く求める」と訴えた。
(金淑美)
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