(葦)朝鮮学校卒業生の問いかけ 中野晃:朝日新聞デジタル(葦)朝鮮学校卒業生の問いかけ 中野晃
2018年10月22日15時36分
今月12日、朝鮮学校を支援する市民団体主催の集会に参加した申泰革さん=東京都千代田区[PR]
「日本社会が在日朝鮮人を受け入れるかどうかの問題です。皆さんも考えてください」。大阪高裁は9月、朝鮮学校の生徒を、国が高校無償化の対象外にしたことを「問題なし」と判断した。法廷で判決を聞いた大阪朝鮮高級学校OBの申泰革(シンテヒョク)さん(26)の記者会見での訴えを聞き、私は、メディアの怠慢を指摘されたようで恥ずかしかった。朝鮮学校のなり立ちや実情を十分伝えられず、根深い偏見を放置したままではないかと。
和歌山朝鮮初中級学校で学んだ申さんは15歳のとき、ネット上の蔑視の言説を目にして気がめいった。他の高校への進学と悩んだ末、朝鮮高級学校を選んだ。「在日朝鮮人であることを重荷と考えていたが、自分が揺るがないための起点になった」と振り返る。卒業後は東大法学部・法科大学院で学ぶ。「多数派が気づかない問題」に敏感な弁護士が目標だ。
国は朝鮮学校除外の理由に国民感情を挙げる。少数者の排除を、多数の国民は支持しているとの理屈だ。一方、国連人種差別撤廃委員会はこの夏、朝鮮学校を差別するなと日本政府に再び勧告した。社会のありようが今問われている。
(論説委員)
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