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南京事件 (岩波新書) (日本語) 新書 – 1997/11/20
笠原 十九司 (著)
5つ星のうち3.5 42個の評価
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
日中戦争において、日本は当時の中国の首都、南京を激戦のすえ攻略した。このときに発生した、いわゆる「南京大虐殺」は重大な戦争犯罪として、いまも論議の的になっている。著者は、攻略戦の発端から説きおこし、外国人記録を含めた史料群を博捜し分析して、その全体像を描き出していく。現代史の焦点を衝く待望の歴史叙述。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
笠原/十九司
1944年群馬県に生まれる。東京教育大学文学部卒業。専攻、中国近現代史。現在、都留文科大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
新書: 248ページ
出版社: 岩波書店 (1997/11/20)
言語: 日本語
ISBN-10: 4004305306
ISBN-13: 978-4004305309
発売日: 1997/11/20
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.5
星5つ中の3.5
評価の数 42
星5つ 39%
星4つ 23%
星3つ 4%
星2つ 10%
星1つ 23%
トップレビュー
Amazon Customer
5つ星のうち4.0 日本の歴史を貶めた原本?2019年1月20日に日本でレビュー済み
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最新の歴史事実を踏まえて読んでみた。
読み物としては、そこそこ面白い。最後の南京事件への伏線が丁寧に書かれてある。
ただし、肝心な最期の南京侵入後の記載は酷い。中国製南京映画とほぼ同じである。
現在、某野党のマッチポンプが明らかになっているが、南京事件も全く同じ構図である。
読者は、読む前に広く南京事件、東京裁判、慰安婦問題などの最新の情報を把握してから読むと
反面教師となる本としては良いでしょう。正しい歴史を知りたい方にはお勧めしません。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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北野旅人
5つ星のうち5.0 Danke schön.2019年10月15日に日本でレビュー済み
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資料として。
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アマゾン カスタマー
5つ星のうち5.0 読んでよかった。2018年6月21日に日本でレビュー済み
この本のとても良い所は、中国国民党首脳への批判、東京裁判への批判や、拡大を阻止しようとした軍中央部の動き、現地で軍紀を乱さず行動した部隊の存在もきっちりと含まれていることです。
現存する資料、それも被害者側だけでなく、現地の日本人兵士やナチス党員初め外国人らの記録に基づいて、上記のように淡々と真実に迫ろうとする姿勢が、逆に事件の生々しさ・リアリティを高めています。
本書読了後にいわゆる「南京大虐殺否定論」を展開しているサイトやら、そういう論者が書いたと思しき某インターネット百科事典の記事記載やら見てみますと、そもそも上記のような資料を参照せず短絡的な思考実験に終始していたり、参照していても上記資料の極めて部分的・恣意的な抜粋や非整合的な解釈などが行われており、果ては外国人証人に対する週刊誌レベルの人格攻撃やら「国民党・中共の陰謀だ」という話まで出てくる始末です。右寄りの人間でさえ「南京事件があったこと自体は否定できない」と言っている理由がよくわかりました。アポロ計画陰謀論レベルで話にならないです。
当方子供のころからインターネットに触れてきた身でありますが、上記のような情報が影響力を持つのが情報化社会の末路だと思うと笑いも出ません。
南京事件について妥当な事実認識を得たい方は是非。おすすめです。
35人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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まこちゃ
5つ星のうち5.0 とても丁寧な調査に基づいた書籍であると思います。2018年12月24日に日本でレビュー済み
もちろん、この書籍にある資料の引用や調査結果が、すべて正しいとは思わない。
しかし、
私自身の幼いころに父親から聞いた戦争体験を思い出します。
南京事件には関わっていないが、日本軍がいかに非人道的な組織であったか
そういう私の記憶と照らしても
とても丁寧な調査に基づいた書籍であると思います。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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ばんぺいゆ
5つ星のうち5.0 またやるだろう2018年1月31日に日本でレビュー済み
虐殺を命令する偉い人、止められない偉い人、お上の命令にひれ伏して虐殺する真面目な人、この機に乗じて虐殺する悪い人、喝采する国民、面白おかしく煽るマスメディア、お褒めの言葉を賜る一番偉い人。今とどこが違うんですか? またそのときが来ればやりますね。ある人は仕方なく、ある人は嬉々として。
28人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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高木正雄
5つ星のうち2.0 どこが大虐殺なのか?2019年11月7日に日本でレビュー済み
逆に大虐殺が無かったという証拠と言えるのでは?
