Amazon.co.jp: 南京事件 (岩波新書 新赤版 530) : 笠原 十九司: Japanese Books
南京事件 (岩波新書 新赤版 530) Paperback Shinsho – November 20, 1997
by
笠原 十九司 (Author)
3.8 3.8 out of 5 stars
(66)
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日中戦争において,日本軍は当時の中国の首都,南京を激戦のすえ攻略した.その際に発生したのが,いわゆる南京大虐殺事件である.なぜ起きたのか,その全貌はどのようなものだったのか,そしていま,わたしたちはどう考えるべきなのか.外国人史料を含めた史料群を博捜し,分析した著者が歴史をたどり,全体像を解きあかす.
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From Japan
悶
5.0 out of 5 stars 南京事件全体を俯瞰するのに最適な良書
Reviewed in Japan on June 17, 2015
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私はこれまで、本書を含め7冊の南京事件関連書籍を読んできました
(※この経緯はコメント欄に記載したので、そちらも参照ください)。
本書を選んだ理由は、いわゆる南京本を調べていくと、一定の評価を得ている著作であり、南京事件の全貌を俯瞰するのに適した書物であることが分かってきたからです。
私の南京事件に対する考え方は、コメント欄に記載のとおり、
・虐殺と呼ばれる歴史的事件は起こっていた。
・だが、虐殺数については、確定することは困難であり、はっきりとは分からない。
・それでも、30万人という中国の主張する数には納得できない。
というもので、政府の見解に近いものとなっています
(政府見解の正確な文言は、外務省のHPで簡単に検索できますので、そちらをご覧ください)。
さて、本書が南京事件全体を俯瞰するのに適していると判断される大きな理由は、南京事件の発生前、具体的には、盧溝橋事件という日中戦争が本格化する事件から時系列的に説き起こしていることです。
つまり、盧溝橋事件、第2次上海事変、そして南京攻略へと歴史が動いていく中、日本側の将校等幹部にどんな思惑があり、日本軍がどんな性格の軍隊であったのか、また、中国軍の対応はどのようなものであったかなどが、豊富な客観的史料を基に綴られていくのです。
そしていよいよ南京事件が勃発するくだりになると、起こるべくして起こったという、歴史的な必然性を感じさせるような作りになっています。
よく話題になる、虐殺数については、30万人とまではいかないが、20万人程度と、少し多いような気もします。
しかし、重要なのは、「虐殺と呼ばれる歴史的事件」が起きていたかどうかなので、その部分はあまり気になりませんでした。
たった7冊しか南京本を読んでいない(もちろん、基本的な史料などにはひとつにも当たっていない)ど素人の自分ですが、本書と、「南京事件──『虐殺の構造』」(秦郁彦著)は、いわゆる「南京大虐殺論争」という視点ではなく、「歴史的事件の検証」という視点で、正面から「南京事件」を解説した良書として、オススメします。
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Amazon Customer
4.0 out of 5 stars 日本の歴史を貶めた原本?
Reviewed in Japan on January 20, 2019
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最新の歴史事実を踏まえて読んでみた。
読み物としては、そこそこ面白い。最後の南京事件への伏線が丁寧に書かれてある。
ただし、肝心な最期の南京侵入後の記載は酷い。中国製南京映画とほぼ同じである。
現在、某野党のマッチポンプが明らかになっているが、南京事件も全く同じ構図である。
読者は、読む前に広く南京事件、東京裁判、慰安婦問題などの最新の情報を把握してから読むと
反面教師となる本としては良いでしょう。正しい歴史を知りたい方にはお勧めしません。
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まささん
1.0 out of 5 stars 軍隊と部下
Reviewed in Japan on September 19, 2020
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上司に逆らうことができないとしたら、あらゆる上司を持つ日本人社会はどうなるのでしょうか?自由も基本的人権も上司命令に逆らうことができない社会になってるのかもしれません。全体主義国家以下の民主主義国なのですか?日本は。
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原 通範
5.0 out of 5 stars 値段のわりにはきれいな装丁の本。そして、『南京事件』は反戦・平和への決意を固める大きな機会を提供した。
Reviewed in Japan on October 9, 2020
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<気に入ったこと> レビュータイトルに示した通り。及び、笠原十九司さんの『南京事件』の内容はとても素晴らしく、正しく戦争の恐ろしさというもの、特にそれは南京での大虐殺がどういう理由で、戦争を仕掛けた日本軍があれほどまでに大量の人々の虐殺を遂行したのか、についての理由が極めて明確に示されていたことを知り得たことである。中国を征服したという「街宣行動」特に,内地日本の国民に大々的に知らせ,戦意高揚を図る,ただそう言うことの為に,何十万人という中国軍と南京市民を殺害したのだという、事実の前に恐れおののいた。
こういうことが,かつての戦争において私達の祖先が犯した罪を詫びるとともに、そういう日本人であったことを未来永劫忘れてはならないこと,則ち「平和への誓い」を忘れてはならないことを認識した。私はこの本で知り得たことを、これからの反戦・平和の活動に生かしていかねばならないと思った。
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Amazon カスタマー
3.0 out of 5 stars 色々問題がある本。
Reviewed in Japan on April 15, 2021
日本人による残虐行為が書かれているが、当時は日韓併合の時代。韓国人が中国人からいじめられないように、創氏改名が行われていた時代。慰安婦についても、韓国人の客は質が悪かったという証言もあるくらい。この南京事件の時も、当時日本の領土となった韓国の兵士が取り巻いたという話もある。後の朝鮮戦争での慰安婦やベトナム戦争でのライダイハンを見ればそれは明らか。だから、この本に書かれている日本人は、韓国併合後日本人になった韓国人と置き換えて読んだ方がよい。
あと、「結びにかえて」のところにある、「日本国は、極東国際軍事裁判所ならびに日本国内および国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し」という文言、judgementsを「裁判」と訳している段階で、解釈力を問われる。judgementsは「諸判決」であり、裁判は「trial」である。諸判決であれば、死刑なら刑が執行された段階で終わり、その他の刑も、無罪になった段階で終わりである。だから、日本の場合、1958年以降は、元戦犯はいても、戦犯そのものが存在しない。元戦犯もその時点では無罪である。だから、靖国の合祀問題だって、法律上は何ら問題がない。あれはただ、昭和天皇が自らに楯突いた松岡や白鳥が合祀によってまつられるようになったから行かなくなっただけである。
今日の反日評論家レベルの本と思っていい。
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oct
