2020-07-12

デンマーク人牧師がみた日本:明治の宗教指導者たち


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デンマーク人牧師がみた日本:明治の宗教指導者たち (日本語) 単行本 – 2016/8/22
長島要一 (翻訳)
5つ星のうち5.0    1個の評価
 
「異文化理解」――それはつねに文化の「誤訳」から始まる。
人はみな、自身の周りにある環境の影響のもとに生活している。我々には所詮、見えるものしか見ることはできない。
しかし、その「誤訳」を知ることで、自文化を客観視し、お互いに歩み寄ることができる。
1911年に来日したデンマーク人牧師、カール・スコウゴー=ピーターセンは、日本の寺社を見て歩き、当時の日本人の宗教観を探り、指導者たちに話を聞いてまわった。
無名の一「西洋人」によるインタビューからは、明治末期の指導的立場にあった人々が感じていた日本の問題点やキリスト教との関わりが、時には美化され、時には赤裸々に伝わってくる。
帰国後デンマークにて刊行された印象記『現代の日本から』を本邦初公刊。
スコウゴー=ピーターセンによって「誤訳」された「日本」を知ることで、「異文化理解」への再考をせまる。
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内容(「BOOK」データベースより)
一九一一年に来日したデンマーク人牧師、カール・スコウゴー=ピーターセンは、寺社を見て歩き、日本人の宗教観を探り、指導者たちに話を聞いてまわった。無名の一「西洋人」によるインタビューからは、明治末期の指導的立場にあった人々が感じていた日本の問題点やキリスト教との関わりが、時には美化され、時には赤裸々に伝わってくる。帰国後デンマークにて刊行された印象記『現代の日本から』を本邦初公刊。スコウゴー=ピーターセンによって「誤訳」された「日本」を知ることで、「異文化理解」への再考をせまる。
著者について
ながしま・よういち…1946年生まれ.コペンハーゲン大学博士課程修了(比較文学・日本近現代文学).コペンハーゲン大学DNP特任教授.
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単行本: 328ページ
出版社: 思文閣出版 (2016/8/22)
言語: 日本語
ISBN-10: 4784218602
ISBN-13: 978-4784218608
発売日: 2016/8/19-

トップレビュー
トップレビュー
龍雲山
5つ星のうち5.0 デンマーク人の誤解も含めて、ありのままを受け入れることも大事。
2016年10月27日に日本でレビュー済み
1911年来日した、デンマーク人の牧師カール・スコウゴー・ピーターセンの日本滞在記を翻訳したものである。

訳者によるまえがきが9ページ、「解題」は3から39ページ、序が始まるのが40ページから、と本人の滞在記に入る前の解説が、普通の本のほぼ一章分使っています。これには理由があります。

まず、当時の時代背景が複雑で、当時の日本の状況の解説する必要があることです。また著者カール氏についても、どういう人物なのかの説明が必要でした。

長い「解題」には、本書を読むことで気分を害しないで欲しいという強い思いが見受けられる。

著者カール氏は、牧師として日本にキリスト教を布教するために来日した。全くの当然のことながら、当時の日本におけるキリスト教の教会組織は整備されておらず、また文明的にもデンマークより劣る国だった。今日の日本人が読んだら、不愉快に思う箇所が見受けられる。

そこを敢えて訂正しないでそのまま出版したのは、意味がある。

「グローバル社会というが、そこで語られる異文化理解はどれをとっても限定された理解にすぎず、全体が見えていない」

また日本に対する誤解があったにもかかわらず、日本はそのことを知らず、何の説明や反論も行わずに来たという。

「著者は日本の文化や宗教について、予備知識も比較参照の枠も持たずに「そのまま」記述しているので差別や偏見はある。ただ噂や通説で判断するのではなく、「そのままを見る」ことは大切なのではないか」

そう「訳者まえがき」にある。

43ページから、著者の体験記が始まる。

Ⅰ 山並みを越えて
こちらは短い、山を訪ねた時の紀行文である。

Ⅱ 寺社と祭り
   熊本、大阪、神戸、京都、奈良、日光を訪ねた時の体験記である。

Ⅲ 指導者たちと性格
   本書のメインというべきか。
   日本で対談、対面した20人の指導者との会話や印象の記録。
   この20人の中には大隈重信もいる。

Ⅳ 訪問の成果

Ⅴ 日本人の特徴

という構成である。

 著者の体験記の後に、著者の誤解やわかりにくい点などは、丁寧な解説がつけられている。専門外の人でも話がわかりやすい。

 とりわけ著者が会った、当時78歳の女性の地位向上の活動に一生を捧げ、女子学院を設立した矢嶋梶子氏の存在は特筆すべきだろう。矢嶋氏の「一番ひどいのは、女性たちが虐げられた状態になれきってしまってい」ることという言葉は、現代女性にも喝を入れる言葉である。

「異文化理解 それはつねに文化の『誤訳』から始まる。

「その『誤訳』を知り、比較検討することで、自分化を客観視し、お互いに歩み寄ることができる」

誤解も含めて、当時のデンマーク人の目に日本がどのように映ったか知るのは大変意義のあることではないだろうか。
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