民間人を巻き添えにする便衣兵などは処刑されても自業自得。
逃げ遅れて戦闘に巻き込まれた老人などが30万人もいたと言うのか?
国民党軍が虐殺した自国民の数と比べたら圧倒的に少ない。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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十二月党。
5つ星のうち5.0 南京大虐殺事件の具体的な論証の書。2018年1月22日に日本でレビュー済み
日本の陸軍と海軍が南京攻略戦と南京占領時に中国軍民に対して行った殺戮、強奪、強姦などの残虐行為を
当事者である軍の戦闘詳報、南京攻略に参加した兵士の陣中日誌などを根拠に詳細に論証した書。
上海派遣軍指令官朝香宮鳩彦および昭和天皇の犯罪的行為、南京事件容認発言も明らかにされている。
昨今、わが国では保守、右翼排外主義者、歴史修正主義者らによる〝南京事件まぼろし論〟〝南京事件は
なかった論〟が言論界に広く見受けられ、これに付和雷同する輩の妄言もSNS等を通じて拡散しています。
このような時にこそ、南京大虐殺事件が歴史的事実であったことを客観的資料により論証した本書の
意義は大変大きいと思います。
もっと広く、真剣に読まれて然るべき名著です。
22人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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oct
5つ星のうち4.0 南京事件の真相に迫ろうとする意欲が見える良書である。2016年1月22日に日本でレビュー済み
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同じ著者の「南京事件論争史」と所謂「中間派の本」を併せて数冊読んだ。この著者には歴史の真相に迫ろうと云う熱意が感じられる。政府の表明「多くの非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないが、被害者の具体的な人数については認定困難」によって国際的にも評価が固まったと思うが、否定派はこれも否定して嘘・捏造を繰り返しているように思える。政治的な宣伝ではなく、真実を突きとめる努力が必要だと思う。この本にはその努力が見える。
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日本史
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南京事件論争史―日本人は史実をどう認識してきたか (平凡社新書) (日本語) 新書 – 2007/12/1
笠原 十九司 (著)
5つ星のうち3.0 24個の評価
増補 南京事件論争史: 日本人は史実をどう認識してきたか (平凡社ライブラリー)
笠原 十九司
5つ星のうち 4.3 14
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
一九三七年一二月、南京市を占領した日本軍は、敗残・投降した中国軍兵士と捕虜、一般市民を殺戮・暴行し、おびただしい数の犠牲者を出した。この「南京事件」は当時の資料からもわかる明白な史実であるにもかかわらず、日本では否定派の存在によって「論争」がつづけられてきた。事件発生時から現在までの経過を丹念にたどることで、否定派の論拠の問題点とトリックを衝き、「論争」を生む日本人の歴史認識を問う。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
笠原/十九司
1944年群馬県生まれ。東京教育大学大学院修士課程中退。現在、都留文科大学教授。専門は、中国近現代史、東アジア近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
新書: 293ページ
出版社: 平凡社 (2007/12/1)
言語: 日本語
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目次
序章 世界に注目される日本
第1章 「論争」前史
第2章 東京裁判―「論争」の原点
第3章 一九七〇年代―「論争」の発端
第4章 一九八〇年代―「論争」の本格化
第5章 一九九〇年代前半―「論争」の結着
第6章 一九九〇年代後半から現在―「論争」の変質