4.0 out of 5 stars 南京事件の真相に迫ろうとする意欲が見える良書である。
Reviewed in Japan on January 22, 2016
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同じ著者の「南京事件論争史」と所謂「中間派の本」を併せて数冊読んだ。この著者には歴史の真相に迫ろうと云う熱意が感じられる。政府の表明「多くの非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないが、被害者の具体的な人数については認定困難」によって国際的にも評価が固まったと思うが、否定派はこれも否定して嘘・捏造を繰り返しているように思える。政治的な宣伝ではなく、真実を突きとめる努力が必要だと思う。この本にはその努力が見える。
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空満
5.0 out of 5 stars 日本人必読の書
Reviewed in Japan on January 13, 2012
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日中戦争の勃発から南京攻略戦の終了までの経過を詳細に記述して、膨大な史料群をもとに南京事件の真相を明らかにする。特に日本軍の史料(日記、戦闘詳報等)に当たって発掘された事実には強い信憑性がある。
南京事件の背景、原因として本書が明らかにしたものを挙げてみる。
○日本政府に日中戦争についての定見・方針がなく、軍部に引きずられて場当たり的に対応した。
○軍部においても戦線拡大派と不拡大派の対立があり、拡大派が独断をもって既成事実を重ねた。
○最初の激戦となった第二次上海事変に動員された日本軍は予備役が中心で士気は低く、国民党軍の精鋭を相手に苦戦、大きな損害を出した。さらに南京攻略へ転戦を強いられ不満が大きく、中国人に対する復讐心を増大させた。
○日本軍の兵站は貧弱で糧食は現地調達が原則となり、略奪が常習化した。
○中支那方面軍司令官の松井石根をはじめ功名心にはやる軍司令部が配下の部隊に戦績を競わせ、軍紀の乱れや残虐行為を規制しなかった。
○国民党軍司令官のまずい指揮で国民党軍が撤退時期を失し、また冬季の長江が撤退を阻んだ。
○日本軍が入場式を急ぎ、残敵掃蕩が民間人を巻き込んで徹底的に行われた。
○捕虜を養う糧食は日本軍にはなく当初から「始末」する方針であった。
○中国人への強い蔑視観があった。
本書では、捕虜、投降兵、敗残兵の状態で約11万人、民間人を含むと20万人前後の中国人が虐殺されたと推測する。また、強姦された婦女子も数万人単位に上ると見る。
日本人として直視しなければならない事実を明きらかにした必読の書である。
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な
5.0 out of 5 stars 自ら多角的に知り、個人が未来の行動に繋げるべきと感じた。
Reviewed in Japan on February 25, 2022
★4.5/2022年21冊目/2月5冊目/『南京事件』(岩波新書/岩波書店)/笠原 十九司/P.248/1997年/640円+税 #読了 #読了2022
外国人記録を含め南京事件の全体像を描いた本。学校では詳しく教えないため、自ら多角的に知り、個人が未来の行動に繋げるべきと感じた。近衛首相は軍部に阿り「支那膺懲」と不明確に日本国民を煽った。功名心に駆られた拡大派の武藤章らは参謀本部の正式な命令なしに、上海戦後直ちに南京へ進軍。兵站部を持たない”現地調達主義”で、道中の農村や南京市内では略奪、放火、凌辱、虐殺が横行(陸軍刑法、ハーグ条約違反)。メディアは国民を煽り、昭和天皇も侵略戦争を追認、鼓舞。日本軍による婦女強姦・輪姦・殺害には読む手が震えた。
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木下美徳
4.0 out of 5 stars 軍規違反の侵略
Reviewed in Japan on July 19, 2013
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上海事件から国民党への追撃に軍規違反を知りつつ強引に開始した軍幹部と、結果よしとした天皇の判断が、泥沼の日中戦争へと日本国民をひきずりこんでいく。近代史を知るにはもってこいの書物です。
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空中写真
1.0 out of 5 stars 偕行社『南京戦史資料集』だらけ
Reviewed in Japan on June 25, 2013
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引用元として、偕行社刊『南京戦史資料集』と明示してある部分が、
ざっと見ただけで21箇所もある。
(p50、118、122、123、138、143、144、155、157、
158、160、162、166、169、174、176、180、185、
187、191、212)
その他に、特に『南京戦史資料集』と断らずに引用されているもの、
松井岩根日記、飯沼守日記等々などもある。
南京戦史資料集は、旧陸軍将校主体の偕行社が出版したものではあるが、
この資料集に載せられた日記の内、
他書(秦郁彦『南京事件ー虐殺の構造』中公新書p131)
に現物写真版で掲載された1点が、「偽作」の疑いが濃厚である。
偽作と疑われるその理由は多大であり、これを旧陸軍将校たちが見逃すはずはなく、
つまりは、解読者が偽作を握りつぶした、としか考えられない状況にある。
『南京戦史資料集』が、偽作を握りつぶした人々が作った本であるとするなら、
そこに掲載された文献は、すべて再検討しなければ、
到底、証拠資料としては、使えないだろう。
本書は、その疑わしい資料集を大量に引用しているという点で、
信用性が大いに揺らいでいると言える。
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カバラン
1.0 out of 5 stars 『ザ・レイプ・オブ・南京』の研究を読むとこの評価以外ない
Reviewed in Japan on June 1, 2014
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そのテーマの概略を得るには、岩波新書が良いと思って読んだものの、引用だけで検証がなされていない。特に問題なのは73ページ「日本兵に拉致される江南地方の中国人女性たち」と書いてある写真である。これはアサヒグラフ1937年11月10日号に掲載された友好的(宣撫工作)な写真のボカシ転載である。『ザ・レイプ・オブ・南京』の研究参照。
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bubyuki
5.0 out of 5 stars 南京事件とは何か−入門として最適である。
Reviewed in Japan on March 14, 2008
南京事件が虚構であるとの言説が溢れている。また、祖父の世代を否定するな、自虐史観は
日本人の誇りを奪うとの言説も有る。
この本は、証言に基づくと考えてよいが、証言のみでは証拠とならない、というのは裁判に
おける原則である。
そうとすれば、証言は全て嘘と考えても、また真実と考えても、南京事件が起こったことの
証明にはならない。
ここからが本論なのだが、証言のみでの有罪判決を刑事事件に対し下すことができないのは、
いかなる理由かを考えてみよう。
それは、証言は記憶に基づくので、記憶力がよほどない限り真実を述べることが難しく、
また、有罪とせんとする司法官憲による誘導も行われやすいためである。
そこで証言の裏としての証拠が必要とされるのである。
では、あなたが余りに衝撃的な事実を目撃したとしよう。そして進んでそのことの一部を
メモ等に残したとしよう。日記でも何でもよい。
この場合、その人の語る証言は、何らの証拠能力を持たないといえるかといえば、そうでは
