蒼氓 (新潮文庫) | 石川 達三 |本 | 通販 | Amazon
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蒼氓 (新潮文庫) (日本語) Paperback Bunko – 1951/12
by 石川 達三 (著)
4.8 out of 5 stars 10 customer reviews
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受賞歴
第1回(昭和10年度上半期) 芥川賞受賞
Product details
文庫: 262 pages
Publisher: 新潮社; 改 edition (December 1, 1951)
Language: 日本語
ISBN-10: 4101015058
ISBN-13: 978-4101015057
Release Date: December 1, 1951
: 6.1 x 4.2 x 0.5 inches
Average Customer Review: 4.8 out of 5 stars 10 customer reviews
Amazon Bestsellers Rank: #385,681 in Japanese Books (See Top 100 in Japanese Books)
#258 in Japanese Books > Literature & Criticism > Literary Prize-Winning Authors > Akutagawa Prize > 1-25
#5629 in Japanese Books > Novels Pocket-Sized Paperback > General Bunko > Shincho Bunko
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Amazon カスタマー
5.0 out of 5 stars拍手👏September 10, 2017
Format: 単行本Verified Purchase
三年も前に蒼氓の三部作が一冊の単行本にまとめて再刊されていたなんてうかつにも知りませんでした。たまたまアマゾンのサイトを見ていて発見した次第です。このような復刊事業を成し遂げた秋田魁新報社に拍手喝采。装丁も上品でいい感じです。もう在庫が少ないようでまだの人は早い者勝ちですね。
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ウッキー
5.0 out of 5 starsきれいな本October 21, 2014
Format: 文庫Verified Purchase
以前から読みたかったこの本、書店に尋ねたところすでに廃刊になっていると言われ、アマゾンで検索してこちらで中古を購入しました。まるで中古とは思えないきれいな状態で届きました。内容も期待通り面白くて、大満足です
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Jean
5.0 out of 5 stars海外移住と文化の交流センター(神戸)に行かれることもお薦めしますJanuary 25, 2016
Format: 単行本Verified Purchase
これは第一回の芥川賞受賞作でもあるが、それは措いておく。
昭和の初頭にブラジルへの移民が送り出された。
彼らは神戸にある移民収容所に集められて、1000人近い一団が一月半の航海でブラジルへと運ばれる。
その移民船に監督として同行した石川達三が、蒼氓で東北の細民たちが移民という名の下で棄民される様を描いた。
初期の作品なので荒削りなところがあるが、真心のこもった文章だと感じた。
神戸には海外移住と文化の交流センターがある。移民収容所の建物がそのまま残っていて、部屋割りだとか、神戸の街との位置関係など、そこを訪れると蒼氓の世界がなお一層わかりやすいだろう。
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Naoya
5.0 out of 5 stars大作April 19, 2014
Format: 文庫Verified Purchase
大作であった。/
舞台は1930年代の日本。ブラジルへ移住する日本人移住者の模様が描かれた作品である。/
本作を読むまで学んで来たこの当時の日本の生活習慣、これから戦禍に包まれ世界から孤立して行く社会情勢が表の歴史だとすれば、本作に描かれた物語は裏の歴史であろうか。/
物語の主人公として描かれている移民の大半が東北の農民達で、農家の作物が冷害によって育たなくなりその結果による貧困を打開するために当時日本が人口増加対策として掲げていたブラジル移住計画に参加した事がきっかけで物語は始まって行く。/
まずこの物語から感じられたのはブラジルへ行けば新天地があり、大金を掴めて成功できるの言うプロバカンダによりほぼ騙された形で土地も家をも捨ててブラジルへ移住して行った無知さと、移住したブラジルで、親類、知人、言葉の通じない異国で働き生活し、家族を増やし一生を過ごして行った動物的バイタリティの凄さ。この二つではないだろうか。/