終章 真の学問的論争を願って
カスタマーレビュー
5つ星のうち3.0
星5つ中の3
評価の数 24
星5つ 23%
星4つ 10%
星3つ 29%
星2つ 18%
星1つ 20%
トップレビュー
八王子狭間タウンズシニア
5つ星のうち5.0 記憶のこと2015年10月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近のこと;
ちかごろ、この「南京事件」がユネスコの「世界記憶
遺産」に認定された。日本ではこの事件があたかも
存在しなかったような顔つきで、遺憾の意を表
した政治家がTVにでていた。
実は日本政府も公式に認め、謝罪している事件なのに、
このごろは、今ではすっかり忘却されたかのようでも
ある。
国際的にはこの事件は日本軍のひき起こしたアウシュビ
ッツと並ぶ20世紀の2大戦争犯罪である。
そこで著者はその事実経過とそのご日本での「南京の記憶」
の抹殺の過程を、東京裁判、サンフランシスコ講和条約、ま
た冷戦の開始と日本の「逆コース」の流れを追って考察したも
のである。
対外的態度と国内政策:
東京裁判の南京での虐殺行為の有罪判決を日本の政府が認め、サ
ンフランシスコ講和条約の11条での南京での犯罪を認めて
独立したのに、その後国内的には、教科書にこの事件について、
書かせなかったり、様々な制限を加えて日本人にこの事件につ
いて知らせないようにした。(教科書検定)、というのである。
日本人の記憶にならない理由:
日本人が南京事件を記憶しない主な理由は、著者によれば、
事件当時の、報道の禁止が一番であるとされる。
これを知らせる出版の禁止。石川達三『生きている兵隊』など。
戦後、東京裁判のメディア側の消極的な報道姿勢
逆コースによるアメリカ側の真実追及の弱化
55年体制後は、支配政党からの逆宣伝。などなど、
そして現在は。
本書のメリット:
本書の第一の貢献は、この事件を国民の記憶にさせないための
試みが、実に、政府側から起きていることを実証的に分析したこ
とだと思われる。
それで当方年寄りの思うには、
事実が正確に知られない場合には、この事件は、被害者側の
ねつ造だとか、東京裁判での『勝利者側のおしつけ』だと、思い
がちであろう。
何しろ、日本人は、外国の人々と比べると強者への従属志向が強く、
明治時代の「臣民意識」がまだ残っている様子だから。
天皇の軍隊=皇軍があの聖戦の中で、南京のような不祥事を
起こすはずがないと思っている人も多いかもしれない。
それで、日本人意識がとくに強い日本人は、本能的に日本のことが
悪く言われたり、国際的に批判されるのを嫌うのかもしれない、なと。
しかし、歴史社会学者の菊谷和宏さんにいわせると人間は家族の
一員であり、町や村や団地など共同体の一員であるだけでなく、人間
という存在一般の一員だというのである。
存在一般としての人間は真実を追求する性質を持っている。
読者への著者の期待は、貴君も人間一般だよ、と気づかせること
にあるのだ、とおもう。
21人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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nazoo
5つ星のうち5.0 南京事件の真実をしるための必読書2014年8月20日に日本でレビュー済み
かつて旧日本軍が起こした南京大虐殺事件と呼ばれる中国人の兵士や捕虜、市民に対する虐殺事件の真実が、資料に基づいてよく分かる良書です。また、南京事件を否定する右翼や歴史修正主義者のレトリックの問題点もよく分かります。
虐殺された中国人の人数が30万人でなかったとしても、それで南京大虐殺事件が無かったことにはなりません。人数の多い、少ないが問題ではなく、旧日本軍が南京において、そのような虐殺事件を引き起こしたことが問題なのです。このことは、旧日本軍「慰安婦」問題にも言えることです。済州島での旧日本軍による慰安婦狩りがあったという証言が虚偽であったとしても、それで旧日本軍による慰安婦問題が無かったことになりません。
本書を読むと、南京事件の何が問題なのかということが良く分かります。
25人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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アマゾン花子