ないのである。
有罪とすることはできないが、証拠価値を認められることになる。
自分の昔の記憶をたどってみていただきたい。
その中にはこれは真実だ、という記憶が一つもない、という者はいないであろう。
証言を信じる信じないは人それぞれであるが、上記のことは踏まえておくべきである。
中国共産党が捏造した全くの虚構だ、現代は情報戦争である、という意見だが、
確かにそういう面もあると思うが、中国共産党がそのようなことをした、という証拠は
これまた無いのである。証言についてはある。
このような状態でいかなる結論が引き出すことができるか。
南京において、それが大虐殺と呼べるか否かは不明であるが、捕虜、便衣兵、さらに民間人
に対する暴行虐殺略奪が行われ、記憶に残るほどの残虐さがあった。そしてそれは軍における
正規命令に基づいていないものであって、一定の期間に繰り返されたということである。
犠牲者の数は問題ではない。戦争において取り上げられる虐殺は他にもあるが、これは感覚
によるものだが、1,000人を超えてかかる行為の被害にあったのであれば、大虐殺と呼べる
ものであろう。あなたがその場でそれを見ているとしたらどう感じるか、の問題に帰着する。
歴史学において、何人殺せば虐殺・大虐殺か、の定義など無い。1,000人というのは、今現在
の自分から見たらそれくらいの被害者数が大虐殺ではないか、という感覚に基づくものに過ぎない。
南京大虐殺については、他にも読むべき本がある。この1冊で足れりというほどことは単純ではない。
この事件について者を述べたいのであれば、それらの文献に当たってからなすべきである。
戦後民主主義がどうこうという話も言われるが、何をもって戦後民主主義と定義して語っているのか
不明な者ばかりである。戦後民主主義というものは、現在にいたるまで様々な変容を遂げていること
までを視野に入れず、この言葉を語ることは取り上げるに値しない。
自虐史観というが、どこがどう自虐なのか、本当にそれが国民に対し害悪をもたらしているのか、
説得的に述べた本も無い。
そもそも同じ教育を受けても結果は別々に出るだろう。私は、単純にこう考えている。日の丸は
国旗でいい。君が代は天皇のことを歌うものであり、象徴と規定されているに過ぎないもの、
国民という概念に治まらないものを賛美するものであるから相応しくない。
天皇は旧憲法上陸海空軍を統帥する(日本に空軍はないが)という規程があり、負ければ国民に
対し責任を負うのは当然であるにもかかわらず、自分の保身のために近衛の講和についての上奏に
対し、もう一戦挙げなければ難しい、などと国体の護持に躍起になり、まければ自ら敵国の司令官
マッカーサーに自分の身を案じて会いに行った小心者の狡猾な人間であり、A級戦犯が裁かれたの
であれば、その場で裁かれるべきであり、極東軍事裁判が開かれなければ最低退位すべきであった
と思う。
戦前にどのように国家は戦略を立てていて、国民生活や文化はどのようだったのか、今享受している
権利はどのように扱われていたのか、戦争は回避不能な防衛戦争といえるのか、中国に対して侵略
していないと述べる根拠はあるのか等について、深く学びたいと思っている。
陸海軍の階級編成すらこの本を読んでいる者は知らないであろう。例えば参謀といっても様々であり、
戦中においてその編成を変えていることまでを抑えない限り、命令に基づいて行われたかの判断
はつかない。
そういう資料に丹念に当たるべきである。
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kohhy
5.0 out of 5 stars 南京事件の全貌を知るために
Reviewed in Japan on February 21, 2012
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1937年8月15日、宣戦布告もなく、日本海軍機20機が東支那海を横断、南京渡洋爆撃を敢行する。これが「南京事件」へと導くことにー。更に、近衛文麿首相が声高に叫んだ「支那膺懲」というスローガンは、軍部によって日中全面戦争の目的として掲げられることになる。しかも、上海地区の日本人居留民保護という任務のもとに上海派遣軍司令官に任命されたのは、当初から南京侵攻、国民政府の崩壊を目論んでいた松井石根大将であった。また、上海派遣軍の士気低下、軍紀の弛緩などが問題視され、陸軍省軍務局軍事課長田中新一大佐は軍紀粛正問題として厳しい所見を述べている。上海戦略戦の全過程は、「南京事件」そのものを生み出す土壌を軍部内に作り上げていく過程でもあったのだ。下記は、以上に続く目次である。近郊農村で何が起きたか。南京陥落。残敵掃討の実相。事件の全貌、そして国際的影響を考える。著者は日中攻略戦の発端から説きおこし、外国人記録を含めた史料郡を博捜、「南京事件」の全体像を描き出していく。永く読み継がれるべき労作である。
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十二月党。
5.0 out of 5 stars 南京大虐殺事件の具体的な論証の書。
Reviewed in Japan on January 22, 2018
日本の陸軍と海軍が南京攻略戦と南京占領時に中国軍民に対して行った殺戮、強奪、強姦などの残虐行為を
当事者である軍の戦闘詳報、南京攻略に参加した兵士の陣中日誌などを根拠に詳細に論証した書。
上海派遣軍指令官朝香宮鳩彦および昭和天皇の犯罪的行為、南京事件容認発言も明らかにされている。
昨今、わが国では保守、右翼排外主義者、歴史修正主義者らによる〝南京事件まぼろし論〟〝南京事件は
なかった論〟が言論界に広く見受けられ、これに付和雷同する輩の妄言もSNS等を通じて拡散しています。
このような時にこそ、南京大虐殺事件が歴史的事実であったことを客観的資料により論証した本書の
意義は大変大きいと思います。
もっと広く、真剣に読まれて然るべき名著です。
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高木正雄
2.0 out of 5 stars どこが大虐殺なのか?
Reviewed in Japan on November 6, 2019
逆に大虐殺が無かったという証拠と言えるのでは?
民間人を巻き添えにする便衣兵などは処刑されても自業自得。
逃げ遅れて戦闘に巻き込まれた老人などが30万人もいたと言うのか?
国民党軍が虐殺した自国民の数と比べたら圧倒的に少ない。
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Teddy
4.0 out of 5 stars 南京に行く途中に読みました
Reviewed in Japan on August 5, 2010
教科書裁判への関与をきっかけに南京事件に
取り組むこととなった笠原十九司が史料検証に基づいて
書いた一作。事件60周年にあたる1997年発行。
南京事件が気になった時に最初に手にした
本でしたが、なかなか読む気になりませんでした。
今回、南京に行くにあたって、本棚から取り出して
読みました。
上海/杭州上陸から南京攻略、そして「南京大虐殺」までを
日記や証言を基にした史料をたどり、検証していきます。
これを読みながら、上海から南京へ進んだわけですが、
この江蘇省の大地を同じように日本軍が進んで行ったんだなと
ちょっとした感慨も。
これを読みながら南京に行ったので、記念館の
展示も、ああ、このことねと理解しやすかったです。
惜しむらくは、この本が出されてからの10年間で、
相互の言い合いは続いているものの、
新しい事実の解明だったり、共通認識の構築には
全然至っていないということ。
去年、「南京!南京!」という映画が公開されて、
虐殺に関与した日本兵からの視点での取り上げられ
方がされて、ただの「鬼子」ではなく、苦悩する日本兵の
姿も話題になって、一石は投じられたけど。
やっぱり今となっては、新事実の解明なんて
難しいのかもしれないですね。
双方の空白の時間もあり、客観的な証拠が
もう残ってないでしょうし。
とはいえ、簡単に読める新書ですので、
事件が気になる方は、まず読んでみることを
お勧めします。
[...]