現代の様な情報が溢れ過ぎてる中では「ブラジルへ行けば成功できる」と言う謳い文句だけを鵜呑みにし土地も家も全てを捨てて移民となって移り住む感覚が理解出来ない所にその当時の日本の息が詰まる様な閉塞的な生き方と現代日本とのギャップを感じずにはいられない。言わば日本にいても、生まれ育った土地で農家をしていても生活が出来ない限界点にまで達した人物ばかりであり、現代日本でも貧しい人と言うのは存在するが、この当時の貧しさと今の日本の貧しさとは意味合いが全く違う。当時は明日食べる物も保証されない生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた農民達の貧しさの打開策がブラジルへ移住することしか手段がなかった。/
言わば職業選択の自由もなければ、生活の補填としてアルバイトが出来る様な雇用先もなかった、現代日本では考えられない位の封建的な社会であった。/
かと言って他に何か選択肢がなかったかと言えば疑問ではあるが、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた農民達の心情とブラジル移住計画が謳う大義名分が合致した所に農民達の生きるバイタリティ、極端な生き方が表れている。/
現代日本では少子高齢化が進み、数十年先の近未来に於ける日本の人口分布は都市部にしか人が住まわなくなり、その空いた農村部には人が住まわなくなるこの現状を移民として飛び立った当時の日本人がもし知ったとしたら、そしてもう一つの人口減少対策として、日本へ海外から移民として定住する外国人が増えている現代の移民国家日本をこの作品に描かれたブラジル移住者達が見たらどう思うだろうか。/
대작이었다. / 무대는 1930 년대 일본. 브라질로 이주하는 일본인 이주자의 무늬가 그려진 작품이다. / 본작보기까지 배워 온이 당시 일본의 생활 습관, 앞으로 전화 (戰禍)에 싸여 세계에서 고립되어가는 사회 정세가 테이블의 역사라고하면, 본작에 그려진 이야기는 뒷면의 역사 일까. / 이야기의 주인공으로 그려져있다 이민자의 대부분이 동북의 농민들로, 농가의 작물이 냉해에 의해 성장 없습니다 그 결과에 따른 빈곤을 타개하기 위해 당시 일본이 인구 증가 대책으로 내걸고 브라질 이주 계획 참가한 것을 계기로 이야기는 시작 간다. / 우선 이 이야기에서 느껴졌 브라질에 가면 신천지가 거액을 잡을 수 성공할 수있는 말 뿌로바칸다 의해 거의 속았다 형태로 토지도 가정도 버리고 브라질로 이민 갔다 무지 사토 이주했다 브라질, 친척, 지인, 말이 통하지 않는 이국에서 일하며 생활하고 가족을 늘려 평생을 보내고 갔다 동물적 생명력의 굉장함. 이 둘이 아닐까. / 현대 같은 정보가 흘러 지나고 중에서는 "브라질에 가면 성공할 수 '는 캐치 프레이즈만을 통채로 삼켜 땅도 집도 모두를 버리고 이민되고 이주 감각이 이해 할 수없는 곳에 그 당시의 일본의 숨막히는듯한 폐색적인 삶과 현대 일본과의 격차를 느끼지 않을 수 없다. 말하자면 일본에 있어도 태어나 자란 땅에서 농민을하고도 생활 할 수없는 한계점까지 도달 한 사람 뿐이고 현대 일본에서도 가난한 사람이란 존재하지만, 이 당시의 가난과 지금 일본의 가난과는 의미가 전혀 다르다. 당시는 내일 먹을 것도 보장되지 않는다 죽느냐 사느냐의 갈림길에 처한 농민들의 빈곤의 타개책이 브라질로 이주 할 수 밖에 방법이 없었다. / 말하자면 직업 선택의 자유도없고, 삶의 보전으로 아르바이트를 할 수있는듯한 취업도 없었다 현대 일본에서는 생각할 수 없을 정도의 봉건 사회였다. / 그렇다고해서 다른 어떤 선택이 아니었나 말하면 의문이지만, 삶과 죽음의 경계에 처한 농민들의 심정과 브라질 이주 계획이 주장하는 명분이 맞아 떨어진 곳에 농민들 사는 활력 극단적 인 삶이 드러난다. / 현대 일본에서는 저출산 고령화가 진행되어 수십 년 후의 미래에있어서 일본의 인구 분포는 도시에만 사람이 거 없습니다 그 빈 농촌에 사람이 살게하지 못할이 상황을 이민으로 날아 오른 당시의 일본인이 만약 알고 있었다면, 그리고 또 다른 인구 감소 대책으로 일본에 해외에서 이민자로 정착하는 외국인이 증가하고있는 현대의 이민 국가 일본을이 작품에 그려진 브라질 이주자 도달이 보면 어떻게 생각 할까. /
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Amazon カスタマー
5.0 out of 5 starsとても気に入りましたDecember 16, 2015
Format: 文庫Verified Purchase
以前から読みたいと思っていた本でしたが、絶版物で手に入りませんでした。
購入できてとてもうれしいです。
迅速な対応、ありがとうございました。
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carin
4.0 out of 5 stars綺麗な装丁の単行本September 15, 2015
Format: 単行本Verified Purchase