5つ星のうち2.0 関連書物の背景がよくわかる2009年12月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
章ごとに、何年代はこのような南京に関わる本が出版され
それに対し否定派誰々がその嘘を暴いたというようなことも書いてある。
70年代に、各新聞・出版社で(ドイツ同様、米工作によるものと次章で暗に述べている)大虐殺のプロパガンダは
逆に国民は違和感を感じ、受け入れられなかったことから、30万人虐殺説などは、南京事件そのものがまぼろしにされるので(これが筆者の言う「トリック」である)筆者には大変迷惑だそうでアイリス・チャンには直接批判したらしい。
6章の稲田朋美氏著「百人斬り裁判から南京へ」を「否定説が本を出していると世間に見せかけるための本」
と書いてあり、その著書を読んだ自分にはとんでもない意見で驚いた。
読んでいないのか読んでいない振りをしているのかは解らないが、自説を覆されないよう通り過ぎたい気持ちが汲める場面であるのは間違いない。そんな風に百人斬りを否定する資料はすべて彼にとって「右翼の工作」であることが否定派に立って読むと「トリック」である。
大逆説は有り得ないけれど「まぼろし」では絶対ないという筆者の立場を踏まえたうえで読めば
ちょっとした資料にはなるので星2つ。
17人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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メーストル
VINEメンバー
5つ星のうち4.0 素人目には誠実な歴史学を求める良書に見えたが、一体誰を信じればいいのやら2009年10月22日に日本でレビュー済み
著者は歴史学者という事で、歴史学の正しい方法に沿った学術的な論証をこれ以上ないほどに重視している。いわば本書に流れる思いはこれまでの論争や声の大きい言説が、あまりに歴史学的学術的に粗雑である事への憂いや怒りであると思われる。そういった事からも素人目には十分信用に値するように見えた。かつて間違った写真を使用した事もあるようだが、それは本書で誠実に認めているし、そういう事も起こりうるだろうと思う。ただそれだけで著者を攻撃し続けるような気にはなれない。
ただ最終的な判断はつかない。何故そんな歴史学的な完全な判断が全くの素人である一般人の私に出来るだろうか。この手の話題を好む人は非常に多く思うが、私は長らく、というより本書を今週読むまでこの手の話題には一切首を突っ込まない事にしていた。あまりにこの話題を多く吹っかけられるので最低限の教養はつけようかと本書を手に取ったが、本書でこれまでの論争史に簡潔に触れ、改めて私のようなものが首を突っ込まないできたのは賢明だったかもしれないと思った。…というと無関心を肯定しているようで、南京虐殺の肯定派からも否定派からも怒られるかもしれないが、正直な気持ちとして私にはここまで高度に歴史学的な、語弊があるが「マニアック」ですらある話題がここまで一般的に多く言われ、関連書が多く出されしかもそれが多大な反響を呼び熱狂的なレビューが多く寄せられるという状況が不思議であり、異様に見える。そういった関心を持つ事を否定しているわけではなく、ただ単に不思議に見え、私には荷が重く思える。
本書で描かれる論争史は明らかに史実をめぐる歴史学的なコゼり合いだがこれがこれほど大規模にダイナミックに行われてきたのには驚いてしまうのだ。この写真のここがどうで間違っているだとか、この本の著者のかつての所属部隊とその進軍ルートを調べると著者は嘘をついてどうだとか、そういう事が散々書かれている。それは重要な問題であるのは分かるが私のような一般人はそんな論争は歴史学者の人がやっていてくださいと思ってしまう。それでやがて史実が明らかになるならそれを受け入れるだけでいいと思ってしまう。仮にそういった無関心をやめて自分で真実を探りに行くにしても、そうすると膨大な数の証言や文献、写真を自分で当らねばならなくなり、しかもそういった証拠からも意見がバラバラである事を考えると自分でそれらを疑ったり信じたりを選ばねばならず、疑うにはその証拠の出所などを徹底的に調べる必要があり信じるためにも同様の調査が必要となる。写真は偽物かもしれず、それを安易に根拠にすると叩かれてしまう。しかもその真偽の判断は歴史学者の大物ですら誤りうる。さらには仮に正しい証拠でも不当にプロパガンダとして否定する人が大勢いればそれに惑わされてしまうかもしれない。…こういった事を考えると私にはとても無理だし首を突っ込みたくないと改めて思う。それがこの国では多くの歴史学者でもなんでもない人がそのような高度に歴史学的な関心を持っている。これが不思議だなぁというのが、本書で論争史に触れての最初の念だ。
