主権者と歴史認識の社会学へ
21世紀社会学の視野を深める
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著者 庄司 興吉 編著
ジャンル 社会学
出版年月日 2020/03/25
ISBN 9784788516748
判型・ページ数 A5・216ページ
定価 2,750円(本体2,500円+税)
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この本の内容
目次
私たちは、自分が主権者であるとどこまで自覚しているか。まず、社会の歴史を認識して、その形と方向性を知らなければならず、社会学とはそのための学問なのだ。戦前から今日に至る日本の社会学を展望し、主権者に役立つ社会理論を構築するための試み。
主権者に役立つ社会学の構築
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◆目 次
まえがき
凡 例
《主権者であることを反省する》
戦後史認識から主権者のための社会学へ 庄司興吉
――自分史から地球社会論への展開
1 主権者の予感
とても人の役に立つことなどできないのだが・・・
幼少期の記憶
T先生のこと
2 原子・人間・主権者
M君の導き――原子物理学開眼
漱石からロマン・ロランへ
憲法前文・フランス国歌・実存主義文学
3 行動から省察へ
大学入学=国会前デモ
生き残った人間の責務
主権者になるための社会学
4 日本近代と社会科学
日本の社会科学は何をしてきたのか?
マルクス主義と近代主義――総体社会把握と主体性
現代社会論の展開とコンピュータ化の進展
5 社会主義と民主主義
中国の「三つの世界」論
アメリカ民主主義の体感
社会主義・現代思想・ソ連東欧の崩壊
6 世界社会から地球社会へ
冷戦終結と歴史の始まり
地球社会化とポストコロニアル化
インターネットとようやく見えてきた社会学
《戦前期の歴史に学ぶ》
大正期日本における「中流階級」の「生活権」論 冨江直子
――生活保障をめぐる“自由と国家”への社会学的一考察
1 はじめに
2 私生活と国家
3 生活の難儀と不安
新しい生活
〈中流〉の生活、〈中流〉による生活論
4 生活難の言説
〈中流〉のアイデンティティと生活難
「下層」へのまなざし
貧困の二重基準――異なる階層の表象
越え難いへだたり
5 生活保障の要求――価値ある弱き人びととして
価値づけられた弱さ
「国家による積極的な保護を」
〈中流〉が見た米騒動
社会改革の主体としての〈中流〉
6 結びに代えて――「階層」をめぐる問いと、「自由」をめぐる問いへ
【注】 【文献】
《日本社会学の過去を直視する》
新明正道の「東亜論」 佐久間孝正
――矢内原忠雄の「満州論」との関連で
1 はじめに
2 「満州国」とは何か
3 新明のみた「満州国」――『東亜協同体の理想』
4 戦間期新明のその他の著書
『人種と社会』
『政治の理論』
『民族社会学の構想』
5 矢内原忠雄との関係
6 矢内原植民理論の先駆性
7 公職追放をめぐって
8 おわりに
【注】 【文献・資料】
《現代日本社会学の創造性を生かす》
不調和からの創造性 奥村隆
――戦後日本の3人の社会学者をめぐって
1 はじめに――「創造性」と「不調和」
創造のふたつのプロセス
シェイクスピアと「撞着語法」
「不調和からのパースペクティブ」と社会学
2 「絶対所与性」と「相対所与性」――吉田民人
父の死をめぐって
「人間解放」と相対所与性
「幸福」と絶対所与性7
3 「煽り」と「鎮め」――大村英昭
宗教の「現場」と社会学の「理論」
「煽りの文化」と「鎮めの文化」
「一人称の死」と「遊」
4 「遊び」と「死にがい」――井上俊
「遊び」と「宗教」
「ゲーム」と「偶然性」
「死にがい」と「beingとしての死」
生と死の「あいだ」
【注】 【文献】
《21世紀社会のための社会理論を構築する》
歴史認識をふまえた社会理論の形成 庄司興吉
――共同性・階層性・体系(システム)性から地球社会の理論へ
1 共同性と階層性の相克
社会の共同性と階層化の必然性
階級闘争史観の妥当性と不十分
階級と民族・国民――階級社会理論の欠陥を超える
2 宗教・国家および市場
宗教による社会の統合――宗教が経済発展を左右する
国家は単なる手段でも機関でもなく、むしろ宗教の物質化したものである
市場は人間的自然に発するが、「大転換」以後世界を左右し続けている
3 一次普遍社会としての帝国
都市を拠点とする社会の体系(システム)化
王国から帝国へ
人類史は帝国の抗争史
4 都市から市民社会へ
帝都、都市国家、自治都市、市民革命
市民革命による市民社会の形成
市民社会の構成――科学技術の威力と無力
5 市民社会の世界制覇
市民社会と植民地主義
国民国家とナショナリズム
インターナショナリズムの困難とナショナリズムの強靱さ
6 市民社会と民主社会
植民者の独立から植民地民衆の独立へ
社会主義の限界と地球環境問題
市民社会を超え出る民主社会
《21世紀社会変動のダイナミックな現状分析へ》
21世紀社会の現段階と課題 庄司興吉
――歴史の現段階と新しい社会理論の必要性
1 台頭する人民社会のための社会学――東アジアからのアプローチ
20世紀型社会学史から21世紀型社会学史へ
近代市民社会の批判と産業主義の擁護
科学としての社会学と人間意志の問題
都市的社会主義と社会民主主義のナショナリズムへの敗北
マルクス主義社会学の頓挫とアメリカ社会学隆盛の基盤形成
精神分析の批判的応用と有機的知識人論から知識社会学へ
中国革命、インド独立、アジア・アフリカ・ラテンアメリカのほぼ全面的な解放
アメリカ的「行為と社会体系の一般理論」とラディカルな社会学批判運動の広がり
現象学的視点からの新しいシステム論、および批判的構造主義からの資本主義全面批判
現代思想の脱構築とポストコロニアリズムの批判
ソ連東欧社会主義の崩壊にたいして中国「市場社会主義」の経済成長の継続
米欧日市民社会の社会学から経済成長する人民社会と移民難民送り出し社会の社会学へ
米欧日市民社会の右傾化を克服し、人民社会の経済成長と社会システムづくりに貢献する
2 衰退する市民社会と台頭する人民社会――21世紀世界社会の構造
帝国の時代から市民社会の時代へ
帝国主義の争い、戦後の「ゆたかな社会」ブーム、およびソ連「社会主義」の失敗
ラテンアメリカから始まった植民地独立・民族解放運動は、アジア、中東、アフリカに及び、
中国も人民共和国となる
植民地や従属状態から自己を解放した諸国の経済成長、とくに新興国中国の経済成長
世界経済の取得分の相対的絶対的縮小と移民難民の流入などによる米欧日市民社会の萎縮と右傾化
米欧日市民社会の世界支配の終焉と新たな世界システム形成の開始
市民社会の理念から現代社会を分析する――自由な企業活動と緩められたままの再分配制度
中央集権的権力による上からの平等化ではなく、「機会の平等」をふまえた「結果の平等」の実現を!
友愛理念の実現――人種差別の撤廃から移民制度の確立へ、さらに女性差別、年齢差別、障害者差別、
性的マイノリティ差別などの撤廃へ
自由・平等・友愛に自然との調和を加える――地球環境保護のための身を削る努力を
米欧日市民社会の歴史的責任、とくに日本の東アジアにたいする責任
米欧日市民社会の世界支配の終焉と新しい世界システムの形成――その先頭に立つ中国
中国――「市場社会主義」による経済成長の持続と、それを支え、そのために変わってきている社会過程と
社会構造の分析を
3 台頭する人民社会から世界を見直す─新しい社会認識のパラダイム
中国社会はどのような社会であったのか?
中国革命はどのようにおこなわれ、中国社会をどのように変えたのか?
百花斉放・百家争鳴から文化大革命にいたる大混乱は何であったのか?
革命の入り口で起こった「撫順の奇跡」――これは本当に「奇跡」であったのか?
周恩来から鄧小平へ――理念=現実主義の現実主義化
分岐点としての天安門事件
市場社会主義の意味――ソ連のペレストロイカ失敗との関連
現実主義が経済成長につれて文化になる
新理念の出現――「中国の夢」と「農業強・農村美・農民富」
新理念の強化――習近平新時代の特色ある社会主義思想
新理念実現のために考えなければならないこと
4 民主協同共生社会をめざして─21世紀の社会形成
社会の総括表(マトリクス)によるこれまでの整理と将来展望
人類運命共同体のための共同性――核兵器廃絶と食のコモンズ・知のコモンズの形成
階層性の緩和――新自由主義・社会的資本主義と市場社会主義の近未来
社会体系化の基本方向――国際社会から人類運命共同体へ
生態系内在性――地球環境の修復保全を組み込む社会システム化
生態系内在性――人間身体の多様性容認と友愛
総体性(高次システム性)としての社会――民主協同共生社会としての21世紀社会
【庄司論文文献】
人名索引/事項索引
装幀=虎尾 隆
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