作品自体については「長い」「描写が浅い」「引き込まれない」と私は好きになれませんでした。
作者の新人の頃の作品だから仕方ないかと割り切りました。
本作は第一回芥川賞の受賞作です。太宰治が喉から手が出るほど欲しがったと言われる例の賞です。
巻末に選考委員による選評があることは、そんな背景に思いを巡らしつつ、この作品の文学史的な位置付けを考えることにもなるでしょう。
また、作者の年表もあり石川達三がどんな人物だったのかよくわかりました。
文庫本の巻末はこれほど充実しているのでしょうか。
文庫本は廃盤で値段も安くはないですし、いっそ新品で文字も大きいこちらの本をお勧めします。
装丁もきれいで愛着がわきます。
なお、タツローに同名の曲がありこの本の題名からとったらしいです。
…大きな成功は望むべくもないが、それでもなんとか生きる希望とその意味は見つかるかもしれない。
この本と曲とほぼ同じメッセージが伝わって来ました。読みながら曲が頭の中を流れて来ることはなかったのですが、この本が元になってると確信することができました。
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hit4papa
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4.0 out of 5 stars諦念という境地February 24, 2013
Format: 文庫/
芥川賞の対象作は『蒼氓』は、同時収録の『南海航路』、『声無き民』によって三部作を構成しており、国策としてブラジル移民が奨励されていた1930年が時代背景となっている。 『蒼氓』はブラジル移民たちの出航前夜を、『南海航路』は船中の情景を、『声無き民』はブラジル到着後が描かれる。/
当時のブラジル移民は、貧農といわれる人々が主で、ブラジルでの豊かな暮らしを夢見ている。なけなしの田畑を売り、縋るように移民に賭ける姿が『蒼氓』では活写されていく。/
九百余名の移民たちは、神戸の海外移民収容所で共同生活を営み、準備を進めるわけだが、戻る場所を失った彼らの後悔、希望、不安が人いきれの中で渦巻くのだ。/
独身者が渡航できないため家族を偽装するものがいる。ブラジル入国を禁止されているトラホームや脚気を隠すものがいる。息も絶え絶えの赤子を抱えるものがいる。審査失格となり失意のもとに収容所を後にするものがいる。何より、移民たちの無知蒙昧さが痛々しい。/
石川達三自身が、監督官としてブラジルへ渡航した経験があるからこそ、本作品は、真に迫っているのだろう。/
本作品は、誰か特定の人物を主役に据えているわけではないが、弟のため恋人と別れて偽装結婚し、流されるまま移民となった佐藤夏にスポットがあたっている。ある夜、佐藤夏は、移民監督助手から陵辱を受けてしまう。しかし、佐藤夏は、これさえもさえも甘んじてしまうのだ。このイノセントとも言える精神は、受難の人として、ブラジル移民を象徴しているように思えてくる。/
移民たちが、45日に及ぶ苦難の航海を経て(『南海航路』)、新天地ブラジルで見出したものは何か(『声無き民』)。私は、この三部作を通して、”諦念”という語を連想した。決して明るい未来があるわけではない。しかし、その中で人生を見出していく術はあるのだ。ラストの、ブラジルの風景に溶けていくような佐藤夏の姿には、希望を拭い去ったがゆえの芯の強さを見ることができる。/
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아쿠타가와 상 대상 작품은 "蒼氓"동시수록의 「남해 항로」, 「소리없는 백성 "에 의해 부작을 구성하고 있으며, 국책으로 브라질 이민이 장려되고 있던 1930 년이 시대 배경이되고 있다. "蒼氓"브라질 이민들의 출항 직전를 "남해 항로"는 배 안에서의 정경을 '소리없는 백성 "브라질 도착 후가 그려진다. / 당시 브라질 이민은 빈농이라고하는 사람들이 주로 브라질의 풍요로운 삶을 꿈꾸고있다. 어떤 작은 논밭을 팔아 매달리는 같이 이민 내기 모습이 "蒼氓"는 생생하게 묘사되어 간다. / 구백 여명의 이민자들은 고베의 해외 이민 수용소에서 공동 생활을 영위 준비를 진행 것이지만, 이전 장소를 잃은 그들의 후회, 희망, 불안이 人いきれ에서 소용돌이 치는 것이다. / 독신자가 여행 할 수 없기 때문에 가족을 위장하는 것이있다. 브라질 입국 금지 된 호랑이 홈과 각기 숨기기 것이있다. 숨도 끊어져 끊어져의 갓난 아이를 안고있는 것이있다. 심사 실격 처리 실의에게 수용소를 후에하는 것이있다. 무엇보다 이민자들의 무지 몽매가 고통. / 이시카와 達三 자신이 감독관으로 브라질로 여행 한 경험이 있기 때문에 본 작품은 현실적인있는 것이다. / 본 작품은 누군가 특정 인물을 주인공으로 삼고있는 것은 아니지만, 동생을 위해 연인과 헤어지고 위장 결혼하고 흘러가는대로 이민자가 된 사토 여름 명소 임하고있다. 어느 날 밤, 사토 여름 이민 감독 조수에서 능욕을 받고 만다. 그러나 사토 여름은 이마저도 마저도 감수 버린다. 이 무고한이라고도 말할 정신은 열정의 사람으로, 브라질 이민을 상징하고있는 것처럼 생각된다. / 이민들이 45 일에 이르는 고난의 항해를 거쳐 ( 「남해 항로」) 신천지 브라질에서 발견 한 것은 무엇인가 ( '소리없는 백성 "). 나는이 부작을 통해 "체념"이라는 단어를 연상했다. 결코 밝은 미래가있는 것은 아니다. 그러나 그 속에서 삶을 찾아 간다 수술은있는 것이다. 라스트의 브라질의 풍경에 녹아 같은 사토 여름의 모습에 희망을 닦아 떠난 이유의 심의 힘을 볼 수있다. /
