2016-04-16

日韓 新たな始まりのための20章: 田中 宏, 板垣 竜太: 本

Amazon.co.jp: 日韓 新たな始まりのための20章: 田中 宏, 板垣 竜太: 本
著者からのコメント
 本書は,近年になって"たがが外れた"ように露呈してきた<嫌
韓流>現象を念頭に,企画・編集された.といっても,『嫌韓流』(山野車輪,晋遊舎(2005))のような作品での議論に対して逐一反論するような形式はとらなかった.既に『『マンガ嫌韓流』のここがデタラメ』(太田修・朴一ほか著,コモンズ(2006))のような批判本も出ているほか,植民地支配の問題については『日本の植民地支配----肯定・賛美論を検証する』(水野直樹ほか編著,岩波書店(2002))というブックレットもあり,それらとの重複は避けたいからである.
 それだけでなく,反論・批判だけではあまりに消極的で守勢的であろうというのが,もう一つの理由である.<嫌韓流>の土俵にのって,無数に増産されるテキスト一つ一つに対応していては,議論は閉じていき,消耗していくばかりである.もちろん<嫌韓流>的な情報が圧倒的な規模で流通している現状において,事実面での間違いや誇張を訂正することは必要であり,本書でもそれが大きな比重を占める.ただ,それにとどまらず,<嫌韓流>を克服し,開かれた関係構築のための手がかりになるような思考の糧も提供したいというのが,本書で試みようとしたことである.
 20に分かれた各章は,どこから読み進めていただいても構わない.第I 部では,まず現代日本の<嫌韓流>現象を読み解く.必ずしも各章に対する総論というわけではなく,一種の現状分析である.続く第II部では日本による挑戦の植民地支配に関連した諸問題,第III部では在日コリアンの歴史と現代の在日外国人をめぐる問題,第IV部では日韓関係について論じられる.いずれも最近しばしばとりあげられるトピックを中心に,近年の研究動向を踏まえて,分かりやすく論じている.
----本書「はじめに」より

内容(「BOOK」データベースより)
近年、インターネットなどで排外主義・人種主義が拡がっている。それは、日韓関係や在日朝鮮人をめぐる「嫌韓」意識として表れている。このような“嫌韓流”現象を多角的・批判的に分析するとともに、日本人とコリアンが新しい関係をつくるための手がかりとなる“思考の糧”と“歴史の見方”を提供する。「“嫌韓流”の解剖ツール」「マンガ表現から見た“嫌韓流”」「植民地支配は朝鮮を豊かにしたか」「朝鮮人強制連行はなかったのか」「参政権は「国民固有の権利」か」「在日コリアンに対する差別はなくなったのか」「韓国の「過去清算」はどうなっているか」「過去に向き合うことは「自虐史観」か」等20章。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田中/宏
1937年生れ。一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。龍谷大学経済学部教授。専攻は日本アジア関係史

板垣/竜太
1972年生れ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。同志社大学社会学部社会学科専任講師。専攻は朝鮮近現代社会史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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5つ星のうち5.0
ぜひ皆さんにすすめたい一冊です。
投稿者展蘭会2007年2月9日
形式: 単行本
書店に『嫌韓流』のようなレイシズムに満ちた本が何冊も並んでいるのを見て日本人の「良識」はどこへやらとため息をつき途方に暮れてしまうのは私だけでなかろう。戦後生まれの首相が誕生し戦争や植民地支配の記憶が忘却されている中、『嫌韓流』現象のようなものが日本人の思考を蝕んでいくのをおとなしく黙って見ているわけにはいかない。

