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2025-11-14
鶴見太郎 埼玉大学 准教授インタビュー -
埼玉大学 鶴見太郎 准教授インタビュー - つながるコンテンツ - researchmap リサーチマップ
つながるコンテンツ
トビタつための星Ⅴ紛争解決に貢献できる人文学へ。埼玉大学
鶴見太郎 准教授
国立大学はいま、人文社会科学系の学部・大学院の廃止や他分野への転換を含む大規模な組織改編の時期を迎えている。……そのような中、「基本的には積極的に人文学に意義を出していくしかない」というのは、東欧・ロシアにおけるシオニズム(19世紀末に始まった、ユダヤ人の民族的拠点をパレスチナに作ろうとする思想・運動)を研究する埼玉大学鶴見太郎准教授。数カ国語を駆使して文献を読み込み、「パレスチナ問題になんとか突破口を見つけたい」という強い動機と交叉させる。政治的な偏りに組みしない、社会学的あるいはより広く人文学的なアプローチを持つ日本の文系研究者として「国際的な研究コミュニティをつなぐ役割も果たしていきたい」という鶴見准教授に、埼玉大学の研究室にてお話をうかがった。
ロシア帝国の中に生きたユダヤ人
大学生の頃もイスラム圏の紛争が活発で、なぜああいう紛争が起きているのか、どうしてああいうことになったのかという関心が最初にありました。パレスチナ/イスラエルという地域については、その発端が、ユダヤ人が自分達の民族的な拠点をつくるという「シオニズム思想」とその運動にあることは明らかであり、かの地に元々住んでいたアラブ系の人たちとの間で起こった紛争が、今日まで続いているわけですね。この紛争にはおよそ100年の歴史がある。そもそもなぜシオニズムが始まったのか?──中でもその母体となったロシア帝国・東欧地域に着目して、シオニズムを紛争の背景として理解する研究を行っています。
20世紀初頭、ドイツの52万人に対して、ロシア帝国には519万人ものユダヤ人が住んでいました。中世にポーランドの貴族がユダヤ人を重用したため、そのユダヤ人の多くがポーランドの大部分がロシア帝国に編入されたのと同時にロシアの臣民になったことも大きな要因のひとつです。一方ロシア帝国の中にはポーランド人、ドイツ人、ギリシア人など他にもさまざまな民族がいました。しかし彼らはユダヤ人ほどは迫害されていなかった。なぜユダヤ人だけが差別されるのか? ユダヤ人は自ら分析し、その原因が本国という拠点を持っていない点にあると考えるようになっていきます。一方で、ロシア帝国に長く暮らしてきたユダヤ人たちは、その国に同化し、中堅以上の世代を中心にロシア化の傾向を強く持ってもいました。つまりシオニズムの核心とは、全員が移住するとか、差別から逃げるとかいったことではなくて、自尊心を持つことで、他の民族に同化しないように、また、政府や他の民族からそれなりに尊重される存在になろうという考えにあるんですね。
1917年にはロシア革命が起こりました。ソ連時代、ユダヤ人政策は大きく転換して、結果的にシオニズムにとっては好ましくない方向へ進んでいきました。しかも同時期に起こった第一次世界大戦(1914-1918)が、ユダヤ人により大きなインパクトをもたらします。ロシア帝国も戦場となり、その混乱の中で敵と味方の板挟みに合い、反ユダヤ主義のような偏見も加わっていろいろな理由を押しつけられて迫害が起こる。迫害といってもこれまでとは桁違いの殺戮が行われ、日常的に暴力というものを目の当たりにするんですね。第二次世界大戦では、周知のようにこの傾向がさらに苛烈になって、歴史はホロコーストへの道を歩んでいくわけです。
シオニズムと世代
マイノリティの当事者がどんな意味を見出していたのか
シオニズムという思想・運動を生んだ背景を考えるためには、社会学的な思考が重要だと考えています。ユダヤ人がマイノリティだったという条件に注目すれば社会学的テーマであることは明白ですが、それだけではなく、社会学は、明確な政治的主張を背後で支え、その活動に文脈を与えるような「世界観」に着目する学問だからです。彼ら自身は運動をどのような意味連関として理解していたのか、たとえばそれが政治という次元でどの点だったら妥協でき、あるいはできないのか……本人たちの具体的な主張とは別に、言葉の深さや背景からその意味を理解していく視点が非常に重要です。
私の場合は、大量に出版されていた印刷物、本、パンフレットなどをとりあえず探る中で、主にイスラエルの図書館に集められている社会運動家の定期刊行物に着目していきました。まさに「新聞を読んで現代を知る」というのと同じように、定期刊行物を読むことで社会運動家というある種のエリートの考え方を通じて一般の人々の生活も推し量ることができ、当時の情況がいろいろとつながっていったのです。当事者がどんな意味を見出していたのか?……というこの視点は、特に外国研究で不足しがちなものだと考えています。実際、どこの国の社会学でも、基本的に自国の社会について深く掘り下げる研究が大半で、他方、外国研究では現代にしても歴史にしても政治学的・経済学的な観点か思想・文学が中心です。本来ならば外国に関しても同様に重要なはずのこのような社会学的な視点は不足していると言えるでしょう。
結局、外国語を学ぶためには、その言葉や文法を学ぶしかないのと同じように、あるコミュニティを知ろう、作ろうという場合には、そこにいる人々の間に流通している想像力や、人々をつないでいる論理を理解することに尽きると思います。語学はただの入口であって、研究対象とじっくり付き合うための訓練が、当然必要になります。そして人々が行うコミュニケーションは絶えざる動きであり、ずっとつながっているものですから、何かある時点を切り取って一般化することはできない。もし地球上にたった1つしかコミュニティがないならば、一般化も簡単かもしれません。けれどもコミュニティは絶えず見出され、作り出され、変化しているので、やはり常にそれに対応する必要があるのです。
人文学を活用できないのは誰か?
これからの外国研究と人文学の役割
人文学の重要な役割のひとつは、やはり価値観や世界観を含めた、「意味」への着目だと考えています。とにかく意味を探る、理解するというところを除いては説明できない事象がたくさんある。結局それは人間にしかできないことであり、まさに人間が人間であるがゆえに残る領域である、としか言いようがありません。しかも意味というのは1人で決めることが出来ない性質を持っています。たとえば「私はこの意味でこの言葉を言った」といっても通じない。その宣言自体が、独りよがりな印象を与えたり不信感を抱かせるといった形で、また別の意味を生み出していくわけですね。そうした性質を持つ人間社会のなかの意味をとらえるには、意味の連なりや体系を研究する以外ありません。
もちろん人文学にもいろいろあって、たとえば社会科学寄りの分野の場合はむしろ自然科学的な研究の設計をする傾向が強いでしょう。しかし社会なり、人と人との間を見ようとするときに、事象を安易に切り取ってそれだけを対象とするようなアプローチは無効であると言わざるを得ません。そのことが人文学のわかりにくさ、曖昧さにつながっていることは事実でしょう。人文学が役に立たない、要するにお金儲けにつながらないという最近の議論もそのことが関係しているかもしれません。しかも、人文学者は潔癖を貫き、これまで決して「儲かる」部分を強調して来なかった。というのも、そのように"手垢の付かない"立場であることが、実は人文学的には決定的に重要な立場だからです。国際競争の中で大学が日本企業を後押しするような役割を担うならば、特に理系は学問を国家の線に沿って切る方向へと向かうのではないでしょうか。これは科学の発展にとってマイナスです。一方人文学の場合は、歴史認識問題に代表されるように、もともと国境に影響されやすい側面を持っています。しかしだからこそ、それをあえて乗り越えて普遍的真理や共通点を見出すことが重要で、またそのことによって国境を全否定するのではなく、ありのままに見ることができるようになるのではないでしょうか。その際、国単位での競争はやはり有害でしかありません。
私の場合は、ロシア、イスラエル、パレスチナをキーワードとする分野を、日本ではなく紛争地域に新しい風を吹き込むために、私自身が「つなぐ」役割を果たしたいと考えています。そのひとつの試みとして、今年はロシアを含む東欧史の文脈にイスラエルを位置づけるシンポジウムを開催しました。今回の参加者は歴史の専門家がほとんどでしたが、体系的に議論を立ち上げ、いずれは紛争を扱う研究者のコミュニティもつないでいこうという長期計画です。非常に政治化した地域を対象としているため、実際シオニズム研究者のほとんどはユダヤ人であり、パレスチナ人の研究者とは交流が少ないことは確かですし、広い意味での利害関係や対立が、どうしても存在します。人文学は、まさに研究者が人間であることの影響を強く受けるという一例ですが、そこにこそ、イスラエル研究を日本で行う意義があるのではないでしょうか。経済的な利益は生みませんが、世界に大きな価値をもたらす可能性があります。
2025-11-13
イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 - 鶴見太郎 - ブックライブ
イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 - 鶴見太郎 - ビジネス・実用書・無料試し読みなら、電子書籍・コミックストア ブックライブ

イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国
鶴見太郎
1,980円 (税込)
19pt
3.3
4件
「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』(1993年)を思い出しながら、長らく迫害されてきたユダヤ人がナチスによるホロコーストの末、ついに作り上げた国と考える人もいるかもしれません。
迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。
ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。
その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1863-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。
ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。
『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。
[本書の内容]
序 章 二種類のユダヤ人
第一章 内なる国際関係
第二章 ユダヤ人とロシア帝国
第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡
第四章 ファシズムを支持したユダヤ人
第五章 民族間関係の記憶
第六章 相補関係のユダヤ化
終 章 多面的な個が民族にまとまるとき
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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国
鶴見太郎
1,980円 (税込)
19pt
3.3
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「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』(1993年)を思い出しながら、長らく迫害されてきたユダヤ人がナチスによるホロコーストの末、ついに作り上げた国と考える人もいるかもしれません。
迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。
ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。
その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1863-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。
ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。
『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。
[本書の内容]
序 章 二種類のユダヤ人
第一章 内なる国際関係
第二章 ユダヤ人とロシア帝国
第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡
第四章 ファシズムを支持したユダヤ人
第五章 民族間関係の記憶
第六章 相補関係のユダヤ化
終 章 多面的な個が民族にまとまるとき
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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 (講談社選書メチエ 738) 単行本 – 2020/11/12
鶴見 太郎 (著)
エントリー
「イスラエル」は、どんな国でしょうか? 中東でよく戦争をしている、小国だが強大な軍事力をもっている、と思う人もいるでしょう。一方、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画『シンドラーのリスト』(1993年)を思い出しながら、長らく迫害されてきたユダヤ人がナチスによるホロコーストの末、ついに作り上げた国と考える人もいるかもしれません。
迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。
ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。
その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1862-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。
ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。
『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。
[本書の内容]
序 章 二種類のユダヤ人
第一章 内なる国際関係
第二章 ユダヤ人とロシア帝国
第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡
第四章 ファシズムを支持したユダヤ人
第五章 民族間関係の記憶
第六章 相補関係のユダヤ化
終 章 多面的な個が民族にまとまるとき
迫害されてきたかわいそうなユダヤ人が念願かなって作った国、しかしアラブ人(パレスチナ人)を迫害している攻撃的な国――このような対極的なイメージは、いかにして生まれてきたのか。本書は、この謎に迫ります。
ホロコーストがイスラエル建国の大きな後押しになったことは間違いないとしても、そのことはイスラエルの軍事的な志向性を説明しません。さらに歴史を遡ると、19世紀後半からユダヤ人が変化していったこと、それが「国家」による自衛を求める動きにつながっていったことが明らかになります。そこで重要な役割を演じたのが、ロシア人でした。
その具体的な動きを追っていくために、本書はまずロシアのリベラリストに注目します。民族の自由を訴え、それゆえユダヤ人の同化にも反対したマクシム・ヴィナヴェル(1862-1926年)の活動を追っていくとき、パレスチナにユダヤ人国家を作ることを目指すシオニズムに共鳴したユダヤ人の中にも同じ主張をもつ者がいたことが分かります。その典型は、ダニエル・パスマニク(1869-1930年)に見られるものです。
ところが、1880年代にロシアで「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人への迫害が始まると、ユダヤ人的側面とロシア人的側面を共存させていたロシアのユダヤ人たちは、徐々にユダヤ的側面に特化していきます。そのときユダヤ人たちがもったのが、ロシアの近代化に寄与してきたユダヤ人は「西洋的」だが、ロシアはそれに対立する「東洋的」な性格を持ち続けている、という認識でした。「東洋的」なロシアによって「西洋的」なユダヤ人が苦境に陥ったとき、「西洋的」な国家はユダヤ人を助けない──その経験は、やがてイスラエルが建国され、アラブ人の暴動が起きたとき、同じ構図をユダヤ人の中に想起させるのです。
『ロシア・シオニズムの想像力』で高い評価を受けた気鋭の研究者が巨大な問いに挑む渾身の論考。現代世界を読み解く手がかりが、ここにあります。
[本書の内容]
序 章 二種類のユダヤ人
第一章 内なる国際関係
第二章 ユダヤ人とロシア帝国
第三章 「ロシア・ユダヤ人」の興亡
第四章 ファシズムを支持したユダヤ人
第五章 民族間関係の記憶
第六章 相補関係のユダヤ化
終 章 多面的な個が民族にまとまるとき
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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 のユーザーレビュー
3.3
Rated 3.3 stars out of 5
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感情タグBEST3
#タメになる#ハッピー#深い
Posted by ブクログ
悪文なのか自分の読解力が足りないのか。面白い指摘をしていると思うのだけど、スッと入ってはこなかった。
02024年01月27日
Posted by ブクログ
分かりやすくはあったが、難しい
ロシア・ユダヤ人としての相補的なアイデンティティのバランスが、外部環境の重なりで崩れた
極東のユダヤ人としての面と、パレスチナ建国への繋がり
自己が抱える複数の面の複雑な絡まりが、形は変わったけど結果としてユダヤ人を民族化させたというのは面白かった
02025年08月30日
Posted by ブクログ
イスラエルにもユダヤ人にもロシアナショナリズム等に詳しくない自分には難解な部分も多かったけれど、イスラエルの国民性がどういう流れを辿ってきたのか、うっすらと輪郭を掴むことができた。
ディアスポラ、ポグロム、ホロコースト、シオン主義、福音派、そういった人々が世界に散ったことでむしろ結束が強まる一面があったこと。
ガザの戦争がなかったら一生知る機会のなかったことかもしれない。
⚫︎あらすじ
ハイテク産業で鳴らしているイスラエルは、軍事力が高く、好戦的な国としても知られてきた。なぜか。一般には、あるいは今日のイスラエル人自身にとっても、ホロコーストを二度と繰り返さないためにそうなっているという説明がしっくりくるだろう。しかし、イスラエルをつくったシオニストの自衛への意識は、ホロコーストが始まる前から十分に高くなっていた。ホロコースト以前の世界のユダヤ人口の中心はロシア東欧地域である。シオニスト運動はロシア帝国に始まり、当地出身のユダヤ人が思想的にも人材的にもシオニスト運動やイスラエル建国を引っ張ってきた。では彼らはなぜ自衛の意識を高く持ったのか。
02024年10月16日
Posted by ブクログ
ホロコーストを体験したユダヤ人がなぜ人種主義的で、軍事的な国を作ったのか、あるいはその傾向が強まったのかというのは、謎が多いところ。
そんな関心事で読んでみた。
基本的には、ロシアにおけるユダヤ人という立ち位置が、ヨーロッパにおけるユダヤ人、例えばフランスやドイツとどう違っていて、シオニストの中で、どのような議論のプロセスを得て、軍事的、ファシズム的なものになっていったかということが書いてあって、ほとんど知らなかったことばかりなので、とても勉強になった。
だが、本のタイトルと内容は少しづれている感じもあって、そもそもシオニズムを提唱したヘルツルの思想の解説とか、ロシア以外のシオニストたちの動き、ホロコーストが進展する中での動き、そしてイスラエル建国時の説明などとの関係がもう少し知りたい感じがした。
多分、そうした話しは別途シオニズム関係、イスラエル建国関係の本を読めばわかるのだろうが、やはり大きなところで、そうしたこととロシアのユダヤ人の関係が知りたいと思った。
02024年01月26日
すべてのレビューを見る(4)
イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 の詳細情報
カテゴリ:ビジネス・実用
ジャンル:学術・語学 / 教育
出版社:講談社
掲載誌・レーベル:講談社選書メチエ
ページ数:288ページ
電子版発売日:2020年11月11日
コンテンツ形式:EPUB
サイズ(目安):5MB
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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 のユーザーレビュー
3.3
Rated 3.3 stars out of 5
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Posted by ブクログ
悪文なのか自分の読解力が足りないのか。面白い指摘をしていると思うのだけど、スッと入ってはこなかった。
02024年01月27日
Posted by ブクログ
分かりやすくはあったが、難しい
ロシア・ユダヤ人としての相補的なアイデンティティのバランスが、外部環境の重なりで崩れた