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ヤマヤン
5.0 out of 5 starsエネルギーをもらった。September 9, 2007
Format: 文庫
冒頭の、雨の神戸の描写に、暗い小説かと思いながら読み始めました。
1930年の、ブラジルへ渡る移民たちを描いた三部作です。
田畑や家財一切合財を手放して出てきたのに、病気で渡航を許されない家族、思う人と
別れて船に乗る娘、煙管を握りしめて、周りに心を開かない婆さん……酒を飲んで景気
よく踊ったり歌ったりしている男たちでさえ、どこか暗く見えてくる。
それなのに、一気に読みきってしまいました。日が経つにつれ、幸も不幸もひっくるめ
て現実を受け入れていく登場人物たちの姿の、そのエネルギッシュなこと。
そして、第三部のラストの、ブラジルの日差しをあびる移民たちの姿。
階級社会、人間のもつずるい一面など、考えさせられる部分も多くありましたが、なに
よりも、生きていくエネルギーをもらえる、そんな小説でした。
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5.0 out of 5 stars拍手👏
ByAmazon カスタマーon September 10, 2017
Format: 単行本Verified Purchase
三年も前に蒼氓の三部作が一冊の単行本にまとめて再刊されていたなんてうかつにも知りませんでした。たまたまアマゾンのサイトを見ていて発見した次第です。このような復刊事業を成し遂げた秋田魁新報社に拍手喝采。装丁も上品でいい感じです。もう在庫が少ないようでまだの人は早い者勝ちですね。
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5.0 out of 5 starsきれいな本
Byウッキーon October 21, 2014
Format: 文庫Verified Purchase
以前から読みたかったこの本、書店に尋ねたところすでに廃刊になっていると言われ、アマゾンで検索してこちらで中古を購入しました。まるで中古とは思えないきれいな状態で届きました。内容も期待通り面白くて、大満足です
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5.0 out of 5 stars海外移住と文化の交流センター(神戸)に行かれることもお薦めします
ByJeanon January 25, 2016
Format: 単行本Verified Purchase
これは第一回の芥川賞受賞作でもあるが、それは措いておく。
昭和の初頭にブラジルへの移民が送り出された。
彼らは神戸にある移民収容所に集められて、1000人近い一団が一月半の航海でブラジルへと運ばれる。
その移民船に監督として同行した石川達三が、蒼氓で東北の細民たちが移民という名の下で棄民される様を描いた。
初期の作品なので荒削りなところがあるが、真心のこもった文章だと感じた。
神戸には海外移住と文化の交流センターがある。移民収容所の建物がそのまま残っていて、部屋割りだとか、神戸の街との位置関係など、そこを訪れると蒼氓の世界がなお一層わかりやすいだろう。
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5.0 out of 5 stars大作
ByNaoyaon April 19, 2014
Format: 文庫Verified Purchase
大作であった。
舞台は1930年代の日本。ブラジルへ移住する日本人移住者の模様が描かれた作品である。
本作を読むまで学んで来たこの当時の日本の生活習慣、これから戦禍に包まれ世界から孤立して行く社会情勢が表の歴史だとすれば、本作に描かれた物語は裏の歴史であろうか。
物語の主人公として描かれている移民の大半が東北の農民達で、農家の作物が冷害によって育たなくなりその結果による貧困を打開するために当時日本が人口増加対策として掲げていたブラジル移住計画に参加した事がきっかけで物語は始まって行く。
まずこの物語から感じられたのはブラジルへ行けば新天地があり、大金を掴めて成功できるの言うプロバカンダによりほぼ騙された形で土地も家をも捨ててブラジルへ移住して行った無知さと、移住したブラジルで、親類、知人、言葉の通じない異国で働き生活し、家族を増やし一生を過ごして行った動物的バイタリティの凄さ。この二つではないだろうか。