『日韓新たな始まりのための20章』は嫌韓流批判の本であると同時に植民地支配の歴史、在日朝鮮人、日韓関係に関する基本的かつ深い知識を与えてくれる非常に優れた本である。各章とも要点がまとまっており大変勉強になる。執筆人には若手の研究者もおり彼らのこれからの活躍が楽しみだ。私たちは日韓の未来を塞ぐ『嫌韓流』ではなく、本書のようなしっかりとした研究に基づいた本を手元に置いて日本と韓国の関係を考え、未来に歩み出す必要がある。
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5つ星のうち1.0
専門家による批判なのに…
投稿者ピーチとレモン2007年2月25日
形式: 単行本
この際きっぱりと申し上げますが、この本はお勧め出来ません。

その理由を以下に挙げます。

1〈嫌韓流〉の解剖ツールについて

 筆者は「現代日本社会の抱える不安」つまり「先の見えなさ、閉塞感、雇用の不安定、格差の拡大などなど」が「〈嫌韓流〉現象が広がる背景」にあると述べています。しかし、私は日韓ワールドカップでの韓国サポーターの振る舞いや竹島問題での韓国の反日デモを目の当たりにした人々が彼等の行動に違和感を覚え、その思いにある種の解答を与えてくれた『マンガ嫌韓流』が広く受け入れられたと考えます。(筆者のような学者と私のような庶民では受け取り方が違うと言えばそれまででしょうが。)

17竹島問題はどう考えたらよいかについて

 筆者は「1905(明治38)年1月28日に内務省の公示により竹島(独島)を島根県に編入した事実」に対して「当時の大韓帝国はすでに第一次日韓協約下におかれ、自主的な外交は著しく制約されていた」と述べています。しかし、韓国は第二次日韓協約で外交権が接収される以前の第二次日英同盟協約が締結された際に、朴斉純外相が日英両国に抗議していた筈です。それに触れずに『マンガ嫌韓流』を批判することは出来ません。専門家の筆者がこの事実を知らなかったとは考えられません。何らかの作意を感じます。

他にも沢山ありますが、字数が尽きました。
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5つ星のうち5.0
「祭り」は終わりにして「隣人」と向き合えるか……
投稿者レット・イット・ブリードVINEメンバー2007年4月25日
形式: 単行本|Amazonで購入
 冷静でクールな「日本人」は『漫画』の中ではなく本書の中に確かにいる。

彼らは歴史的な思考が本来持っている対話的構造を持ち、その中で揺さぶられ、何かを発見し、あるいは否定され、同じ過ちを繰り返さないように、過去と向き合っている。けっして自己愛だけに流されることはないのだ。

 幅広い日韓ウオッチャーに読まれたいが、その中でも特に鄭大均氏や西尾幹二氏のファンには必読ではないだろうか。
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5つ星のうち1.0イデオロギーという色眼鏡
投稿者九州の日2008年2月3日
形式: 単行本
 朝鮮日報に書評が出ていたのが購入のきっかけでした。全20章を日本人と思われる15人と韓国人と思われる人3人が各々分担して執筆しているマンガ「嫌韓流」の反論本です。
 端的に言えば「嫌日流」と同じレベル。盧武鉉政権の主張の引き写しです。
 例えば第16章の「日韓条約で植民地支配は清算されたか(太田修筆)」
このなかで「嫌韓流」に対する3つの反論を行っています。その中のひとつに「完全かつ最終的に解決された。」という国同士の協定に対して、「事実はそうでない。」と主張しています。根拠は「”謝罪”も”補償”もされなかったため」なそうです。他にも「金額が少なすぎる」というものもありました。絶句です。
 35年の日本併合に対して63年間韓国が主張し続けていることの肯定。どこが「新たな始まりのため」なのでしょう。歴史も見つめ直す事は大事です。でも、「電信柱が高いのも郵便ポストが赤いのもみんな日帝が悪いのよ」はもう日本国民には通じません。編・執筆者のみならず出版社の良識を疑いたくなる本でした。1,700円をどぶに捨てました。
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5つ星のうち3.0可もなく不可もなく。
投稿者haya2014年1月15日
形式: 単行本|Amazonで購入
新たな始まりを意識しすぎて、韓国に都合よく書かれている印象が強い。

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