史料を実際に読まずに批判したりする事、不誠実で恣意的な読み方、これらは論外だろうと私も思う。だから肯定派も否定派も何かの意見の論拠になっている本は眉に唾を付けて自分で読みましょうと薦めたりする。だが何故膨大な史料に自分であたって眉に唾を付けながら丹念に一頁一頁読んでいきここが間違いだ、ここがどうだなどという歴史学者的作業に一般人が没頭せねばならないのか。そのような時間も気力も余裕も金銭も能力も関心もない一般人にとってはただただ「誰を信じていいやら」である。…尚本書では論争を辿りつつ、その論争を担い種となってきた多くの書籍が取り上げられ、丹念にその間違いを指摘したりしている。私には全て読むような元気はないが、やる気のある人はブックガイドとして使用するのもいいだろう。批判のため否定派の書籍を多く取り上げているのだから、書籍紹介として偏ってもいない。
読後今現在考えているのは、歴史学者なみに徹底して史実を論証する気も力もない一般人は、私のように半ば無関心を決め込むのか、それとも生半可な知識でもいっちょまえに史実を否定しにかかったりするのか、どちらがより誠実で賢明かという事だ。あるいは我々は歴史に多大な関心を持ちつつ、生半可ではない正しい知識を持つ義務があるのだろうか。だがその場合も学者や教師に教えられる事を信じるだけでいけないなら、我々は全員が歴史学者にならねばならないのではないか。そんなつまらない事を考えさせられた。
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愛国者
5つ星のうち4.0 論争史を読むならまずコレで良いのでは?2009年4月25日に日本でレビュー済み
著者の本は何冊か読んでいるが、どうも史料から引き出す結論がちょっと強引
すぎるなぁと感じてきた。南京虐殺事件では、多くの人が指摘しているように
「それは虐殺とは言えないのでは」という数までカウントしていたりして
なんだかなぁ・・・と思うこともある。
とはいえ、やはり学者らしく、広範な史料に基づいた研究をすすめているという
点で、この著者はやはり専門家だと思う。だいたい自分の考えとか偏見に
有利なように議論を進めるという強引さは、否定されるべき根拠がハッキリ
していないかぎり、学者ならみんな持っているものだ。
南京事件の「まぼろし派」(南京大虐殺などなかったと主張していた派。
専門の歴史学者では皆無と言っていいほど少数)と分類できる人達の本も
ちょっと読んでみたが、まったく読むに耐えない代物だった。
基本的で重要な資料を全く無視する態度は、広い範囲の史料を熟読して吟味し、
そこから議論を組み立てる歴史の専門学者とは土台からレベルが違いすぎる。
本書は「論争」(というにはかなりお粗末だが、無視するには社会的影響が
大きすぎる)の経緯を簡潔にまとめたもので、論争について一通り知りたい
人間には役立つ内容。
本来は専門的研究(歴史学者同士の議論を含む)と教育に専心するべきはずの
大学の先生がこんな本を出さねばならないのは、困ったモンだなぁと思う。
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日本からのレビューをすべて見る
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10
28:45NOW PLAYING
<歴史シリーズ大東亜#10>韓国併合
オリーブの木 代表黒川あつひこ チャンネル
11
30:37NOW PLAYING
<歴史シリーズ大東亜#11>日中前編
オリーブの木 代表黒川あつひこ チャンネル
12
22:53NOW PLAYING
<歴史シリーズ大東亜#12>日中後編
オリーブの木 代表黒川あつひこ チャンネル
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南京事件論争史―日本人は史実をどう認識してきたか (平凡社新書) (日本語) 新書 – 2007/12/1
笠原 十九司 (著)
5つ星のうち3.0 24個の評価
増補 南京事件論争史: 日本人は史実をどう認識してきたか (平凡社ライブラリー)
笠原 十九司
5つ星のうち 4.3 14
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内容(「BOOK」データベースより)