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まこちゃ
5.0 out of 5 stars とても丁寧な調査に基づいた書籍であると思います。
Reviewed in Japan on December 23, 2018
もちろん、この書籍にある資料の引用や調査結果が、すべて正しいとは思わない。
しかし、
私自身の幼いころに父親から聞いた戦争体験を思い出します。
南京事件には関わっていないが、日本軍がいかに非人道的な組織であったか
そういう私の記憶と照らしても
とても丁寧な調査に基づいた書籍であると思います。
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ばんぺいゆ
5.0 out of 5 stars またやるだろう
Reviewed in Japan on January 31, 2018
虐殺を命令する偉い人、止められない偉い人、お上の命令にひれ伏して虐殺する真面目な人、この機に乗じて虐殺する悪い人、喝采する国民、面白おかしく煽るマスメディア、お褒めの言葉を賜る一番偉い人。今とどこが違うんですか? またそのときが来ればやりますね。ある人は仕方なく、ある人は嬉々として。
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激辛ポッキー
3.0 out of 5 stars わかりやすい良書だが、史実の検証としては中国政府に気兼ねしすぎ
Reviewed in Japan on December 17, 2014
本書で抜け落ちている視点を2つ指摘しておく。
1)南京守備隊総司令官の唐生智が真っ先に逃亡すれば、指揮系統をうしなった兵士は右往左往するほかない。そして、組織としての降伏がなければ、個々の兵士が「戦闘員」なのか、それとも「捕虜」なのかは曖昧に扱われ、相手の都合のよいように処理される。実際の戦場においては、「降伏」しても相手がそれを認めなければ、やられるのを待つか逃げるしかない。戦争において一方が他方の戦闘員を殺害するのは正当行為であって、「兵士として殺害された」のか「捕虜として虐殺された」のか微妙なケースも多い。そもそも、敵兵士の命を保証する戦争など存在しない。戦場における兵士の命を守るのは司令官の責任である。それを果たさず、真っ先に逃亡した国民党の将校、唐生智の責任は重い。しかし、本書ではその責任については言及されていない。
2)兵士が武器を捨て、軍服を脱ぎ捨てて、一般市民の群れの中に逃げ込むことは一般市民にとってはなはだ迷惑である。戦場のゲリラ狩りにおいて、一般市民がゲリラに間違われて、処刑される例は多々ある。一般市民の命を守るのは兵士の責任である。それを果たさず、市民の命を犠牲にしてまで保身に走ったのは国民党の兵士であって、その責任は重い。しかし、本書ではその責任については言及されていない。
日本軍の行為は全く正当化されるものではないが、中国の政治家も無反省に南京事件を非難するのはどうだろうか?現代中国は官も民も利己主義が横行しているが、それが中国人の「気質」で、そこにも南京事件は帰責されるべきかもしれない。かりにその割合が万に一だとしても、指摘する価値がないわけではないだろう。
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新大阪の太閤殿下
5.0 out of 5 stars 木を見て森も見ることができる、素晴らしい本です。
Reviewed in Japan on September 2, 2015
あったなかったと言われる南京事件。私は以前から、南京にいた日本人、中国人とも、ごく一場面しか見ていず、全体像を把握していなので、あったともなかったとされるのではと思ってました。
笠原先生は本の中で、加害者の日本兵も被害者の中国人も、「木を見て森を見ていない」。
本書では「森を見る」ように心がけたとありました。
この本は絶対、お勧めです。
この本から松井大将の無能さが一番の原因のように感じました。
部下からの信頼は皆無であったとも。
あと、南京で銃殺された、谷寿夫中将に対しては、同情的な考えも記載されていました。
学者としての良心が滲み出てる素晴らしい本です。
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==
CERISES
5.0 out of 5 stars 南京事件の基本書
Reviewed in Japan on December 29, 2014
歴史学者笠原十九司氏の労作。
主観的な記述は皆無であり
資料集のような本であるが、
それだけにドキュメントのような迫力がある。
当時の、日本人・日本陸軍の対中国・中国人観が
資料の合間から見て取れる。
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アマゾン太郎
5.0 out of 5 stars 南京事件の文献の中で一番なっとくできる。
Reviewed in Japan on September 30, 2011
よく「当時の南京の人口は20万人であり中国が主張する30万人虐殺は不可能であり日本占領後はむしろ人口が増えているため虐殺があったとは考えにくいという」っというのが否定論者が主張する王道パターンであるが。
本書を見てみても分かるように人口20万人というはいわゆる南京城区の人口であり大虐殺が行われたの南京城周辺の六県を含めた南京特別区である。これら全体の人口は130万人ぐらいと推測されており、日本軍占領後に人口が増えたのは日本軍によって荒らされた周辺地域の六県が南京城区へ難民として移動してきたからである。
他にも「強姦事件に関しては妊娠件数が無いため強姦は疑わしい」「それだけの虐殺数を出しといて死体は一体どこに埋めたのか」など主な否定論者の主張に本書を読むことによって当時の日本兵の日記そして史料をもとにして一網打尽に覆すことができる。
最終的に追い詰められた否定論者は南京にかかわらず日中戦争での日本軍の残虐性が露呈すれば決まって関係のない中国国内での残虐性に目を向けることで棚上げしようと議論をずらそうとします。
結局、否定論者はあらかじめ自分にとって気持ちの良い主張を期待してそれに反すれば捏造と騒ぎたてるものです。
つまり、南京事件否定論者は先入観で踏み切っているように感じます。
しかし、今ここで問われていることは中国人の残虐性などではなく、南京事件の問題である。
その点本書は実に議論の核心部分を丁寧に扱っており納得のいく内容だと思いました。
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PC おじさん
1.0 out of 5 stars くだらない 異常な本!
Reviewed in Japan on October 11, 2015
南京攻防戦は、第二次大戦の4年ほど前・・・
欧米メディアも数多く取材に訪れていた当時の出来事。
中立的な監視がいる一つの都市内で、数万以上の人間が虐殺され
だけど、詳細がわからない??? そんなことはあり得ないよ!
詳細調査をしないと、わからないという事そのものが、ウソであることの証拠だよ!
幼稚で馬鹿げた妄想!
核兵器を使用したアメリカが、自身の言い訳のために
戦後に作った幼稚で馬鹿げたプロパガンダでしかないだろう!
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またろう
1.0 out of 5 stars 南京事件の本質
Reviewed in Japan on November 30, 2014
南京攻略戦で民間人が犠牲になり占領後に捕虜や民間人に対する虐待虐殺があったのは事実だろう。
しかし南京での悲劇は原爆投下やホロコーストのような人類が永遠に記憶に刻みつけねばならないような人類史上の大事件だろうか?
中国は南京事件を人類史レベルの国家犯罪にでっち上げ、共産党の権威と正統性の建国神話に組み込むことで散々政治利用してきた。
南京事件を日清戦争から続く日本の大陸侵略の象徴として誇張と捏造の再生産で 肥大化したものが南京30万大虐殺である 。
報道言論の自由も多様な歴史観も認めない国の主張に真実が あるだろうか?
世界中の戦場のどこでも見られた悲劇のひとつである南京事件を人類史上の悪夢にまででっち上げた30万人大虐殺の南京大虐殺は悪質なプロパガンダ以外の何ものでもない。
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PPP
4.0 out of 5 stars まぁまぁの出来としか言いようがない
Reviewed in Japan on May 11, 2012
まず戦闘で死んだか虐殺で死んだか分からない数まで虐殺に含めるのはやめろ。
川が死体で埋まるのは戦争なんだから当たり前だ。
戦争で戦死者がいないとでも言うのか?意味わからん。
そもそも写真を誤用するような学者の言い分など認められるわけもない。
学者の立場とは、時間・人脈・経験を用いて未知を拓く者だろう。
なのに良く調べもせずにそのまま載せるような未熟者は学者とは言わない。
ただのセミプロじゃねぇか。
言いたい事は良く分かるし、統計人数に出てくる人骨が実際に発掘できれば信用も出来るが、
いかんせん証言しか信用していないこの姿勢は駄目だ。
裁判所でも証言と証拠が揃ってこそ威力が発揮できる。
証拠も無いのに言ってるだけなら、妄言と変わらない。
学者になりたいならもうちょっとしっかりしろと言いたい。
ちゃんと信用されるように人骨全てを掘り返してくる事を期待して星4つ。
