


証言・北朝鮮帰国者 祖国に渡った「在日」はどう生きたか (集英社新書) Paperback Shinsho – May 15, 2026
by 「北朝鮮帰国者」の記憶を記録する会 (Editor)
5.0 5.0 out of 5 stars (2)
1959年から25年間にわたって行なわれた在日朝鮮人の「北朝鮮帰国事業」で、日本国籍者約6800人を含む9万3340人が日本から北朝鮮に渡った。
”地上の楽園”という宣伝に望みを抱き、建国間もない”祖国”へ渡った人々を待っていたのはどんな暮らしだったのか。90年代に北朝鮮が国家的破局に至るまで、民衆レベルで何が起きていたのか。そして、どうやって修羅場を生き抜いたのか。
本書は、脱北した帰国者50人への聞き取りから構成。労働・衣食住・教育の実情、現地住民との関係、結婚とコミュニティ、厳しい統制と監視・密告、政治犯収容所での体験、在日マネーと日本文化の流入、大飢饉から脱北へ至る過程など、「北朝鮮の生活史」が初めて詳細に語られる
===
From Japan
Amazon カスタマー
5.0 out of 5 stars 歴史の穴が見えてきた?
Reviewed in Japan on May 18, 2026
Format: Paperback Shinsho
【読了】・・・証言・北朝鮮帰国者
在日65万のうち短期間に9万人近くが「北の祖国」へ渡った。そこには少なからず日本人もいた。
いまだにその実態はほとんど分からない「資料発掘」「証言」「現地調査」・・・これらすべてが困難な状況である。
しかし断片でしかなかった「北への帰国者」の姿がこの労作で「線」としてつながったと思うのは私だけではないだろう。
在日・日本だけでない現代南北朝鮮にとっても避けてはならないこの歴史(現在も続いている)が私たちの前に現れるのはいつだろうか?
在日の私たちに大きくあいた「北の祖国」への帰還運動・その後がこの1冊で少し穴が見えてきたのか?労作であるが故に「大きな宿題」も目の前にあるんだろう
追記一日も早く「北の祖国」「南の祖国」という表現を使わなくていいようになって欲しい
2 people found this helpful
==
不思議なピーチパイ
5.0 out of 5 stars 「自己責任」と云えない悲惨
Reviewed in Japan on May 15, 2026
Format: Paperback Shinsho
総頁数536頁。優に新書2冊分のボリュームである。しかも読んでいて鬱な気分になるエピソードばかりという…。北朝鮮への “帰国” は本書で証言している個々人の自発的な選択ではあるのだが、その結果として彼らに降りかかった運命を「自己責任」と云えないのが悲しい。新潟港から船に乗ってはるばる日本海を渡った挙句、船上から北朝鮮・清津港で出迎える民衆のみすぼらしい姿を目撃して悟る真実と絶望の光景はいたたまれない。「地上の楽園」という真っ赤な噓を喧伝した北朝鮮は勿論、その嘘を半ば、あるいは全て承知していながら北朝鮮への “帰国” を唆した組織・団体の関係者が未だに口を噤んで、謝罪の一つもないというのは罪深い限りである。なかには、北朝鮮帰国事業を「在日朝鮮人追放を狙った日本赤十字による謀略」などという妄言を吹聴する者すらいるらしい。また、脱北者の証言録がこれだけ纏めて公開された前例が過去なかったことにも驚く。人道に対する大規模な犯罪行為の貴重な記録であろう。
1990年代まで、彼の国をマスコミが報道する際「北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国…」とわざわざ呼称するのが決まり事であった。何故かと問われれば、「“北朝鮮” は半島の地域を表す言葉にもなるから~」と答えていたものだが、同じマスコミがいちいち「西ドイツ、ドイツ連邦共和国…」「東ドイツ、ドイツ民主共和国…」と呼称した例は寡聞にして知らない。単なる言い訳に過ぎないことは皆承知していたのだ。要するに、正式な国名で呼ぶよう陰に陽に圧力があるのだろう、と。それだけ、北朝鮮は扱いにくい面倒な国という空気があった。「北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国…」という呼称が消えたのは日本人拉致問題が当の北朝鮮によって公式に認められた2000年代以降のことで、この頃から漸く北朝鮮の暗部が遠慮会釈なく取沙汰されるようになる。北朝鮮帰国事業についても同様である。
そもそも、北朝鮮に “帰国” した人の本来の出身地は現在の韓国に当たる地域の方が断然多い。当時の在日朝鮮人の大半が朝鮮半島南部から来ているのだから当たり前である。それなのに何故北に渡るのか? 朝鮮戦争後間もない当時の韓国が政治的・経済的・社会的な諸事情から、おいそれと在日朝鮮人の帰還を受け容れられなかったことが一因としてある(今や信じられないことに、当時の韓国は北朝鮮より貧しかった)。一方で、左翼勢力は「故国に帰りたいという人々の意思を阻むのはけしからん」と圧力を掛けてくるし、日本政府にしても貧困率や犯罪率が相対的に高く、一部には日本共産党に使嗾されて革命運動に勤しむ輩までいる在日朝鮮人を厄介払いしたい本音が…。
このまま日本に留まっても明るい展望が見えず、北朝鮮に行けば仕事にも教育にも医療にも夢のような環境が待っていると聞かされれば、「そんな上手過ぎる話を簡単に信じる方が悪い」と誰が責められよう。吉永小百合の出世作となった1962年の映画『キューポラのある街』は北朝鮮帰国事業を肯定的に描いて後年批判の対象とされることもあったが、社会における当時の雰囲気は全く逆だったのだから。
以上の通り、本書を読むに当たっては北朝鮮帰国事業が活発化した社会背景の理解が不可欠である。個人的には、菊池嘉晃 著『北朝鮮帰国事業 ―「壮大な拉致」か「追放」か―』(中公新書、2009年刊) が主要な論点をコンパクトに整理していて読み易く、基礎知識を手っ取り早く得たい人にお薦め。
===
ごはんたべたい
月村了衛さん「地上の楽園」を読んでから気になっていたトピックについての新刊。あの小説でも強調されていたが、この悪魔の事業を推し進めた北朝鮮当局はもちろんのことだが、朝鮮総連、「38度線の北」を書いた寺尾五郎、帰国事業を推進させた日本共産党、そして小泉一族。彼らから未だにこの未曾有の「人災」や「虐殺」についての謝罪が見られないのが憤りを通り越して、呆れる感情が先に立つ。特にこのように一人ずつへのインタビューを積み重ねた書籍の形式だと、その思いは強くなる。
===
No comments:
Post a Comment