一九三七年一二月、南京市を占領した日本軍は、敗残・投降した中国軍兵士と捕虜、一般市民を殺戮・暴行し、おびただしい数の犠牲者を出した。この「南京事件」は当時の資料からもわかる明白な史実であるにもかかわらず、日本では否定派の存在によって「論争」がつづけられてきた。事件発生時から現在までの経過を丹念にたどることで、否定派の論拠の問題点とトリックを衝き、「論争」を生む日本人の歴史認識を問う。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
笠原/十九司
1944年群馬県生まれ。東京教育大学大学院修士課程中退。現在、都留文科大学教授。専門は、中国近現代史、東アジア近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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新書: 293ページ
出版社: 平凡社 (2007/12/1)
言語: 日本語
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序章 世界に注目される日本
第1章 「論争」前史
第2章 東京裁判―「論争」の原点
第3章 一九七〇年代―「論争」の発端
第4章 一九八〇年代―「論争」の本格化
第5章 一九九〇年代前半―「論争」の結着
第6章 一九九〇年代後半から現在―「論争」の変質
終章 真の学問的論争を願って
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八王子狭間タウンズシニア
5つ星のうち5.0 記憶のこと2015年10月30日に日本でレビュー済み
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ちかごろ、この「南京事件」がユネスコの「世界記憶
遺産」に認定された。日本ではこの事件があたかも
存在しなかったような顔つきで、遺憾の意を表
した政治家がTVにでていた。
実は日本政府も公式に認め、謝罪している事件なのに、
このごろは、今ではすっかり忘却されたかのようでも
ある。
国際的にはこの事件は日本軍のひき起こしたアウシュビ
ッツと並ぶ20世紀の2大戦争犯罪である。
そこで著者はその事実経過とそのご日本での「南京の記憶」
の抹殺の過程を、東京裁判、サンフランシスコ講和条約、ま
た冷戦の開始と日本の「逆コース」の流れを追って考察したも
のである。
対外的態度と国内政策:
東京裁判の南京での虐殺行為の有罪判決を日本の政府が認め、サ
ンフランシスコ講和条約の11条での南京での犯罪を認めて
独立したのに、その後国内的には、教科書にこの事件について、
書かせなかったり、様々な制限を加えて日本人にこの事件につ
いて知らせないようにした。(教科書検定)、というのである。
日本人の記憶にならない理由:
日本人が南京事件を記憶しない主な理由は、著者によれば、
事件当時の、報道の禁止が一番であるとされる。
これを知らせる出版の禁止。石川達三『生きている兵隊』など。
戦後、東京裁判のメディア側の消極的な報道姿勢
逆コースによるアメリカ側の真実追及の弱化
55年体制後は、支配政党からの逆宣伝。などなど、
そして現在は。
本書のメリット:
本書の第一の貢献は、この事件を国民の記憶にさせないための
試みが、実に、政府側から起きていることを実証的に分析したこ
とだと思われる。
それで当方年寄りの思うには、
事実が正確に知られない場合には、この事件は、被害者側の
ねつ造だとか、東京裁判での『勝利者側のおしつけ』だと、思い
がちであろう。
何しろ、日本人は、外国の人々と比べると強者への従属志向が強く、
明治時代の「臣民意識」がまだ残っている様子だから。
天皇の軍隊=皇軍があの聖戦の中で、南京のような不祥事を
起こすはずがないと思っている人も多いかもしれない。
それで、日本人意識がとくに強い日本人は、本能的に日本のことが
悪く言われたり、国際的に批判されるのを嫌うのかもしれない、なと。
しかし、歴史社会学者の菊谷和宏さんにいわせると人間は家族の
一員であり、町や村や団地など共同体の一員であるだけでなく、人間
という存在一般の一員だというのである。
存在一般としての人間は真実を追求する性質を持っている。
読者への著者の期待は、貴君も人間一般だよ、と気づかせること
にあるのだ、とおもう。