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平成の愚禿
3.0 out of 5 stars 多角的観点から個々の事件を慎重に検証していくしかない
Reviewed in Japan on March 15, 2008
南京事件に関する現在に至るまでの論争には大きく二つあると思う。第一に、事件の性質からか研究者が少ない。第二に研究者は少ないが否定派と肯定派との議論は、なぜか個人のイデオロギーとも絡んで、もはやお互いに異端審判の様相を呈する感であり、著作は多く、両者はややもすると罵倒合戦→絶交という状況に至らざるをえないような状況で、まともな建設的議論は望み難い状況あること(もちろん、真摯に検証に取り組む研究者、著作もある)。
本件は過去の事実の検証という歴史学の側面だけではなく、今なお国際関係上の課題として取り上げられる現代的な問題である(中国は虐殺記念館を世界遺産に申請中と聞く)以上、通常の歴史問題とは異なり、やはり刑事事件の証拠調べに採用される厳格な証明が要請されるべきと考える。
更に歴史学者だけではなく多くの分野の専門家も巻き込んだ多角的な検討も必要であると思う。補給が十分でない戦場という異常状態における人間の心理状況を検討する心理学的観点、また、貴重な敵の軍事機密を握る敵兵(特に将校クラス)を、後方に移送して取り調べることもなく、むざむざ殺してしまうようなことがあるのかという点で軍事学的観点、更に、人権委員会など多数の外国人、ジャーナリストが存在し、当時全世界が注目していた首都南京で、日本軍が組織的殺害等を計画・実行する動機があるのか?あるとすればそれはいかなる動機か?という意味で当時の日本軍首脳の意図の把握という点で政治学的観点、また士官クラスの戦時国際法への理解度という観点、10万人以上殺した場合の死体処理・死体が発するという激しい悪臭の問題はどのように解決・隠ぺいされ得たのか、という意味で医学的観点等・・・。
これらを加味した厳格な証明が行われるべきで、そろそろ本件の検討は新たなアプローチから検討すべき段階にきているのではないか。
本書が提示する事実。例えば、南京攻略時点で日本軍の補給線が伸びきっており、敵兵捕虜はおろか自軍すら満足に食料を賄えなかったという事実は、著者が指摘してから言い古され続けてきた事実であろうが、歴然たることであろう。
また、現地での食料補給に際して軍票などを配ったところで、そんなものを見たことさえなく、当然その意味も解らず、自給自足で汲々としていた現地住民にとって、それは略奪以外の何物でもなかったと思われる。これはフィリピン戦などでもまき散らされた日本的常識の害悪であろう。日本軍は皇軍をもじって「蝗軍」と評されたというが、数十万もの大軍を動かすにあたって、人力と馬力頼みでは自ずと限界がある。多くの人々が言うように、この意味で当時の日本陸軍に大陸戦を戦う力量など全くなかったのだと思う。
そこで「捕虜にしない方針」という旨の命令。これは補給の不安と同様に疑いようがない事実。
そこから捕虜を解放しようとした際に、これを処刑と勘違いした中国兵捕虜がパニックに陥り、これに発砲→そして偶発的な集団殺害が生じた・・・位までは合理的に推論として成り立つように感じる。
ただ、である。
これをもって故意による集団処刑指示ととるには、かなりの飛躍(否、無理)を感じる。
個々に集団処刑指示を匂わす証言はあるとしても、それは上記のような証明され切った事実とは明らかに一線を画する。すなわち弁証法的な反対尋問に晒されるべきものであろうが、それは今となっては不可能な場合も多いであろう。ただ、少なくとも多角的観点からの検討は怠るべきではない。
それから、以下は中国人とビジネス上の交流を持つもののはしくれの偏見として、一言加えて置きたい。日本には良くも悪くも「詐」の文化がない。中国では孫子が「兵は詭道なり」といっているし、西洋でも「ポーカーフェイス」等とゲーム感覚で「騙し」を楽しむ部分がある。サッカーでもしかりであり、日本選手が最も不得意とする分野であることも多くのスポーツライター等が指摘する通りであろう。そこで、本書でも多く引用される「省史」他、中国共産党のお墨付きをもらった証言をそのまま鵜呑みにするなんてことは、お人好しもいい加減にした方がよい。
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oppa2510
5.0 out of 5 stars ほお
Reviewed in Japan on December 1, 2014
南京事件について概説してあるわかりやすい入門本です。おすすめ
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tourisugari
5.0 out of 5 stars 関係ないが、南京事件はなかった説を封ずる方法として
Reviewed in Japan on July 12, 2012
南京事件はなかった説を封ずる方法として、『「南京大虐殺はなかった」と中国人にいうのは、広島市民に「原爆はなかった」というのと一緒だ。そんなことしたら、中国相手のビジネスができるわけがないし、グローバル競争に勝てなくなる。』と言うのはどうだろうか?事実日本中のあらゆる企業が中国に進出し、中国の安くて優秀な労働力を使い、そして製品を中国に輸出し外貨を稼いでいる。
もし、広島マツダ自動車の社長がアメリカ人に代わり、その社長が「原爆は無かった」と言ったら、間違いなく経営危機である。そして「社長のおっしゃる通りです」等と言う、下衆で愚かな奴を出世させたら、間違いなく社員の士気は下がる。そんな奴が経営計画を立てられるわけがないし、本当の意味での忠誠心など望むべくもない。
同じことは我々日本人が中国で中国人を雇う際にも言えるであろう。もはや「南京大虐殺は無かった」等と言ったら、日本経済は成り立たないのである。明らかに国益を害する。
それこそ日本の中国駐在社員は、この本に書いてあることを学び、中国人の日本観を学ぶ必要があるのではないか?
好むと好まざるにかかわらず、日本の中国駐在社員はこの本で研修したり、中国の南京大虐殺記念館で研修するということが、必要になるであろう。
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熊田留吉
3.0 out of 5 stars 予断を排除した客観的な検証を
Reviewed in Japan on September 3, 2006
著者が、当時の陸軍の内情や各種資料に基づいて南京事件の実情を証明しようとした意図は理解できる。否定派の主張ニ併せ読みどちらがより合理的な根拠に基づいて論証しているかを考える資料を提供している点で、一読に値すると思う。
しかし、事件の有無等は客観的な証拠に基づき、その証拠の信憑性を吟味し、信憑性が充分に担保された証拠から合理的に推論できる範囲でなされなければならない。
著者が指摘する当時の軍部の内情等を否定する積もりはなく、それ自体は充分に考察に値する事であると思う。しかしそれは南京事件が実際に存在したか、という問題とは直接関係のない別の事象であるという事はきちんと認識しなければならないと思う。
本書はそれら別の事象を基礎に事件はあった筈だという一種の予断から出発している感があり、正直、少なからず論理の飛躍を感じてしまう。
根拠とする証拠資料にも否定派が指摘する信憑性の薄さを払拭できていない物が多い気がする。信憑性に疑問が多い証拠をいくら積み重ねたところで証明にはなっていないのである。
南京事件の有無は、単に歴史事実の検証ではなく犯罪事実の立証と同じ側面を持つ事を忘れてはならない。被害者の感情の尊重する事の重要性を否定する気はないが、方や一つ間違えば冤罪を作り出してしまう事になるという危険性を十分認識すべきである。この点に右派と左派と、あるいは親中派と嫌中派の別はない。そしてそれは当時の軍部の無謀さや無策さを論評する事とは全く次元が違う話であることを今一度考えるべきだと思う。
その意味で、予断を排し、証拠の信憑性の吟味を含めた客観的で厳格な検証・討議が展開される事を望む。
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Amazon Customer
1.0 out of 5 stars 推して知るべし
Reviewed in Japan on October 19, 2003
この本で最も注目すべき点はその出版時期である。この本が出版された1997年十一月はちょうどアメリカでアイリス・チャンの The Rape of Nanking が出版された月でもある。これを単なる「偶然」と思う人はよほどのお人好しである。
アイリス・チャンの The Rape of Nanking は中国人でさえ「中国共産党が背後にいる」と認めるほど政治宣伝色の強いもので、アメリカでもようやくその虚構性が認識されるようになってきた。
大虐殺派の急先鋒である笠原氏が The Rape of Nanking と時を同じくして出版したこの「南京事件」、内容は推して知るべし。
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misidazai
5.0 out of 5 stars サヨクだ何だ言う前に、読め!
Reviewed in Japan on February 21, 2006
日本帝国軍の愚劣さは、二二六事件の義士が証言している通りである。軍は既に腐敗していたのだ!
統制派のリーダーの一人、石原莞爾が引いた下克上の風潮が、軍全体を一層腐敗さしめ、石原が失脚した後も、むしろ一層その悪風は、強まっていった。
その最たるものが、南京大虐殺である!