現代の様な情報が溢れ過ぎてる中では「ブラジルへ行けば成功できる」と言う謳い文句だけを鵜呑みにし土地も家も全てを捨てて移民となって移り住む感覚が理解出来ない所にその当時の日本の息が詰まる様な閉塞的な生き方と現代日本とのギャップを感じずにはいられない。言わば日本にいても、生まれ育った土地で農家をしていても生活が出来ない限界点にまで達した人物ばかりであり、現代日本でも貧しい人と言うのは存在するが、この当時の貧しさと今の日本の貧しさとは意味合いが全く違う。当時は明日食べる物も保証されない生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた農民達の貧しさの打開策がブラジルへ移住することしか手段がなかった。
言わば職業選択の自由もなければ、生活の補填としてアルバイトが出来る様な雇用先もなかった、現代日本では考えられない位の封建的な社会であった。
かと言って他に何か選択肢がなかったかと言えば疑問ではあるが、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた農民達の心情とブラジル移住計画が謳う大義名分が合致した所に農民達の生きるバイタリティ、極端な生き方が表れている。
現代日本では少子高齢化が進み、数十年先の近未来に於ける日本の人口分布は都市部にしか人が住まわなくなり、その空いた農村部には人が住まわなくなるこの現状を移民として飛び立った当時の日本人がもし知ったとしたら、そしてもう一つの人口減少対策として、日本へ海外から移民として定住する外国人が増えている現代の移民国家日本をこの作品に描かれたブラジル移住者達が見たらどう思うだろうか。
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5.0 out of 5 starsとても気に入りました
ByAmazon カスタマーon December 16, 2015
Format: 文庫Verified Purchase
以前から読みたいと思っていた本でしたが、絶版物で手に入りませんでした。
購入できてとてもうれしいです。
迅速な対応、ありがとうございました。
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4.0 out of 5 stars綺麗な装丁の単行本
Bycarinon September 15, 2015
Format: 単行本Verified Purchase
作品自体については「長い」「描写が浅い」「引き込まれない」と私は好きになれませんでした。
作者の新人の頃の作品だから仕方ないかと割り切りました。
本作は第一回芥川賞の受賞作です。太宰治が喉から手が出るほど欲しがったと言われる例の賞です。
巻末に選考委員による選評があることは、そんな背景に思いを巡らしつつ、この作品の文学史的な位置付けを考えることにもなるでしょう。
また、作者の年表もあり石川達三がどんな人物だったのかよくわかりました。
文庫本の巻末はこれほど充実しているのでしょうか。
文庫本は廃盤で値段も安くはないですし、いっそ新品で文字も大きいこちらの本をお勧めします。
装丁もきれいで愛着がわきます。
なお、タツローに同名の曲がありこの本の題名からとったらしいです。
…大きな成功は望むべくもないが、それでもなんとか生きる希望とその意味は見つかるかもしれない。
この本と曲とほぼ同じメッセージが伝わって来ました。読みながら曲が頭の中を流れて来ることはなかったのですが、この本が元になってると確信することができました。
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4.0 out of 5 stars諦念という境地
Byhit4papaTOP 1000 REVIEWERon February 24, 2013
Format: 文庫
芥川賞の対象作は『蒼氓』は、同時収録の『南海航路』、『声無き民』によって三部作を構成しており、国策としてブラジル移民が奨励されていた1930年が時代背景となっている。 『蒼氓』はブラジル移民たちの出航前夜を、『南海航路』は船中の情景を、『声無き民』はブラジル到着後が描かれる。
当時のブラジル移民は、貧農といわれる人々が主で、ブラジルでの豊かな暮らしを夢見ている。なけなしの田畑を売り、縋るように移民に賭ける姿が『蒼氓』では活写されていく。
九百余名の移民たちは、神戸の海外移民収容所で共同生活を営み、準備を進めるわけだが、戻る場所を失った彼らの後悔、希望、不安が人いきれの中で渦巻くのだ。
独身者が渡航できないため家族を偽装するものがいる。ブラジル入国を禁止されているトラホームや脚気を隠すものがいる。息も絶え絶えの赤子を抱えるものがいる。審査失格となり失意のもとに収容所を後にするものがいる。何より、移民たちの無知蒙昧さが痛々しい。
石川達三自身が、監督官としてブラジルへ渡航した経験があるからこそ、本作品は、真に迫っているのだろう。
本作品は、誰か特定の人物を主役に据えているわけではないが、弟のため恋人と別れて偽装結婚し、流されるまま移民となった佐藤夏にスポットがあたっている。ある夜、佐藤夏は、移民監督助手から陵辱を受けてしまう。しかし、佐藤夏は、これさえもさえも甘んじてしまうのだ。このイノセントとも言える精神は、受難の人として、ブラジル移民を象徴しているように思えてくる。