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5つ星のうち5.0 南京事件の真実をしるための必読書2014年8月20日に日本でレビュー済み
かつて旧日本軍が起こした南京大虐殺事件と呼ばれる中国人の兵士や捕虜、市民に対する虐殺事件の真実が、資料に基づいてよく分かる良書です。また、南京事件を否定する右翼や歴史修正主義者のレトリックの問題点もよく分かります。
虐殺された中国人の人数が30万人でなかったとしても、それで南京大虐殺事件が無かったことにはなりません。人数の多い、少ないが問題ではなく、旧日本軍が南京において、そのような虐殺事件を引き起こしたことが問題なのです。このことは、旧日本軍「慰安婦」問題にも言えることです。済州島での旧日本軍による慰安婦狩りがあったという証言が虚偽であったとしても、それで旧日本軍による慰安婦問題が無かったことになりません。
本書を読むと、南京事件の何が問題なのかということが良く分かります。
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5つ星のうち2.0 関連書物の背景がよくわかる2009年12月29日に日本でレビュー済み
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章ごとに、何年代はこのような南京に関わる本が出版され
それに対し否定派誰々がその嘘を暴いたというようなことも書いてある。
70年代に、各新聞・出版社で(ドイツ同様、米工作によるものと次章で暗に述べている)大虐殺のプロパガンダは
逆に国民は違和感を感じ、受け入れられなかったことから、30万人虐殺説などは、南京事件そのものがまぼろしにされるので(これが筆者の言う「トリック」である)筆者には大変迷惑だそうでアイリス・チャンには直接批判したらしい。
6章の稲田朋美氏著「百人斬り裁判から南京へ」を「否定説が本を出していると世間に見せかけるための本」
と書いてあり、その著書を読んだ自分にはとんでもない意見で驚いた。
読んでいないのか読んでいない振りをしているのかは解らないが、自説を覆されないよう通り過ぎたい気持ちが汲める場面であるのは間違いない。そんな風に百人斬りを否定する資料はすべて彼にとって「右翼の工作」であることが否定派に立って読むと「トリック」である。
大逆説は有り得ないけれど「まぼろし」では絶対ないという筆者の立場を踏まえたうえで読めば
ちょっとした資料にはなるので星2つ。
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メーストル
VINEメンバー
5つ星のうち4.0 素人目には誠実な歴史学を求める良書に見えたが、一体誰を信じればいいのやら2009年10月22日に日本でレビュー済み
著者は歴史学者という事で、歴史学の正しい方法に沿った学術的な論証をこれ以上ないほどに重視している。いわば本書に流れる思いはこれまでの論争や声の大きい言説が、あまりに歴史学的学術的に粗雑である事への憂いや怒りであると思われる。そういった事からも素人目には十分信用に値するように見えた。かつて間違った写真を使用した事もあるようだが、それは本書で誠実に認めているし、そういう事も起こりうるだろうと思う。ただそれだけで著者を攻撃し続けるような気にはなれない。
ただ最終的な判断はつかない。何故そんな歴史学的な完全な判断が全くの素人である一般人の私に出来るだろうか。この手の話題を好む人は非常に多く思うが、私は長らく、というより本書を今週読むまでこの手の話題には一切首を突っ込まない事にしていた。あまりにこの話題を多く吹っかけられるので最低限の教養はつけようかと本書を手に取ったが、本書でこれまでの論争史に簡潔に触れ、改めて私のようなものが首を突っ込まないできたのは賢明だったかもしれないと思った。…というと無関心を肯定しているようで、南京虐殺の肯定派からも否定派からも怒られるかもしれないが、正直な気持ちとして私にはここまで高度に歴史学的な、語弊があるが「マニアック」ですらある話題がここまで一般的に多く言われ、関連書が多く出されしかもそれが多大な反響を呼び熱狂的なレビューが多く寄せられるという状況が不思議であり、異様に見える。そういった関心を持つ事を否定しているわけではなく、ただ単に不思議に見え、私には荷が重く思える。
