2024-10-07

Amazon.co.jp: 「平成」の天皇と現代史 : 渡辺 治: Japanese Books

Amazon.co.jp: 「平成」の天皇と現代史 : 渡辺 治: Japanese Books




「平成」の天皇と現代史 Tankobon Hardcover – April 14, 2021
by 渡辺 治 (著)
5.0 5.0 out of 5 stars 7 ratings

平成の天皇とは何であったのか?
右派・伝統派が批判し、「リベラル」派が礼賛した「旅」と「おことば」は憲法に定める「象徴としての務め」だったのか?
憲法遵守を謳って即位した天皇が、いかにして憲法から「離脱」したのかを明らかにする!

新天皇への代替わりをめぐる天皇論議には、これまでみられなかった議論のねじれが起こった。「右派」、「伝統派」が厳しい天皇批判を展開し、逆に、天皇・天皇制に厳しく警戒的であった穏健保守派、「リベラル」派の「平成」礼賛の大合唱という、まことに薄気味の悪い事態が出現したのである。
そもそも、平成の天皇・天皇制とはなんであったのか? 冷戦後の日本政治をめぐる対抗と天皇の関係に焦点をあててこの三〇年をふり返り、一体、そこで何が起こったのかを探る。この検討を通して天皇の憲法からの逸脱に歯止めをかけ、憲法の構想する天皇・天皇制に近づけていくには何が必要か、天皇制度のあるべき将来についても展望することが可能となる。 

第1章 「平成」前期の政治と天皇
1 冷戦後の政治の大変貌と天皇の新たな利用
2 天皇の役割をめぐる新たな対抗の台頭―右派の新天皇への懐疑と批判
3 第一ラウンド「日韓『おことば』摩擦」をめぐる政治と天皇
(1) 盧泰愚大統領訪日と天皇の「おことば」事件の経緯
(2) 「おことば」をめぐる政治と天皇の対抗関係の変化
(3) 「天皇自身が望んでいる」
(4) 天皇「おことば」への原則的反対論
4 天皇訪中をめぐる支配層内の対抗と天皇
(1) 天皇訪中をめぐる中国、日本の思惑
(2) 天皇訪中をめぐる攻防
(3) 天皇訪中問題に現れた、政治と天皇
(4) 天皇訪中問題のもたらしたもの
(5) 「謝罪の特使」政策の過渡的性格
5 「皇后バッシング」という形での右派の天皇・皇室批判とその終熄
(1) 皇室批判の噴出とその終熄の経緯
(2) 「皇室バッシング」の意義

第2章 「平成流」の確立と憲法からの離陸
1 九〇年代中葉以降の政治の激動と、政治と天皇制との距離
(1) 政治の要請、関心の減少
(2) 政治の変貌が天皇に与えた結果
2 「平成流」の確立
(1) 「平成流」形成への意欲とモデル
(2) 国内―全地域訪問
(3) 被災地訪問、障害者、高齢者、弱者へのこだわり
(4) 環境への関心
(5) 戦争、平和、沖縄へのこだわり
(6) 「平成流」の憲法上の問題点
3 天皇明仁の「象徴」「憲法」「戦争・平和」観の構造
(1) 明仁の「象徴」観―伝統と憲法の二本だて
(2) 明仁の「憲法」巻―憲法からの離陸
(3) 「伝統」への回帰
(4) 「戦争」と「平和」についての明仁的理解
(5) 明仁の「象徴」観、「憲法」観、「戦争」観を助けた要因
4 皇位継承問題への執着―皇太子批判から女系天皇、女性宮家構想まで
(1) 皇位継承問題の台頭
(2) 雅子問題と天皇の怒り
(3) 女性・女系をめぐる対抗
(4) 小泉有識者会議をめぐる攻防
(5) 右派と明仁天皇
(6) 皇統問題の「終熄」と天皇明仁の煩悶
5 保守政治と天皇の緊張関係
(1) 小泉政権と天皇・靖国
(2) 第一次安倍政権と天皇
(3) 民主党鳩山政権と天皇
(4) 野田政権の「女性宮家」構想