いまだに小林よしのり、東中野修道、鈴木明を中心に「無かった論」が花盛りであるが、実際はもう決着済みなのである!
「南京大虐殺否定論の13の嘘」とあわせて読むべし!
なかった派は噴飯本書いて、衆愚に媚びるだけで、全く肯定派と議論せず、逃げ回っているらしい。
ちゃんと議論しろ!
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tosh
4.0 out of 5 stars 南京事件を語るための基本となる1冊
Reviewed in Japan on April 11, 2009
秦 郁彦の本と並んで、南京事件を語る上で必読となる1冊。まずはこれを読め。
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人文社会ルプザレジオン
1.0 out of 5 stars 中国、韓国の民族意識
Reviewed in Japan on March 9, 2006
日本軍は当時の中国の首都,南京を激戦のすえ攻略したのあれば、入城してからは安泰であったはずだが・・。
相変わらず虚偽の写真が使われていたりしている。
なおこの言葉「中国、韓国では特に民族意識が強くてですね、その認識をどう乗り越えるかに悩まされました」
は笠原氏自身の言葉である・・・。
ちなみに中国ではこの50年でかなりの数の民族が姿を消したので50年前よりは民族意識を全面に出しやすいという。ロシアもだが。
なお南京の死亡者数を十数万としたのでは中国の理解もえられないのでは
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ガイフォークス
5.0 out of 5 stars 南京事件を語る上でのスタンダード本
Reviewed in Japan on August 15, 2005
最近、南京事件に関する話題をいくつか聞いた
その中で知ったのが東中野修道という哲学者の書いた本である
門外漢である彼が書いた内容は彼自身がそう有ってほしいという
願望による記述が殆どであった。
また、あたかも「南京事件の証拠が写真を元に為されていると」いったロジックで読者を騙そうとしている記述に対しては流石に呆れ果てたほどである。
一方、笠原はというと一次資料および数々の証言を元に書き起こし
その内容も中国側だけでなく元日本兵の証言に至るまで幅広く取り入れてる事からも、より一層この本の信憑性も増している。
南京初心者にはお勧めの一冊。
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lim h→0
5.0 out of 5 stars 南京大虐殺が疑いのない史実であることはジョン・ラーべの記録からも明らかである
Reviewed in Japan on November 12, 2007
南京大虐殺が疑いのない史実であることは南京安全区国際委員会委員長(当時)であったジョン・ラーべの記録からも明らかである。陸の孤島・南京での虐殺(犠牲者の多くは非戦闘員)
は国際法(非戦闘員や捕虜の虐殺虐待を禁じたジュネーブ条約およびハーグ陸戦条約)の軍内での不徹底、さらに治安を維持するための憲兵(軍警察)の配置数のあまりの少なさに原因がある。南京城入場時の南京市における日本人憲兵の配置数は記述によれば僅かに17人にすぎず「乱暴狼藉をを行いたる軍人は極刑に処す」との命令通達も不埒な兵士にとっては単なる「脅し」に過ぎなかった。
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amenhotep
5.0 out of 5 stars 星一つの酷評が、この本の打撃の大きさを示している。
Reviewed in Japan on October 29, 2004
ネットを通観するところ、思想的には「右」とされる人が数的には多数派のようである。そうした人たちにこの本が「読むに耐えぬ」「田中正明(!)や東中野修道(!)くらいは読んでから判断せよ」と酷評されるとしたならば、それは逆の意味で大変な(激賞ともいうべき)賛辞にほかならない。
その意味で、南京事件の存在を否定する人も肯定する人も、是非とも押さえておくべき本であろう。
虐殺の存否をまるで自分自身の日本人としてのアイデンティティに関わることのように考えている人には、いったい「日本人の誇り」とは何かもう一度考え直してみることをお勧めしたい。
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shiragamihiromi
1.0 out of 5 stars 「木を見て森を見ず」とは・・・
Reviewed in Japan on December 15, 2003
笠原氏は、序文の中で『南京事件の全体像=「森」は、歴史学研究の方法によって個々の虐殺事例=「木」を検証しながら、さながらジグソー・パズルを完成させるように総合的に構成してはじめてあきらかになるもの』と言う。それは全くその通り。しかし実際には、この著書で「歴史書」として客観的な叙述が行われているとは言い難い。
氏の『非』客観的姿勢を端的に示すものに、「南京残虐事件」の同時代資料のひとつ、「南京安全区国際委員会報告書」の取り扱いがある。
南京事件について少々勉強してみた人にはもう常識であるが、この報告書には、委員会自身によって「これら(国際委員会に持ち込まれた報告)の大部分は検証されておらず」「殆どはfirsthandではない(つまり、伝聞のそのまた又聞き)」と明記されているが、笠原氏は都合よくその事実を無視してしまっている。
また、日本軍の南京到着前から南京陥落('37年12月13日)、占領期を通じて、南京に残っていた人口20万人(中国側の発表。同報告はこれらの人々が殆ど全て安全区に集められていたと言う)が全く減少することなく、再三再四同報告書に言及され、しかも1月14日には「25万人」と増加して記されている、という決定的に重要な点に、笠原氏は言及しない。
他にも笠原氏の資料の取り扱いには、悪意としか思えない歪曲や「日本軍は悪逆非道の殺人集団」という偏見による曲解が見られる。
結局のところ、笠原氏の主張は、南京に『虐殺』と言う「森」があると何の根拠も無く断定し、禿山に置かれた沢山の植木鉢を見て「あの森が見えないのか」というに等しい。
「よく知らないが、みなが言うので『南京虐殺』はあったと思う」という人は、まず東中野修道『「南京虐殺」の徹底検証』と田中正明『南京事件の総括』くらいは読んで、「虐殺」があったかどうか、自分で判断すべきだと思う。
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ludwigrs55
5.0 out of 5 stars 外国の戦場で起こること
Reviewed in Japan on July 25, 2005
外国が戦場となる場合、外国における抵抗勢力は遊撃戦を展開してくる。民間人に紛れて戦闘を仕掛けてくるのだ。それを防ぐ方法として考えるのが残敵掃討作戦として民間人も敵と捉え、根こそぎ掃討することだ。このようなことが戦場で起こっても全くおかしくない。
特に兵站が疎かになればこのようなことは物資の略奪につながる。旧軍は明らかに兵站を軽視していた。南京事件は組織的に行われたのかどうかは私にはまだ勉強不足でわからないが、このような状況の中で略奪、虐殺は容易に起こりうると考えるのが妥当である。また加害者側としての兵士もしくは戦闘ボランティア(召集されずに自ら戦闘行為に携わった者)の証言から少なくとも、中国人(兵士のみではない)に残酷な行為を行っていることが出てきている。それも誇らしげに語る口調は強制的に行われたことではないことが裏付けられる。
この問題は非常に感情的な議論となりやすい主題である。恐らく日本のみならず世界的に行われてきた戦争または戦闘を鑑みた場合、私は規模の大小を問わず起こったと考える。したがって著者の議論を支持する。