移民たちが、45日に及ぶ苦難の航海を経て(『南海航路』)、新天地ブラジルで見出したものは何か(『声無き民』)。私は、この三部作を通して、”諦念”という語を連想した。決して明るい未来があるわけではない。しかし、その中で人生を見出していく術はあるのだ。ラストの、ブラジルの風景に溶けていくような佐藤夏の姿には、希望を拭い去ったがゆえの芯の強さを見ることができる。
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5.0 out of 5 starsエネルギーをもらった。
Byヤマヤンon September 9, 2007
Format: 文庫
冒頭の、雨の神戸の描写に、暗い小説かと思いながら読み始めました。
1930年の、ブラジルへ渡る移民たちを描いた三部作です。
田畑や家財一切合財を手放して出てきたのに、病気で渡航を許されない家族、思う人と
別れて船に乗る娘、煙管を握りしめて、周りに心を開かない婆さん……酒を飲んで景気
よく踊ったり歌ったりしている男たちでさえ、どこか暗く見えてくる。
それなのに、一気に読みきってしまいました。日が経つにつれ、幸も不幸もひっくるめ
て現実を受け入れていく登場人物たちの姿の、そのエネルギッシュなこと。
そして、第三部のラストの、ブラジルの日差しをあびる移民たちの姿。
階級社会、人間のもつずるい一面など、考えさせられる部分も多くありましたが、なに
よりも、生きていくエネルギーをもらえる、そんな小説でした。
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5.0 out of 5 stars遥かなるブラジル目指して
Byミーミルの泉on June 28, 2005
Format: 文庫
『蒼氓』ですが、そうぼう、って意味の分かる現代人はいるのでしょうか?私は分からなかったので辞書で調べました。「もろもろの民、すべての人民」という意味だそうです。
内容にぴったりのタイトルです。
表題作を含め連作三編が収録されています。物語の舞台となるのは1930年のブラジル移民船ら・ぷらた丸です。作者の石川達三自身、「助監督」として実際にら・ぷらた丸に乗り組んでいたそうです。作中にも「助監督」なる人物が登場し、色々活躍(?)します。そこに注目して読むのも一つの楽しみ方かもしれません。しかし主人公はあくまでも、移民船に乗る人々、つまり蒼氓です。
戦前の作品ということになりますが、現代人が読んで読み難いということはありません。文中、これといって難解な語も出てきません。むしろタイトルが一番難しいです。
話の内容は、移民の人々のリアルな姿。故郷を捨て不安を抱きながらも力強く生き抜こうとする姿勢は崩さぬ、不器用ではあるが純朴な蒼氓の生き様です。
第一回芥川賞受賞作という肩書きと、難しいタイトルと、かなり昔の作品であるということで、手を出しにくいと思われがちかもしれませんが、そんなことはありません。普通に読めて普通に面白い小説です。
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5.0 out of 5 stars今自分がここにいることを、そして去らなければならない日を前に、何をしなければならないかを
Bytikominoruon August 20, 2016
Format: 文庫
置かれた人生の厳しさを感じます。
何も思慮せず生きている自分がここにいることを。
そしていつの日かこの世界を去らなければいけないのに、
無関心でいたことを痛感致しました。
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5.0 out of 5 stars拍手👏
ByAmazon カスタマーon September 10, 2017
Format: 単行本Verified Purchase
三年も前に蒼氓の三部作が一冊の単行本にまとめて再刊されていたなんてうかつにも知りませんでした。たまたまアマゾンのサイトを見ていて発見した次第です。このような復刊事業を成し遂げた秋田魁新報社に拍手喝采。装丁も上品でいい感じです。もう在庫が少ないようでまだの人は早い者勝ちですね。
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5.0 out of 5 starsきれいな本
Byウッキーon October 21, 2014
Format: 文庫Verified Purchase
以前から読みたかったこの本、書店に尋ねたところすでに廃刊になっていると言われ、アマゾンで検索してこちらで中古を購入しました。まるで中古とは思えないきれいな状態で届きました。内容も期待通り面白くて、大満足です
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5.0 out of 5 stars海外移住と文化の交流センター(神戸)に行かれることもお薦めします
ByJeanon January 25, 2016
Format: 単行本Verified Purchase
これは第一回の芥川賞受賞作でもあるが、それは措いておく。
昭和の初頭にブラジルへの移民が送り出された。
彼らは神戸にある移民収容所に集められて、1000人近い一団が一月半の航海でブラジルへと運ばれる。
その移民船に監督として同行した石川達三が、蒼氓で東北の細民たちが移民という名の下で棄民される様を描いた。