第3章 「復活」安倍政権下、保守政権と天皇の緊張と対立
1 第二次安倍政権の政治的ねらいと天皇
(1) 第二次安倍政権のめざすもの―大国の復権
(2) 第二次安倍政権の天皇政策
(3) 天皇の安倍政権への二重の不信
2 第二次安倍政権下での保守政治と天皇の緊張の激化
(1) 「大戦」と戦争の記憶へのこだわりと緊張
(2) 皇室の将来への不安と焦り
(3) 天皇の動向に対する右派、「リベラル」派の賛否の議論
3 退位問題をめぐる攻防
(1) 明仁天皇、「退位」のねらい
(2) 退位をめぐる攻防
(3) 右派の明仁批判と「明仁」派の形成―天皇論議のねじれ

小括 「平成流」の遣産
1 徳仁天皇へ
2 「平成流」の遺産
3 象徴天皇制の将来へ向けての二つの課題
あとがき

Read less

Report an issue with this product

Product description
About the Author
渡辺 治(わたなべ おさむ)
一橋大学名誉教授、九条の会事務局。主な著書・編著に『「豊かな社会」日本の構造』(1990年)、『安倍政権論』(2007年)、『新自由主義か新福祉国家か』(共著、2009年)、『安倍政権と日本政治の新段階』(2012年)、『安倍政権の改憲・構造改革新戦略』(2013年)、『憲法改正問題資料(上・下)』(2015年)、『安倍政権の終焉と新自由主義政治、改憲のゆくえ』(2020年、以上、旬報社)、『日本国憲法「改正」史』(日本評論社、1987年)、『戦後政治史の中の天皇制』(1990年)、『政治改革と憲法改正』(1994年、以上、青木書店)、『講座現代日本1 現代日本の帝国主義化』(1996年)、『〈大国〉への執念 安倍政権と日本の危機』(共著、2014年、以上、大月書店)、『日本の大国化とネオ・ナショナリズム』(桜井書店、2001年)、『構造改革政治の時代』(花伝社、2005年)、『憲法九条と二五条・その力と可能性』(2009年)、『現代史の中の安倍政権』(2016年、以上、かもがわ出版)、『戦後史のなかの安倍改憲』(新日本出版社、2018年)、など。
Product Details
Publisher ‏ : ‎ (株)旬報社 (April 14, 2021)
Publication date ‏ : ‎ April 14, 2021
Language ‏ : ‎ Japanese
Tankobon Hardcover ‏ : ‎ 335 pages


===
Rob Jameson
5.0 out of 5 stars 政治学、日本政治史研究の第一人者が今や空白となった<天皇論争>を挑発する
Reviewed in Japan on April 13, 2021

昭和天皇裕仁は63年の在位ののちに88歳で死亡、56歳で即位し平成の30年間に在位し2年前に「退位」した明仁は今87歳、59歳であとを継いでいるのが現天皇徳仁。本書が論じるのが平成の時代に天皇制がどのように変化したのか、「真摯」と称された天皇によっていかに天皇制度が憲法から逸脱・離反したのかを追跡する。

著者の「時代区分」によれば、第一期は1989年から94年で保守政権が「大国化」を目指す時期には天皇はみずからの有り様を模索中。第二期は1995年から2012年で天皇自身の意思による行動が突出し「平成流」を確立する。第三期は2012年以降の安倍政権との緊張関係に向かう。そして代替わりとなる。

焦点は第二期の「平成流」。本書の第二章で40%以上のページを費やしている。この間の明仁天皇のさまざまな行為(祭祀などは別として特に地方行幸・啓、被災地訪問、「戦地」訪問)について徹底的に探索、時系列を遡り(皇太子時代の1975年や80年の発言まで)またあたかも大きく網を広げるようにありとあらゆる場面での発言について執拗に収集し詳細に分析しているのがある意味驚きでもある。

さらにこれまで「リベラル」とされてきた政治勢力・評論家諸氏の間でも明仁の所業に賛意がおくられるという「ねじれ」が起きている事実に注目(評者も反天皇制であった日本共産党議員が国会でとった態度の変化に驚いた記憶がある。戦前は「絶対主義天皇制」に反対し、戦後も「ブルジョア君主制」の一種と規定していたのではなかったか)。

