




サムスンは生き残れるか 逆境の韓国経済 Tankobon Softcover – January 10, 2025
by 細川幸太郎 (Author)
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【内容紹介】
アジア最強企業、猛烈に働くエリート集団、ニッポン電機敗戦の元凶――。
そんな言葉で語られてきた韓国サムスン電子が揺れている。主力事業で中国企業の猛追を受け、競争力が静かに低下する。韓国内政の余波で創業家トップが逮捕・拘束される事態に発展し、2024年12月の大統領弾劾によってさらに政治リスクが高まった。
15年間変わらない事業構造、挑戦を避ける大企業病、国内政治によって翻弄される経営、財閥創業家への国民からの嫉妬……。さまざまな逆風によってサムスン経営は立ちすくみ、成長の道筋を見つけられていない。
サムスンの苦境は韓国経済の映し鏡でもある。成長の壁にぶつかり、もがくサムスンと韓国の実態を、電機業界と韓国経済に精通した日経記者が赤裸々に描く。
【目次】
はじめに
第1章 3代目の10年 国内政治に翻弄
1 涙の懺悔
「父を超え、先代よりサムスンを大きくする」
財閥創業家は妬みの対象
「子どもたちには経営権を譲らない」
2 運命の判決
天を仰ぐ3代目総帥
拘置所ゲートの「希望の始まり」という皮肉
「韓国の企業は二流、行政三流、政治は四流」
3 経営復帰もリーダーシップ見えず
変わらぬ事業構造、成長スピードは鈍化
創業家ではない陰の最高実力者
サムスンもまた大企業病を患う
ゼロからイチ、「創造」が不得手なエリート集団
第2章 「10年で全事業がなくなる」 先代会長の遺産
1 中興の祖、李健熙氏の死
宿敵アップルCEOからの弔花
寡黙に本質を突くカリスマ経営者
2 躍進の原動力は「グローバル志向」
「妻と子ども以外はすべて変えてみよ」、経営方針を大転換
1年間の「海外研修」
モーレツ社風の確立
わずか5年で挫折した事業
3 10年で代表製品は消える
グループ時価総額80兆円に達したが……
李在鎔氏、最大の成果とは
安定成長期に入った新事業
苦戦を強いられる3つの「未来成長事業」
4 創業者の「人材経営」に綻び
創業86年目、初の禁忌破り
10万人を食べさせる1人の天才を発掘するために
9割超が韓国人男性、時間を要す多様化
定時に帰宅する20代、モーレツ文化の消失
Interview 「今のサムスンに必要なのはイノベーション、30年変わらぬ課題」 サムスン電子元顧問 福田民郎氏
第3章 世界一高いビルからアカデミー賞まで
1 韓国最大財閥、源流は干物貿易
三星商会、1938年に創業
子5人に承継、財閥が枝分かれ
2 オスカー獲得の裏にサムスン
4冠の「パラサイト」を支援
世界を席巻する韓国コンテンツ、その背景にも
一大産業となったK―POPでも一役買うサムスン
3 創業家のメセナ活動
モネやピカソを含む美術遺産は1兆円超
北朝鮮と16世紀の絵画を奪い合い
第4章 日本に学べ、韓国企業に通底
1 3代にわたる日本留学
サムスン電子、三洋電機と出発
日本企業との連携、今も深く
2 日韓半導体連合を揺らした安倍政権の奇策
想定を上回る韓国の反発
日本企業へのブーメラン、未来にも影響
韓国の政治やメディアにはびこる「ヌンチ」
3 鉄・車・ラーメンも、日本から技術移転
韓国では評価されない真実の経済史
韓国産業界の源流、浦項総合製鉄の誕生
日韓鉄鋼マンの「遺言」
政治対立に揺れない産業協力を
第5章 背後に迫る中国企業、歴史は繰り返す
1 中国でサムスンのコピー工場計画
被告席にはサムスン元常務
技術流出、検察の立証ハードル高く
中国企業への転職、後を絶たず
2 技術流出は半導体以外でも
「3年間、年俸3倍」で引き抜き
流出先は中国だけではない
韓国も技術を奪われる側に
M&Aも監視対象へ、高まり続ける難度
3 週末バイト、2泊3日で報酬50万円
自宅電話に突然の着信
「売国奴」と呼ばれても転職する理由
4 ケタ違いの30兆円投資表明
勃興サムスン半導体都市 街まるごと造成
平沢の次、投資30兆円計画も浮上
第6章 「上得意先」中国の変化
1 韓国の輸出先、20年ぶり米中逆転
「安米経米」への転換
現代自動車の中国3工場売却の衝撃
中国市場に苦悶する韓国財閥
2 中国は自前供給網構築へ
「中国製造2025」が一定の成果
中国国産化、その本丸とは
半導体供給網で中国はずし
3 脱中国に動く韓国財閥
高まるインドへの期待
ベトナム皮切りに日本の牙城・東南アジアを攻略
4 防衛・原発で特異な立ち位置
武器輸出、ウクライナ侵攻で急拡大
脱原発は「バカげた政策」、原発再拡大を進める韓国
第7章 韓国経済蝕む静かな危機
1 止まらぬ少子化、出生率0.72の実相
従来型の社会通念とSNS、若者の生きづらさと不安を増幅
小3塾代、月30万円超
かつては人口爆発が社会問題
2 老若男女それぞれの「生きづらさ」
高齢者貧困率はOECD最悪
「剥奪感」に下向く若年層、そして韓国社会
3 「国家均衡発展」の幻想
五輪開催地は寒村に逆戻り
造船の島は外国人頼み
黄昏の第2都市・釡山の現在地
おわりに
参考文献
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