極東のユダヤ人としての面と、パレスチナ建国への繋がり
自己が抱える複数の面の複雑な絡まりが、形は変わったけど結果としてユダヤ人を民族化させたというのは面白かった
02025年08月30日
Posted by ブクログ
イスラエルにもユダヤ人にもロシアナショナリズム等に詳しくない自分には難解な部分も多かったけれど、イスラエルの国民性がどういう流れを辿ってきたのか、うっすらと輪郭を掴むことができた。
ディアスポラ、ポグロム、ホロコースト、シオン主義、福音派、そういった人々が世界に散ったことでむしろ結束が強まる一面があったこと。
ガザの戦争がなかったら一生知る機会のなかったことかもしれない。
⚫︎あらすじ
ハイテク産業で鳴らしているイスラエルは、軍事力が高く、好戦的な国としても知られてきた。なぜか。一般には、あるいは今日のイスラエル人自身にとっても、ホロコーストを二度と繰り返さないためにそうなっているという説明がしっくりくるだろう。しかし、イスラエルをつくったシオニストの自衛への意識は、ホロコーストが始まる前から十分に高くなっていた。ホロコースト以前の世界のユダヤ人口の中心はロシア東欧地域である。シオニスト運動はロシア帝国に始まり、当地出身のユダヤ人が思想的にも人材的にもシオニスト運動やイスラエル建国を引っ張ってきた。では彼らはなぜ自衛の意識を高く持ったのか。
02024年10月16日
Posted by ブクログ
ホロコーストを体験したユダヤ人がなぜ人種主義的で、軍事的な国を作ったのか、あるいはその傾向が強まったのかというのは、謎が多いところ。
そんな関心事で読んでみた。
基本的には、ロシアにおけるユダヤ人という立ち位置が、ヨーロッパにおけるユダヤ人、例えばフランスやドイツとどう違っていて、シオニストの中で、どのような議論のプロセスを得て、軍事的、ファシズム的なものになっていったかということが書いてあって、ほとんど知らなかったことばかりなので、とても勉強になった。
だが、本のタイトルと内容は少しづれている感じもあって、そもそもシオニズムを提唱したヘルツルの思想の解説とか、ロシア以外のシオニストたちの動き、ホロコーストが進展する中での動き、そしてイスラエル建国時の説明などとの関係がもう少し知りたい感じがした。
多分、そうした話しは別途シオニズム関係、イスラエル建国関係の本を読めばわかるのだろうが、やはり大きなところで、そうしたこととロシアのユダヤ人の関係が知りたいと思った。
02024年01月26日
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イスラエルの起源 ロシア・ユダヤ人が作った国 の詳細情報
カテゴリ:ビジネス・実用
ジャンル:学術・語学 / 教育
出版社:講談社
掲載誌・レーベル:講談社選書メチエ
ページ数:288ページ
電子版発売日:2020年11月11日
コンテンツ形式:EPUB
サイズ(目安):5MB
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日本から
Mt.Shirane
5つ星のうち5.0 平易で概観が得やすい。国家成立までの過程を追った書。
2021年3月7日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本
基礎知識のない日本人のために書かれたので読みやすく、国家イスラエルの成立を概観するのに良いと思います。
ドイツ・ポーランドから逃れて東欧・ロシアに定住した頃から記述を始めます。神話的過去から始めると、古代のユダヤ教やディアスポラがあったかどうかなど、宗教的・神話的事項の批判的検討が必要となり、紛糾するのでよいと思います。ただ、第1章の社会心理学的分類などは巻末に補遺として置いたほうが良いと思います。
大雑把な展開は、次のようです。
特定の産業に限定されていたユダヤ人が、工業化の進展とともに大多数は貧困化がすすみ、周辺住民からの圧迫も大きくなっていった。自由化によって知識階層に進出したユダヤ人は、ユダヤの特質を保持する傾向と、ユダヤ性の一般的解消に向かう2つに分かれていく。ロシア革命やポグロムへの対応に顕著に表面化していき、その動きの中で神話的過去に依拠するシオニズムが現れ、大衆にわかりやすい希望の運動として大きな流れとなる。シオニズムはナチス以前に帰還運動が始まるが、アシュケナージのうちイスラエルに帰還したのは数%にすぎず、大半はアメリカに移住し、ヨーロッパに留まる者もいた。かくしてイスラエルが誕生した。国家誕生で記述が終わります。
イスラエルの持つ、民族と国家・ナショナリティなどのさまざまな論争についてはお読みいただくしかありません。
ラカーのように大部ではなく、シュロモー・サンドのように論争的でもありません。
日本人の歴史的素養を踏まえた良い入門書だと思います。
ただし、イスラエル建国以降のパレスチナ、アラブなどとの関係や現状分析を求める方には、お勧めしません。帰還なる名目で、他者を排除し接収し占拠する法的根拠・収奪手段の合法性如何などの基本的な現状分析は別の書を求めるべきです。とはいえ、イスラエルの政策が神話の上に成り立っている以上、神話と歴史を峻別する冷静な議論が必要であると思います。ユダヤと認識されている人々は、閉鎖集団に起因する「遺伝子的ボトルネック」に由来し、ユダヤ12支族の末裔でも純血種でもない、などの科学的事実を押さえることは必須だと思います。
手っ取り早く著者の主張を知りたい場合は、下記でweb検索すれば無料で読めます。
「ユダヤ的かつ民主的国家」の 起源についての一考察 - J-Stage
これで十分かもしれません。
シオニズムからシオニズム修正主義、極右思想までの史的展開については、森まり子『シオニズムとアラブ――ジャボティンスキーとイスラエル右派1880~2005年――』講談社を勧めたい。
類書の中でも明晰さにおいて抜群と感じます。能力に相応しいポストを得られなかったようで、惜しいと思います。紙媒体は絶版のようで、電子書籍でしか読めないのも残念です。
44人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
tree
5つ星のうち4.0 ロシアのユダヤ人
2024年1月14日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本Amazonで購入
ロシア治下に住むユダヤ人のアイデンティティを丹念に論じた一冊。ユダヤ人でありロシア人であるという時、その2つのアイデンティティの比重が各ユダヤ人の中で微妙に相違する。著者は、数人のユダヤ人にスポットをあてて彼らの自己意識を深掘りしていく。
ロシア治下でユダヤ人が被った数々のポグロムについても触れられている。
自分は、ロシア・欧州にいたユダヤ人の一部がどうパレスチナへ行くに至ったかの彼らの思想の流れみたいなものを期待して本書を買ったのだが、それは本書の対象ではなかった。
内容は専門的でありながら、教科書的な丁寧な解説で読み易い。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
海
5つ星のうち5.0 「イスラエル」とは、何か。
2022年5月7日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本
イスラエルは、ロスチャイルド家が建国の父である。
中共(中国)の核開発には、アメリカは裏に隠れイスラエルの支援があった。
当時の国際情勢(米ソ冷戦)による。
イスラエルは、ユダヤ人以外の移民は一切受け入れていない。
日本のマスメディアは、これらに一切触れない。と云うより関心の外にある。
なので、真の情報はマスでなくパーソナル間にしかない。
サラリーマンならとっくに経験済みの事である。
そして、ユダヤ人は世界に散っていて協力なネットワークを築き、それ故強力なパワーを保持しているのである。
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
レポート
明治神宮の鴉
5つ星のうち4.0 消化不良だったことが良く分かった
2024年1月26日に日本でレビュー済み
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学術書としては正確でしょうが、途中から些かマニアックな流れになって、前の説明を見直す必要ありました、いずれにせよこのあたりのロシアとユダヤの歴史の事実を知るには貴重な書物です
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Amazon カスタマー
5つ星のうち4.0 日本人には理解不能なお話です、
2025年2月12日に日本でレビュー済み
フォーマット: 単行本
「イスラエルの起源」鶴見太郎著
イスラエルの起源と聞くと、旧約聖書の世界が思い浮かびます。アブラハムとイサクとか、モーゼ、ソロモンとシェバの女王とか、サムソンという名前も、そんな映画がいくつかあったような気がします。そういう紀元前何世紀かも分からない天地創造の時代からの話ではなく、第一次世界大戦後に造られたイギリスやフランス、ロシアといった帝国主義諸国の利害から生まれてきた先進国の侵略戦争の中から生まれた不思議な国がイスラエルだと思います。どうして不思議だなぁと思いますか。?。だってねぇ、旧約聖書の物語の世界でダビデの都があった土地をユダヤ人の国として記してあるので、だから、そこが故郷だと。日本に住んでいると、そのような神話を盾にして、みんなでユダヤ人は神が約束して与えて下さった土地に帰ろうなどと勝手に言い出して、訳も分からないまま、ここが僕たちのすみかなので引っ越してきました。と言ったら、ちょ、ちょっとあんた頭は正気かいと返事に詰まってしまい、どもってしまうような難問です。あり得ない話だと思うのですが。
しかも、今やそうして神の約束の地に、勝手に帰って来たと称して、周辺のアラブ諸国と戦争をはじめて行く。どっちが正しいのか、考えるまでもなく、先住民は迷惑でとんでもない民族の移動で、そんなことを勝手にされたらたまったものではありません。訳が分からないので「イスラエルの起源」を読んでみようと思いました。
読んでも、結局分かりませんでした。ともかくシオニストというダビデのシオンに帰ろうという思想があり、1921年にアメリカがイスラエル人の移民を制限した時から、白人世界の持て余し物であったユダヤ人をどこかにまとめて移住させてしまおうと、旧約聖書や新約聖書を宗教的な信条とする白人国家が、自分たちの国から追い出すために、パレスチナの地を選んだ。大体、キリスト教圏にすまない東洋人には理解困難な聖書の世界で、理解不能な理屈で歴史が動いてきてしまっている。