特に旧陸軍の戦闘方法には精神的な面ばかりが強調されて、作戦の基礎さえ満足に満たしていない作戦立案が多かったように思える。中国だけではなくインパール然り。このような状況ではそのような事件が起こっても不思議ではないと考える。
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Secondopinion
1.0 out of 5 stars 読むに耐えない
Reviewed in Japan on September 18, 2004
「笠原氏の著書は全て根拠のないでっち上げだと誰かが言っていた」と著者が聞けば、一体誰がそれを言っていたのか、その根拠は、それを言った人物の信頼性はどうかなどの検証ぐらいはするだろう。本書ではそんな基本的な事すらなされていない。著者の論法では、「笠原氏の著書は全て根拠のないでっち上げだと誰かが言っていた」から「笠原氏の著書は全て根拠のないでっち上げだ」という結論になる。著者はまず「正しく考える方法」を身につけなければならない。著者のやり方は、何の根拠もなく台湾の陳総統銃撃事件を「自作自演」と主張する中国のやり方と全く変わりはない。
著者は各資料を自分の都合のいいように扱い、正当というにはほど遠い理論展開を行っている。このような日本人でありながら「自虐的日本観」の持ち主は、確固たる論拠も示せないのに、感情的にものをいう方が多い。
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gaoqiaoj
5.0 out of 5 stars 最良の入門書
Reviewed in Japan on August 4, 2006
南京事件について大まかな知識を仕入れたい人にはピッタリの入門書である。使っているのは多くが日本側の史料。それだけでもこのぐらいのことは分かるわけで、これを批判する人は「南京事件は中共のプロパガンダ云々」言う前に史料を読め!といいたい。最終的な犠牲者を何人にするかはもちろん異論もあろうが、いまだに「まぼろし」を言い続けている人は、「ネッシーはいる!」と言い続けている人と、同類項なんであろう。
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南京事件 新版 (岩波新書 新赤版 2073)
Paperback Shinsho – July 23, 2025
by 笠原 十九司 (Author)
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4.3 4.3 out of 5 stars (14)
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1937年、日本軍は中国での戦線を拡大し、戦争の泥沼に突き進んだ。その一大汚点としての南京事件。殺戮・略奪・強姦の蛮行はいかなるプロセスで生じ、推移し、どんな結果を招いたのか。日中全面戦争にいたる過程、虐殺の被害の実相、推定死者数等を旧版より精緻に明らかにし、事件の全貌を多角的に浮かび上がらせる増補決定版。
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新版に寄せて
序 二つの裁判で裁かれた南京事件
Ⅰ 日中全面戦争へ
Ⅱ 海軍航空隊の戦略爆撃
Ⅲ 中支那方面軍、独断専行で南京へ
Ⅳ 近郊農村から始まった虐殺
Ⅴ 南京占領――徹底した包囲殲滅戦
Ⅵ 陸海両軍による「残敵掃蕩」
Ⅶ 入城式のための大殺戮
Ⅷ 陸の孤島での犯罪と抵抗
Ⅸ 南京事件の全体像――犠牲者総数を推定する
結びにかえて――いま問われているのは何か
主な参考・引用文献
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About the Author
笠原十九司(かさはら・とくし)
1944年群馬県に生まれる
東京教育大学大学院修士課程文学研究科中退。
学術博士(東京大学)
専攻―中国近現代史
現在―都留文科大学名誉教授
著書―『アジアの中の日本軍』(大月書店)
『南京難民区の百日』(岩波現代文庫)
『日中全面戦争と海軍』(青木書店)
『南京事件と三光作戦』(大月書店)
『増補 南京事件論争史』(平凡社ライブラリー)
『日本軍の治安戦』(岩波現代文庫)
『海軍の日中戦争』(平凡社)
『日中戦争全史』上・下(高文研)ほか
Product Details
Publisher : 岩波書店 (July 23, 2025)
Publication date : July 23, 2025
Language : Japanese
Paperback Shinsho : 304 pages
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From Japan
mountainside
5.0 out of 5 stars 正しい信頼出来る客観的記述!
Reviewed in Japan on August 12, 2025
Verified Purchase
①信頼しうる客観的事実を的確に指摘している。南京大虐殺で日本人が虐殺した中国人の数は、最大100万人と見積もる。ヒトラーが虐殺したユダヤ人の数が訳600万人であるから、これでもかなり多い方である。しかし、太平洋戦争で命を落とした日本兵および日本人の数が約500万人であるからそれよりはかなり少ない。
②最近アメリカ人研究者が南京大虐殺その他の地域の日本人が虐殺した外国人の数は3000万人を超えるという新説を発表して話題になっている。これは反日思想を吹き込む陰謀論である。いくら日本人が残虐な振る舞いをしたにしても、この数字はあり得ない。
③本書を参考に客観的な歴史事実を押さえたい。
お勧めの一冊だ。
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5.0 out of 5 stars 考えさせられる歴史的資料
Reviewed in Japan on August 3, 2025
Verified Purchase
爆撃機で、赤十字のマークを屋上に印した病院の建物に爆弾を落とし、機銃掃射で人を狙い撃ち、民家や民間人も殺戮。
強姦された女性の夥しい数。日本人が満州から引き揚げ時にソ連兵から強姦されたことに憤慨していたが、それ以上のことを日本兵隊がしていた。
ロシアのウクライナ侵攻と同じことを、日本が中国を始め東南アジアの国に侵していた。
「結びにかえて」で、御用学者や政治家が南京事件を捏ち上げとする人の精神的動機は、関東大震災で朝鮮人虐殺はなかったとする「TRICK. 朝鮮人虐殺はなかったことにしたい人たち」(加藤直樹)が指摘する人達と、同じである。
本書とは離れるが、第2次世界大戦の日本占領下のベトナムで、凶作と日本軍への強制供出のためベトナム人100〜200万の餓死が報告されているが、ガザでの飢餓に通じるものがある。ガザに対する虐殺と同様な行為を日本軍が実行していたことに、戦争の本質を見る。
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ねこ男
3.0 out of 5 stars 虐殺ばかり
Reviewed in Japan on August 13, 2025
この本は読むと陰鬱になりますね。虐殺や暴行などばかりです。
南京事件関係では陸軍部隊ばかり注目されますが、この本では日本海軍の長江に展開した砲艦部隊による敗残兵狩りについて触れられ、米英海軍との衝突についても触れられます。
虐殺の人数論争はあまり意味がないように思います。この本では、南京城内だけでなく、郊外の敗残兵狩りや住民虐殺まで含んでいます。また、日本兵側の補給がなく、現地徴発をした後は家を焼き、住民を殺害するストレスがかかった戦場心理についても触れられています。
ところで、海軍陸戦隊の大山大尉の中国保安隊による殺害事件について。日本海軍が上海事件を起こさせるために仕組んだ陰謀で、大山大尉はいけにえになったというのをこの本で初めて知りましたが、本当なのでしょうか?