初期の作品なので荒削りなところがあるが、真心のこもった文章だと感じた。
神戸には海外移住と文化の交流センターがある。移民収容所の建物がそのまま残っていて、部屋割りだとか、神戸の街との位置関係など、そこを訪れると蒼氓の世界がなお一層わかりやすいだろう。
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5.0 out of 5 stars大作
ByNaoyaon April 19, 2014
Format: 文庫Verified Purchase
大作であった。
舞台は1930年代の日本。ブラジルへ移住する日本人移住者の模様が描かれた作品である。
本作を読むまで学んで来たこの当時の日本の生活習慣、これから戦禍に包まれ世界から孤立して行く社会情勢が表の歴史だとすれば、本作に描かれた物語は裏の歴史であろうか。
物語の主人公として描かれている移民の大半が東北の農民達で、農家の作物が冷害によって育たなくなりその結果による貧困を打開するために当時日本が人口増加対策として掲げていたブラジル移住計画に参加した事がきっかけで物語は始まって行く。
まずこの物語から感じられたのはブラジルへ行けば新天地があり、大金を掴めて成功できるの言うプロバカンダによりほぼ騙された形で土地も家をも捨ててブラジルへ移住して行った無知さと、移住したブラジルで、親類、知人、言葉の通じない異国で働き生活し、家族を増やし一生を過ごして行った動物的バイタリティの凄さ。この二つではないだろうか。
現代の様な情報が溢れ過ぎてる中では「ブラジルへ行けば成功できる」と言う謳い文句だけを鵜呑みにし土地も家も全てを捨てて移民となって移り住む感覚が理解出来ない所にその当時の日本の息が詰まる様な閉塞的な生き方と現代日本とのギャップを感じずにはいられない。言わば日本にいても、生まれ育った土地で農家をしていても生活が出来ない限界点にまで達した人物ばかりであり、現代日本でも貧しい人と言うのは存在するが、この当時の貧しさと今の日本の貧しさとは意味合いが全く違う。当時は明日食べる物も保証されない生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた農民達の貧しさの打開策がブラジルへ移住することしか手段がなかった。
言わば職業選択の自由もなければ、生活の補填としてアルバイトが出来る様な雇用先もなかった、現代日本では考えられない位の封建的な社会であった。
かと言って他に何か選択肢がなかったかと言えば疑問ではあるが、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされた農民達の心情とブラジル移住計画が謳う大義名分が合致した所に農民達の生きるバイタリティ、極端な生き方が表れている。
現代日本では少子高齢化が進み、数十年先の近未来に於ける日本の人口分布は都市部にしか人が住まわなくなり、その空いた農村部には人が住まわなくなるこの現状を移民として飛び立った当時の日本人がもし知ったとしたら、そしてもう一つの人口減少対策として、日本へ海外から移民として定住する外国人が増えている現代の移民国家日本をこの作品に描かれたブラジル移住者達が見たらどう思うだろうか。
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5.0 out of 5 starsとても気に入りました
ByAmazon カスタマーon December 16, 2015
Format: 文庫Verified Purchase
以前から読みたいと思っていた本でしたが、絶版物で手に入りませんでした。
購入できてとてもうれしいです。
迅速な対応、ありがとうございました。
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4.0 out of 5 stars綺麗な装丁の単行本
Bycarinon September 15, 2015
Format: 単行本Verified Purchase
作品自体については「長い」「描写が浅い」「引き込まれない」と私は好きになれませんでした。
作者の新人の頃の作品だから仕方ないかと割り切りました。
本作は第一回芥川賞の受賞作です。太宰治が喉から手が出るほど欲しがったと言われる例の賞です。
巻末に選考委員による選評があることは、そんな背景に思いを巡らしつつ、この作品の文学史的な位置付けを考えることにもなるでしょう。
また、作者の年表もあり石川達三がどんな人物だったのかよくわかりました。
文庫本の巻末はこれほど充実しているのでしょうか。
文庫本は廃盤で値段も安くはないですし、いっそ新品で文字も大きいこちらの本をお勧めします。
装丁もきれいで愛着がわきます。
なお、タツローに同名の曲がありこの本の題名からとったらしいです。
…大きな成功は望むべくもないが、それでもなんとか生きる希望とその意味は見つかるかもしれない。
この本と曲とほぼ同じメッセージが伝わって来ました。読みながら曲が頭の中を流れて来ることはなかったのですが、この本が元になってると確信することができました。
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4.0 out of 5 stars諦念という境地