ロシア、東欧、今話題のウクライナ、ユダヤ人の人口の大半はこの地域に生活をしていて、シオニストとはさらにその他の地域も含む、世界中のユダヤ人を集めた各地の離散した人々の団結した連合体を指すらしい。だから、その世界中のユダヤ人が力を合わせて、ユダヤの民族国家を目指して、さしあたりはイスラエルと言う1948年に帝国主義列強国家の提案で建国されたユダヤ人の移住地を経済的にも軍事的にも援助をして行こうということになったらしい。その最たる、というか最終目標は今アメリカの大統領が言い出している住民交換という政策だという。つまり、先住民族のパレスチナ人をどこかに移住させて、代わりにユダヤ人が永住するという。アメリカインディアンの居住地を決めるような西部劇の世界の話が起きている。考えたら、アメリカ人は先住民族のインディオを追い出して建国をして来た。今度はこれを古代文明発祥の地で行うことになるらしい。
今回の戦争についてだけ言えば、ハマスと言う組織は自分が守るべきパレスチナ人の命を何とも思っていないとしか見えません。先制攻撃をハマスが仕掛け、ユダヤ人に限らずそこで働いていたアジア人も含めて人質として連れ去り、人質を盾にして、取り返そうとして軍隊をおくったイスラエルの戦争責任を追及するのはあり得ない、自国民の生活と命をほとんど無視しているようで、ハマスと言う組織の自己保身のために戦争を仕掛けてパレスチナ人に犠牲を強いているように見えてしまいます。
昔、日本が帝国主義侵略戦争に明け暮れ、満州の地の日本人入植者の安全を守らず、住民に何も知らせず本土防衛と称して先に軍隊だけを本土に回したために、大陸に残された入植者が逃避行の最中に大量虐殺をされてしまった事件を思い出させる。そのような、自国民の命を無視したひどい仕打ちだと思います。
パレスチナ問題は、日本人には理解不能な戦争である、というのが読後の感想で、とりわけ最後に出てくる住民交換が、住民立ち退きとして、アメリカ大統領がパレスチナ人の移住先を探していますというのはびっくりの、解決案です。頭が悪いせいか、読んでも分かりませんでした。大体、聖書を盾に引っ越してくる人がいたら、気が変なのではないかと思います。
ぺギン、リクードがポグロムという映画「屋根の上のバイオリン弾き」で見たロシア人やコサックによるユダヤ人の大弾圧を、パレスチナでアラブ人に襲われた時に、思いだし、反撃闘争に走った。ロシアユダヤ人が、負けず嫌いだったから、パレスチナ戦争が続くのは分かりましたが、これも引っ越した先でいじめや弾圧があれば必然の防衛反応と言う気がします。だから、分からない。多民族共生があれば一番です。
映画「屋根の上のヴァィオリン弾き」では、長女は、幼馴染の洋服の仕立てやと結婚します。親は仲人人の紹介で大金持ちの年寄りに嫁がせようとしますが、逆らって幼馴染みの仕立てやと結婚します。映画では、長女夫婦は健康で元気子供と一緒に荷車でウクライナのどこかに移動していくようですが、小説では幼馴染みの夫は病死して父のテビエとともに長女もアメリカに渡ります。父があてがおうとした元婚約者のお爺さんもアメリカに渡ります。高齢ですが元気です。アメリカではお互いにまた近所同士だから落ち着いたら会おうと、民族離散の憂き目の中で約束をします。次女は、地方に情宣活動で入っていたキエフ大学の学生と気が合い、大学生が革命運動で逮捕され、シベリア送りになると、活動家を追いかけてシベリア行きの汽車の乗って家族と別れて別の人生を送ります。三女は、ロシア人と結婚をしていましたが、ロシアに残る選択肢を捨ててどこかへ去って行きます。四女は、金持ちの男と相思相愛の関係になったように見えますが、差別の中身分違いか、異教徒のためか分かりませんが、追いかけまわしていた肝心の男が姿を消して、孤立無援の中自殺をしてしまいます。五女は、仲人婆さんの見立てた旧来の慣行に従って親の言う通りの大金持ちの貿易商人と結婚し、この民族離散の憂き目をアメリカに渡ることで生計を立てています。テビエも長女も結果としてこの末娘を頼りにアメリカに渡って行きます。
逃避行の先はアメリカとシベリアとウクライナかロシアかヨーロッパかいろいろ選択肢がありますが、この一家の場合は、パレスチナという選択肢はありません。キエフ大学の学生を追いかけた事情は恐らく極東地域に住むことになっているのでしょうが、その消息は不明です。
ユダヤ人がシオンを目指すと言っても、住めば都で今いる土地をシオンに変えていくという時代もあったのかと知りました。結局、パレスチナ問題は、イギリス、フランス、ロシアと言った帝国主義先進国が作ったもので、それをベトナム戦争の時のように、今やまたもや懲りずにアメリカが介入したということなのでしょうか。「地獄の黙示録」を思い出すような展開にならないことを切に望みます。
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どこまでもムタ
5つ星のうち4.0 イスラエル建国の萌芽はロシア・シオニストにあり!
2021年1月16日に日本でレビュー済み
「2種類のユダヤ人」とのことで、最初はユダヤ人の起源に関するタブーと言われるアシュケナジジーとセファルディーについての歴史的検証かと思った。しかし、実際のところ、本書は、ロシアユダヤ人、特にロシア革命期以降のイスラエル建国の萌芽について、主にロシア・シオニストの視点で描いている。
佐藤優氏の著者で、ロシア・ユダヤ人とイスラエルの繋がりの深さは知っていたが、このような深い歴史的経緯があるとは思わなかった。ロシア・ユダヤ人と言っても、シオニストと協調的なリベラリスト、更にシオニストも左右に分かれていて一様ではないようだ。確かに、ユダヤ人と言うと、本書にも出てくるように放浪とポグロムの悲劇という"羊"のイメージがある反面、周囲を敵に囲まれた好戦的、かつ、妥協なきイスラエルの存在は対極的だ。
複雑な経緯を経て、西欧の辺境、極寒の地に集まることになった信心深き民族、それがこのような歴史的経緯を有していたとは興味深かった。
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ユダヤ人の歴史 - 鶴見太郎 ブックライブ
ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで - 鶴見太郎 - ビジネス・実用書・無料試し読みなら、電子書籍・コミックストア ブックライブ

ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで
ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。
学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。
五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。
古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。
三〇〇〇年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。
■目次
序 章 組み合わせから見る歴史
第1章 古代 王国とディアスポラ
1 ユダヤ教以前のユダヤ人?――メソポタミアとエジプトのあいだで
2 ユダヤ教の成立――バビロニアとペルシア帝国
3 ギリシアとローマ――キリスト教の成立まで
第2章 古代末期・中世――異教国家のなかの「法治民族」
1 ラビ・ユダヤ教の成立――西ローマとペルシア
2 イスラーム世界での繁栄 西アジアとイベリア半島
3 キリスト教世界での興亡――ドイツとスペイン
第3章 近世――スファラディームとアシュケナジーム
1 オランダとオスマン帝国――スファラディームの成立
2 ポーランド王国との邂逅――アシュケナジームの黄金時代
3 偽メシア騒動からの敬虔主義誕生――ユダヤ教の神秘主義
第4章 近代――改革・革命・暴力
1 ドイツとユダヤ啓蒙主義――同化主義なのか
2 ロシア帝国とユダヤ政治――自由主義・社会主義・ナショナリズム
3 ポグロムとホロコースト――東欧というもう一つのファクター
第5章 現代――新たな組み合わせを求めて
1 ソ連のなかの/ソ連を超えるユダヤ人――社会主義的近代化
2 パレスチナとイスラエル――「ネーション」への同化
3 アメリカと文化多元主義――エスニシティとは何か
むすび
あとがき
参考文献
ユダヤ人の歴史 関連年表
ユダヤ人の歴史 古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで のユーザーレビュー
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ユダヤ人の歴史-古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで (中公新書 2839) 新書 – 2025/1/22
鶴見 太郎 (著)
4.0 5つ星のうち4.0 (240)
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ユダヤ教を信仰する民族・ユダヤ人。
学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、ホロコーストに至る迫害、アラブ人への弾圧――。
五大陸を流浪した集団は、なぜ世界に影響を与え続けているのか。
古代王国建設から民族離散、ペルシア・ローマ・スペイン・オスマン帝国下の繁栄、東欧での迫害、ナチによる絶滅計画、ソ連・アメリカへの適応、イスラエル建国、中東戦争まで。
3000年のユダヤ史を雄大なスケールで描く。
■目次
序 章 組み合わせから見る歴史
第1章 古代 王国とディアスポラ
1 ユダヤ教以前のユダヤ人?――メソポタミアとエジプトのあいだで
2 ユダヤ教の成立――バビロニアとペルシア帝国
3 ギリシアとローマ――キリスト教の成立まで
第2章 古代末期・中世――異教国家のなかの「法治民族」
1 ラビ・ユダヤ教の成立――西ローマとペルシア
2 イスラーム世界での繁栄 西アジアとイベリア半島
3 キリスト教世界での興亡――ドイツとスペイン
第3章 近世――スファラディームとアシュケナジーム
1 オランダとオスマン帝国――スファラディームの成立
2 ポーランド王国との邂逅――アシュケナジームの黄金時代
3 偽メシア騒動からの敬虔主義誕生――ユダヤ教の神秘主義
第4章 近代――改革・革命・暴力
1 ドイツとユダヤ啓蒙主義――同化主義なのか
2 ロシア帝国とユダヤ政治――自由主義・社会主義・ナショナリズム
3 ポグロムとホロコースト――東欧というもう一つのファクター
第5章 現代――新たな組み合わせを求めて
1 ソ連のなかの/ソ連を超えるユダヤ人――社会主義的近代化
2 パレスチナとイスラエル――「ネーション」への同化
3 アメリカと文化多元主義――エスニシティとは何か
むすび
あとがき
参考文献
ユダヤ人の歴史 関連年表
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日本から
中川義朗
5つ星のうち5.0 凄い勉強になる!
2025年10月1日に日本でレビュー済み
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読んだ方が良い! 凄い勉強になる!
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Amazon カスタマー
5つ星のうち4.0 乗り越えるべき課題。
2025年9月10日に日本でレビュー済み
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私の知人は、自分から望んでユダヤ人に生まれたわけではないといった。この本を読むと、この言葉の重みがわかる。虐殺に迫害、転じて自分たちが加害者になる。ユダヤ人の重みは、戦争を乗り越えた時に、輝くだろう。旧教に捕らわれずに、もっとリベラルに生きたほうが、気楽だろうと思える。
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yass
5つ星のうち3.0 すごい
2025年7月18日に日本でレビュー済み
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ユダヤ人のついて通史で分かりやすく解説しています。
ずっしりと重たい内容です。
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紫トンボ
5つ星のうち5.0 ユダヤ人のことを知りたかったら必読書
2025年11月6日に日本でレビュー済み
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ユダヤ人のことを知りたかったら必読書。翻訳書だが読みやすい。ユダヤ教は一神教で世界制覇を目指す。キリストはこのユダヤ教に反対して殺されたが、キリスト教は一神教の姿形をとっている。キリストとキリスト教は別物なのだ。
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読人
5つ星のうち4.0 ユダヤ民族を知るための概括本
2025年6月17日に日本でレビュー済み
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ユダヤ民族を理解するために知っておくべきことがコンパクトに詰め込まれており、なるほどそうだったのかと思うところが多かった。
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隅田 正
5つ星のうち5.0 良い本です
2025年9月28日に日本でレビュー済み
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良い
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丹治真弓
5つ星のうち3.0 歴史は繋がっている
2025年9月8日に日本でレビュー済み
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現在イスラエルは戦争をしていて、新聞テレビ等で情勢が否応なしに目にはいってきます。そこで、イスラエルてどういう国だっけホロコーストは?そういえばユダヤ人だよね。ということで本をとってみました
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Winn
5つ星のうち5.0 書店のランキング上位にあったので…
2025年8月27日に日本でレビュー済み
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富山旅行の途中、書店のランキングの上位にあった本です。長年に渡るイスラエルでの紛争について、少しでも、その本質を知りたくて、この本を購入しました。
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猫田
5つ星のうち3.0 近代と現代が詳しいのがよい
2025年8月12日に日本でレビュー済み
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本書を読んで、今まで知らなかったユダヤ人の歴史に触れて、世界史全体の理解が深まった気がしている。中世、イスラム世界でユダヤ人が占めていた大きさとその影響を知ったし、東欧史やロシア史のなかでそれぞれの歴史の一部分として出てきたユダヤ人のことを、本書では主題として詳細に読むことができた。
とくによいと思ったのは、古代からの歴史の中で、第4章近代と第5章現代が詳しいことだ。本の厚さにして半分ある。
終わり近くの1節「ユダヤ教からは、ユダヤ人がパレスチナを排他的に所有しなければならないとの教義は生まれないはずだが、現在の宗教シオニストは、イスラエルの政権にも参画しながら、パレスチナの追放を公言してはばからない」
ひとつ腑に落ちなかったことがあり、本題を外れるので書きにくいが、あとがきについて。筆者ご自身のご家族のことをこれほど詳しくお書きになっていることを疑問に思った。新書とはこういう方向のものだったのか、あるいは中公新書だからなのか、わからない。
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じじさん
5つ星のうち3.0 難しすぎ
2025年8月15日に日本でレビュー済み
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多少、予期していたものとは違っていた。イスラエルとパレスチナがなぜ今のような状況になってしまっているのかが端的に知りたかったのだか、長々と数千年の歴史が記述され、最終的に何が原因で今の状況になっているのかが今一つわからなかった。まあ、自分の歴史感なり、世界史の学力のなさが災いしたのかもしれません。もう一度学習してから、改めて読み直します。
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日本から
Amazon カスタマー
5つ星のうち3.0 普通の人には読みずらい
2025年8月9日に日本でレビュー済み
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専門的書であるので普通の読者は当てが外れることになるのではないかと思う。そういった意味では読む人と読まない人に分かれる。この本を否定はしないけれど、本書の中身を本屋さんで簡単に見て購入することをお勧めする。
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ボーン・ウイナー
5つ星のうち3.0 ユダヤ人の流転の歴史 少々学問的で読みにくい
2025年6月14日に日本でレビュー済み
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今や、その暴力的な支配欲によってパレスチナ人を大量虐殺し(今日現在5万5千人以上)、それに飽き足らず
遠方のイランまで宣戦布告なしに猛爆撃したイスラエル。
イスラエルはユダヤ人国家である。
そのユダヤ人が、なぜこうなってしまったのか、誰しも知りたいと思うでしょう。
私も、そう思って本書を購入しました。
本書の副題に「古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで」と書いてあります。
本書の帯には「流転の果てに手にしたものとは‥‥学問・芸術に長けた知力、富のネットワーク、文化資本としての教育、迫害と加害の裏面史・・・・3000年に及ぶ叡知を見る」と書いてあります。
なんだか、これだけ読めば全部言いつくしていると思います。
実際に読み始めてみると歴史の細かい点、多数の個人名が散りばめてあって、簡単に通読できるほど易しい本ではありませんでした。つっかえつっかえ、一カ月ほどかけて読み終わりました。
本書を読んでの感想は、ユダヤ人はイスラエル建国までは、近隣の民族や国家に嫌われ、出エジプト記やバビロンでの迫害、ロシアでもスペインでも行く先々で嫌われ、転々と移動する歴史です。近くはナチスドイツによるホロコーストがありますが、ホロコーストについては多数の書物が出ているので本書では踏み込んんでおりません。
第一次大戦終末期、イギリスの三枚舌外交によって約束されたパレスチナの土地。
第二次大戦後、先住民のアラブ人を追い出し暴力的に建国されたイスラエル。アラブ人との間に間断なく戦闘が行われているのは、その建国の歴史からみて当然でしょう。
本書によればイスラエルに住むユダヤ人は700万人、アメリカに住むユダヤ人は600万人だそうです。
なぜ、それほど多数のユダヤ人がアメリカに住み着いたかと言うと、旧世界各地で嫌われ迫害されたユダヤ人を
その建国の精神、自由と博愛によって受け入れてくれたアメリカはユダヤ人にとって心地よい世界だったようです。
本書のあとがきを読んで「おや?」と思ったこと。「2023年に次女が生まれ、小学3年の長女と・・・」あれあれと思って著者の略歴を見たら「1982年岐阜県生まれ」と書いてありました。まだ42~43歳の少壮の歴史学者です。
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アマックス
5つ星のうち3.0 モヤっとした内容で、個人的には読みたいことが書かれていない
2025年6月16日に日本でレビュー済み
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ユダヤ人の歴史にフォーカスして、古代から現代まで幅広く網羅した内容といえるでしょう。
但し、歴史上の事実または有力とされる説を中心に書かれている印象が強く、
ユダヤ人の歴史に特化した学校の歴史の教科書のように感じました。
淡々とした文章が続き、興味が湧きにくい点が気になりました。
また、明確な国家を持たないユダヤ人の中には、近年では世界主義者や世界統一国家といった言葉もあるように、
世界中の富と利権を手中にしようとする巨大権力層といった噂に関して、
歴史的な流れを含めて著者の見解を知りたかったのですが、見当たりませんでした。
○○党を裏で操っていることへの真偽や見解、○○戦争を仕掛けたことへの真偽や見解、等など。
個人的には記述してほしかったです。
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白
5つ星のうち4.0 難しそうなタイトルの割には読めた
2025年4月5日に日本でレビュー済み
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難しそうな本だけど、とりあえずパレスチナについて知りたい一心で読み始めた本書。
高校で世界史Bを取った人が読めるレベルに書かれたらしく、
その層である私にもそこそこ理解はできたと思います。
ただ、パレスチナの現代史についてはほとんど記述がありません。
そこは高橋和夫さんとか、他の専門家の本をお勧めします。
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lonesome Tom
5つ星のうち4.0 紀元前から歴史に翻弄され続けたユダヤ人の真実
2025年4月19日に日本でレビュー済み
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歴史上いわゆる「ユダヤ陰謀論」的な文書や主張がたびたび出現した。しかし、本書を読むとこれら陰謀論は歴史に翻弄されたユダヤ人が、世界の各地で生き延びるために行った苦肉の策を誤解されたり捏造されたものだということがよく分かる。また特に日本では、ユダヤ人というと大金持ちかノーベル賞を受賞するような天才かと思われているが、彼らは知的ではあるが、金銭的には恵まれない人が大多数であることも理解できる。私自身、1980年代にユダヤ系がマジョリティであるブルックリンで3年間過ごし、彼らの経済状況は理解していたが、初めて知る歴史的な事実には目から鱗の事象が多くあった。
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田中 重
5つ星のうち4.0 参考になる
2025年4月10日に日本でレビュー済み
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特になし
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くにたち蟄居日記
5つ星のうち4.0 身すつるほどの祖国はありや
2025年10月17日に日本でレビュー済み
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イスラエルとパレスチナに知見が全くないまま、日々の報道だけを眺めているのも、自分に
対して無責任であるとふと考えた。従い、まずはユダヤに関して少し勉強しようと思い、評判の
本書を購入した。電子図書ではなく紙の本で、ひさしぶりに気になった箇所には付箋をつける
という読み方をしてみた。
本書は古代から現代までを扱うという極めて長期間を対象としている。その事自体は著者は
「謙虚な人間であれば身の程を知って断念しただろう」と言っている。かような認識を持ちながらも
ある種のアニマルスピリッツというべきか蛮勇というべきか、挑戦して纏め上げた著者の勇気には
拍手を送るべきである。本書で取り上げた各時代の専門家からあらゆる批判が来るリスクを
背負いつつも、ユダヤを理解するためには長期間を俯瞰する「天の眼」が必要だという事
なのだろうと僕は理解した。
本書を読んでの感想は二点である。
一点目。祖国を持たない民族というものの厳しさが本書を通じて少し理解したと思う。これは
日本という国に生まれた日本人である僕には、そもそも到底理解しがたい状況である。
「身すつるほどの祖国はありや」と寺山修司はかつて短歌に詠んだことがあり、それはそれなり
にパンチのある言い放ちだったと思うが、それにユダヤ人が賛同するとは僕は思わなくなった。
流れ着いた土地の法を遵守しつつも、ユダヤとしての法を守らなくてはならないというダブル
スタンダードを強いられることは想像もつかない。そこまでして自らの「民族」を守らなくては
ならない、若しくは守る事を強いられる、ということなのだろうか。これは本書を読み終えた今の
僕にとっても謎である。
二点目。ホロコーストというとナチスしか思い浮かぶことが出来ない日本人は僕だけではなく、
たくさんいるのだろうということだ。恥ずかしながら、ポグロムという言葉も本書で初めて知った。
なにもかもをナチスに背負わせて、手を洗ってしまった方も多かったに違いない。歴史を
単純化することがいつも間違っているとは思わないものの、単純化する過程で色々な不都合が
隠れてしまうリスクはいくらでもあるのだと思う。
それに対する極端な反証例としては、ハンナ・アーレントがアイヒマンを通じて「ホロコーストに
協力的であったユダヤ人が存在した」という指摘であり、それに対する彼女に対するバッシング
である。
そういえば本書においてアイヒマンへの言及はあるものの、その際にハンナ・アーレントへの
コメントが無かった点は少し気になった部分ではある。彼女を出すと焦点がぼけてしまうという
ことか。
かつてパレスチナにおいてアラブ人とユダヤ人が仲良く共存していた時代があった。確か
NHKの「映像の世紀」でも取り上げられていたと記憶している。それが戻ってくる時代は
いつ来るのだろうか。
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Amazon カスタマー
5つ星のうち5.0 良好
2025年7月24日に日本でレビュー済み
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良かったです
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植地 勢作
5つ星のうち4.0 現在の紛争を知るにはユダヤの歴史を知ることが必須
2025年3月20日に日本でレビュー済み
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プーチンのウクライナ侵略とイスラエルとハスの戦争を理解するには、まず本書を読むことをお勧めします。
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ヤマネコ
5つ星のうち4.0 これ一冊で十分わかる
2025年2月21日に日本でレビュー済み
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新書でユダヤ人の歴史を現代まで物語るという難題をこなしている。近代になってユダヤ教のカスタマイズ化が起きたという表現もさすが。ただ、アカポスを得るために東大のイスラム研究の伝統の枠を外れていないことが残念。市川裕、山内昌之氏の引用は少しあるが。10年後にまた期待する。
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===
関
5つ星のうち5.0 ヒトラーだけがユダヤ人を殺したわけではない。
2025年6月26日に日本でレビュー済み
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ユダヤ人とは何者なのか?どうやってユダヤ人とユダヤ人以外を決めた?離散集合と迫害された真の理由。ユダヤ教も様々な宗派がある…。イスラエルも一枚岩ではないことが理解されました。今まで教えられなかったユダヤの歴史が丁寧に解説されている良書。
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くじら
5つ星のうち3.0 いまいち
2025年3月26日に日本でレビュー済み
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平行して小林秀雄のドストエフスキー論を読んでいるのだが、明晰な文章力でどんどん頭に入って来る。それに引き換え、小林秀雄迄とは言わないが、この本の著者は文章力をもう少し鍛練した方が良いと思う。
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銭湯
5つ星のうち5.0 満足しています!
2025年6月22日に日本でレビュー済み
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綺麗な状態で満足してます。
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愛書
5つ星のうち2.0 現代の最重要問題に答(応)えていない
2025年6月14日に日本でレビュー済み
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この書はユダヤ人の古代から現代までの長い歴史をわかりやすく専門の学者が簡略に描写した本である。その通史としては良く解る。世界に散ったユダヤ人たちが貶められ、虐められ、かつ弾圧された(ポグロム)事情などが各国で時代順に列記されている。
しかし、最も重要な要素が決定的にかけている。今のウクライナ戦争、イスラエル対パレスチナ戦争、イスラエル対イラン戦争の背景や原因の根本的な説明が全く欠けており、これらの戦争が全くユダヤ人に関係ないごとくな印象になってしまっている。最もユダヤ人に、かつユダヤ大資本に関係しているのにだ。読者はこのことの深い原因を知りたくて読むのにだ。非常に複雑な政治的問題なので著者は意図的に避けている感じさえする。この問題に触れていないのでこの本は単につまらない平凡な書となっている。
上記のような問題をよく理解するには、既に出版されてきた関連本数百冊を精読する必要がある。だが著者は巻末に参考文献書を多数列記しているが、一つもその様な文献を列記してはいない。多分読む価値のない書物と判断しているのだろう。私は、現代のユダヤ人問題を考え理解するには最低でも下記に列記した書物を参考にすべきだとみなしている。それがなかったので星二つにした。
「民間が所有する中央銀行」ユースタス・マリーン著、秀麗社、「ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ」宋鴻兵著、ランダムハウス講談社、「ビルダーバーグ倶楽部」ダニエル・エスチューリン著、バジリコ(株)
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鹿野苑
5つ星のうち5.0 ユダヤ人にフォーカスして3000年の歴史
2025年4月19日に日本でレビュー済み
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キリスト教とユダヤ教の関係とか、ガザで起きている件とか本で読んでみるものの、部分的な理解なんだろうなと思っていた。
この「ユダヤ人」という定義にフォーカスし、その歴史を徹底的にたどっていくという視点が面白い。
どうしてこういうことを引き起こす「人間の感情」が起こるのかということを説明してくれているので、その時代に身を置いた気になって理解できるところがすごい。まあ、本当のリアルさはないのだけれど、人間としてそれはそういう気持ちになるなあということを実感するという感じかな。
こういう人間の感情から引き起こされたことの積み重ねというか、感情の影響が表出していく出来事が途切れず起こることで歴史は今も紡がれているのだなと本筋以外のところでも感じるものがあった。
とても専門的な話もでてくるけれど、丁寧に読めば理解できる。自分は言葉の意味を忘れてしまうので、途中何度もググって意味を確認した。まあそれくらいの努力は必要ではあった。
良書。
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坂本浩
5つ星のうち5.0 日本人ならまず読んでみるべき書
2025年4月29日に日本でレビュー済み
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まず読んでみる
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牧村 元太郎
5つ星のうち5.0 世界に広がったユダヤ人の歴史がわかる読みやすい本
2025年4月4日に日本でレビュー済み
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一般に知られているユダヤ人の歴史といえば、旧約聖書に反映している時代とあとは、ヨーロッパのキリスト教世界における迫害され、同化されても差別されるなかで、経済的実力をもってきたといった歴史などしかしられていませんでした。しかし、この本は、ペルシャ時代バビロニアに広がって行ったユダヤ人ディアスポラの歴史なども含めグローバルにひろがった歴史がわかりやすく整理されて書いてあり、視野が広がり興味深かった。
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アリサ
5つ星のうち5.0 これを読み 世界を知ってほしい
2025年4月2日に日本でレビュー済み
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ユダヤ人のことを知りたい人は この本を読むべきだ 今まで ユダヤ人(イスラエル人)に関する書物を読み漁ってきたが この本は平易な文章でありながら レベルの高い内容が詰まっていてピカ一である もう一度 勉強してみたいという方々にも これから勉強し直したいという方々にも 是非ともお薦めする
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Meuniere
5つ星のうち5.0 ユダヤ人とは何者なのか?包括的によく理解できる非常に優れた歴史概論。
2025年2月25日に日本でレビュー済み
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2025年1月刊。先月出たばかりの本著を早速読んでみた。著者は現在東京大学大学院准教授で専門はロシア・ユダヤ近現代史、歴史社会学。私がこの人のことを知ったのは2023年10月7日以降に雑誌「世界」に寄せられたある論考を読んでからだが、その時、私は著者のことをあの鶴見俊輔氏の息子さんと勘違いした。ちなみに俊輔氏の息子さんは早稲田大学大学院教授で専門は日本近現代史。同姓同名の全くの別人だった!・・・という余談はさて置き、この最新刊は濃密かつ充実した内容で大変いい勉強になった。この歴史概論で軸になっているのは、ユダヤ人の主体性と社会構造の「組み合わせ・巡り合わせ」がもたらす効果や悲劇の解明、そしてユダヤ人という「血統を主にしながらもユダヤ教に改宗した者もユダヤ人」という「境界の二重性」をいかに見るかだ。
3000年に及ぶユダヤ人の歴史~そもそもその起源は今もはっきり分かっていないらしいが、旧約聖書に依拠すれば古代メソポタミアからカナンの地(現在のパレスチナ・イスラエル周辺)に移動した「ヘブライ語を使うセム語族遊牧民」というところか?それ以降のエジプトなど各地の王朝による迫害やローマ帝国によるユダヤ王国滅亡までいちいち記さないが、そこからの「長い離散の歴史」の中で私が最も印象的だったのは、中世・近世キリスト教社会(欧州社会)での長期にわたる「反ユダヤ教的」かつ「権力者との板ばさみ的」迫害に比べて、中東イスラム圏やオスマン帝国はユダヤ人にも比較的寛容で共存共栄状態が継続していた点である。そして、ユダヤ人がもっぱら金融・商業などに従事してきた~というのも現代の一面的見方で、農業などに従事する者も多く、貿易業者なども王族など権力者に比して中規模商人が多かったという。
そしてスファラディームというスペイン・イベリア半島から北アフリカやオランダ・イギリスなどに拡がったユダヤ人とアシュケナジームという東欧・ロシア帝国へと拡散したユダヤ人の分岐。東欧・ロシアでのポグロムからホロコーストへの迫害拡大の流れと「シオニズム」思想の発生~北米に移住する者たちとパレスチナでの「イスラエル建国」に向かう者たちと。近現代の複雑な流れを読み解いていくことで、世界中に拡散していくユダヤ人の姿と「宗教を守ることで紐帯を繋ぎ続ける」強固な民族性が俯瞰的によく理解できる。
特に1989年から本格的に始まったという「旧ソ連圏からイスラエルへのユダヤ人大量移民」~彼らの存在が対パレスチナ強硬路線を強化した~というのは初めて知った。
しかしこれを読んだからと言って、現在のイスラエルに少しでも「同情的」になるかというと、そんな事は全くない。極右排外主義にまみれたネタニヤフ政権は自らの過ちを正さなければ未来はない。かつてのポグロムやホロコーストの歴史はユダヤ人の「免罪符」には全くならない。それを再確認した読書でもあった。この著作は、パレスチナ問題・ユダヤ人問題に少しでも関心がある人には是非おすすめである。虚心坦懐にユダヤ人という者たちに向き合える。
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荒川 研
5つ星のうち5.0 ユダヤ人のことは、わからない。でも知るべきことは、この本にあり。
2025年3月30日に日本でレビュー済み
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日本人にはユダヤ人のことは、わからないが、少しでも分かりたいとおもうなら、読むべき本です。
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日本から
Tom
5つ星のうち5.0 西洋史の裏面史でもあるユダヤの歴史を学まずして、西洋の理解は浅薄となる
2025年3月29日に日本でレビュー済み
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新しい視点で丁寧にユダヤ人の歴史を網羅的に論じている良書だと思います。従来のステレオタイプな見方を修正するには、よいテキストではないでしょうか。
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タカ大丸
5つ星のうち5.0 ユダヤ人の何たるかをしる最高の入門書ですね
2025年10月2日に日本でレビュー済み
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私は長年イスラエルおよびユダヤ人との付き合いがあり、人よりは現代のイスラエルについては詳しいほうだと自負しておりますが、シオニズム以前のユダヤ人についてはあまり知りませんでした。
一方でここ二年ばかりの日本における反イスラエル・親パレスチナ(というかハマス)報道は目に余るものがあり、憤慨しておりました。「子供がかわいそう」なのは誰でも同じです。私も「可哀相」と思いますが、ただイスラエルを非難するだけで子供が救われるわけではない、という簡単な真理を忘れておられる方が多いように思います。
特に私にとって勉強になったのはイベリア半島における「コンベルソ」の生き様です。世界史の教科書で追放されたのはもちろん記憶にありましたが、具体的にどんな人物がいて、どのような人生を送ったのかを具体名をあげて紹介してくれたのはおそらく日本語では初めてではないでしょうか。
イスラエルを批判するのは全然いいのですが、最低限のことを知らないまま論難する方々が多すぎるように感じます。ぜひ、本書は今イスラエルの批判をしている方々にこそ読んでいただいて、その上で「ユダヤ側の論理」を知った上で論じてもらいたいと思う今日この頃です。
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edogawa dai
5つ星のうち5.0 世界はユダヤ人問題、パレスチナ問題を考えているようで、実は無視し続けてきた
2025年9月12日に日本でレビュー済み
フォーマット: 新書
ウクライナ戦争が長期化するにしたがって、激化するパレスチナ情勢、
この二つが歴史的に繋がっている、という事実を旧約聖書の時代から綿々と続く歴史から学ぶことが出来る良書である。
正しい世界史を知らないと、日本人はユダヤ人問題はナチスの問題、と単純にとらえてしまいがちだが、とんでもない間違いだ。
世界はユダヤ人問題、パレスチナ問題に、じつにいい加減な取り組み方しかしてこなかった、というある種のタブーに切れ込んでいるところにも共感できる。
ある意味、欧米社会の無責任論だが、実際、世界にとってはとんだとばっちり、ということである
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psychiatrist
5つ星のうち5.0 わかりやすい。
2025年8月27日に日本でレビュー済み
フォーマット: 新書
非常にまとまっている。ユダヤ人がひと塊の人々ではないことがわかったことは有意義だった。
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suzy
5つ星のうち3.0 なかなか難しい
2025年6月27日に日本でレビュー済み
フォーマット: 新書
想像以上に専門的で初めて聞く横文字が多数出てきて、通勤の合間に読むには難し過ぎた。
決して入門書ではなく、軽い気持ちで手に取ったのなら恐らく何度も躓くことになるであろう一冊。そういう意味では全く新書らしくない本だった。
一応完読したが、また時間を置いて最初からゆっくり読み直そうと思う。
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松浦 紀夫
5つ星のうち1.0 全く、面白くない本です。
2025年3月31日に日本でレビュー済み
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全く、面白くない本でした。知りたかった、肝心のユダヤ人が流浪の民となった経緯が全く無く、読めば読むほど、独りよがりの腹が立つ本でした。
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ヌース2
5つ星のうち3.0 若い世代の知識の欠如
2025年6月21日に日本でレビュー済み
フォーマット: 新書
3千年の歴史を新書にまとめることに無理がある。著者が無理を承知の上で書いたつもりであろうことは、高校の歴史教科書を下敷きにしていることからもわかる。これを裏返しにいえば、著者には教科書程度の歴史的知識しかないことを吐露している。その上、考古学等の歴史的事実を脇において、もっぱら旧約聖書の物語のつなぎあわせを歴史の土台にしている。こんなことが果たして許されるのであろうか。上下2巻とかの形で自らの知見で書いてほしかった。ちなみにこの本を知ったのは、荻上チキのラジオ番組であった。
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θ
5つ星のうち5.0 単純ならざるユダヤ人の系譜
2025年3月1日に日本でレビュー済み
フォーマット: 新書
本書は、ユダヤ教出現以前から現在のイスラエルやアメリカまで、非常に長い射程でユダヤ人の歴史を論じた一冊である。
歴史記述の視点としては、「主体か構造か」の二択ではなく、両者の視点を組み入れて描き出そう(p7-9)というのが著者のスタンスである。
ユダヤ人の特徴としては、血縁集団として規定される一方で、普遍的律法の担い手とされる、という二重性がある(p22)。また、議論を積み重ねながら慎重に解釈し、ドグマ化はさせない、という姿勢をとっており(ラビたちの議論の口伝律法であるミシュナーにも、多様な議論が出ていて結論が出ないものも多々ある)、そのためユダヤ教内には様々な派閥が出現する(p44-45)。また、呪術や奇跡のような非理性的存在は否定的で、地上のことについては賢者たちが議論を重ねて結論を出すべきという立場をとる(p65)。(ただしカバラー神秘主義やハシディズムは後に現れる:p146-)
ユダヤ教は律法中心主義で、日常実践が重視されるのに対し、キリスト教は内面と信仰が重要で、安息日や偶像崇拝禁止などは徐々に緩められていった(p53-54)。ラビとイスラームのウラマーの類似性、偶像崇拝禁止の厳格さや食の禁忌、カトリック教会のヒエラルキー構造に対し、シナゴーグもモスクも主従関係はなく公民館的な場所であることなど、むしろイスラームと一定の類似性がある(p73-75)(むしろ類似性とユダヤ教の強い影響力ゆえに、ムハンマドは強い敵対を示すこともあった:p76-77)。
古代においては、ペルシャ帝国はユダヤ人の庇護の側面を持った。ペルシャとしてもユダヤの立法で秩序が保たれるのは好都合だったのである。前四世紀までに立法編纂がされていたことや、ユダヤ人自身が王になることに否定的であることは、こうした背景があるとしている(p37)。ペルシア帝国下の6世紀ごろのバビロニアでは、完成度の高いタルムードが編纂されている(p68)(一方、中心はエルサレム地域という意識は持ち続けている:p71)。一方エルサレムはローマ支配となり、ユダヤ人国家は73年の第一次ユダヤ戦争で消滅するが、著者はユダヤ戦争以前からユダヤ人は離散しており、ユダヤ世界全体で見れば国家消滅はそこまで死活的問題ではなかったとしている(p51)。なお、ローマによる神殿破壊と支配層一掃によってファリサイ派が残り、そこからラビ派が生まれたという見方には、ファリサイ派も体制派であること、ラビは4世紀頃以降しか存在しないことなどから、最近の研究では懐疑的だと述べられている(p52)。
ラビは司祭というよりもローマの法学者に近い(ただし今の法曹より守備範囲は広い)。民法のような「どのような商取引をしてよいか」などの内容もあり、そのためラビは大商人として活躍しやすかった。共同体から給与をもらって生計を立てるラビは14世紀以降だという(p60-61)。ユダヤ人が金融や商業に偏る理由として、ユダヤ人の土地所有が禁止されてそれぐらいしか職業がなかったと言われることもあるが、実際には土地所有禁止は近世からであり、教育の充実や識字率の高さが有力視されているという(p71-72)。イスラムのイベリア半島では、ユダヤ人はとくに承認に偏っていたわけではなく、多種多様な職業についていた(p94-95)。
キリスト教のローマ帝国からは、ユダヤ教徒はイエスを殺してメシアを信じない点で誤りだが、メシアの存在を広めていくことはよいことであり、「生かさず殺さず」、ユダヤ人殺害まではいかないが差別するのは当然、という立場がとられやすかった(p96-97)。またユダヤ人商人ギルドは、権力者からすると「税の上納」として守るべき存在である一方、庶民からしたら権力者と結託する憎き収奪者としてユダヤ人が見られる要因ともなった(p103-104)。これは後に東欧でも中間マイノリティとなることで庶民の憎悪を集めたこと(p142-143)とも類似性が見れる。
近世に入り、さらなる二つのディアスポラが起きる。スペインからの脱出者のスファラディームと、ドイツ系のアシュケナジームである。スファラディームの大半はオスマン帝国に渡り、オスマンもユダヤ人の交易や技術を欲して保護した(p118-119)。アシュケナジームはポーランドに流れた(p135)。ポーランドではカハルと呼ばれる組織が自治を担った(p138)。
近代に入り、人が個人として尊重されるようになるとともに、ユダヤ人はまさにユダヤ共同体の特権を捨てることで市民になることが出来るという、悩ましい選択を迫られた(p161-163)。ユダヤ人には、ユダヤ合理主義(ハスカラー)の広まりや、そこをさらに超えて同化へと進んでいくものも多かったが、今度は逆に「ユダヤ人=合理主義」として近代合理主義への批判が反ユダヤ主義に結びつくことにもなった(p167-171)。
1900年時点で、ユダヤ人の半数はロシア帝国(東欧の拡張された部分が主)に住んでいた(p175)。定住区域に限るとユダヤ人が半数近い地域もあり、主観的にはマイノリティとも言えない状況すらあった(p183)。ユダヤ人は富裕のイメージに反し、ロシア内では家内制手工業の製造業が多かったが、工業化で職を失い、都市部で貧乏な労働者となることが多かった(p183-185)。ロシア内のシオニズムは、大半はパレスチナに行かずロシアに残る前提だったが、そうした人々がシオニズムを支持したのは、ポグロムなどを受けるユダヤ人の地位と誇りの上昇を意図したものであった(p188-189)。
ロシア革命後、他の勢力が反ユダヤ行動をとる中では、赤軍はユダヤ人にとって「もっともまし」な選択肢であった。しかしこれもまた、ソ連支配地域(ウクライナなど)では「ソ連の手先としてのユダヤ人」のイメージを形成していく(p204-205)。東欧での反ユダヤのポグロムなどは、人種主義ではなく「敵との内通やスパイ」としての(過大)危険視だとしている(p217-218)。
パレスチナへの移民は、シオニズムの崇高な理念よりも、貧しいロシア内ユダヤ人が「北米行きより費用が安い」という理由で選ばれた場合も多かった(p243)。シオニストは土地を購入して入植したが、問題だったのは土地の所有者がシリアやレバノンの不在地主で、当地の小作農は土地を失って失業することになったことである(p246-247)。入植するユダヤ人へのアラブ人の闘争は、反植民地闘争としての側面が強かったが、ユダヤ人は「ポグロム」と十把一絡げに同一視して応酬した(p249-250)。
イスラエルは形の上ではユダヤ人を歓迎したが、アシュケナジームはスファラディームを遅れた人々とみなしており、スファラディームも中東・アフリカ系をミズラヒームとさらに東への蔑視を連鎖させていった(p257-258)。また、アイヒマン裁判以前、ホロコースト被害者は「シオニズムに従わず、自衛意識が欠如してたゆえの破局」とみなされ、生き残った者も沈黙を強いられていた(p260)
ソ連崩壊後、旧ソ連出身者の人口割合は2割ほどにまでなったが、こうした人々は右派強硬派を支持した。かつては技術職に就きながら、ヘブライ語が出来ないため低賃金食を強いられていること、各民族は本拠地を持つというソ連の考え方から、アラブ人はアラブの国にけばよいという発想に親和的であること、チェチェン紛争によるムスリム危険視、などが背景にある(p266-267)。
その他印象に残った記述
・最後の審判や天国、死者の復活の概念は、諸説あるがゾロアスター教由来の可能性がある(p38)
・ユダヤ教では、メシア到来までの日を数えることも禁止されている(p50)
・10~13世紀西欧では、ユダヤ人に限らず同性愛者やハンセン病患者、売春婦など「キリスト教からの逸脱」は総じて迫害された(p106)
・イスラエル超正統派は、男は働かずに一日中勉学に励み、女が外で働く(p153)
・現在でも金曜夕方ー土曜夕方(安息日)に国際線のベングリオン空港に降り立っても、公共交通機関は一切動いていない(p256)
ユダヤ人の長い歴史を描いた好著である。
視点を一般ユダヤ人にしているため、例えばロスチャイルド家や富裕な金融系ユダヤ人などはほとんど扱われていないが、これは仕方がないだろう(そうした人々と一般ユダヤ人の関係は論じてくれてもよかったとも思うが)。
また、総じてソ連と赤軍はユダヤ人に(相対的には)やさしいように描かれているが、スターリンの反ユダヤ主義( ブラッドランド などで描かれる)などが軽視されているきらいはないでもない。
ともあれ、ユダヤ人の複雑な歴史を一望させてくれる、価値ある一冊であることには間違いないであろう。
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榎戸 誠
5つ星のうち5.0 周囲との関係で自らを「カスタマイズ」しつつも、自らの特性を維持してきたユダヤ人
2025年4月6日に日本でレビュー済み
フォーマット: 新書
『ユダヤ人の歴史――古代の興亡から離散、ホロコースト、シオニズムまで』(鶴見太郎著、中公新書)のおかげで、古代から現代に至るユダヤ人の歴史を知ることができました。
著者のユダヤ人観はユニークです。「居住国と折り合いをつけながら、自らの原則は貫く。そのことが仲間内の信頼につながり、ネットワークが維持されていく。重要なのは、状況に自分を合わせるということでは必ずしもないことだ。むしろ自らの特性とうまく組み合わさるところに入っていき、多少は周囲との関係で自らを『カスタマイズ』しつつも、自らの特性を維持することが周りのメリットにもなり、そのことで自らの居場所がさらに安定化するという好循環を目指すのだ。金融業で成功し、富豪として西洋社会に存在感を持つユダヤ人の存在も、こうした視点から読み解くことができる」。
しかし、こうした戦略が常に成功するわけではないことにも言及しています。その最悪の例がホロコーストです。
ベンヤミン・ネタニヤフは、ユダヤが何と組み合わさり生存するかを考えない点で、ユダヤ史の中では例外的存在だと指摘しています。
シオニズムに関する解説は勉強になりました。シオニズムは、パレスチナにユダヤ人の民族的拠点を打ち立てることを目指す思想・運動であり、今日のイスラエルの思想的基盤になっています。
シオニズムを率いたのは東欧出身のユダヤ人・アシュケナジームでした。当初はシオニズムから距離を置いていた中東・北アフリカ出身のユダヤ人・スファラディームも巻き込まれていったが、アシュケナジームはスファラディームを下に見ていたと書かれています。対アラブでは一枚岩のように見えるユダヤ人社会も、内部は複雑なのですね。
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巴里萌
5つ星のうち5.0 本書で初めて多くの疑問が解けました
2025年4月27日に日本でレビュー済み
フォーマット: 新書
ユダヤ人の歴史に関する本はアレコレ読みましたが、「そこが知りたいのに書かれていない」本ばかり。その点、本書は新書にもかかわらず疑問だったことにも言及されており、大いに勉強になりました。
近代になりユダヤ人解放令が出されたのに差別がより激しくなったのは何故か。これは大きな疑問の一つでしたが、これについて著者はかく説明します。
「これは、日本において江戸時代までは蔑まれながらも社会のなかで独自の役割を持っていた『えた・ひにん』が、明治の国民平等化政策により法的には平等となる一方で独自の位置づけを失い、特殊性が抜けない『部落民』としてかえって激しい差別に遭うようになった構図に似ている」(p160)と。
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