2021-08-13

朝日の信頼度、今年も全国紙で最低:ロイター研調査 – 島田範正のIT徒然

朝日の信頼度、今年も全国紙で最低:ロイター研調査 – 島田範正のIT徒然

朝日の信頼度、今年も全国紙で最低:ロイター研調査



38カ国、計7万5千人に及ぶ調査をもとに、ジャーナリズム業界の現状を報告するオックスフォード大ロイタージャーナリズム研究所の「Digital News Report 2019」が公表されました。

156ページに及ぶ長大な内容で、とても全ては紹介できませんが、調査結果やグラフなどは自由に利用して良い、とあるので、日本の事情を軸にいくつか興味深い点をまとめてみます。

まず、昨年のレポートで話題になったのは、レポートの後半、「各国編」にある日本のニュースメディアの信頼度ランキングでした。「高級紙」を自負しているはずの朝日新聞が経営難が伝えられる産経新聞の後塵を拝し、全国紙では最下位に沈んだことでした。

これは、日本で調査に応じた2033人が、信頼度を10点満点として、各ニュースメディアを格付けたものです(2019年版では2017人)。調査時点はその年の1月末から2月初め。この時は、朝日は慰安婦報道や吉田調書問題などの”後遺症”をまだ引きずった結果かとも思われました。

それから1年。森友学園問題では財務省の文書書き換えのスクープなどもあったので、イメージは改善されたかどうかに関心があったので、真っ先にそれをチェックしました。その結果がこれです。



問題の昨年のランキングはこれ。



順位は11位、産経、毎日より下位なのは変わりませんでした。全国紙トップの日経との差は0.70に過ぎませんが、全国紙最下位が指定席のようになったのは意外です。

あとは、NHKニュースが別格のハイスコアなのに続き、民放キー局のニュースが概ね上位に並んでいること、さらにオンラインメディアのハフポストとバズフィードが昨年同様、週刊新潮や週刊文春より信頼度が高いのも印象的です。

ちなみに、2017年のレポートを参照したところ、「信頼度ランキング」はありませんでした。2018年から始まったもののようです。

ただし、2017年版では、NHK、Yahoo News、日経と朝日の4媒体を取り上げて、そのユーザーが各々の特質を評価するグラフを載せています。これです。



ここでは、上から順に「正確で信頼できるニュース」「複雑な問題の理解」「強力な視点」「楽しめて娯楽性がある」の項目の全てで、朝日は他の媒体に遅れを取っています。とりわけ、問題の「正確で信頼できるニュース」では59%のNHKに大差をつけられる24%止まり、Yahoo(32%)にさえ大負けでした。

それが2018年のランキングで顕在化し、今年のランキングにも繋がっているということでしょうか。

誤解のないように書きますが、私は朝日の評価が低いことを揶揄しているわけではありません。むしろ、意外だし、残念な思いです。ですが、こういう評価をする日本人のネットユーザー(この調査はオンラインで行われました)の特質はなんなのか?その一部を調査から拾ってみました。

その一つは、「ほとんどの場合、ほとんどのニュースを信頼するか」の項目で、全体の平均は42%が同意しましたが、日本人で同意したのは38カ国中25番目の39%に止まっています。平均よりちょっと疑り深い。ちなみにビリは前年同様、韓国で22%。



そして、メディアは権力者や大企業の監視をし精査をしていると思うかについて、なんと日本の読者、視聴者は日本に38カ国中、最低の判断をしました。なんと17%しか同意しなかったのです。それをまとめたのがこれ。





ところが、日本のジャーナリストはそうは思っていないどころか、世界で一番、まともな仕事をしていると思っているようです。その数字は91%。凄まじいギャップです。お隣、韓国でも同じようなギャップが起きています。



でも、そんな風に日本のオーディエンスはメディアに不満は持ちながらも、だからと言ってニュースを積極的に遠ざけるという習性は世界一低いとも出ました。



38カ国の平均は3人に1人(32%)は、時々、またはしばしばニュースを避けると回答したのに、日本人は10人に1人(11%)しかいない。ニュースが好きなんですね。

これらのデータは、膨大なロイターレポートの一部をつまみ食いしただけのものですが、なんとなく、日本人読者、視聴者がニュースメディアにかける思いが透けてきます。「ニュースが好きな分だけ、メディアには厳しい視線であたる」というような。その一方、日本のジャーナリスト、メディアは、日本人オーディエンスの「ニュース好き」に甘えてるかも・・・

まあ、そう考えると、朝日新聞への厳しい評価も、「高級紙を標榜するならもっと素晴らしい仕事をしろ!」という激励なのかも、と思えてきました。






shimatta
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2019 年 6 月 16 日

インターネット, 新聞

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1 Comment
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鈴木由郎

2020 年 5 月 22 日 at 7:28 AM



朝日新聞の記者・論説委員の方は自分の考えや立ち位置を深く自省してみる必要があると思います。国民がどのように思い、日々の生活を過ごしているかを考えなければ、結局は、独りよがりな自分たちの考えを述べているに過ぎない。自分たちが日本の世論を正していくとかリードしていくとかということは、全くの思い上がりでこの調査に示されている信頼度がそのことを如実に表しています。しかし、自分たちの耳の痛いことは素直に受け入れることが出来ない体質は到底直らないと思われるので、何を言っても無駄かな、今は朝日新聞やアエラに対してはご自由になさってはと言うことです。なさけない一言です。

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