また明仁の「象徴観、憲法観、戦争観」には重大な瑕疵があると徹底批判、他方憲法学界でも歴史学界でも「保守化」が進み批判的観点が失われていると慨嘆。

最後にこのような憂慮すべき事態に対して二つの課題を提示している。ひとつは象徴天皇制を憲法に照らして<精査>すること、もうひとつは戦争・沖縄・原発問題へ国民自身が議論し解決に取り組むこと、と。しかし一朝一夕でできるようなものではない。

さらに付言すれば、評者自身は現天皇に対しては彼が浩宮と呼ばれていた若き頃の英国留学の件、専攻の領域、研究の歩みなどについて個人的に知る関係があっただけに著者のような決定的な態度は取り難いことを「白状」しておく。
18 people found this helpful
Helpful
Report
===
From Japan

Rob Jameson
5.0 out of 5 stars 정치학, 일본 정치사 연구의 제1인자가 이제 공백이 된 <천황 논쟁>을 도발한다
Reviewed in Japan on April 13, 2021
쇼와 천황 히로히토는 63년의 재위 이후 88세로 사망, 56세로 즉위해 헤세이의 30년간에 재위해 2년전에 「퇴위」한 아키히토는 지금 87세, 59세로 이후를 이어 에서 있는 것이 현천황덕인. 본서가 논하는 것이 헤이세이의 시대에 천황제가 어떻게 변화했는지, 「진지」라고 칭해진 천황에 의해 어떻게 천황 제도가 헌법으로부터 일탈·이반했는지를 추적한다.

저자의 「시대 구분」에 의하면, 제1기는 1989년부터 94년으로 보수 정권이 「대국화」를 목표로 하는 시기에는 천황은 모두로부터의 모습을 모색중. 제2기는 1995년부터 2012년에 천황 자신의 의사에 의한 행동이 돌출 “헤이세이류”를 확립한다. 제3기는 2012년 이후 아베 정권과의 긴장관계로 향한다. 그리고 대체가 된다.

초점은 제2기의 「헤이세이류」. 본서의 제2장에서 40% 이상의 페이지를 소비하고 있다. 이 사이의 아키히토 천황의 다양한 행위(제사 등을 제외하고 특히 지방행행·계, 피해지방 방문, 「전지」방문)에 대해서 철저하게 탐색, 시계열을 거슬러 올라가(황태자 시대의 1975년이나 80년의 발언까지) 또 마치 크게 그물을 펼치듯이 온갖 장면에서의 발언에 대해 집요하게 수집해 상세하게 분석하고 있는 것이 어떤 의미 놀라움이기도 하다.

게다가 지금까지 '리버럴'로 여겨져 온 정치세력·평론가 여러분 사이에서도 아키히토의 소업에 찬의를 둔다는 '트위스트'가 일어나고 있는 사실에 주목(평자도 반천황제였던 일본 공산당 의원이 국회에서 취한 태도의 변화에 ​​놀란 기억이 있다.

또 아키히토의 「상징관, 헌법관, 전쟁관」에는 중대한 하자가 있다고 철저히 비판, 타방 헌법 학계에서도 역사 학계에서도 「보수화」가 진행되어 비판적 관점이 없어지고 있다고 恨嘆.

마지막으로 이러한 우려해야 할 사태에 대해 두 가지 과제를 제시하고 있다. 하나는 상징 천황제를 헌법에 비추어 <정사>하는 것, 또 하나는 전쟁·오키나와·원전 문제에 국민 자신이 논의해 해결에 임하는 것,이라고. 그러나 하루 아침에 저녁에 할 수 있는 것은 아니다.

게다가 부언하면, 평자 자신은 현천황에 대해서는 그가 코미야라고 불리고 있던 젊었던 영국 유학의 건, 전공의 영역, 연구의 행보 등에 대해서 개인적으로 아는 관계가 있었던 만큼 저자 같은 결정적인 태도는 다루기 어렵다는 것을 "흰색"으로 둔다.
===


No comments: