「セックスレスの国」ニッポンは、外国人の目にどう映っているの? 日本で暮らすフランスギリシャの出身者に聞きました。
 <フランス
 ◆関係、年を取っても
 ■来日25年で日本人の夫がいるフランス人女性(52)。セックスレスは「夫婦の終わりの始まり」。
     *
 フランスでは、片方が関係ログイン前の続きに不満を持ったら別れる原因になる。人生は短い。いやになった人と一緒にいたくないし、浮気はいや。新しい人を見つけた方がいい。経済的理由で思いとどまることは少ないですね。
 夫婦でいるなら、新鮮な気持ちでいられるようお互いがんばる。2人で食事に行ったり、話をちゃんと聞いたり。セックスがすべてではないけど、夫婦が長続きするコツ。特に女性は、レスになると夫の欠点が目につきやすくなるんじゃないかな。
 フランスのカップルは70、80代になり若いときとセックスの形は変わっても、性生活はなくならないと言われている。街で仲の良い老夫婦を見ると、性的な関係も続けているはずと私は思う。年をとっても夫婦関係をあきらめないのが大切ですね。
 ◆ちゃんと見て、私を
 ■1991年に来日し、日本人と結婚したフランス人女性(47)は、夫婦の関係が全く違うと感じる。
     *
 日本の男性は子どもですね。「愛してる」ってグイグイ引っ張らないし、女性に母を求める。子どもがうまれて「パパ」「ママ」と呼び合うのも私は嫌。自分じゃなくなる。妻や母という役割ではなく、「ユニークな私」を大切に思いあうのが、本来の人間関係じゃないですか。
 肌をふれ合わせると、日本人は「イチャイチャしている」と恥ずかしがりますが、理解できません。私はラブいっぱいの家庭をつくりたい。それに日本は、何かを買ってあげるとかお金で愛を表現する。料理や掃除をして、互いに「ありがとう」というのが大事だそうですが、それではサービスの交換でしょ。
 フランス人は仕事を減らして収入が下がっても、早く帰って一緒にいたい気持ちが強い。「愛してる」って何度も言ってほしいです。
 ◆寝室が別、なんで?
 ■来日20年余りのフランス人男性(44)には日本人の妻がいる。
     *
 日本の家族は父がトップにいて、特別な地位にあるように見える。その下に母、その下に子。これは日本の会社の組織と同じ。それに夫婦より母と子の結びつきが強い。夫はハードワークで遅く帰り、妻は家事を担うという役割分業が根強い。
 フランスでは親子ではなくカップルが一番大事。タテではなくヨコ、平等の関係なんです。夫婦は毎日一緒に寝る。必ず! 寝室が別なんて信じられない。それはカップルの終わりを意味します。毎朝、毎晩キス。妻も外で働き、夫も家事をするのが当たり前です。
 <ギリシャ
 ◆レスは異変の信号
 ■大学院で経営学を学ぶギリシャ人男性(29)も、「セックスはもちろん好きですよ」と言う。
     *
 楽しみとコミュニケーションの意味があります。レスになったら異変に気付ける。「朝ご飯食べてない? なんで?」と同じで「セックスしてない。なんで?」って。
 ギリシャ人は結婚する前、いっぱい遊びます。人口の倍以上の外国人観光客がギリシャを訪れる。特に夏は遊びたい放題。男女ともナンパするのはDNAに組み込まれてる。日本でも声をかけたけどうまくいかなかった。「きれいですね」と話しかけても、「え~、恥ずかしい」だけ。「ありがとう」でいいのに。私はただほめたいだけ。ほめられるとうれしいでしょ。
 ◆頭で考えすぎでは
 ■7年間日本語を勉強し、3年前に来日したギリシャ人女性(23)は、幼稚園教諭を目指している。
     *
 ギリシャにいたころ、週4、5回は恋人と会いました。5分でも一緒にいたいと言えば、忙しくても時間をつくる。気持ちで動く。大事にされていると感じます。日本の男性と付き合って思ったのは、恋人との時間がスケジュールになっている。
 気持ちよりも頭で考えすぎるのは、友人関係も同じでは? 友人だからいろいろ話すし、頼む。でも、「友達でも全部は話せない」「彼氏には言えない」「家族には頼めない」と言うこともある。恋人ですら、相手と一定の距離を保つことが大事なんですね。
 日本はストレスを感じている人が多く、ひきこもりやいじめも深刻。人と触れ合う頻度が影響していないでしょうか?
     ◇
 避妊具メーカーのデュレックス社の調査(2006年)によると、週1回以上セックスをする人の割合は、26カ国・地域でギリシャが87%と最も多く、フランスは70%、日本は34%で最も少なかった。
 ■読者のモヤモヤ
 ・37歳のとき、当時の夫がED(勃起不全)に。「治す気はないの?」とは言えなかった。夫は家にあまりおらず、子育てもノータッチで、「文句を言うなら同じだけ稼げ」。多額の借金があることがわかって離婚した。昨年12月の女子組文化祭に参加し、「理不尽な世の中に怒っていいんだ」と気づきました。(49歳、会社員)
 ・結婚45年。いくつになってもふれ合いたいと思うけど、彼は望んでない。だから優しく話しかける。すると彼も和む。私も折れないとね。(72歳、主婦)
 ・同い年の夫とはセックスもあって仲良し夫婦と思っていた。でも、十数年間の不倫が判明。「最近、思うようにできなくなった」と嘆く夫を励ましていた私って。この年齢で1人もさみしく、コミュニケーションロスのまま同居しています。(55歳、会社員)
 ■あなたの「モヤモヤ」募集します
 恋愛観も結婚観も、海外の目線にうなずくこと、へーっと思うことがいろいろありました。幸せなセックスって……。あらためて考えました。みなさんは記事を読んでどう思われましたか。感想や体験、モヤモヤ~ッとした気持ちをお寄せください。ご紹介の際は匿名にするなどプライバシー保護を徹底します。住所、氏名、電話番号、職業、年齢を書いてjoshigumi@asahi.comメールするへ。
 ◆取材=河合真美江、中塚久美子、藤田さつき
 ◆次回の「オトナの保健室」は2月16日に掲載の予定です。