Byhit4papaTOP 1000 REVIEWERon February 24, 2013
Format: 文庫
芥川賞の対象作は『蒼氓』は、同時収録の『南海航路』、『声無き民』によって三部作を構成しており、国策としてブラジル移民が奨励されていた1930年が時代背景となっている。 『蒼氓』はブラジル移民たちの出航前夜を、『南海航路』は船中の情景を、『声無き民』はブラジル到着後が描かれる。
当時のブラジル移民は、貧農といわれる人々が主で、ブラジルでの豊かな暮らしを夢見ている。なけなしの田畑を売り、縋るように移民に賭ける姿が『蒼氓』では活写されていく。
九百余名の移民たちは、神戸の海外移民収容所で共同生活を営み、準備を進めるわけだが、戻る場所を失った彼らの後悔、希望、不安が人いきれの中で渦巻くのだ。
独身者が渡航できないため家族を偽装するものがいる。ブラジル入国を禁止されているトラホームや脚気を隠すものがいる。息も絶え絶えの赤子を抱えるものがいる。審査失格となり失意のもとに収容所を後にするものがいる。何より、移民たちの無知蒙昧さが痛々しい。
石川達三自身が、監督官としてブラジルへ渡航した経験があるからこそ、本作品は、真に迫っているのだろう。
本作品は、誰か特定の人物を主役に据えているわけではないが、弟のため恋人と別れて偽装結婚し、流されるまま移民となった佐藤夏にスポットがあたっている。ある夜、佐藤夏は、移民監督助手から陵辱を受けてしまう。しかし、佐藤夏は、これさえもさえも甘んじてしまうのだ。このイノセントとも言える精神は、受難の人として、ブラジル移民を象徴しているように思えてくる。
移民たちが、45日に及ぶ苦難の航海を経て(『南海航路』)、新天地ブラジルで見出したものは何か(『声無き民』)。私は、この三部作を通して、”諦念”という語を連想した。決して明るい未来があるわけではない。しかし、その中で人生を見出していく術はあるのだ。ラストの、ブラジルの風景に溶けていくような佐藤夏の姿には、希望を拭い去ったがゆえの芯の強さを見ることができる。
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5.0 out of 5 starsエネルギーをもらった。
Byヤマヤンon September 9, 2007
Format: 文庫
冒頭の、雨の神戸の描写に、暗い小説かと思いながら読み始めました。
1930年の、ブラジルへ渡る移民たちを描いた三部作です。
田畑や家財一切合財を手放して出てきたのに、病気で渡航を許されない家族、思う人と
別れて船に乗る娘、煙管を握りしめて、周りに心を開かない婆さん……酒を飲んで景気
よく踊ったり歌ったりしている男たちでさえ、どこか暗く見えてくる。
それなのに、一気に読みきってしまいました。日が経つにつれ、幸も不幸もひっくるめ
て現実を受け入れていく登場人物たちの姿の、そのエネルギッシュなこと。
そして、第三部のラストの、ブラジルの日差しをあびる移民たちの姿。
階級社会、人間のもつずるい一面など、考えさせられる部分も多くありましたが、なに
よりも、生きていくエネルギーをもらえる、そんな小説でした。
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5.0 out of 5 stars遥かなるブラジル目指して
Byミーミルの泉on June 28, 2005
Format: 文庫
『蒼氓』ですが、そうぼう、って意味の分かる現代人はいるのでしょうか?私は分からなかったので辞書で調べました。「もろもろの民、すべての人民」という意味だそうです。
内容にぴったりのタイトルです。
表題作を含め連作三編が収録されています。物語の舞台となるのは1930年のブラジル移民船ら・ぷらた丸です。作者の石川達三自身、「助監督」として実際にら・ぷらた丸に乗り組んでいたそうです。作中にも「助監督」なる人物が登場し、色々活躍(?)します。そこに注目して読むのも一つの楽しみ方かもしれません。しかし主人公はあくまでも、移民船に乗る人々、つまり蒼氓です。
戦前の作品ということになりますが、現代人が読んで読み難いということはありません。文中、これといって難解な語も出てきません。むしろタイトルが一番難しいです。
話の内容は、移民の人々のリアルな姿。故郷を捨て不安を抱きながらも力強く生き抜こうとする姿勢は崩さぬ、不器用ではあるが純朴な蒼氓の生き様です。
第一回芥川賞受賞作という肩書きと、難しいタイトルと、かなり昔の作品であるということで、手を出しにくいと思われがちかもしれませんが、そんなことはありません。普通に読めて普通に面白い小説です。
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5.0 out of 5 stars今自分がここにいることを、そして去らなければならない日を前に、何をしなければならないかを
Bytikominoruon August 20, 2016
Format: 文庫
置かれた人生の厳しさを感じます。
何も思慮せず生きている自分がここにいることを。
そしていつの日かこの世界を去らなければいけないのに、
無関心でいたことを痛感致しました。
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