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Amazon カスタマー
5.0 out of 5 stars 歴史的事実の検証
Reviewed in Japan on August 1, 2025
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南京事件の全貌を描き出している。忘れてはならないジェノサイド。
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gp318
5.0 out of 5 stars 久しぶりに素晴らしい新書に出会えた
Reviewed in Japan on August 5, 2025
最近の新書にしてはボリューム感がある一方で読みやすくかなり読了感があった。
本書は南京大虐殺のみならず上海事変から南京爆撃そして南京占領に至るまで通史的に紹介しており日中戦争史に詳しくない方にもおすすめできる。
日本軍の無計画で無謀な進軍が日本兵自身の精神的消耗を招き、そのことが食料や物資の現地調達主義が傍若無人な行いを後押ししたと指摘する。日本兵ですら食う飯がまともにない状況なので当然投降した捕虜に食わせる飯などなく始末…。祝杯ムードの中気まぐれ的に酔っ払いながら残虐行為に及ぶ兵士たち…。夏服で派兵された兵士たちが寒さから逃れるために民家に押し入り寝泊まりをし去り際に火を放つ…。体一つで冷え切った長江を渡ろうとする人々を撃ち笑いとばすなどの件はいくら戦時とはいえあまりにも絶句で読んでいてつらくなった。
私自身かなり「本来の意味での保守」といわれる考え方だが日本で生活していると先の大戦を被害者側の視点から「戦争は悲惨だ」と語りがちなことに疑問を感じている。加害者の側面も大いにあったはずだ。以前読んだ中公新書の「シベリア出兵」を読んだときにも感じたがソ連対日参戦の前にはシベリア出兵での行い。東京大空襲の前には重慶爆撃での行いが因果として回り回っていると気づかされる。
これを自虐史観と捉えるのは簡単かもしれないが本当にそれで良いのだろうか。本書を読んで南京だけでもこれだけの甚大な被害を与えたにも関わらず寛大ともいえる戦後処理をよく中国はよく受け入れたと思ったし、そのことに甘えていてはいけないと思った。ましてや「なかった」「解放のための戦争だった」などの態度を取るのはお門違いだ。相手国がそう評価するならともかく自分からそれを言う横柄さはまるで中国人民を著しく見下し南京へと進軍する旧軍と同じメンタリティではないかと読んでいてゾクっとした。
戦後80年目の夏、機会があれば南京に訪れて手を合わせたいと改めて思った。
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巴里萌
5.0 out of 5 stars 昭和12年12月13日、南京陥落
Reviewed in Japan on July 23, 2025
2025年は「抗日戦争勝利80周年」にあたることもあり、8月には中国で南京事件をテーマにした映画が上映されます(元中国大使・垂秀夫氏による)。
前著の『南京事件』(1997年11月刊)は73ページの掲載写真について「日本兵に連行される写真ではなく日本兵とともに祭りを祝う人たちの写真ではありませんか」と版元に伝えたことがあります。史家の間でも件の写真について指摘があり改訂されたと聞きました。
あれから30年近くを閲し、「新版」の刊行。感慨深いものがあります。
南京事件についての英書はI. Changの”The Rape of Nanking”(1997)がありますが、日本人著者による書の英語版が望まれます。本書とともに、秦郁彦『南京事件--増補版』(中公新書)の英訳も期待したいところです。
<追記>「歴史は過去に押し倒された政治である」(歴史家M.N.ポクロフスキー)。特に近現代史は。
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蔦屋
5.0 out of 5 stars 今こそ読むべき新書
Reviewed in Japan on August 5, 2025
近所の本屋で購入。
27年生きてきて、恥ずかしながら南京事件について碌な知識がなかった私にはとても重く響いた新書でした。
考えてみれば、南京までの道のりを10万人以上の軍隊が移動していったわけで、南京入城に至るまでにも大きな被害を生んでるんですよね。当時の軍は参謀本部の指示も聞かず独断専行し、軍令に背いて物資の現地調達=略奪を指示するなど、想像できないほど野蛮な行いを繰り返した。ロシアを非難していたけど、90年前の祖国が同じようなことをしていたことに衝撃でした。
信じたい歴史に溺れるのではなく、過去を直視しなければ同じことの繰り返しと思います。
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マイクロソフコ
5.0 out of 5 stars 日中戦争の中の南京事件
Reviewed in Japan on August 10, 2025
大量のエビデンスを元に、いかにしてこの事件が起きてしまったのかを検証している。
これを読まずして南京事件を語るのはいかがなものか、と思えるほどの良書。
「30万人も殺せるはずがない」がいかに空虚な批判かよくわかる。
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南京大虐殺の日本人研究者・笠原十九司氏「嘘の歴史がまかり通ってはいけない」
「人間として嘘を言うのは嫌だし、嘘の歴史がまかり通るようになってはいけない。社会が事実をごまかした場合は、間違った道を歩むことになる。それは戦前の教訓だ」。南京大虐殺問題を研究する日本の専門家で、都留文科大学名誉教授の笠原十九司氏はこのほど、山梨県の自宅で単独インタビューに応じた際、こう語った。新華社が伝えた。

山梨県の自宅でインタビューに応じる笠原十九司氏(撮影・楊光)
笠原氏(78)は、1980年代初めから40年近くにわたり南京大虐殺の歴史を研究してきた。南京大虐殺の惨事の発生から、今年で85年になる。笠原氏は「日本の政治家や国民にもっと南京を訪れて真実を知り、過ちの歴史を反省し、正しい歴史教育を通じて戦争の惨劇が二度と起こらないようにしてほしい」と語った。
笠原氏が南京大虐殺の歴史を研究し始めたのは、大学時代の恩師である家永三郎氏が起こした「教科書裁判」がきっかけだった。著名な歴史学者である家永氏は、自身が編纂した高校教科書『新日本史』の中で南京大虐殺に言及した。だが日本の文部省は教科書検定で、複数の記述について家永氏に修正や削除を要求した。家永氏は妥協を拒み、教科書検定は憲法と教育基本法に違反するとして、日本政府を提訴した。法廷で恩師を支援するため、笠原氏は自ら南京を訪れて現地調査を行い、法廷で証言し、最終的に家永氏の一部勝訴に寄与した。
笠原氏は長い間、緻密な姿勢で研究・著述活動を行い、中国侵略日本軍による南京大虐殺の歴史の真実を暴き出してきた。笠原氏は現在までに、南京大虐殺の歴史に関する専門書を単著10冊以上、共著30冊以上出版した。
インタビューの際、笠原氏は著書を何冊か見せてくれた。笠原氏は赤い表紙の本を手に取り、「これは私が1997年に出版した『南京事件』で、今でもまだ売られている。累計で10万部以上売れた」と語った。
絶えず研究を続け、声を大にして訴えてきたため、笠原氏はしばしば日本右翼の批判にさらされてきた。一部の右翼は、ネット上への書き込み、あるいは直接メールやファクスを送りつけて笠原氏を脅迫してきた。これに対し、笠原氏は「多くの人は脅されたら黙ってしまうが、脅されて黙ってしまうことが一番危険だ。だから私は執筆や講演を続けている。私の力は限られているが、声を上げることができる間は、できる限り声を上げることを選ぶ」と笑顔で述べた。
脅迫を受けても、笠原氏は自分が孤立無援だとは感じることはなかった。「私を講演会などに呼んでくれる人もいるし、私の本を読んでくれる人もいる。南京大虐殺85周年の記事で私に原稿を頼んでくる新聞社もある。多くの人たちは黙っているけれど支持はしてくれているという信頼はある。孤立はしていないという自信はあるし、そういう実感もある」と笠原氏は言う。
南京大虐殺の歴史問題は、長い間「世界が注視し、日本は沈黙する」状態にある。笠原氏一人の力では、誤った歴史観を完全に変えることはできない。日本の右翼保守勢力が苦心してきた結果、第二次世界大戦の歴史に関する日本社会のナラティブはますます歴史の真実からかけ離れ、日本の戦争犯罪をなかったことにするものとなっている。
これについて笠原氏は、歴史問題を解決し、中日関係を真に改善するためには、日本社会全体のレベルで歴史教育を強化しなければならないとの認識を示した。「間違った歴史を反省して、教育によって理性的思考を身につけてこそ、戦争の悲劇を繰り返さないことができる。幸い、現在の日本の若者はインターネットなどを通じて、真実の歴史を知ることができる」と笠原氏は言う。
笠原氏は、日本の一部政治屋が依然として日本の侵略戦争を真に反省していないことを指摘。彼らが勇気を奮い起こして、南京を訪れて歴史の真実を知ることを望むとした。「ドイツ連邦共和国の首相であったヴィリー・ブラント氏のような人物が日本にも現れることを期待する」と笠原氏は語った。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年12月14日
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