本書で描かれる論争史は明らかに史実をめぐる歴史学的なコゼり合いだがこれがこれほど大規模にダイナミックに行われてきたのには驚いてしまうのだ。この写真のここがどうで間違っているだとか、この本の著者のかつての所属部隊とその進軍ルートを調べると著者は嘘をついてどうだとか、そういう事が散々書かれている。それは重要な問題であるのは分かるが私のような一般人はそんな論争は歴史学者の人がやっていてくださいと思ってしまう。それでやがて史実が明らかになるならそれを受け入れるだけでいいと思ってしまう。仮にそういった無関心をやめて自分で真実を探りに行くにしても、そうすると膨大な数の証言や文献、写真を自分で当らねばならなくなり、しかもそういった証拠からも意見がバラバラである事を考えると自分でそれらを疑ったり信じたりを選ばねばならず、疑うにはその証拠の出所などを徹底的に調べる必要があり信じるためにも同様の調査が必要となる。写真は偽物かもしれず、それを安易に根拠にすると叩かれてしまう。しかもその真偽の判断は歴史学者の大物ですら誤りうる。さらには仮に正しい証拠でも不当にプロパガンダとして否定する人が大勢いればそれに惑わされてしまうかもしれない。…こういった事を考えると私にはとても無理だし首を突っ込みたくないと改めて思う。それがこの国では多くの歴史学者でもなんでもない人がそのような高度に歴史学的な関心を持っている。これが不思議だなぁというのが、本書で論争史に触れての最初の念だ。
史料を実際に読まずに批判したりする事、不誠実で恣意的な読み方、これらは論外だろうと私も思う。だから肯定派も否定派も何かの意見の論拠になっている本は眉に唾を付けて自分で読みましょうと薦めたりする。だが何故膨大な史料に自分であたって眉に唾を付けながら丹念に一頁一頁読んでいきここが間違いだ、ここがどうだなどという歴史学者的作業に一般人が没頭せねばならないのか。そのような時間も気力も余裕も金銭も能力も関心もない一般人にとってはただただ「誰を信じていいやら」である。…尚本書では論争を辿りつつ、その論争を担い種となってきた多くの書籍が取り上げられ、丹念にその間違いを指摘したりしている。私には全て読むような元気はないが、やる気のある人はブックガイドとして使用するのもいいだろう。批判のため否定派の書籍を多く取り上げているのだから、書籍紹介として偏ってもいない。
読後今現在考えているのは、歴史学者なみに徹底して史実を論証する気も力もない一般人は、私のように半ば無関心を決め込むのか、それとも生半可な知識でもいっちょまえに史実を否定しにかかったりするのか、どちらがより誠実で賢明かという事だ。あるいは我々は歴史に多大な関心を持ちつつ、生半可ではない正しい知識を持つ義務があるのだろうか。だがその場合も学者や教師に教えられる事を信じるだけでいけないなら、我々は全員が歴史学者にならねばならないのではないか。そんなつまらない事を考えさせられた。
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愛国者
5つ星のうち4.0 論争史を読むならまずコレで良いのでは?2009年4月25日に日本でレビュー済み
著者の本は何冊か読んでいるが、どうも史料から引き出す結論がちょっと強引
すぎるなぁと感じてきた。南京虐殺事件では、多くの人が指摘しているように
「それは虐殺とは言えないのでは」という数までカウントしていたりして
なんだかなぁ・・・と思うこともある。
とはいえ、やはり学者らしく、広範な史料に基づいた研究をすすめているという
点で、この著者はやはり専門家だと思う。だいたい自分の考えとか偏見に
有利なように議論を進めるという強引さは、否定されるべき根拠がハッキリ
していないかぎり、学者ならみんな持っているものだ。
南京事件の「まぼろし派」(南京大虐殺などなかったと主張していた派。
専門の歴史学者では皆無と言っていいほど少数)と分類できる人達の本も
ちょっと読んでみたが、まったく読むに耐えない代物だった。
基本的で重要な資料を全く無視する態度は、広い範囲の史料を熟読して吟味し、
そこから議論を組み立てる歴史の専門学者とは土台からレベルが違いすぎる。
本書は「論争」(というにはかなりお粗末だが、無視するには社会的影響が
大きすぎる)の経緯を簡潔にまとめたもので、論争について一通り知りたい
人間には役立つ内容。
本来は専門的研究(歴史学者同士の議論を含む)と教育に専心するべきはずの
大学の先生がこんな本を出さねばならないのは、困ったモンだなぁと思う。
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