満洲国軍に入隊した朝鮮人の軍事経験は、解放後の韓国にどのように引き継がれたのか。日本の植民地支配の実態を明らかにしながら、植民地解放後の韓国軍による民間人虐殺の起源に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
日本がつくった満洲国軍に入り、日本の侵略戦争、植民地支配に積極的に協力したのは朴正熙元韓国大統領だけではない。朝鮮戦争の「英雄」と讃えられ、度々論争の的となってきた白善燁、朴正熙軍事独裁政権下で国務総理まで務めた丁一權、そして本書が注目する金白一……。彼らはいずれも植民地解放=日本敗戦後には韓国軍で将校となり、民間人を弾圧する側にまわった。本書は、満洲国軍での朝鮮人の軍事経験が韓国軍にどのように引き継がれたのかを問い、韓国における「親日派」問題とは何なのか、その歴史の深刻さを浮き彫りにする。【商品解説】
目次
- 序章 日本植民地下で培われた軍事経験の継続の問題を問う
- 第1節 満洲国の歴史が背後に渦巻く朝鮮半島と日本
- 第2節 本書の課題
- 第3節 先行研究の検討
- 第4節 研究方法と資料・構成
- 第Ⅰ部 植民地下の朝鮮人と満洲国軍(一九三二〜一九四五年)
- 第1章 関東軍による朝鮮人支配の実態
- 第1節 朝鮮人を排除した日系軍官制度
- 第2節 満系軍官制度に「包摂」された朝鮮人
- 第3節 朝鮮人の軍隊参与に消極的な関東軍
- 小括
- 第2章 「五族協和」と「内鮮一体」の虚構
- 第1節 陸軍軍官学校受験の背景
- 第2節 事実上の「満系」採用(一〜六期)
- 第3節 唯一の「日系」採用・金光植(七期)
- 第4節 金光植の矛盾する語りとその背景
- 小括
- 第3章 朝鮮人部隊「間島特設隊」の虐殺経験(一九三八−一九四五年)
- 第1節 間島特設隊の指揮官になった朝鮮人
- 第2節 間島特設隊による鎮圧作戦と虐殺
- 第3節 河北省【ラン】県司集鎮地区における虐殺経験(一九四五年一月〜八月)
- 小括
- 補論 間島特設隊のもう一つの軍事経験
- 第1節 一九三〇年代の間島における朝鮮人の抗日闘争
- 第2節 「同族対同族」の暴力
- 第3節 間島特設隊の朝鮮人民間人との接触経験
- 小括
- 第Ⅱ部 植民地解放後の満洲国軍出身朝鮮人と韓国軍(一九四五〜一九四八年)
- 第4章 満洲国軍出身者の知られざる解放直後の「左翼」経歴
- 第1節 「左翼」組織「朝鮮国軍準備隊」に参与した満洲国軍出身者
- 第2節 北朝鮮の朝鮮人民軍創設に参与した満洲国軍出身者
- 小括
- 第5章 韓国軍の民間人虐殺に満洲国軍出身者はいかにかかわったのか
- 第1節 麗水・順天抗争勃発と韓国軍の鎮圧作戦
- 第2節 韓国軍の鎮圧作戦と「戒厳令」
- 第3節 韓国軍による虐殺と金白一
- 小括
- 終章 満洲国軍朝鮮人の植民地解放前後史から見えてくるもの
- 第1節 満洲国軍出身者をめぐる相反する評価
- 第2節 満洲国軍における朝鮮人の排除と「包摂」
- 第3節 植民地解放後の満洲国軍出身者の韓国軍入隊
- 第4節 韓国軍に移植された日本軍の虐殺イデオロギー
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